2017年8月31日木曜日

『明治・妖モダン』(畠中恵)読みました。



「あんなに大きくて重たい船が
 なんで海に沈まないで
 いられるんだ?」
って質問に、

「それは浮力が働いているから」
と答えたとき、

「浮力ってヤツは真面目なんだな」
と真剣に返されたら、
まあ苦笑しちゃいます。

読んでいる本の中に
そんなセリフが出てきたら、
クスクスっとほほが緩みます。

「浮力」って名前の小さな人たちが、
潜水服に身を固めて、
一生懸命船を押し上げている絵も
浮かんできたりします。

あ、こんな会話が出てきたのは、
伊坂幸太郎さんの作品でした。

本棚から引っ張り出して
正確に引用すればいいんだけど、
面倒だったので、
記憶をたどって雰囲気だけ引用しました。

そういったクスクスとか
ギャハハが入っている作品が
好きなんです。

ほかに、今ぱっと思い浮かんだのは、
森見登美彦さんの作品。

タヌキが主人公ってだけで、
にやにやしてきちゃうのに、
あちこちに
笑いの仕掛けが張ってある『有頂天家族』。
例えば、本当は馬鹿なのに
頭を良くみせようとするタヌキが、
意味不明の四字熟語を連発するとか。

で、この『明治・妖モダン』。

畠中恵さんの『しゃばけ』が好きです。
(シリーズが続き過ぎて、途中から未読ですが…)。
あの本、クスクスやニヤニヤが、
ほどよくブレンドされているんですよね。

だからこの『明治〜』にも、
そんな要素を、もうちょい加えてもらいたかったな。




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2017年8月29日火曜日

『ちゃんぽん食べたかっ!(下)』(さだまさし)


確か糸井重里さんだと思うんですが
(違っていたらごめんなさい)
同窓会とかクラス会とか、
昔の仲間が集まるところが苦手だと、
エッセイか、何かのインタビューかで
言っていました。

学生時代の仲間は、
だ何者にもなっていない時期の
つながりですよね。

将来、
途方もなく偉くなっちゃうヤツも、
落ちぶれちゃうヤツも、
人気者になって
世の耳目を集めちゃうヤツも、
みんな一緒くたのごった煮闇鍋状態。

だからまあ、
その時は世間的な優劣は何もなくて、
いに気づかいもなく、
楽しく過ごせる。

でも、それが社会に出て、
それぞれが
何者かになったあとで集まると、
昔のままの気持ちじゃ、
いられなくなる。

自分ではそんなこと考えていなくても、
ねたみをもらすヤツも出てくれば、
あわれみをかけちゃう人も出てくる。

そんな空気がイヤなんだそうです。

だから、人が集まる宴会ならば、
今一緒に仕事で何かを
動かしている仲間だとか、
新しいプロジェクトに
かかわっていく人たちだとかで、
騒いだほうがいいんだとか。

で、この『ちゃんぽん食べたかっ!(下)』。

この本を読む限り、さだまさしさんは、
同窓会だろうがクラス会だろうが、
現在の仕事仲間だろうが、
どこでも関係無く、
楽しめちゃう人なんだろうなって感じました。
それが好きです。







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2017年8月24日木曜日

『あとは野となれ大和撫子』(宮内悠介)読みました。


あれはいつ頃のことだったのか。
子ども時代であったのは
間違いないんですが、
何歳だったのかとか、
どこの場所だったのかとか、
そういう細かなトコは覚えてなんですよね。

まあ、覚えておくほど
大した出来事じゃないけど。

そう、ほんと大したことじゃない。
一言でいえちゃう。
「昔、ぬかるみにはまりました」
以上。

あ、これで終わっちゃ、手抜きだな。

なので、もうちょい説明します。
たぶん、土砂降りの雨が上がった
あとだったんでしょう。

あちこちに水たまりが出来ていました。

昔は、
道路も舗装されていない場所が結構あって、
地面はあちこち土が
むき出しになっていたんです。

子ども時代といえば、
つまりガキですから、
水たまりを見つけたら、
バシャンって足を突っ込みます。

水しぶきを飛ばして、ぎゃははと、
鼻水と一緒にツバと奇声を振りまいたら、
数歩先には別の水たまりがある。
そこでまたバシャーンです。

そんなことを繰り返していたとき、
深いヤツがあったんですね。
今までは浅かったのに、
そこだけ土がドロドロになってて。

片足をつっこんだら、
抜けなくなっちゃった。
長靴から思いっきり足をひっぱったら、
足だけ抜けてスッころび、全身ドロドロ。
そういうときは、もちろん泣きます。
ガキですから。

で、この『あとは野となれ大和撫子』。

小説の深さも、水たまりと同じように、
突っ込んでみないとわからないもんですね。




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2017年8月22日火曜日

『ちゃんぽん食べたかっ!(上)』(さだまさし)読みました。

1週間に一度、事務所の掃除をします。
一旦始めると、
細かいところも気になってしまうぼくは、
天井から壁からハタキをかけてホコリを払い、
イスや机の上なんかも
ガムテープ逆巻きのコロコロ掃除具で
ごみを取り、床はクイックルワイパーして、
トイレは素手で汚れを落とし、
玄関周りは拭き掃除……って感じで
完了するまで2時間弱も
かかってしまうことがあるんです。

