2023年12月27日水曜日

『鵼の碑』(京極夏彦)読みました。


たしか映画監督の大島渚さんだったと思うのですが、
影響を受けた文学作品を聞かれ、
カミュの『シーシュポスの神話』をあげていました。

山の上に岩を運ぶよう命じられるれど、
岩は大きすぎて頂上には載らずに転がり落ちてしまい、
何度やってもダメで、ずーっと同じことを
繰り返さなければならないってあの話。

なぜ生きるのかとか、何のためにとか、
っていう哲学チックな謎の答えは
人間には結局は見つけられない。
シーシュポスの運んだ岩が、
結局は転がっていっちゃうように。

頂上には載せられないってことも、
人生の答えが見つからないってことも、
わかっていながら、
ずーっと続けていくことが大切なんだと、
カミュの本から教えられたと、
(違ってるかもしれないけど)たぶん大島さんが
言ってました。

そう、わからないんですよね。
逆にわかっちゃったら、
面白くないのかもしれないっすね。

パズルでも、謎解きミステリーでも、
ああじゃないこうじゃないと
考えることが楽しいのであって、
結末がわかったときには
「なるほど!」なんて到達感みたいなのが
あるにはあるけれど、
それでおしまいだから楽しみもジエンドですからね。

で、この『鵼の碑』。

結末の謎解き部分の前までは非常に楽しく
わくわくで5つ星評価でした。
んで最後まで読んだら星が1つ減っちゃいました。




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2023年12月21日木曜日

『天国までの百マイル』(浅田次郎)読みました。


前にもいったことある気がしますが
老眼で見えなくなっているけど、
想像して読んじゃうって話。

多くの方が経験する老化現象の例に漏れず、
ぼくも近くのものがぼやけて、
裸眼のままでは、
きちんと文字を判読できないんです。

仕事では間違っちゃいけないので、
プリントした校正紙なんかを確認するときには、
老眼鏡をかけて、くっきりはっきりさせ、
ときには虫眼鏡を使ったりもしているんですが、
普段の読書にはわずらわしくなって外してる。
寝床で読むときなんかは特に邪魔になるし。

あっ、ちなみにパソコン画面は
目の位置から離し、
比較的遠くに置いているから大丈夫。

距離が遠くなるぶん小さくて見えにくかったら
部分的に表示拡大させるから平気です。

そんで問題は手元の文字。ぼやけるといっても、
字の形がスカスカしてるひらがなとカタカナは
読めます。

綿埃みたいにモヤモヤっと見えちゃうのは
画数の多い漢字です。

でもそれって前後の文脈追ってると
なんとなくわかっちゃう。
そう、なんとなくの想像判読で
済ませちゃってるんです。ぼくの読書。
勘違いは多々ありますが。

で、この『天国までの百マイル』。

浅田次郎さんお得意の泣かせる場面で
涙が出てきて文字が滲んで見えちゃっても、
想像判読の技で切り抜けました。




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2023年12月19日火曜日

『僧正殺人事件』(S・S・ヴァン・ダイン)読みました。


ストーリーを面白くつくる方法のひとつに、
ミスリードってやり方があるんだと
最近知りました。

本当は大社長が犯人なのに、
うっぷんを抱えた社員がやったかのような
エピソードを並べて、
読者を間違った方向につれてっちゃう
みたいなやり方。

こいつがやったに決まってんじゃん、
なんて考えつつ読み進めていくと、最後に探偵が
「犯人はお前だ」と大社長を指さす。

えっ、そうなの。
やあ、騙された、騙された。

ってのが面白いと。
そういえば今まで、そんな作品に
たくさんひっかかってきたけど、
それがつくり手側の道具箱の中にある
たくさんのツールの中の1つだとは
思ってませんでした。

何冊か小説のつくり方的な本を読んだはずなのに、
なぜかそのミスリードってのは載ってなかった。

いや、きっと載ってたのに
忘れてるだけなんでしょうけど。

そのツールを上手く使いこなせたら、
むふふってなるストーリーつくれるんだろうな。
やってみようかな。
いやその前に今日の仕事終わらそ。

で、この『僧正殺人事件』。

ヴァン・ダイン作品、初めて読みました。
見事にひっかかって嬉しかったです。




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2023年12月14日木曜日

『トルコ怪獣記』(高野秀行)読みました。


もしかしたら勘違いかもしれませんが、
最近、本を読んでいる人が
多くなっているように感じます。

といっても、
通勤で使っているバス車内限定ですが。

なので、ぼくと同じ路線の地域に
たまたま本好きの人が多く引っ越してきたとか、
ぼくより先の停留所付近に、
どうしても本を読まなくちゃいけない人が
たくさん住むところができたとか、
(例えば複数出版社の合同社員寮。
 そんなものがあるかどうか知りませんが。
 それに、ほかに示せる例も思い浮かびませんが)
そういう偶発的な理由だとも考えられ
(実際に増えているかどかも不確かなので、
 理由うんぬんまで言及するのも憚れるけど)
世の中全体の傾向とはいいません。

いいませんが、
多くなっている気がします。

あ、本っていっても電子書籍じゃありません。
紙の本。それも、バスで読むので小さい文庫本です。

ぼくがその箱型集団移動装置に揺られているときは、
乗車して吊り革や手すりにつかまった瞬間、
もしくは運良く座席に腰掛けたコンマ2秒後に、
文庫本のページに目を落としているので、
ほかのお客さんの様子は
ほとんど眼中にはなかったんですが、
それでも、
ちょっと揺れが激しくなったタイミングなどで
文庫くんから目を離すと、1人や2人は、
ぼくと同じに片手でページを開いている。

少し前は、スマホだらけで、
紙の本は皆無だったような覚えがあるんだよなあ。

で、この『トルコ怪獣記』。

そんなふうにバスの中で読んだ本です。
面白かったです。




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2023年12月12日火曜日

『サマー・アポカリプス』(笠井潔)読みました。


海外の翻訳物小説は、
登場人物の名前に馴染みがなく、
読んでる途中で誰が誰かわからなくなる、
ってなところから、
最近はあまり人気がないんだと聞きました。

まあ、
それ以外にも売れなくなってる理由は
いろいろがあるんでしょうが、
日本で暮らす一般読者は、
やっぱカタカナだけの連なり文字が
読みにくいのはわかります。

ぼくなんかは、
日本人名しか出てこない物語だって
「えっ、それって誰だっけ」
とつぶやかずに読み終えられるのは、
星新一さんのショートショート集ぐらいしか
思いつかないほどですもの。

昔、海外作品のあらすじを書く仕事があって、
そのとき5人ほどの名前が、
頭の中でてれこになってしまい、
結局1人ずつ自分なりのイメージで
似顔絵を描きその下に名前を記して、
そのメモ凝視しつつ、冷や汗かきかき、
こなしたこともありました。

