2013年12月27日金曜日

『冬虫夏草』(梨木香歩)読みました。

星がきれいに見える夜に、
公園の芝生とか、どっかの屋上とかに寝転んで、
空を眺めるのが好きでした。

(「好きでした」と過去形にしたのは、
 日常生活に流されて、
 最近ほとんどそんなことしなくなっちゃったから。
 好きな気持ちは変わらないので、
 近いうちまたやってみよっと)

なんにも考えずにただじっと星を見ていると、
ゆっくりゆっくり動いているのがわかるんですよね。

星が動いているんじゃなく、
地球が動いているんだけども、
「うわーっ、こんなでかいものが、
 全部一緒になって動いているよ」って、
なんともいえない不思議な気持ちになってきます。

で、この『冬虫夏草』。

寝転んで夜空が動いているのを見ているときと
同じような不思議な気持ちになりました。
いい本でした。


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2013年12月24日火曜日

『村上海賊の娘 下巻』(和田竜)読みました。

床屋さんに行くのが嫌いなので、
今年の始めくらいに電動バリカンを買いました。
床屋さんではなく自宅でやっちゃうためです。

ちょっと怖かったので、
最初の1回目はカミさんにやってもらったんですが、
2回目からは、自分でぐいんぐいんと刈ってます。

ただ、床屋さんのようには、
なかなか上手くいかないんですよね。
切る長さは、ミリ単位で調節できるように
なってるんですが、
頭に平行に当てないと
深く刈り込まれちゃうこともあって、
くぼんだ感じになっちゃうトコとか、
手が届かなかったのか
一部だけ長くなっちゃってるトコなんかもある。
気に入った髪型にするには、
もう少し訓練が必要なようです。

使いこなすための訓練を重ねていけば、
少しは上手くなるような気もするんですが、
何ともならないのが、頭髪以外の毛です。

まゆ毛とか、耳たぶなんかのうぶ毛とか。

床屋さんに行けば、
それらもきちんと処理してくれるのに、
バリカンじゃあ、そこまで手が回らない。

なので、気がつくと、
まゆ毛の中に1本だけびょーんと
飛び出て長くなっているのがあったりします。
そういうのは、見つけ次第ハサミで切ります。
長すぎるのは切ったほうがいい。

で、この『村上海賊の娘 下巻』。

1点を除いて全部良かったです。面白かったです。
その1点というのは長さ。
このお話だと、上下の2巻じゃなく、
まとめて1巻くらいの長さが、ぼくにはちょうどいいな。


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2013年12月18日水曜日

『書くことについて』(スティーヴン・キング)読みました。

たしか脚本家の山田太一さんが、
エッセイか何かで書いていたことだったと思います。
(間違っていたらごめんなさい)

かの大脚本家の一番評価された作品は、
物語の構成なんか考えないで、
だだーっと登場人物たちの動くままにまかせて、
一気に書き上げたドラマだったとか。

ドラマの脚本といえば普通は
「ここで少しトーンを落とし、次に盛り上げ、
 その次はちょっこと笑わせ、
 そんで泣かせるシーンを置く」
みたいにストーリーに緩急を織り交ぜて、
緻密に物語を構成していくのが
王道っていわれてる。

だけど、
その王道の構成づくりを無視してつくった作品が、
なぜかいつまでも
「あのドラマは素晴らしかった」と言われ続ける
名作になっているんだとか。

その話が頭のどっかに引っかかっていた10年ほど前、
『小説作法』って本を読みました。

したらなんと!
この本が勧めている小説作法は
「構成を気にせず、流れのまま書き上げる」
ってやり方じゃあ、ありませんか。
さっきと同じじゃん。

で、この『書くことについて』。

最前の『小説作法』を新訳リニューアルした本です。
だから内容は『小説作法』と一緒。
10年ぶりに読み返したら、
上に書いたこととか、いろんなこと思い出しちゃった。