で、どこで聞いたのか
まったく思い出せないんですが、
「歌を歌いながら
 掃除をすると頭が良くなる」
という都市伝説まがいのデマ話が、
この2時間弱の掃除の最中、
頭の中をよくかすめます。

まあ、ハタキを振っているときや、
雑巾でゴシゴシやっているときなんて、
特に何か考え事を
しなきゃいけないワケでもないし、
そのデマ話が胸中に聞こえたときには、
素直に従うことにしてるんです。

とはいえ、
ぼくが覚えていて
きちんと歌える歌なんか限られていて、
いつも決まったレパートリーしか出てきません。

で、この『ちゃんぽん食べたかっ!(上)』。

掃除の最中、
デマ話に誘われて歌い出す主な曲目は、
『無縁坂』『秋桜(コスモス)』『主人公』など。
曲もつくれて、歌も上手くて、
こんな面白い本も書けるなんて、
さだまさしさん、ずるい。




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2017年8月18日金曜日

『陽気なギャングは三つ数えろ』(伊坂幸太郎)読みました。


人を喜ばせようと企む
サプライズってありますよね。

記念日のことなんか
まったく忘れているふりして、
当日になって
「はい、プレゼント」とか。

それはそれで、
喜びと同時に驚きが加わって、
相手に与えるうれしさ効果は
跳ね上がると思います。

その一方で、
サプライズではないやり方は
どうなんだろうって、
へそ曲がりなぼくは考えたりします。

こそこそ内緒で動くのはやめて、
事前準備の段階から、喜ばせる相手に、
「とっておきのプレゼントあげるから、
 楽しみに待っててね」
と宣言しちゃう。

そうすると、相手は、
とっておきグッズの贈答日までの間、
わくわくできる。

サンタさんにお願いするように、
自分の欲しいモノを伝えることもできる。

喜び指数は、
サプライズとノンサプライズで
どっちが大きいんでしょうかね。

で、この『陽気なギャングは三つ数えろ』。

伊坂幸太郎さんの作品は、
これまで何冊か読みましたが、
どれもサプライズ的な効果が
用意されていると思います。
読んでいる人には内緒にしておいて、
タイミングが来たら
「ほら、どうだ」って感じの。

それはそれで面白い。

でも、へそ曲がりなぼくは、
ノンサプライズ的にやったら、
どうなんだろうなって
思ったりしちゃうんです。
イヤな読者。




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2017年8月16日水曜日

『中原の虹(2)』(浅田次郎)読みました。

佐藤賢一さんの『小説フランス革命』を
読んでいるときに、
「ぼくってひょっとして頭がいいのかも」
と感じることがよくありました。

フランス革命なんて歴史的大事件だから、
王様、お姫様、従者、大臣、
議員、革命家、街の商売人などなど、
実に色んな人物が登場して、

それぞれの思惑が、
ごちゃごちゃとあちこちに絡み合って、
時代が流れていく。

それを確か20巻くらいの
長編小説にまとめたのが、
佐藤賢一さんの作品で、
ぼくはそれをワクワクしながら
読み進められたんです。

あんなにたくさん登場人物がいて、
それぞれが派閥とかつくって、
ロマンスなんかもときどき出てきて、
物語の構図は
複雑多岐になっているのに、です。

自分の勝手な思い込みや、
忘れちゃっう部分もあったんだけど、
きちんと筋は追えて、楽しめた。

だから、
それだけ複雑な構成を覚えられて、
理解できていたぼくは、
頭がいいんじゃないかって。

でも!
それは勘違いに決まってる。
作者が巧いからに違いないんです。

で、この『中原の虹(2)』。

描かれている舞台は、
フランス革命と同じようなの中国の動乱期。
絡み合っているけど、
楽しめちゃってます。
……ぼく頭いいのかな。




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2017年8月14日月曜日

『人工知能の雨見る夢は』(新井素子ほか)読みました。

中学生のとき、
星新一さんのショートショートが
大好きでした。

影響を受けて、
自分でも短い物語をつくり、
それを卒業文集用の原稿に
したりしました。

その卒業文集ショートショートは、
我ながら結構出来がいいと感じ、
先生にも褒められたように
覚えています。

それ、たぶん捨てちゃって、
今はもうどこにも見当たらないんですが、
もし残っていたら、
やってみたいと思うことがあります。

ショートショートコンテストみたいなのに
そのまま応募するんです。

それと同時に、
今のぼくがまったく別の物語をつくって、
別の名前で応募する。

結果は、
2つとも落選するのが目に見えていますが、
もし、中学生の自分の作品が賞をもらって、
おじさんのぼくのが落選だったら、
面白いだろうなと思って。
(その逆だとつまらないですけどね。
 んなことはないだろうけど)。

で、この『人工知能の見る夢は』。

いろんな作家の書いた作品が
載ってるショートショート集でした。
中学生のときこれを読んでも、
卒業文集には書かなかっただろうな…。




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