で、この『サマー・アポカリプス』。

登場するのはほぼフランス人。
「誰だっけ」は連発しましたが、
それでも面白かったってことは、
結構な面白さだったんでしょう。




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2023年12月7日木曜日

『檻』(北方謙三)読みました。


前回の『卒業生には向かない真実』で、
前2作はよかったのに、
この3作目はちょっと…
みたいなこと書いて、気になったから、

シリーズ1作目の
『自由研究には向かない殺人』を
読了リストで調べたら、
やっぱ、ぼくったら5つ星評価してました。

そうでしたそうでした。
主人公の明るくてブルドーザーみたいな
行動力がよかったんだ。

でもその明るさがだんだん消えてきて、
続く2作目は1つ減って4つ星になり、
3作目で本棚に残すのを迷う感じになった。

うーん、
ここまで書いたけど、なんか文脈が
ネガティブチックになってきたな…
なので、そんな話はやめましょう。

そうだ、
2023年に読んだ中で
5つ星をつけた作品を挙げることにしよう。

読んだ順(その1番がさっきの『自由研究〜』)に、
『流人道中記(下)』(浅田次郎)
『ムラブリ』(伊藤雄馬)
『数学する身体』(森田真生)
『異能機関(上)』(スティーヴン・キング)
『異能機関(下)』(スティーヴン・キング)
キング作品は1つにまとめてもよかったけど、まいいっしょ。

で、この『檻』。

年末になって5つ星作品追加できました。
実は、北方作品、今まで1冊も読んだことなかったんです。
これからハマるかな。




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2023年12月5日火曜日

『卒業生には向かない真実』(ホリー・ジャクソン)読みました。


確か2つ前の伊坂幸太郎さん作品の
感想文もどきに書いた覚えがあるんですが、

本棚スペースのこと。

面白い作品に出会いたいけれど、
そうなると余裕がない我が家の
保管スペースがぎゅぎゅうになって困るって話。

ほんで、それ以上に悩ましいのが、
面白いオモロイとずーっと追っかけてきた作家さんで、
そのラインナップがずらっと場所をとってて、
それにもかかわらず、
その最新刊が、ぼく好みじゃなかったとき。

今、次に表紙をめくられる順番を待つ積読の位置に、
この前出版された京極夏彦さんの
分厚い新書版が置いてあるんです。

あと100ページほどで読み終わる
笠井潔さんのミステリーが棚に置かれたら
(まだ結末までいってませんが、
 分類は「保管」になります。
 悩ましいんですが、面白いんだもの)
順番は京極作品になります。
これまで1冊もブックオフ行きにはなっておらず、
溜まりに溜まってる京極本。

次のがちゃんと保管分類になるかどうか、
実は不安なんです。
保管決定なら、
それはそれでスペース確保で悩むんですけどね。

で、この『卒業生には向かない真実』。

シリーズ前2冊は、きちんと本棚にしまわれています。
3作目のこの作品はどうしようか悩み中です。
前2作がなければ、迷いなくドナドナなんです。




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2023年11月30日木曜日

『重力のからくり』(山田克哉)読みました。


よせばいいのに
「なんだか知りたいな、面白そうだな」と
数学系とか物理系とかの読み物に手を出して、

そういうのの中に
「こういうときは微分をするんです」
みたいなことが、ちょこちょこと出てきて、

「微分?なんで細かくしなきゃいけないんだ」と
頭の中に、はてなマークが山盛りになり、

パソコン辞書の検索窓に
「微分」って打ち込んでみると
「ある関数の導関数を求めること」なんて出てきて、

山盛りだったあのマークが、
耳の穴からこぼれ落ちてくるようになり、
もう考えるのはやめようと決意して
頭中領土のみならず排他的脳内水域からも
追い出してから結構な年月がたち、
やっと忘れかけていた頃、

雑誌だっかか新聞だったかネットだったか
よく覚えていないけど、なんかの図書紹介の記事で
『文系のためのめっちゃやさしい微分積分』
という書名が目に入り、

「おっ、もしや、これなら、はてなマーク攻撃も
 ひょひょいとかわせるようになるんじゃないか」
と安直に飛びつき、

読んでみたら、
まあ、その読んでる最中は、ぼんやりかすかに
ギラギラの大都会の夜空を見上げたときに
うっすらちらつく星くらいには
理解視力が及ぶようになって、

うん、それならばとそのシリーズの
『文系のためのめっちゃやさしい三角関数』
ってのに手を出して
「いや失敗だったな、でも次は、
 対数ってのを読んでみようかな」
と思ったのでした。

でも、なぜか対数やめて、
この『重力のからくり』にしちゃった。

対数にしときゃよかったです。




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2023年11月28日火曜日

『777 トリプルセブン』(伊坂幸太郎)読みました。


あくびを連発しながら
3行読み進むごとに
残りのページ数を確認して
「ふーっ、まだそんなあんの」
なんてつぶやきつつこなす本よりも、

「かー面白れー」とわくわくの連続で
読了できるもののほうが
いいに決まってます。

決まってるんですが、
1点だけためらう要素があるんです。

ほかでもない保管のこと。
好みに合わなかった作品なら
迷いなく、やがてブックオフ行きになる
本棚右側最下段の
俗にドナドナスペースと呼ばれる場所へ
直行できるのですが、

オモロかったヤツは取っといて
いずれは再読したいとか思っちゃうわけです。
でもね。
ぱんぱんなんです。うちのその保管場所。

で、この『777 トリプルセブン』。

仕方ない、何とか横積みで押し込もうっと。




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2023年11月21日火曜日

『不連続殺人事件』(坂口安吾)読みました。


年に1回ほど高校時代の同期が集まって
同窓会を開いています。

コロナがあって数年はできなかったんですが、
この前やっと解禁になり、
80人ほどが母校近くの居酒屋に集まりました。

店のつくりが大人数仕様になっておらず、
みんながどんなにくっつき合っても、
カメラマン(お店の人)が
壁に穴が開くほど後ろに下がっても、
全員がおさまるような集合写真がうまく撮れず、
しょうがないから
小分け集団の何枚かを後日合成しようって、
ちと笑えるトラブルもあったりした会でした。
(今回はなぜかみんなの情熱が
 集合写真は絶対マストに傾いていた)

そんな大掛かりな、みんな参加飲み会は
年に1度なんだけど、
やろうぜと事を運ぶ幹事仲間の十数人とは、
事前打ち合わせや事後反省会と称して
ちょこちょこ飲んでるんです。

そこでは使いっぱのぼくが、
その同期会のホームページ更新を言い渡されていて、
集合写真撮れなかったけど楽しかったねとか、
次回はいついつどこどこでやりますとか、
いま幹事仲間が画策しながら飲んでます、
なんてお知らせをつらつらとアップしているんです。

でもそれが、
いろんなもの(主に怠け癖)に邪魔されて、
前回報告の投稿を1カ月以上やってなかったんです。
(つい先日やっと済ませました)
関係者の皆さん、申し訳ございませんでした。

で、この『不連続殺人事件』。

これ書いてる今、
この作品の読了から1カ月以上たっちゃいました。
なので内容おぼろげで、
本と無関係の話になっちゃいました。
(今日やっと済ませられました)





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2023年11月14日火曜日

『超新星紀元』(劉慈欣)読みました。


本の感想文を載せてている
どこかのブログにこんなことが書いてありました。

今回読んだ作品はあまり好みに合わなかったけど、
自分は1つの作品だけで判断するような
了見の狭い人間ではないから、
あと2つか3つ読んでから、
その作者の力量はレベルづけしたい。

ふーん、偉いですね。

了見の広さからすると、ぼくの場合は3畳一間、
いやそんなにないか、せいぜい鳥カゴほどの
こじんまりしたものなので、
1冊読んで「あーこれは違うな」と思ったら、
もうそこで終わり。