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2013年12月17日火曜日

『藝人春秋』(水道橋博士)読みました。

食べやすい大きさに切って盛りつけただけとか、
塩こしょうして焼いただけとか、
そんなんでも
抜群においしい料理ってありますよね。

つくったコックさんに言わせれば
「素材の良さを生かすため、
 なるべく手を加えない」ってなるんでしょうか。

逆に、
値段からしたら
絶品の高級素材を使っているはずで、
てまひまもずいぶんと
かかっているように見えるのに、
「いまいちだなぁ」と思っちゃう料理もある。

料理の評論家さんに言わせれば、
「この調理法では、素材の良さを
 引き出せない」とでもなるのでしょうか。

単純な味覚しか持ち合わせていないぼくとしては、
素材がおいしいのであれば、そのままがいい。
もし、てまひまかけていろんな細工をして、
素材のおいしさを変えちゃうのだったら、
いっそのこと、
まるっきり違った味にしてくれたほうが、いいかな。

で、この『藝人春秋』。

有名人さんたちのエピソードてんこ盛り。
そのエピソード(素材)は、とってもおいしいです。
でも、欲をいえば、
ひねりを加えた文章とかで調理せずに、
素材のまま味わいたかったです。


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2013年12月11日水曜日

『村上海賊の娘 上巻』(和田竜)読みました。

粘土みたいな練り消しゴムをいじりながら
怪獣の形にしてみたり、
仕事で読まなきゃいけない資料の隅に
サンダーバード2号のコンテナを描いていたりと、
ふと気がついて我に返り
「いい歳こいて何してんの?」
と自分に問い掛けることがままあります。

同じようなことは、
たしか高校生のときにもありました。

子ども時分に買ってもらったヒーロー&怪獣人形のうち、
どいうわけか高校生になったその頃まで
残っていた2体があったんです。

タイガーマスクとガッツ星人。

ニキビ面の高校生(ぼくですが…)が、
この2体を使って、遊んでたんです。

「くわっ、かっかっか!
 ウルトラセブンを十字架に掛けたこのガッツ星人に、
 武器も持たず、裸同然の姿で
 立ち向かえると思っているのか!? かっかっか!」
「裸ではない! マスクもしているぞ!
 それに、ぼくには、
 ちびっこハウスの子どもたちがついているのだ!」
「ほざけほざけ!
 そんなマスク、ひょひょいのひょいで、かっかっか!」
「わぁーッ! マスクがぁーッ!」

と人形と人形をぶつけ合って、
がしがし戦わせながら、
興奮で大きくなりすぎた自分の声にびっくりして我に返ると、
うっすらとヒゲも生え始めた高校生。

あのときは、ぼくが勝手に想像して
タイガーマスク対ガッツ星人の戦いを
つくっていたんじゃなく、
頭の中で本当に2体が決闘していたと思うんです。

で、この『村上海賊の娘 上巻』。

たぶん、この小説を書いてるとき
作家さんの頭の中では、
戦国時代の海賊や武将たちが本当に戦ってたんだろうな。
早く下巻、読もっと。


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2013年12月6日金曜日

『数学序説』(吉田洋一/赤攝也)読みました。

特定の言葉だけ、
なぜか気になることがよくあります。

特に流行語になっているワケでもないのに、
自分だけのマイブーム的に気になっちゃう。

群集の中に、無意識にスポットライトを当て、
誰だかわからないけど、
その人だけが浮かび上がっている感じとか、
全体はぼやけているのに、
たくさんの人の中の一人だけに、
偶然ピントが合っちゃった写真みたいな。

だからたぶん、
なぜその言葉が気になったのか理由はないんです。
あえていえば、たまたま。

そんな言葉を思い出すままに挙げていくと、
「鼓舞」「順風満帆」「コンプライアンス」
「失敬」「パノラマ」……ねっ、意味わからないでしょ。

今現在、感じているこの偶然ピント言葉は「思考停止」。
テレビのコメンテーターの解説とか、
読んでいる本の中とかに、その言葉が出てくると、
この4文字だけみょうに存在感が増してきて、
耳に目に残っちゃうんです。

