2016年4月27日水曜日

『くノ一忍法帖』(山田風太郎)読みました。



「広告紙面の作り方」みたいな本を
前に読んだことがあります。

内容はほぼ忘れちゃいました。

でも、
一つだけ気になって覚えているのが、

「反響があったらいつまでも繰り返せ」

って教えです。

その広告によって
商品がめちゃくちゃ売れたりしたら、
全く同じ内容を
何度でも載せろってことです。

広告をつくる側の人(とか、ぼくらの
ように何かの紙面をつくる人)は、

前にやったのと同じ物を掲載するのに、
普通は大きな抵抗を感じます。

依頼してくれた人に、
出来上がった物を渡すとき
「なんだ、前と同じじゃん!」
と言われるのが怖い。

コピペするだけだから、
手間がかからず「手抜きしたな!」
と思われちゃう。

それでも、その「広告作り方」本では
「そのまま使って、繰り返せ」と。
まぁ、一理あると思います。

で、この『くノ一忍法帖』。

ぼくがこれまで読んだ
山田風太郎さんの忍法物と
ちょっと違ってるような気がしました。
忍法の場面が控え目になったような。

これまでと同じつくりで
繰り返して欲しかったな…。



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2016年4月25日月曜日

『校閲ガール ア・ラ・モード』(宮木あや子)読みました。



この前、
小学校の卒業アルバムを見ていたら、
まったく思い出せないクラスメイトが
何人もいることに気づきました。

何十年も前のことだから仕方ないし、
記憶力も日に日に衰えてきてるので、
驚くほどのことではないかもしれません。

それにしてもね……。

もちろん
いつもつるんでいた仲間や、
ガキ大将だったとか学級委員長だったとか、
それなりに目立ってたヤツはわかります。

思い出せない人は、
きっと当時も
それほど親しくは話したことなく、
クラスでも控え目で
ひっそりしたヤツらだったんでしょう。

もし今、
何かの仕事を一緒にするとかなって、
「はじめまして」と名刺交換したとしても、
それが小学校の
クラスメイトだったとは
気づかずにいるかもしれません。

まぁ、それは、みんな同じですけどね…。
(つるんでいた仲間やガキ大将でも)

おじさんやおばさんになれば、
小学生のときと
同じ顔してるヤツはいないから。

で、この『校閲ガール ア・ラ・モード』。

何十年なんていわずに、
たぶんもっと短い時間で、
この本の内容忘れちゃうだろうな。




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2016年4月22日金曜日

『へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々』(鹿子裕文)読みました。


ぼくの貧弱な記憶を頼りに書くので、
間違っていたらごめんなさい。

ぼくの好きな漫画、
大友克洋さんの『気分はもう戦争』の
あらすじです。

(好きだっていっていながら、
 読んだのはもう10年以上前。
 いやもっと前かも。んで、それから
 読み返してもいないんです)

二人組だったか
三人組だったかの若者が、
あちこちの戦争やら紛争やらの
戦場に行って、
とにかくどっちかの側について
戦いまくる。

そいつらが、なぜか知らねど、
なんだか強くて、いつも勝ち残る。

それを見ていたどっかの大国が、
そいつらに、傭兵になってくれと
オファーを出す。

大金を積んだのか、
とてつもなく偉い人が
頭を下げて頼んだのかは忘れたけど、
破格の待遇で依頼する。

んだけど、
やつらは「ヤダ!」って断っちゃう。

「そんなことのためにやってるんじゃねぇ!
 オレらは好きで戦争してるんだ!」って。

戦争っていうのが、
ちと引いちゃうかもしれないけど、

何のためでもなくて
「ただ好き」というのが、ぐっと来て、

「いいなぁ、こいつら」と
読み返してもいないのに、
いつまでも頭ん中に残っているんです。

で、この『へろへろ』。

「ただ好き」でやっている人たちが、
いっぱい出てきます。

……いいです。
笑いました! 泣きました!
今年はまだ4カ月しかたってないけど、
たぶん今年のベスト1(今んとこ)。



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2016年4月20日水曜日

『おんな牢秘抄』(山田風太郎)読みました。


2、3年前に
電動バリカンを買ってから、
散髪はセルフでこなし、
床屋さんには
ほとんど行かなくなりました。

最初は、あまり上手にできず
「なんか変だよ」
とみんなに言われていました。
(特に思うように手が届かない後頭部)