次回作に手を出すような
チャレンジスピリットというか菩薩ごごろというか、
そういう気持ちはわきあがってきません。

ただし、
ぼくが持っている別の特性である貧弱な記憶力が、
〈これは違うな作家〉さんの名前を
頭の中に入れておくのを拒んでしまうので、
タイトルが良さげだったり、
あらすじが突拍子もなかったり、
書評にくすぐられたりすると、
前に違うと感じた人の著作でも、
それと気づかずかじってしまい、
違和感を覚えつつ、
じーっとプロフィール欄なんかを眺めて
「あっそうか」って思い至ることしばしばです。

で、この『超新星紀元』。

ベストセラーの三体シリーズから読み始めた著者さん。
でも、この本が最初だったら続けては読まなかったかも。
いや、忘れて読んじゃっているかな。





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2023年10月24日火曜日

『ブラウン神父の童心』(G・K・チェスタトン)読みました。


シュールな夢をたまに見ます。
そんなに頻繁ではなく
年に3、4回ってとこでしょうか。

ふだん見るのは、ほとんどが、
パソコンが故障して締め切りに間に合わず
あたふたしているとか、
ランニング中に犬にほえられびくついているとか、
現実の体験がもとになってる。

でも、忘れた頃に
「そんな映像ってかストーリー、
 どっからパクってきたの?」的なのが
睡眠時の脳内に出現するんです。

例えば、
天使が肩に乗ってきて「大丈夫、泳げるよ」
とささやき、指をパチンと鳴らすと、
ぼくの全身がいきなり発火。
炎に包まれ倒れたけど、
そこは道路なのになぜか泳げて
走るクルマもスイスイ追い越し、
息継ぎもなしいで進める、とか。

滑走路になぜか餃子が置いてあって、
着陸する飛行機の先端が開いて
パクッとそれを食べる。
すると狩猟用のトラバサミのワナが
バチンと閉じて飛行機の鼻先をくわえこむ、とか。

それより少しシュール度は落ちるけど、
ついこの前は、
高い塔にある出窓から下をのぞいていると、
地上にいたお姫様がおもむろに
スマホを取り出し塔の写真を撮ろうとする。
でもそこにぼくが写り込んでしまうと、
謎の理由(夢だけに何の理由かわからない)があって
彼女は殺人犯と見なされ処刑されてしまう。
それがわかっているのに
ぼくはピースしてポーズをとってる。

で、この『ブラウン神父の童心』。

お姫様のシュール夢は、
この本を読んだ翌日に見たものです。





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2023年10月19日木曜日

『百鬼園事件帖』(三上延)読みました。


同一のモノを示すにしても、
同じ言葉はなるべく使わないで
表現していくのが書き手としての心得だと、
まだぺーぺーの頃、先輩に教えられました。

そのアドバイスは
いまだに守っているつもりなんですが、
ついつい気づかぬまま使っちゃうことがある。

今も、「先輩に教えられた」のあとで
「その教え」と書いて、
おっといけねーぜと思い直し、
後者の「教え」を「アドバイス」に
変えたところです。

さらに同じこと言わなきゃいけないときには
「助言」とか「訓示」とかにしないと…
なんて考えるわけですわ。

もう1つ言えば、
この文章の冒頭は「同一のモノ」になってるけど、
それは今読み直して書き換えた言葉なんです。
最初は「同じモノ」にしてた。
それに続く読点の直後に「同じ」が出てくるんで、
おっといけねーぜと修正しました。

ほんでもって
「おっといけねーぜ」はこれで3回目。
なぜか知らねど、一度出したフレーズに
どうしても引っ張られて、
その語句を連発させてしまうケースがあり、
それもまあ良しかなと納得したりしなかったり。

で、この『百鬼園事件帖』。

この著者さんの過去作とは結構違うような気がして、
きっと内田百閒作品に引っ張られてるからだと
思ったり思わなかったり。





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2023年10月17日火曜日

『バイバイ、エンジェル』(笠井潔)読みました。


1冊読み終えたらその3日後には
まったく内容を覚えていないという
得意技を持つぼくですが、

ストーリー全体ではなく、
どうでもいい些細なシーンやセリフ、
エピソードなんかで、
頭に残っているものは結構あるんです。

せっかく残るんだったら、
人生訓になる薫陶的な言い回しや、
感動的な場面とかだったらいいんですが、
そうではありません。

作品は忘れたけど京極夏彦さんの小説で出てきた、
ハンカチの中にやたらと痰を吐き
それをじーと眺めるという行動を繰り返す老人だとか、

本じゃなく確か新聞記事だけど
80才のおばあちゃんがシャッキシャキの
若者言葉でやりとりしていた会話文だとか、

万城目学さんの最近の短編に出てきた、
京都の暑さには一人の例外もなく負ける
っていう表現とか。

犯人探しみたいなミステリーものだと、
予想が外れたときは結構覚えている。
「おっ、このシーンはきっと
 謎解きのヒントが隠れてるな」
みたいに感じて、
脳みそ海馬に一時留め置かれるけれども、
それが当たって
「やっぱり、そうだった。
 ぼくもなかなかやるもんだ」と思ったら、
その手がかり場面のことは、
タツノオトシゴみたいな海馬くんが
ごくんと飲み込んで跡形もなくおつむの中から消去。
でも、謎にはひとかけらも絡むことなく、
まったくの勘違いで肩透かしされると、
多くは記憶に残る。

で、この『バイバイ、エンジェル』。

記憶に残るシーンが1つありました。
でも、あまり謎解きに絡まなかっけど、
あのデートの場面は、
なんか意味ある気がするんだよな。
もう1回読んでみよっと。





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2023年10月11日水曜日

『八月の御所グラウンド』(万城目学)読みました。


出身高校のバドミントン部で
年に1度OB会があって、
何十年も参加し続けています。

そこでは毎年、
お遊びの試合をするのですが、
やる度に思うのが
「弱くなったなあ」ってこと。

卒業から40年以上たち、
当たり前におとろえているから、
当たり前に当たり前なんですが、

スマッシュなんかは
シャトルの羽根の上に
ハエがとまって休めるくらいの
スピードにしかなりません。

現役の頃は
打った瞬間にバッシーンって音がして、
レシーブする相手のラケットに貼ってある
ガットを突き破っちゃうくらいの
威力があったのにな(だいぶもってます)。
弱くなるもんですね、月日がたつと。

で、この『八月の御所グラウンド』。

なぜでしょう。
読後「弱くなったなあ」
ってつぶやいてました。





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2023年10月5日木曜日

『高瀬庄左衛門御留書』(砂原浩太朗)読みました。


前にツイッターでつぶやいたことなんですが、
あれは140文字制限があるから
ぎゅぎゅっと押しつぶした内容になってしまい、
伝わりきれていないかもと思い、
ここに引き伸ばして書いてみます。