で、この『数学序説』。

最初の半分くらいは、
「わーっ、ぼくの知的好奇心を刺激してくれてる!」
って気がして楽しかった。

でも、残りの半分は、
出てくる数式の意味を追っていくのにくたびれて、
活字を眺めているだけでした。
目は動いているもののまさに思考停止の状態。

そうか!
この本を読んでいたから、
今の偶然ピント言葉が登場してきたんだな。
言葉が気になった理由、めっけ。


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2013年12月4日水曜日

『風と共に去りぬ(1)』(マーガレット・ミッチェル)読みました。

「あの社長の座右の書はコレだ!」
みたいな連載記事を
昔つくっていたことがあります。

何人もインタビューしたので、
失礼ながら、ほとんど忘れちゃってるんですが、
印象に残ってる方もいます。

その一人が山岡荘八の『徳川家康』を挙げた社長。
20巻だか30巻だかあるあの大長編です。

社長室にはそのセットが3つか4つ揃っていて、
1つは保存用、
1つは熟読用、
1つは携帯用、みたいに分けていました。

その社長いわく
「はじめの5分の1くらいは、
 つまらないと思うかもしれないけれど、
 そこをぐっと我慢して読んでいけば、
 それ以降は、ぐんぐん引き込まれる。
 会社の経営だけじゃなく、
 人生のあらゆる場面で役立つ知恵が書かれている」

そして繰り返し読むと、
最初のつまらないと思った部分こそ、
ありがたいと思えるのだとか。
(でも、ぼくは未読。ごめんなさい)

で、この『風と共に去りぬ(1)』。

ぼくの読んだ文庫版は全5巻らしく、
つまり今は「はじめの5分の1」。
『徳川家康』のように、
これ以降はぐんぐん引き込まれるハズ! きっと。


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2013年12月3日火曜日

『ちゃんちゃら』(朝井まかて)読みました。

新人作家を発掘する文学賞の
選者のコメントに
「荒削りで作品の完成度は高くないけれど、
 一部にきらりと光るものがある。
 将来を期待してこの作品を選んだ」
みたいな文面をときどき見かけます。

今まで、ぼくは、そんな選評を読んだあとで、
受賞作に目を通したとき、
「荒削り」な部分も、
「きらりと光る」一部分も、
見つけられたことが、なかったんです。

まったくつまらなくて、
荒削りどころか、どこも削ってない作品か、
全部が面白くて、
一部分じゃなく、すべて光っている作品か、
のどちらかだった。

なので著名な選者の先生方のいうような、
「一部がきらりと光って、
 将来を期待させるような作品」
を読んでみたいなと、ずっと思っていたんです。

で、この『ちゃんちゃら』。

同じ著者さんの最新作『恋歌』を読んで、
「こりゃ、他もよまなきゃいかん」
と、急いで手に取った本でした。

んで、ぼくが感じたのは
「一部がきらりと光って、
 将来を期待させる作品」だったってこと。

やっと、
著名な選者の先生方が思っていることと
同じようなモノを感じられました。
この本の後に出たのが『恋歌』なので、
「将来の期待」には存分に応えてくれています。


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2013年11月21日木曜日

『恋しくて』(村上春樹 編訳)読みました。

「世に評判の高い世界の名作といわれる本を読んで、
 ちっとも意味がわからず、
 自分はなんて理解力がないんだ、
 と嘆いた時期があった」
と友だちが話してました。

それに続けて、
「でも、それは自分の理解力のせいじゃなく、
 日本語の翻訳がヘンなんだって、
 最近気づいたんだよ」

この友だちは、
意味不明だった本に再度チャレンジしたら、
すんなり内容が頭に入ってきたそうです。
なぜだろうと思ったら、
タイトルは同じでも翻訳者が違ってたんだとか。

そうなんですよね、
ぼくも同じように感じることあります。
すっごくいい話なのに、
なんか文章の流れがしっくりこない。
グーグルの自動翻訳みたい
とまでは言わないけど、
もっと直訳じゃなく意訳してほしいな
と思うものは、結構あります。

で、この『恋しくて』。

短編集の最後に載っているのが、
村上春樹さん自身の作品で、ほかは翻訳。
その最後の一編は面白かったです。

でも、そこにたどり着くまでが、
それなりに骨が折れました。
読むのに苦労した理由は、
さっきの友だちのように
「自分の理解力のせいじゃない」
ってことにしようと思います。


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2013年11月18日月曜日

『聞く力』(阿川佐和子)読みました。

どっかの雑誌に載っていたエッセイで、
こんな話がありました。

そのエッセイストの友だちに
インタビュー原稿なんかを書くライターさんがいて、
その人が落ち込んでいたから、
ワケを聞いたそうです。

するとライターさん、
取材で失敗しちゃったんだとか。
なんでもインタビューで話を聞いていた人に、
途中で無礼なヤツだと怒られ、
取材が中断しちゃったらしい。
理由はなんだかわからなくて、
たぶん虫の居所が悪かったようで。