それでも最近は、
以前ほど「変」とは言われなくなった。
ぱっと見ごまかせる程度には、
仕上げられるようになったみたいです。

ただどうしても、
いつもデコボコ感が
残ってしまう部分があります。

頭のてっぺんより少し後ろのトコ。

なんでだろうと思って触ってみると、
わずかにへこんでいる箇所がある。

指の腹1本で
おさえられるくらいの小ささ。

きっと、
面積が小さいがゆえに
幅広のバリカンがスルーして、
刈るべき髪を
残してしまうのだと思います。

その部分が鏡にもきちんと映り、
容易に手が届く場所なら、
ハサミを使って対処するすべもあります。

でも、なにせ後ろ。

毎回、「ま、いいか」と、
ちょい盛り上がりを
そのままにしています。

で、この『おんな牢秘抄』。

それなりにワクワク感のあるお話が続き、
ちょい盛り上がりの部分がある。

まるでぼくの散髪あとみたいな本でした。



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2016年4月18日月曜日

『デューン 砂の惑星(中)』(フランク・ハーバート)読みました。



毎日通っているジムで、
ふと気づきました。

「そういえばサランデルが来てない」

いつから来てないのか
はっきりと思い出せませんが、

手がかじかんでいた冬の頃には、
ストレッチスペースにいるのを
欠かさず見かけていたので、

たぶんこの4月から
職場の都合とか引っ越しとかで
違うジムに移ったんでしょう。

サランデルは、
ぼくの頭の中で勝手につけた呼び名。

彼女とは挨拶すら交わしたこともなく、
ジムで横目に見るだけの人です。

いつも一人で
ヨガ体操のようなストレッチをしていて、

えび反りになり足の裏を
頭のてっぺんにくっつけて
そのままの体勢を維持していたり、

きれいなY字バランスを、
ぼくがジャグジーで
ぬくぬくしている間ずっと続けていたり、

滅茶からだが柔らかい。

前に読んだ本で、
主人公を描写した姿に似ていたので、
その呼び名をつけました。

(『ミレニアム』の主人公、
  リスベット・サランデル)