日課のランニング通勤で
へろへろ走りしているときでした。

場所は、
それでなくても狭い歩道の両端に、
電柱と街路樹が門柱みたいに並んでいて
人がすれ違うのがやっとのトコ。

その狭き門に差し掛かったとき、
後ろから来たチャリが、ぼくの横をすり抜けて、
すすっと歩道の真ん中に寄り、
すぼまった箇所を走り行こうとしました。

後部の子ども席に背の高いフードがついた、
ぼくの目の高さほどもある強化版電動ママチャリです。

そのハイパー自転車が、
街路樹の枝にひっかかったのかバランスを崩し、
倒れそうになったんです。

ぼくは慌てて後ろからフードの両側をつかみ、
うりゃーとチャリの体勢を立て直し、
そのまま進めるよう、
これまたうりゃーと前に押し出したんです。

するとその強化二輪は
何ごともなかったように
すすーっと走り去っていきました。

ママさんも無反応。

たぶん
「ちょっと段差があったけど、
 私のチャリテクなら楽勝よ」
くらいの気分だったんじゃないかと。

ぼくのやったことは気づかれないままだったけど、
それがなんか心地よかったです。

で、この『高瀬庄左衛門御留書』。

読んでいてなんか心地よかったです。





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2023年10月3日火曜日

『文系のためのめっちゃやさしい三角関数』(監修:山本昌宏)読みました。


ぼくは昔、工場やビルなどに
電気の設備を売り歩く
営業の仕事をしていました。

そのとき知ったのが、
電気工事の指導をしたり、
定期的に点検して不具合がないかを
チェックしたりする技術者さんのことです。

国家試験があって合格した資格取得者じゃなければ、
その仕事はできない専門家の人たちです。

お客さんのいうことを聞きながら、
そうした技術者さんの指摘にも従い、
実際の工事をする人にもあれこれ気をつかうような
営業の仕事をやってると、
隣の芝は青く見えるのたとえ通り、
「技術者さんはいいな」などと
実際の大変さを知らないにもかかわらず、
思ったりする。

それだけじゃなく、
「どうせなら自分で資格とっちゃお」なんても、
思ったりする。

んでもって、
その頃はネットなんてないから、
本屋さんに行って資格試験の参考書なんかを
見たりする。

すると、
暗号みたいな数式がずらーっと並んでいたりして、
それ無理、と納得する。

で、この『文系のためのめっちゃやさしい三角関数』。

たしかあのとき見た参考書に
三角関数が出てきたような気がしたので、
今さらながら読んでみました。
やっぱ、無理。




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2023年9月28日木曜日

『老人賭博』(松尾スズキ)読みました。


さっきまで、この前にある
『ブラック オア ホワイト』の
感想文もどきを書いていて
「ふーっ、なんとか文字埋まった」
と席を立ち、トイレに行って、
ついでにベランダに出てタバコを吸って、
パソコン前に戻ってきたら、
(その間約10分)
モニターに辞書ソフトの画面が
表示されていたんです。

あんなポンコツ文章をつくるのにも、
何回か辞書ソフトは使ったから、
そのままウィンドウを
出しっ放しにしていたのはわかります。

「飛び飛び」だとか、
笹沢左保さんのウィキペディアに出てきた
「股旅」なんて言葉を調べた覚えはあるんです。

でもね。
表示のウィンドウに検索されてるワードは
「レントゲン」だったんです。

それ、数十分前の記憶をどんだけたどっても、
文脈や調べたサイトなんかから連想される文言を
どれほどつたっていっても、

あの骨を撮影する機械やら、
それを発明したドイツの物理学者の名前やらを、
その検索窓に入力したとは思えない。

ソフトのバグで、なんらかのランダムな言葉が
自動的に検索されるなんてことは
これまで1度もないし、
そんな不具合聞いたこともない。

なんなんでしょ。レントゲン。
お前、脳みそ変だから、
一度、頭の骨にX線あてたほうがいいよ、
と霊的な何かが伝えているのでしょうか。

で、この『老人賭博』。

この前読んだ同じ著者さんの
『クワイエットルームにようこそ』と同様の印象でした。
絶賛される方も多くいるのに……。
やっぱ、ぼくの頭はレントゲン検査が必要かもしれません。




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2023年9月26日火曜日

『ブラック オア ホワイト』(浅田次郎)読みました。


ここのバックナンバーをたぐっていけば、
いつ頃だったかはっきりすると思いますが、
時期を特定してもそれほど意味はないし、
調べるのも手間かかるしってことで、

数年前、
笹沢左保さんの「木枯し紋次郎」シリーズに
はまって5〜6冊続けて読んだときがありました。

でも昔の小説なので
新刊書店には十数巻揃っているはずの文庫が
歯抜けの飛び飛びの巻しかなく、
ブックオフのサイトでも在庫なしになっていて、
手に入るものだけ楽しんだあとは、
いつの間にか忘れちゃって、
古本検索などをして探すことさえ
しなくなっていました。

それがこの前、
笹沢さんは紋次郎みたいな時代物だけじゃなく、
ミステリーとかの現代小説も
たくさん残しているすごい作家なんだと、
今さらながら知り、
それなら簡単に手に入る作品もあるんじゃないかと、
検索かけてみたら、すべてとはいわないけれど、
それなりに見つかりました。

でもね。
そうなんですけど、ちと足踏みしてるんです。
ジャンルが違ったら、
紋次郎的に楽しめるかどうかが不安で、
失敗だったら嫌だなと思って。

で、この『ブラック オア ホワイト』。

浅田次郎さんの作品。浅田さんの時代物は
どれもドンピシャの好みなんですが、
この現代物はそこまでピタッときませんでした。
それでも笹沢さんの現代物も試してみようかな。




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2023年9月22日金曜日

『ローズマリーのあまき香り』(島田荘司)読みました。


よく書籍の広告とかで
「イッキ読み必至!」
なんて宣伝文句が使われます。

ほんとにそうならいいですよね。
食べるのも寝るの も忘れて、
作品に没頭して「あー面白かった」
って本を閉じられる。

最近、そういうのめり込み物語にご無沙汰です。

だいぶ昔だけど今でもよく覚えているのは、
ジョン・アーヴィングさんの
『ホテル・ニューハンプシャー』。

休みの前の日から読み始めて、
ちょっと寝て、本を片手に朝ごはんを
かき込みながらページをめくり続け、
昼食は忘れてそのままどっぷりつかり込んで、
ほへーって腑抜けたようなため息つきながら
裏表紙を閉じたときには、
部屋の中は薄暗い夕方になっていました。

そのとき膀胱がパンパンになっているに、
ようやく気づき、トイレに行こうと思ったら、
家族の誰かが床に広げたままの新聞があり、
そこにこの本を原作にした映画の広告が載ってて、
それ観ずして何を観ると、
そのまま劇場に走りました。
トイレは済ませてからですが。
なお、映画はそれほどじゃなかったな。

で、この『ローズマリーのあまき香り』。

事件の真相がわかるほんの手前で、
「明日にしよ」って寝てしまいました。
イッキ読みできず、ごめんなさい。




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2023年9月20日水曜日

『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ)読みました。


何の本をつくっているときか忘れたんですが、
悪だくみとか陰謀とか、
はかりごとだとかという意味の言葉が、
やたらと出てくる原稿を書かなくちゃいけなくて、

同じ内容を繰り返さなきゃならないけれど、
同じフレーズを使っては、
「こいつ手抜きしている」と
思われるのは目に見えているので、

類語の辞書だとか、似たような単語を
だだーっと並べて表示しているサイトなんかを
ぐりぐり力技で巡り巡って、
なんとかしっくりくるのを当てはめながら
文章をつくっていきました。

でも、そうやってごりごり
はめ込んでこさえたものには、
やっぱり無理があったようで、

奸計、狡計、姦謀など普段は見慣れない熟語は、
(ちなみに読みは頭から
「かんけい」「こうけい」「かんぼう」)
担当の編集の人が、
ことごとく「悪だくみ」に修正するよう
校正刷りに赤ペンをビシバシ入れてました。