そのエピソードを紹介したあと、
このエッセイでは、
インタビュアーが拒否される場面を分析してました。

たいていは、
取材する人が、事前にいろいろ調べて、
質問を考え、
その質問に対する答えまで想定しちゃうのが
悪いみたいなこと言ってました。

取材される人は、
わかってんなら聞くなよって
気持ちになっちゃうんだとか。

おっとっと。
ぼくがインタビューの仕事をするとき、
多かれ少なかれ、そのやっちゃいけないことを、
やっていたような気がします。
だって、事前に調べとかないと不安なんだもん。

で、この『聞く力』。


無礼なライターさんには、
ぜひ読んでもらいたい本だと、
そのエッセイに書かれていました。
なので、ぼくも読みました。参考にします。


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2013年11月12日火曜日

『深海大戦 Abyssal Wars』(藤崎慎吾)読みました。

前にも書いたような気がしますが、
最近のぼくの本の買い方。

ひと月に一度、大きな本屋さんに行き、
メモ用紙片手に、
まるで夕食の材料を買う奥さんみたいに、
買い物カゴにひょいひょいと、
本を入れていきます。
そのときのメモはそれでお役御免。

ひと月分をまとめ買いすると、
次の月のために、新しいメモをつけていきます。
新聞とかネットとかで、
気になった本のタイトルを記入。
だから、買うときには、
メモったときに考えていたことなどすっかり忘れ、
「なんでこんな本を欲しいと思ったんだろう」
と自分でも不思議になってしまうこともあります。

まぁそれでも、
きっと何かあるはずと、
メモ通りに買っちゃうんですけどね。

で、この『深海大戦』。

本屋さんでメモを見て、
なぜ自分がこのタイトルをそこに書いたのか
思い出せませんでした。
「なんで、この本が読みたいと思ったんだろう」

そんでも
「きっと何かある」
と自分を信じ込ませて、読みました。
読み終えた今、
やっぱり、この本を読みたくなった理由は、
わかりませんでした。……うーん。

あっ、ちなみにこの本も、
お話は完結していません。続編があるみたいです。
もしこれから読む人がいたら、
それだけでも知っておくと、
ぼくみたいなもやもや状態には、ならないかも。


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2013年11月11日月曜日

『ダブル・イニシャル』(新津きよみ)読みました。

名画座でやってた
トークイベントだったと思うんですが、
(上映作品も、誰が話していたのかも忘れてます)
原作をアレンジした脚本家の人が
登壇してこんなこと言ってました。

──大ヒットした小説を脚本にしてほしい
という依頼を受けて、その原作を読んでみたら、
まったく面白くなかった。
仕方ないので、
人物の名前とか、大まかな設定だけ残して、
まるごと話を作り替えた。
なんとか形になり、
それなりに評価されるストーリーになったけれど、
これは、瓢箪から駒みたいな感じで、
自分でもびっくりしている──

どの原作で何の映画かも忘れてるけど、
その脚本家さんの話を聞いた後、
原作の小説を読んだのは覚えています。

そして映画の面白さと、
小説のつたなさとの落差に驚いて、
「これでも同じタイトルの作品なんだ」
と感心したことだけ、印象に残っています。

で、この『ダブル・イニシャル』。

誰だか忘れたけど、
あの脚本家さんにアレンジしてもらったら、
きっと面白い物語になると思います。

ちなみに、この本を読んだきっかけは、
ダブル・イニシャル(意味は検索してください)は、
幸せになれるっていう噂を思い出し、
その真意がわかるかなと思ったから。
でも、ここでは逆の意味で
使われているようでした。がくっ。


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2013年11月8日金曜日

『斬ばらりん2 京都動乱編』(司城志朗/川島透)読みました。

取引先の担当者で、
段取りよく仕事を進めてくれて、
「この人とは馬が合うな。いいな」
って感じる人ほど、
なぜかその会社を辞めて、
ほかに移っていってしまいます。

その退職の知らせを受けたときは、
正直言って「えーっ、困る!」と思います。
でも、すぐに思い直すんです。

「おっ、これでまた、
 なんか新しいことが、はじまるかも」って。

そうなんです、これまでの経験上、
そういうことの後は、
結構いろんな仕事が広がっていくんです。
もちろん、その辞めていった人のつながりで。

たいてい、ぼくが「馬が合う」って思ってると、
相手も同じように感じているらしく、
その人が転職して次の職場にいっても、
新規の仕事で声を掛けてくれたり、
フリーになって自分で仕事をしているなら、
手に余ってる作業を手伝ってもらえたり。