身体の柔軟性には感心してたけど、
憧れとか恋心とか、
そんな特別な気持ちが
あったわけじゃありません。

日常風景の一部って感じかな。
いつから来なくなったのか
わからないほどだし…。

で、この『デューン 砂の惑星(中)』。

ぼくの頭の中に
今まで読んだ本の本棚があるとして、
棚からいつの間にか消えちゃった一冊があっても、
サランデルのように
なくなったことに気づかない作品……かな。

とりあえず後編を読みます。



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2016年4月15日金曜日

『隠れアスペルガーという才能』(吉濱ツトム)読みました。


少し前、
友人と一緒に、
とある設備の営業マンの話を
聞く機会がありました。

友人もぼくも
それほど興味がある設備ではなかったので、
「うちでは使い切れない」
「それは要らない」
などの返答を、
話の合間合間に挟んでいました。

それでもその営業マンは、
まるでぼくたちの答えは
聞こえなかったかのように、
説明を続けます。

同じセリフを毎日の舞台で
繰り返す役者さんみたいに。

観客が泣こうが笑おうが、
そんなことには関係無く、
芝居の中に入り込む名優さながらに。

まあ結局、
提案してくれた内容は
「今回は見送りさせてください」
となったんですが…。

その営業マンが帰ったあと、
友人がぼくに言ったんです。

「あの人はたぶん、
 少しアスペルガーなんだろうね」

ぼくはそれまで
「アスペルガー」って言葉を知らず、
思わず「それって何?」って聞きました。

でも、
実は友人もそれほど深くは
知らなかったようで
「いや、なんとなくだよ、なんとなく」
とモゴモゴ言葉を濁しただけ。

ぼくの気持ちのほうが
なんかモゴモゴしてきて、

で、この『隠れアスペルガーという才能』

を読んだんです。
友人がきちんと答えられなかったこと、
大づかみには、理解できました。

この本で挙げてる症状、
ぼくにも当てはまる部分あるけどなぁ。



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2016年4月13日水曜日

『デューン 砂の惑星(上)』(フランク・ハーバート)読みました。



前回、
バドミントン部OB会のことを
書いたので、それ引きずって
今回も同じネタ。

ぼくがバドミントンをするのは
年に1度のこの機会だけなんです。

だから、
会が始まってシャトルを
打ち出すときには、
感覚が鈍っていて、
どうにもこうにも上手く動けない。

球はラケット面の真ん中には当たらず、
カキンって音を出しながら
端っこのフレームにぶつかり、
あらぬ方向に飛んでいく。

左右の足の運び方がわからず、
もつれながら何度も転ぶ。

かと思えば、
手も足もまったく動かず、
直立不動の姿勢のまま、
シャトルがコートに落ちていく様子を
ただ見守っている。

それでも、
何回かゲームをこなすうちに、
なんとなく感覚が戻ってきて、

「そうだバドミントンって
 こうやるんだった」

と気づくようになる。

それが、
会も終盤のあと10分で撤収という頃。

身体を馴染ませるには、
それなりの時間と労力が
必要だってことです。

学習能力が欠落しているぼくは、
毎年同じことやってます。

で、この『デューン 砂の惑星(上)』。

上中下の3巻にわかれてるその上巻。
ラスト30ページくらいまでは、
馴染ませ時間でした。
いざ、中巻へ。


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2016年4月11日月曜日

『信頼学の教室』(中谷内一也)読みました。



この前、高校時代の部活の
OB会がありました(バドミントン)。

1年に一度、
母校の体育館に集まって、
現役と卒業生が一緒に
バドミントンをする。

昼間の運動が終わったら、
夜は卒業生だけで親睦会。
つまり飲み会です。

そのとき、
なんとまぁ、このぼくが

「きくち先輩って、
 記憶力がいいですね」

と言われたんです。

バド部は
そろそろ40周年を迎えるらしく、
ぼくは創部の頃の部員だったので、
後輩はたくさんいます。
(正確には約30年分の後輩)

そのほとんどは、
年に一度のこのOB会で
初めて顔を合わせ、
そのあともこの会で見かけるだけの人。

なので、
一人ひとりの後輩の顔や名前は
なかなか覚えられないんです。

去年一緒に
ダブルスを組んだ卒業生なのに、
今年は、現役高校生と勘違いし

「初めまして、きくちです。
 今、何年生?」

なんて聞いたりする。

要するにぼくの記憶力は
並み以下なんです。

(この前「松屋」で
 初めて牛丼のミニを注文しました。
 並みより小さかった)

それなのに、
記憶がいいと言ってくれる後輩がいた!

それは、飲み会のとき、
ふと思い出した去年の光景を
口にしたからでした。

「そういえば、去年はスマホじゃなく、
 ちっちゃな緑のガラケーだったよね」

「なんでそんなこと覚えてるんですか?
 先輩、すごい! 自分でも忘れてた」

ってことになった。

ぜんぜん名前を覚えず、
まったく信頼されていなかったきくちが、
ほんの10分間だけ、
頼りになる先輩かも……
と思われた瞬間でした。

で、この『信頼学の教室』。

たぶん、
明日には読んだ内容を忘れてます。


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2016年4月8日金曜日

『暗闇から世界が変わる』(志村真介)読みました。


今読んでいる別の本に、
人間の進化について、
明確な答えの出ていない議論がある、
と書かれていました。

「自分以外のモノを信頼するように
 進化してきたのか」 

「疑う能力の高い人が生き残ってきたのか」

どっちなのか、って議論。

そりゃもちろん「信頼」だよ
という人の言い分は、

信頼する
 ↓
集団の団結力が高まり、
狩りでもたくさんの食料が手に入る
 ↓
団結しない集団は獲物が少ない時期などに
対処できず淘汰されていく
 ↓
信頼集団が生き残る
 ↓
信頼の遺伝子が引き継がれるよう進化。

それとは逆に、
「疑り」だよって人は、

信頼する(疑わない)
 ↓
危険な動物なんかにも気軽に近づいたり、
自分の食べ物を横取りする人の
かっこうの的になる
 ↓
疑う能力が高い人が生き残る
 ↓
疑い遺伝子がどんどん進化。

……これはまあ、
どっちがどっちという決めつけじゃなく、
どっちもあるってことでしょうね。

同じ一人の中にも、
他人を信頼する心もあり、
疑う気持ちもある。

どっちの割合が多いか…の違いだな。

で、この『暗闇から世界が変わる』。

これからの人間は、
信頼の遺伝子が優勢になって
進化していくんじゃないかと
思わせてくれました。





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2016年4月6日水曜日

『叛逆航路』(アン・レッキー)読みました。


なるべく1日おきに(平日だけ)
この感想文もどきを
書こうと考えているのですが、
なかなか思い通りにいきません…。

やろうと思うと
ゴチャゴチャになっちゃうんです。

ぼくが、3冊の本を同時進行的に読む
バチ当たりな読書法をしていることは
前にもいいました。

職場の昼休み、
バスでの帰宅中、
就寝前のベッドの中。

それぞれで違う本を用意しておいて、
少しずつ読み進めるやり方です。

これがうまく回ると、
タイミング良く
1日おきくらいのペースで
1冊ずつ読了できます。

でも、
周期がずれてくる(重なってくる?)と、
どの本も簡単には読み終えられず、

1週間以上かかって
3冊同時に読み終えるような
サイクルになってきます。

そうなると1日おきの読了は無理。

そこで
なんとか調整しようとあがくやり方が、
「1冊本の読み通し」です。

3カ所で異なる本を読むのではなく、
同じ本をずっと持ち歩いて、
とにかくその1冊を終わらせる。
(これが普通の本の読み方ですけどね)