どんな理不尽な修正依頼でも、
疑問一つ口にせず、素直に従う小心者のぼくは、
もちろんその赤ペン文字に
ひとかけらの反情も示すことなく、

文字選択→悪だくみ入力→
行数増えればレイアウト調整と
ロボットのように作業をこなしていったのでした。

で、この『52ヘルツのクジラたち』。

いい本ですね。よかったです。
難しい言葉はほとんど見当たらず、
読みやすいやさしい文章が素敵でした。
すみっこつついて、ほんとにあえていえば
「贖罪」ってのがあるけど、
これはOKでしょ、ねっ編集さん。




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2023年9月14日木曜日

『コミュ力は「副詞」で決まる』(石黒圭)読みました。


それまで使っていた日本語入力プログラムの
メーカーが店売りのパッケージはやめて
ネット販売だけにしてから、
パソコンにもともと入っている「日本語」って
ガチな名前のソフトを使っています。

それ系の雑誌などで、
「日本語」も変換機能が進化して
文章をつくる仕事でも十分対応できるとかって
レビューをちらちら見かけたので。

ネット通販が苦手で
クレジットカードも怖くてほとんど使えず
たぶん10年以上利用金額はゼロなのに
年会費だけ払っているぼくは、

どんなに変な挙動があろうと、
それ系雑誌の言葉を疑わないようにと
脳みそに言い聞かせ、
この文章も「日本語」で入力しています。

それでもたまに、なぜ、とつぶやく瞬間もある。

「じんるいがくしゃ」の入力で
「人類学車」ってどうなの。
「学車」を辞書で調べちゃったじゃない。
載ってないよ。

で、この『コミュ力は「副詞」で決まる』。

「こみゅりょく」は一発で
「コミュ力」に変換できました。




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2023年9月12日火曜日

『異能機関(下)』(スティーヴン・キング)読みました。


推理小説の解説なんかでたまに見かけるのが
「フェア」って言葉です。

「犯人はお前だ!」の場面に到達する前に、
謎解きのヒントや仕掛けのもとは
全部読者に見せておく。
「てへへ実はこうだったのよ」みたいな
後出しジャンケン的なことはしない。
それを「フェア」な作者というようです。

作る側にしてみれば、
いろいろ隠しておいて、
最後の最後でどかーんと開陳するほうが、
びっくり効果が高いだろうと考えたり、

クライマックスの謎解きと
先に出しておいた仕掛けに矛盾が出にくくなる
なんて利点があったりするから、いいかもしれないけど、

読み終わって面白く感じるのは、
やっぱフェアな作品です。

それと同じように、
背中がこそばゆくなってくるのが
(前にも言ったかもしれないけど)
じらしです。
「太郎はある作戦を花子に告げた」
とか前振りして、「ある作戦」の内容には触れずにいる。

「知りたいでしょ、でも今はまだ言わない。
 あとのお楽しみ」みたいな。
ドラマ作法の定石の一つなんだろうけど、
できればやめてほしいですね。こそばゆいから。

で、この『異能機関(下)』。

推理小説じゃあないけど、
フェアなつくり方してるなと感じました。
じらしもなかったし。
キングさんすごいな、何歳なんだろ。




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2023年9月7日木曜日

『クワイエットルームにようこそ』(松尾スズキ)読みました。


自分ではそれほどとは思っていないのですが、
「本をたくさん読んでいて、すごいね」
なんて言われたことがあり、その人が
「どんな本が好きか当ててみようか。
 きっと、余白がぜんぜんなくて文字びっしりの本で、
 ぶ厚くてずっしり重いヤツだろ」
と予想してくれたんですが、

残念ながら、
ぼくはその期待に添うような読書家じゃなく、
やたら改行が多くてページの下半分は白っぽいような、
しかも手に持っていると疲れてきちゃうので、
なるべく薄っぺらな軽いのがいいんです。

それだと、1冊はすぐ終わるから、
ここに書くネタも涸れないで済むし。

だから、本をたくさん読んで「スゴイネ」などと
尊敬されるような人ではまるでない。

そのスゴイネ人は、文字詰め詰めの、
高いところの物をとるとき
踏み台につかえそうな厚みがあるザ・書物が
好きなんだろうことはわかるけど。
予想と違っててごめんなさい。

とはいっても、
薄いものが面白い本である確率って、
ぼくの経験上、低い。
面白いのが読みたいんだけど、
ツメツメどっしりは嫌だしな。悩み所です。

で、この『クワイエットルームにようこそ』。

今までのぼくの経験に当てはまった感じですね。
好みにずっぽしとはなりませんでした。
もう一冊、同じ作者の本を入手したので、
もう少ししたらそっちを試してみます。




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2023年9月5日火曜日

『異能機関(上)』(スティーヴン・キング)読みました。


会社の仕事で使っている表計算の
エクセルのファイルで、
1カ月に1度だけ開くのがありまして、

さっき、そのアイコンをダブルクリックして、
「うりゃ、さっさと片づけるぜ」
と勢い込んでマウスをカチカチしたんですわ。

でも、
そのときの荒すぎたぼくの鼻息が怖かったのか、
すんなり開いてくれんのです、ファイル君。

アイコン上で丸型レインボーがくるくる回って、
いつまでたっても回転をやめず、
しょーがないからソフトの状態調べたら、
「反応していません」などと表示されていて、

でも、中身を見ないと次の作業にも移れないので、
エクセルファイルでも大丈夫っていう
マックのナンバーズってソフトで開いてみたんです。

すると、なんのひっかかりもなく中身が見れて、
とりあえず、そこにある数字を使って
次の仕事を進めました。

その後、ワードでもやってみたら、
なんちゃら変換とかの表示は出たけど、
それでも開けて、
結局使えないのは本家本元のエクセルだけなんです。
どうしよ。このファイル君。
これからも月1イチで必要なんですけど。

で、この『異能機関(上)』。

やばっ。
この本すごく面白かったのに、
1ミリも関係ないエクセルの話で
ここまで埋めちゃいました。
すみません。




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2023年8月31日木曜日

『愛されてんだと自覚しな』(河野裕)読みました。


どんでん返しで思い出す映画っていったら、
ぼくらの世代では『スティング』でしょうね。

世代でくくっちゃダメっすかね、ぼくだけかな。
まあいいや、ぼくだけでも。
なにしろ2、3回は観てるはずだけど、
覚えているのは、ラストのあの場面だけなので。

とはいっても、よくよく考えてみると、
どんでんだけが魅力なのだとしたら、
それを知ったうえで、
もう一度観るのもつまらないわけで、
ましては何度もっていうと、それはやっぱり、
どんでん以外でもいい映画だったんじゃ
なかろうかと思うわけで。

途中の内容は忘れたと言ったのに
何ほざいてんだって意見は、素直に受け止めます。
いやいや、それでも出演陣なんかは、頭に浮かびます。
フォトショップとかで
どんなにぼくの写真をもりまくっても
かなわないあの二人でしょ。

えーと、あのー。
そうそうロバート・レッドフォードとポール・ニューマン。
それにキュートって言葉はあの子のために
できたんじゃないかなって思うキャサリン・ロス。
えっ、あっちゃうちゃう、
彼女は『明日に向かって撃て』でした。