スムーズだな、面白いな、
と思いながら過ごしていたものが
途中で途切れてしまっても、
そんなに気にせず、
おうように待っていれば、
きっと前よりも楽しい続きがやってくるもんです。

で、この『斬ばらりん2 京都動乱編』。

続きものだとは知らずに読んだ前作。
「えーここで終わるの!話が途中じゃん!」
と、がっくりきた日もありました。
でも、おうように待っていたら、楽しい続きがやってきた!
でも、お話は、またまた「続く」なんですよ、これが。
……鷹揚、おうよう。


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2013年11月6日水曜日

『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』(カズオ・イシグロ)読みました。

このブログでも何度も紹介していますが、
ぼくは会社にランニングで通っています。
でも、
もうそろそろ3年近くになろうかっていうのに、
ゴールにたどり着くのがやっと。
いつまでたっても、へろへろ走りを抜け出せません。

とはいえ!
1年に1回か2回は、
「わっ、今日は、へろへろじゃない!」
って思える日があります。

あとになって、
そんな日のことを、よくよく検証してみると、
それなりの理由があるのがわかりました。

風でした。

アゲンスト……じゃなかった、
フォローの風って言うんでしょうか。
背中を押してくれる追い風が吹いていたんです。

自分の力じゃあないにしても、
いつもよりすいすい走れるのは、
気持ちが良くて、そんな日は、
鼻歌交じりに走っちゃったりしてます。
毎日、あの感じで走れたらいいんだけどな。

で、この『夜想曲集』。

読んでる途中、活字を追っていく目の動きを
スムーズにしてくれるような追い風が
ずっと吹いていました。
でも、強い風じゃないんですよ、微風。
気持ちいい本でした。


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2013年10月29日火曜日

『BORN TO RUN 走るために生まれた』(クリストファー・マクドゥーガル)読みました。

友だちと親戚と近所の人から、
ほぼ同時に赤ちゃんが生まれた
という知らせがあったり、

まったく知らない会社からの仕事なんて
ふだんはそんなにないのに、
同じ日に5件も新規案件の打診があったり、

「初めまして」と名刺を差し出した相手が
幼馴染みでびっくし、
その帰りの電車で、
何年も会っていなかった
学生時代の友だちとばったり、
その夜に別の学校の同窓会の知らせがくる

……そういうことってなぜか重なって起こります。
ぼくの知らないところで、
みんなが示し合わせているみたいです。

で、この『BORN TO RUN 走るために生まれた』。

思い切って言っちゃいます。どどどススメです。
ランニングを習慣にしてる人はもちろん、
まったく走らない人も、みんな読んでもらいたい。
走り方も走ってる人を見る目も変わっちゃいます。

で、最初に書いた「なぜか重なる」が、
どこに関係するかっていうと、
最近読んだ本の質です。
いい本ばっかり重なってます!
なぜ重なるのか不思議だけど、うれしい!


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2013年10月28日月曜日

『恋歌』(朝井まかて)読みました。

部下の成果は自分の成績、
自分の失敗は部下のせい──。
そんな上司の話はよく聞きます。
ぼくも似たような上役さんの下で
働いたことあるし。

といっても、
世の中はそんなに捨てたもんじゃなくて、
そんなダメ上司とまったく正反対の人が
いるのも確かです。
滅多にはお目にかかれないけど。

で、この『恋歌』。

登場するキャラクターの
性格を紹介するような文章の中で、
ダメ上司と正反対の人物像が描かれていました。
これ、10行にも満たない説明文です。

だからもちろん、
物語の大筋にはそんなに関係無い。
読み飛ばしてしまっても、
作品の面白さは十分に味わえる。

もしかしたら、
ぼくのこの感想文を見て、
その数行を見つけようとしながら読み進めた人でも、
気づかないかもしれないくらい。
でも、ぼくはその数行に震えました。
いや、その数行だけじゃないんです。
ほとんど全部にです。

ふぅ。いい本だった。

あんまりベタ褒めだと嘘臭いので、
あえていえば、もう少しストレートな
物語の流れでもよかったかな──ってことにしとこ。


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2013年10月25日金曜日

『闇の守り人』(上橋菜穂子)読みました。

先日久しぶりに、
回るお寿司屋さんに行きました。

はじめに手に取ったのは、好物のエンガワ。
うん、おいしい。
次は、定番のトロ。
うん、これもおいしい。
でも、ちょっと待って。
いいんだけど、やっぱ、エンガワのほうがおいしいな。