それでもまだ調整不十分なときには
もう一度、1冊読み通し法をやる。

でもね。
そんなことしてると、
途中のまま放っておく本が
出てきちゃうんです。

その途中放置本は、
ペース調整が終わり
3冊読みスタイルに戻ったとき、
手をつけます。

ところが
だいぶ時間がたっているため、
それまでの内容をだいぶ忘れてる。

なので
内容をゴチャゴチャに理解してしまい、
「なんかこの本、読みづらい」
などと自分勝手なつぶやきを
もらしたりしちゃうんです。

で、この『叛逆航路』。

原因は、ぼくの不届きな読書方法です。
「なんか読みづらい」



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2016年4月4日月曜日

『ガソリン生活』(伊坂幸太郎)読みました。


あれやこれやの解説本を
つくっていると、

本当にいろんな
あれやこれやを擬人化して、

読んでる人にわかってもらおうと
涙ぐましい努力をします。

シロクマの住む場所が
なくなっていることの解説なら、

当人(当クマ)のコメントを
載せるのは序の口で、

少なくなっていく氷を
げっそり痩せたイラストで表現したり、
それにほら、
地球が汗をかいている絵なんかは
もう定番ですね。

血液検査によって、
肝臓の病気がわかる仕組み
なんてものやりました。

そんときはもちろん、
肝臓くんの絵を描く。
(自分で書くときもあれば、
 誰かに描いてもらうこともある)

病気を表すので
泣いている表情です。

んで、
さらに肝臓くんの
涙の一粒一粒も擬人化して

「ぼくは、ガンマーGTPだよ。
 普通なら胆管細胞って場所に
 行くんだけど、
 肝臓くんが泣きすぎちゃうと、
 血管にも流れ出ちゃうんだ」

ってセリフをつける。

どれくらい流れ出しているのかを
血液検査で調べれば、
病気の度合いがわかる、と。

で、この『ガソリン生活』。

クルマが擬人化されています。
楽しい! 楽しい! 楽しい!

これまで伊坂さんの作品は
ちと避けてる感じだったけど、
「やっぱ、もっとたくさん読もう」と
思っちゃいました。
少なくとも文庫の新刊は
おさえるようしまます。



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2016年4月1日金曜日

『フィッシュストーリー』(伊坂幸太郎)読みした。


あのサイコロ型の立体パズル
「ルービックキューブ」が
最初に流行ったのは、
ぼくが高校生のときでした。

初めて見る不思議な形。
色を合わせろと言われ
グルグル回して、
正面だけは揃っても
ほかの5面は全部バラバラ。

授業そっちのけで
机の下に隠してグリグリやるけど、
とても歯が立たない。

いけずな友だちに
「先生ぇー、きくち君がマスかいまーす」
なんてチクられる。

みんながみんな悪戦苦闘して、
結局、誰かに手順を教えられ、
その通りに動かすことでしか
揃えられなかったヤツです。

頭で考えて
全面揃えの法則を
解き明かすなんてことは、
絶対無理っ!
って思ってました。

それが!
数式を書きながら、
揃えちゃった人がいるんです。

ぼくらの数学の先生!

休み時間に
生徒が遊んでいるのを見つけ
「面白そうですね、
 少し貸してくださいね」
と暗殺教室の殺せんせーみたいな口調で
職員室に持ち去ると、

次の休み時間に
「こうやるんですね」
とバラバラだった色を
きれいに揃えて持ってきた。

そのとき口にした
数学的な理論は
誰も理解できませんでした。

で、この『フィッシュストーリー』。

ほとんどの作家さんが
「数学の理論を知らずにキューブを揃える」
ような作品づくりをしているとしましょう。
(ね、そうしましょうよ)

でも、伊坂さんだけは、
その謎解き理論を利用して
作品をつくっているんだなと思います。
ずるいな。
……面白すぎ!


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