まあ、だから、どんでんだけじゃないんですわ。
誰かの胸中に残る作品ってのは。
内容を忘れ、出演者を間違えても。

で、この『愛されてんだと自覚しな』。

ちょっとしたどんでんは、まあ、あります。
あるけども、それだけじゃないから、よかったです。
も一回読もっと。




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2023年8月29日火曜日

『黒い瞳のブロンド』(ベンジャミン・ブラック)読みました。


特に理由はないんですが、カツ丼にします。
最近食べてないからかもしれません。

エッセイでもなんでもいいんですが、
つくる文章の中に「カツ丼を食べた」
という内容を書こうと思い、

でもその前になんかしら
そのどんぶりメニューを修飾する言葉を
付け足そうとたくらんだとき、

Aパターン→
「とじてある卵が少し固めの
 ぼく好みのおいしいカツ丼」

Bパターン→
「親父さんが一人でやっているような
 町のそば屋で出されるものは、
 たいていとじた卵が半生過ぎて
 ぐちゃぐちゃしており、
 どんぶりからトンカツを持ち上げると
 じゅるじゅると下のシャリに
 したたり落ちてしまい
 残った部分が卵かけご飯のように
 なるものばかりだったが
 (少なくとも今までぼくが立ち寄った店では)
 今増えているチェーン店なんかで
 マニュアル通りつくられるやつは、
 火を通す時間が長いのか、
 じゅるじゅるにはならず、
 けっこう固まって揚げた衣にからみつき、
 それだとカツと白メシを交互に口に入れても、
 おかず付き定食のようで
 お得感があっておいしいカツ丼」

の2パターンに分けられます。

で、この『黒い瞳のブロンド』。

Bパターンが多用されているように感じ、
お腹いっぱいでした。




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2023年8月22日火曜日

『文系のためのめっちゃやさしい微分積分』(山本昌宏 監修)読みました。


物事がどうしてそうなるのかの説明を受けたとき、
順を追ったロジックで解説され、
その論理の各段階はふむふむと納得して、
うんうんわかるわかるとなるんだけれど、

最終的に「だからこう」っていう結論に至ると、
「はぁそうなのかなぁ。そうなんだろうけど…」
と首を縦に振るべきなのか左右に動かすべきなのか、
迷っちゃうときがあります。

例えば、風が吹けば桶屋が儲かる。

ウィキペディアによると
(使わないほうがいい言葉があったりしたので
 ちょっと改変してます)
(1)大風が吹けば土埃が立ち、眼病疾患者が増加する。
(2)昔は目の不自由な人は多く三味線を生業とし、
   弾き方を指導したり、演奏したりするので、
   三味線の需要が増える。
(3)三味線製造には猫の皮が欠かせないため、
   猫が多数減り、鼠が増加する。
(4)増えた鼠は桶などをかじるので、
   桶の需要が増加して桶屋が儲かる
……だそうで。

この1〜4のすべてに無理があるともいえるけど、
昔はそうだったなんて背景を説明されたりすると、
それなりに納得したりして、
でもそれつなげて通してみると「え?」ってなる。
いいんですけどね。
桶屋さんでも何でも儲かるのはいいことだろうし。

で、この『文系のためのめっちゃやさしい微分積分』。

最終的にそうなの?って思ったりするけど、
題名通り、めっちゃやさしく、
風→桶の理論のようにすんなり理解できました。
きちんとつくってあるいい本だと思いました。




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2023年8月17日木曜日

『愚者の街(下)』(ロス・トーマス)読みました。


熱帯地方のスコールを
実際に経験したわけではないんですが、
この前東京にも、それと同じような、
いや、ぼく的にはそれより強烈と思える
バケツをひっくり返したような、
いや、バスタブをひっくり返したような、
いや、プールをひっくり返したような、
ちっちゃなヒョウも混じる
ドシャドシャが降りました。

8月のはじめ、
ほんの1時間ほどの短い間です。

ちょうど、弁当を食べ終えた昼休みで、
ベランダに出てタバコを吸っているときでした。

いつものように右手に電子タバコの機械、
左手には本を持って、
読書しつつの午後の仕事を始める前の
至福の一時です。

激しい雨が降っているのはわかっていたんですよ。
わかっていたんですけどね。

で、この『愚者の街(下)』。

あまりに夢中になりすぎて、
ベランダのひさしなど
もろともしない豪雨も無視して
読み続けちゃいました。
本も服もびしょ濡れでした。

この本、なんとも罪なやつです。




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2023年8月15日火曜日

『オーグメンテッド・スカイ』(藤井太洋)読みました。


特に設定した覚えはないんですが
いつの間にか1週間に1度
その週の1日平均スマホ使用時間が
待ち受け画面に表示されるようになり、

それがいつも5分程度で、
タバコ1本吸うくらいの短時間しか
文明の利器を利用しないんだから
世の中の流れについていけないのも
当たり前だと自覚してるところです。

そもそもiPhoneが出たとき、
そんなもん流行るわけないわ、
かのリンゴ社の業績もまた厳しくなるな、
なんていらぬ心配をしてたのに、
あにはからんやのこんな状態になってました。

それでもiPhoneは
第1号機から使っていたんですけどね。

マックのパソコンにつないだときに
表示されるアイコンをキャプチャして
解説書に掲載しなくてはいけないって
仕事があったので、やむを得ず
それまでのガラケーから変えたんです。

以来、何度か新しいのに変えながら、
ずっと使ってるんです。1日約5分。

で、この『オーグメンテッド・スカイ』。

VRゴーグルっていうんですか、
あの目を覆うように頭につけるゴツいやつ。

あれ見たときiPhone登場時と同じような
そりゃ流行らんだろ的感想が浮かんだんだけど、
この本読んで、やっぱぼくは
石器時代とかで暮らすべきだと感じました。




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2023年8月3日木曜日

『街とその不確かな壁』(村上春樹)読みました。


年齢のせいなのか何なのか、どういうわけか
ものの好き嫌いは変わっていくようです。

子供の頃、いや高校生くらいまでは、
どうしても食べられなかった椎茸が、
今は何の抵抗もなく口にできる。

それどころか、天ぷらの盛り合わせに、
肉厚のあのまんまるっちいヤツが入っていと、
最後のほうまで大事にとっておく。
(ラストのラストは好物のイカなのでその前くらい。
 あ、春菊があったら、どうするか迷う)

高校生の頃、いや20代くらいまでは、
嫌いではないけど自分からは手にしたことのなかった
アイスティー(レモンのヤツ)は、
30才を過ぎたあたりで、やたらと飲みたくなり、
自動販売機で買うのはすべてソレ系で
(アイスミクティーではない)
コーヒーしか頼んだことのなかった喫茶店でも
いつも冷たい紅茶を注文してた時期がありました。