……いやいや、これがダメなんですよね。
だって、比べなくていいじゃん。
トロはトロでおいしいんだから、
そのまま味わって幸せな気分でいれば、
何も問題ないでしょ。

少し前のスマップも
「どうしてこうも比べたがる?
 一人ひとり違うのに」
って唄ってたじゃない。
オンリーワンでしょ。

で、この『闇の守り人』。

おいしかったです。
おいしかったんですけど、
ダメなくせが出てしまいました。
そう、比べちゃったんです。

思い出したのは、
同じジャンルの十二国記シリーズ(小野不由美)。
「十二国記」は、ぼくにとって好物のエンガワで、
「守り人」はそこまでは、いかなかった……。

でも、比べなければ、
おいしいんですよ、うん。


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2013年10月17日木曜日

『君たちに明日はない』(垣根涼介)読みました。

5段階評価の3だったか、
10段階評価の5だったのか、
どっちかあやふやになってしまったんですが、
ぼくの高校時代の成績は
3年間を通してずっと真ん中でした。
(最近、高校の同窓会があったので、
 それに引きずられて、高校ネタが続いてます)

いくら思い出しても、
高校生のとき真剣に勉強した覚えはないのに、
なぜか、赤点はなく、可もなく不可もない成績。

たぶん、
いつもは真面目に通信簿をつける先生方が、
たまたま気がゆるんで
「ああ面倒くさ。
 もういいや、3にしとけば問題ないだろ」
と、なっちゃうタイミングが
重なったんだと思います。
とはいえ、
どの教科もすべて真ん中以外なかったのは、
それなりの珍記録だと思うんですけどね。

そしてこんなぼくは、
きっと先生方の記憶から
真っ先に外れていく存在でしょう。
赤点ばかりの問題児は
忘れたくても忘れられないだろうし、
成績優秀の自慢の生徒なら、
いつまでも自慢していたいだろうから。

で、この『君たちに明日はない』。

「金返せ!」と言いたくなるほど悪くはなく、
「大好き!」とほおずりするような作品とも言えない。
はい、ぼくの高校時代の成績みたいだなと、
へんなことを思い出させてくれた本でした。


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2013年10月16日水曜日

『ストロベリーナイト 』(誉田哲也)読みました。

高校生の頃、
いつもつるんでいた悪ガキ4人組で、
おそろいのスタジャンを
買うことになりました。

店に行くと、値段もデザインも
手頃なやつがちょうど4着。
でも、4つとも色違いなんです。

袖の部分と胸についた大きなマークは
どれも白ですが、
メインになる身ごろの色が、
黒、紫、水色、茶色で、同じ色はなし。

ぼくは、黒だけが格好いいけど、
ほかの色は、なんともダサい
って感じちゃったんです。

だから、同じ黒が4着ないと、
みんな納得しないだろうと勝手に考え、
「今回はあきらめよう」って言いました。

すると、ほかの3人が
「なんで?」
と聞いてくるじゃありませんか。

「色違いでもいいじゃん」
「そりゃ、色違いでもいいけど、
 じゃあお前は黒じゃなくてもいいの?」
「うん、俺、紫!」
「おれ、水色!」
「オレは茶色がいい」
「あっ、そう」
ってことで決まっちゃいました。

自分のセンスとは、自分だけのセンスで、
普遍的なものじゃないんだと、
このとき初めて知りました。

それともうひとつ知ったこと。
同じモノでも、
一つの要素(このときは色)が違うだけで、
こんなにも好みが分かれるのだということも。

で、この『ストロベリーナイト』。

同じ著者さんの『武士道シリーズ』は、
上の例でいえば、ぼくが選んだ黒、間違いなく黒。
でも、
このストロベリーは、
紫、水色、茶色のいずれかでした。
同じ著者でも、こんなに違うんだ。


ストロベリーナイト (光文社文庫)
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2013年10月15日火曜日

『数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜』(ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー)読みました。

隠しているトランプの数を当てたり、
縛られて箱の中に
閉じ込められているのに脱出したり、
ステッキから突然花束が出てきたり
──手品にはいつもびっくりさせられます。