でもそれも10年も続かずにブームは去り、
今では、なぜあんなに好きだったのか
不思議でならないくらいです。

で、この『街とその不確かな壁』。

村上春樹さんの作品はほとんど読んでいます。
一時のアイスティーのように好きだったので。
そんなに好みだったのは、なぜなんだろう
と不思議に感じた、読後でした。




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2023年8月1日火曜日

『愚者の街(上)』(ロス・トーマス)読みました。


劇場で『探偵マーロウ』を観てきたという娘から、
その映画を知っているかと聞かれ、

とっさに言われたものだから、
ぼくの中の神経細胞はどの回路にも
結びつく余裕がなかったらしく、

「いや、知らないわ」と
そっけなく答えてしまったものの、

どこかにひっかかりがあったようで、
次の日に仕事用のコチコチお堅い原稿を
書いている途中で
「あっそうか、フリップ・マーロウのことだ」
と唐突に思い出しました。

あのチャンドラーさんがつくった
ハードボイルド小説の中の探偵。
そうそう、それに違いない。

でも、
マーロウが登場するような映画は相当昔だから、
リバイバル上映かなとぼんやり思いつつ、
コチコチ原稿をほっぽり出して、
ネット検索かけてみると、

ほうほう、最近書かれたチャンドラー作品の
公認続編とされる小説『黒い瞳のブロンド』を
映画化したもののようで。

ならば読まなきゃってことで、
その原作を今、読んでます。
だってチャンドラー作品はやっぱ面白いから
そのつながりなら何かあるんじゃないかなと。

つながりをたどって、
チャンドラー本家よりぼく好みの原尞さんの
探偵小説を知ったのだし。

で、この『愚者の街(上)』。

上に書いたこととは何の関係もなく
どっかの書評で見てたまたま読んだ本。
でもここに原尞さんが解説文を寄せていたんです。
(この上巻じゃなく先に読んじゃった下巻の巻末にですが)
何の関係もなく平行読みしていたチャンドラー公認続編に
つながり深い原さんの名前が突然出てきて、
なんだか絡み合っている感じゾクゾクでした。

面白いわけだ。




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2023年7月27日木曜日

『ボッコちゃん』(星新一)読みました。


この前、
20年近く連絡を取ってなかった
小中学校時代の友だちが突然連絡をくれたんです。

中学校の同期会を開催することになり、
そのお誘いでした。
(よくぞ忘れずにいてくれて、ありがとう!)

彼とはその昔、
ようやく携帯が普及し始めた頃に会っていて、
そのとき互いの番号を交換していたのですが、

その後(20年近く会っていなかったどこかの時点で)、
連絡先データが入った電話機を
水没させてしまったんだそうです。

そこで、なんとか覚えていた、ぼくの会社の名前から
ホームページをたどって、
会社の電話へかけてくれたんです。

いやはや、
大変な手間をかけさせてしまって申し訳なかったね、
なんてねぎらいの言葉やら、
元気?あれからどうしてた?今はどこに住んでいるの?
なんて互いに近況報告しながら、
秋にやるっていう同期会についてのあれこれを
教えてもらいました。

それにしても、中学(彼とは小学校も一緒でしたが)の
同級生と話ができるなんて、
もしかしたらもう死ぬまでないかも、
なんて思っていただけに、ほんと嬉しいびっくりでした。

で、この『ボッコちゃん』。

中学生の頃の愛読書の再読です。
これを読んでるとき、
上記の嬉しびっくりの連絡があったんです。
なんか不思議。




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2023年7月19日水曜日

『嫌なこと、全部やめても生きられる』(プロ奢ラレヤー)読みました。


たぶん寝違えたからだと思うのですが
(いや前に日にジムで筋トレマシンをやったからかも。
 でもいつもの筋肉痛とは違うようなので、
 やっぱ変な寝姿のぐーすか時間が原因か)
右側の首筋から肩にかけて、ずきーんと痛かったんです。

痛みは常にあるわけじゃなく、
特定の体勢をとったときだけ、急激に発生します。
起床時間なのに熟睡中のとき
耳元で鳴り響く、頭にタヌキのような鐘が2つついた
ノスタルジックスタイルの目覚まし時計のように。

ジリジリジリーン、ズキズキズキズキーんって。

さらに面倒だったのは、
この特定の体勢が、最初どんな形なのか
よくわからなかったこと。

しょっぱなは、
後ろ側にあったタオルをとろうと
左手を後方に伸ばしたとき。
右首筋+右肩に稲妻が走りました。

動かしたのは左手なのに
なぜ右側と不思議に思ったけど、
そんときはとにかく気をつけて、
左後ろに手を伸ばさないようにした。

でも痛みがおさまった直後、
右斜め前方の歯ブラシに手をかけたとき、
再び雷神さまが降臨。

どう動いても余計に痛みが強まるような気がして、
しばらく凍結してました。

して、その後の分析研究により、
体をねじる動きがトリガーになると判明。
1日ねじらなかったら、次の日は治ったとさ。

で、この『嫌なこと、全部やめても生きられる』。

身体をねじらないでいるのは
不自由で「嫌なこと」だったけど、
それやめると痛過ぎて、
どうにもこうにも「生きられない」と思ったりしたけど、
この本の内容とは関係ないっすね、やっぱ。




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2023年7月13日木曜日

『哲学者の密室』(笠井潔)読みました。


この本を読み終わって、
積読棚のネクストリーディングサークル(NRC)で
待ち構えていたソフトカバーの単行本を手に取り、
開いてみると、なんとまあ、
ホワイトスペースふんだんづかいの
行間アキアキゆとり仕様の書籍でした。

その本は200ページちょいあって、
きっと厚めの紙を使っているから
背幅もそれなりにある。
その次にNRCに入ることになった
村上春樹さんの新刊と並べても
そんなに薄くは感じられません。

今、ググったら
村上新刊は672ページだそうなので、
これはこれで薄い紙を使って
幅が出ないようなつくりにしてるんでしょう。

あ、今回は村上本じゃなく、
ゆとり仕様のソフトカバー本のこと。
きっと次に感想文もどきを書くと思うので
書名はそっちで見てもらうとして、
ここで触れたいのは文字量です。

行間アキアキっていいましたが、
普通だったら2行は入るだろうってところに
1行だけ配置されてます。
文字の大きさはまあ普通。
でも、1話のくくりが短くて、
その区切りには見出しとか
埋め草アイコンなんかもあるので、
本文文字量は極少になり、
1ページ読むのはあっという間です。

で、この『哲学者の密室』。

ゆとり仕様とは真逆で文庫の本文ギチギチ目一杯。
しかも、ぶ厚さ1182ページ。
次の本との落差も面白かったけど、
内容もめちゃ面白かったです。




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2023年7月11日火曜日

『回樹』(斜線堂有紀)読みました。


どこかに紛れ込んでいるのか、
大掃除や引越しのときに捨てちゃったのか。
中学生のときの卒業文集は、
もう何十年も目にしていません。

たぶんそれだから、
そこに書いたショートショートの物語は、
自分史上最高傑作だと、長い間思っていました。
逃がした魚は大きい、みたいな。

でも、金字塔的に巨大だったイメージが最近、
犬小屋といっても盛りすぎな気がするほど、
しょぼいものだったように感じてきたんです。

きっかけは、今半分ほど読み終えた
星新一さんのショートショート集。

中学生のときは、
星さんの超短編を読むと
ポパイがほうれん草を食べたときのように、
しゃきーんとしてきて、

なもんで、
ぼくもそういう面白い話をつくりたいと、
ふんばって仕上げ、

「中学3年間、とても楽しかったです」
みたいな文面が並ぶ卒業文集に、

一人だけ超短編創作物語を載せてもらったんです。

ほいで、ほいで、何十年も時を経た今。
影響受けた本家本元の本を再読した。

すると、なぜあれほど面白いと感じたのか、
まったくわからなくなってるんです。

つーことは、幻の自分史上最高傑作も、
もし読み返すことができたとしたら
「けっ」って言葉しか出ないかもしれないな、と。

で、この『回樹』。

星さんの作品とは逆に、
何十年かたって読み直してみれば、
良さがわかようになるのかな、と思いました。




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2023年7月6日木曜日

『MR(下)』(久坂部羊)読みました。


こんな片隅でひっそりやってるブログでも、
ネットという全世界オープンの媒体だけあって、
誤字や文章の間違いをメールやSNSで指摘してくれる
奇特な人がときどき現れるんです。