びっくりしちゃうのは、
何でそうなるのかワケがわからないから。
タネや仕掛けがわかったら、面白くない。
 
でも、たいていの本は、手品とは違います。

びっくりネタを紹介するのは同じでも、
なぜびっくりが起こるのかを説明してくれる。
びっくりが起きた背景や、
その後のあたふたなんかも物語ってくれる。

そんな「びっくり+タネ明かし」に納得して、
「ほーっ、そうなんだ」と感心するから面白い。

単に「殺人事件が起きました」とか、
「アメリカには貧困層がたくさんいます」とか、
「しずかちゃんがのび太を好きになりました」
とかのびっくりネタだけを並べられても、
手品とは違って、「何で?何で?」
とじりじりしてきて、欲求不満になっちゃう。

で、この『数の悪魔』。

びっくりネタをたくさん紹介してくれます。
おっと、ぎゃぎゃ、どひゃ、
などの奇声をアタマの中で発しながら読める。
けどね、タネ明かしは、ほんのかすめる程度なんです。
欲求不満になりたい人、
本で手品と同じ楽しみを味わいたい人には、
ちょうどいい読み物って感じかな。


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ハンス・マグヌス エンツェンスベルガー
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2013年10月10日木曜日

『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』(赤松啓介)読みました。

友だちがFacebookの日記で、
とってもいいことを言っていました。
せっかくなので引用しちゃいます。

「でかけるときに忘れちゃいけないのは
 クレジットカードでもケータイでもない
 ユーモアだ」
(高校から友人でコピーライターの猪瀬さん)

確かに、その通り。
で、ぼくはそのユーモアの中に
なくてはならないのが下ネタだと思っています。
だから、
そっち方面のこともいろいろ勉強しなきゃね。

それともうひとつ。
ユーモアと一緒に持って行っちゃいけないものも
あると思ってます。
猪瀬さんを真似て言うと、

「でかけるときに持って行っちゃいけないのは
 大金でも仏壇でもない
 人を非難する気持ちだ」

猪瀬さんみたいに
きちんと格好いい言葉でまとめられないのが、
天才コピーライターと凡人ライターの違いなのでご勘弁。

で、この『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』。

猪瀬さんとはまた別の
高校時代の友だちが読んでいたので、
ぼくも飛びついたタイトル。
ユーモアを強固にするための
下ネタ収集に最適かなと思って。

でもね、この本、上で言った
「一緒に持って行っちゃいけないもの」も満載でした。
なので、
人のことを非難したくないなんて、
ぼくみたいな軟弱思想の人だと、
読み通すのは少し骨が折れるかな。



夜這いの民俗学・夜這いの性愛論
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2013年10月8日火曜日

『とっぴんぱらりの風太郎』(万城目学)読みました。

お話をつくるときにも、
これからどうしようと思うときにも、
分かれ道ってあるもんです。

ぼくが今、ぱっと思い浮かんだ分かれ道は、
助監督をしていた先輩からの電話のこと。

テレビとか映画とかの助監督の
仕事をしていた若かったころ、
親父に、
「そんな生活じゃ結婚もできないぞ。
 知り合いで、急成長してる会社の社長がいるから、
 そこに勤めたらどうか」
と勧められていたときでした。

自分でも、もう、
その会社に行くことに決めていたとき、
先輩から電話があったんです。

もう一回、助監督やらないかって。

すごくいい作品で、
監督も素晴らしいから、絶対やって損はない。
この作品についてから、
ほかの道に行ってもいいんじゃないかって。

そこでぼくは断っちゃったんです。

たぶん、先輩が言うように、
その仕事は、作品も監督もスタッフも、
みんな素晴らしいんだろうなと思いながら。

でも、もしそこに行ったら、
もうほかの道には戻らなくなるなと感じたんです。

ぼくの判断が正解だったのか、どうだったのか、
まだよくわかりません。
もしかしたら、そんな分かれ道では、
どっちを選んでも、正解なのかもしれません。

で、この『とっぴんぱらりの風太郎』。

お話をつくるときの分かれ道で、
これとは違う道を選んだバージョンがあれば、
それを読みたいな。
この選択も間違いではなく、
正解だとは思うんですけどね。


とっぴんぱらりの風太郎
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2013年10月7日月曜日

『ベストセラーの世界史』(フレデリック・ルヴィロワ)読みました。

昔、ライターの仲間と一緒に
ある出版社に行って、
新規に立ち上げる雑誌の打ち合わせをしました。

編集者さんに、
その雑誌の中の特集記事を、二人で分担して
つくって欲しいといわれたんです。
それはいつもやっている仕事と変わらないので、
すんなり引き受けられました。