これはほんとにありがたい。

いつもやっている編集やライターの仕事では、
指摘してもらうためにはそれなりの費用が必要なのに、
まるっきりの好意だけでしてくれる。

よくぞ、ぼくのような奴のためにと、
うるうるしてきます。

この前は、
漢字表記&重複表現の合わせ技レクチャーにより
「書き掛けの途中で〜」→「書きかけで〜」
と修正できました。ありがと。

で、この『MR(下)』。

あらら。
また本とは無関係の内容で文字埋めちゃいました。
作品について何か指摘したかったわけではありません。




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2023年7月4日火曜日

『鬱屈精神科医、占いにすがる』(春日武彦)読みました。


「考えることややることは幼い子どものままの私が
 20才なんて信じらんない」と、
成人式を終えた若者が
インタビューに答えるシーンをよく見かけます。

その感じ、ぼくも同じように持ちました。

そんときは確か
バイトかなんかしてて式には出なかったけど、
こんなガキみたいなヤツが
成人であるはずがないと思ってた。

世の成人っていうのは、
もっとしっかりと自分の考えを持ち、礼儀正しく、
人とのコミュニケーションもきちんととれて、
何より「なぜ生きるのか」「人生とは何か」
のような問いかけに、
はっきりとした答えを持っているんだと思ってた。

それがどういうわけでしょう。
30才になっても、40才になっても、
もうじき還暦になるって歳になっても、
「ぼくってガキ」としか思えず、

確固たる信条ができあがっていくどころか、
日に日にふにゃふにゃになっていくような気がしてる。
びくびくして、おどおどして、こそこそして、
ってんじゃないのが、大人だと思うんですけど。

で、この『鬱屈精神科医、占いにすがる』。

大人、こども、幼い、成熟なんて区分けは関係なく、
人それぞれで違うもんなのかな、
などと考えながら読了しました。




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2023年6月29日木曜日

『地下図書館の海』(エリン・モーゲンスターン)読みました。


書きかけで放り投げちゃた小説もどきの作品は
ごまんとあるのですが
(記憶の中にはごまんとあるはずなのに、
 実物がどこにあるのか、
 そのデータのかけらすら消息は不明。
 どこいちゃったんだろう)
その中に、
カフカさんの『城』みたいな話にしようと目論んで、
確か数十ページほどは
文字を埋めたやつがありました。
(オマージュしようと考えたほどなのに、
 今ではもう、その『城』のあらすじはおぼろげで、
 今さっきウキペディアで確かめ、
 ああそんな話だったなと見てきたところです)

城に行こうとするんだけど、
どういうわけかたどりつけないって話の
「やりたいけど、なぜかできない」
ってシチュエーションをそのままパクって、

巨大な木の根元にあるという
幻の洞穴を見に行く男の物語。

巨木に向かって山を乗り越え、
川を渡り、村人と話し、砂漠の道を進み
ってなことを何度も何度も繰り返すんだけど、
ちっとも巨木には近づけない。
そもそも「できない」って話を
つくろうと思ったんだから、
当たり前です。

でも、自分でもその繰り返しが、
書いてて嫌になってきちゃったんです。
途中までの数十ページを読み返すだけでも、
やんなっちゃったんだな、あんときは。

で、この『地下図書館の海』。

繰り返される感じでした。いろんなお話が。
でもまあ、最後まで読み終えられ、
途中でくじけないでよかった、よかった。




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2023年6月27日火曜日

『MR(上)』(久坂部羊)読みました。


「金太郎はとっても勇敢な男の子で、
 そのうえ優しい心を持っていました」
と書いてはダメで、

勇敢なら勇敢であることが、
優しいなら優しい気持ちが、表れた行動を、
具体的に示すエピソードで、
つづっていかなきゃいけません。

みたいなことが、あちこちの
「誰でもできる面白い物語のつくり方」的書籍に
記してありました。

下手なことはわかっていますが、
ぼくが金太郎の話でそれを実践するとすれば、
「金太郎と遊んでいた
 サル、ウサギ、リスたち森の仲間の前に、
 突然クマが現れ、襲いかかってきました。
 仲間たちが怯える中、
 金太郎は自分の何倍もの大きさのクマに、
 弱い者イジメはやめろ相撲で勝負だ、と言います。
 それを鼻で笑ったクマは、
 いきなり張り手を打ってきました。
 でも金太郎はとっさにその手を取り、
 一本背負でクマを投げ飛ばしたのです。
 背中を強打したクマは
 泣きながら森の奥へ去ろうとしました。
 すると金太郎は、
 背中は手当してあげるから一緒に遊ぼうよ、
 とクマに声を掛けました」
みたいに(下手なことはわかっていますが)なる。

頭の中に情景が浮かばない抽象的説明じゃなく、
イメージが描けるエピソードや具体的な動きが
物語には大切ってことでしょうか。

で、この『MR(上)』。

特殊な業種を描いているから
必要な要素だとは思うんですが、
説明のところ(そんなに多くはないけど)が
ちょっとアレでした。




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2023年6月22日木曜日

『良寛』(水上勉)読みました。


昔の映画に、
スパイが機密文書の紙束をペラペラめくりながら
マイクロカメラでカシャカシャと
撮影するシーンがありました。

それと同じくらいの速度で
本のページをめくりつつ眺めていくだけで、
書かれている内容がわかっちゃうっていう
速読の方法があります。

フォトリーディングっていうそうで、
その技術を習得すれば、
もっとたくさん面白い本を楽しめるぞウシシ
と思い「誰でもできる速読術」みたいな
ハウツー本を片手に挑戦したことがあります。

ハウツー教書自体がすらすら読めたので、
いけるかもと勘違いしたぼくは、
たまたま手近の本棚にささっていた
大金持ちのバフェットさんとかいう人の自伝を
フォトリーディングしてみたんです。

だけんども、
ぼくの目は高速連射の仕様ではないみたいで、
脳みそに入った情報量はゼロバイトでした。

で、この『良寛』。

じっくりじっくり、
ほんと時間をかけて読みました。




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2023年6月20日火曜日

『スキマワラシ』(恩田陸)読みました。


卒業以来、何年も会っていなかった
小学校時代の悪ガキ3人トリオの1人を
街で偶然見かけて、
互いに「おー!」なんて言いながら、
道端で話し込んでいると、

これまた偶然、そこを通りかかった
残りもう1人の悪ガキ仲間が「おー!」と
通行人をかき分けて走り寄ってきた。

こりゃあ、偶然の増し増しだあー!

なんてことは今まで一度もありませんでした。

でも、もしそれが本当にあったとしても、
それはそれで、
世の中には不思議な偶然ってあるよねと、
きっと済まされるでしょう。

でも、作家が頭の中でつくった物語の中に
そんなエピソードが盛り込まれていたら、
「そりゃないよ、リアリティ不足」
なんてツッコミが
ツイッターとか読書感想文掲示板みたいなところで
花を咲かすんだろうと思います。

創作物の中に出てくる
偶然とか不思議な現象とかは、
マックス1回みたいな不文律が
なんとなくあるんでしょうね。

で、この『スキマワラシ』。
 
スキマワラシと主人公の「アレ」。
2つの不思議現象が入っているんですが、
それでもちゃんと成立しているような、
でもちょっとぎくしゃく感が残っているような。




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