でもその帰り道、
友だちのライターが、
「この雑誌、内容からして売れるわけないないよ」
と言ったんです。

心の底では、そう思っていても、
彼もぼくも、自分たちに任せられた仕事に
手を抜かないのが大前提。

だから彼は一般論として話しているんだな
と考えながら、その先を聞きました。

「今はマーケティングやる市場調査会社とかが、
 すごい正確なデータを集めてくれるでしょ。
 なのに、こんな雑誌が売れるって
 判断しちゃうんだよね。
 きっとそんなデータなんか使ってないんだろうね。
 やっぱ出版業界って、まだまだ古いよなぁ」

そのときぼくはなんと返事したか
よく覚えてないんですが、
こう思ったことだけは確かです。

「いやいや、どんなデータ使っても、
 売れるか売れないかを
 事前に予測するのは無理だよ」

 で、この『ベストセラーの世界史』。

どうすれば、ベストセラーをつくれるか、
参考にしたいと思って読みました。
そして、
ベストセラーは意図してつくれるもんじゃない
ってことを知りました。事前に予測するのは無理だよ。


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2013年9月30日月曜日

『わたしたちが孤児だったころ』(カズオ・イシグロ)読みました。

体調がベストな状態のときには、
身体のどの部分も意識することなく、
空気に溶け込んじゃってるみたいな、
まったく「無」って感じだと思いませんか。

そんで、調子が悪くなったときに初めて、
身体のその部分を意識するようになる。

足が痛くなったとき、お腹がごろごろしたとき、
目がしょぼしょぼしたとき、
そんときになってあらためて、
「足」「お腹」「目」の存在に気づく。

ぼくの場合、本を読んでいても、
これに似た感覚があります。

すっごくはまった作品のときには、
文体も構成もキャラクターも、
細かな部分は、なんにも考えずに
「わー面白い!」ってだけ思ってる。

自分が「無」になって、
本の中に溶け込んじゃってる感じですかね。

で、この『わたしたちが孤児だったころ』。

面白かったんです。
ですけど、ところどころで「細かな部分」を
意識しちゃいました。
まあ、意識できたからこそ、
面白かったともいえるんですけどね。


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2013年9月27日金曜日

『魔界都市ブルース〈1 妖花の章〉』(菊地秀行)読みました。

初めて会った人でも、
ちょっとした共通点を見つけるだけで、
親しくなれちゃうもんですよね。

ぼくは足裏をべったり地面につけてしゃがみ込む、
いわゆるヤンキー座りができないんですが
(どうしても、かかとが上がっちゃう)
初対面の人でも、なんかの拍子にその話題になり
「えっ、私もできないんです!」と言われると、
もうそのネタだけで、めちゃ盛り上がれる。

まあ、そんなくだらないことだけじゃなく、
誕生日が同じだったり、
共通の友人を偶然見つけたり、
同じ趣味を持っていたり、
同じ本が好きだったりすると、
仲良くなるための時間が短縮できる。

で、この『魔界都市ブルース 妖花の章』。

作者は菊地秀行さん。
漢字が少し違う(地と池)けど、
ぼくと同じ名字です。

これは、ばりばりの共通点。

だから、あれこれすっ飛ばして、
作品にもすぐにのめり込んじゃうんだろうな
と思っていたんです。

でも、自分の好みと違う可能性もないことはない。
もし好きじゃないな、と感じたら、
「共通点あり=即仲良し」の法則が崩れちゃう。

ヘンなところが気になってしまうぼくは、
その法則が成り立たなくなることを、
なぜかずっと恐れてたんです。

だから今まで、
菊地さんの作品は1冊も読んだことなかった。
それを今回、意を決してチャレンジしたってわけです。

結果、
どんな法則にも例外があるってことを学びました。


※ちなみにこの本は、スマホの電子書籍で読みました。
Amazonにはなかったので、
「honto」という電子書籍ストア(↓)で買いました。
http://honto.jp/ebook/pd-series_B-MBJ-299235-3-2423X.html

でも、このリンク(↓)Amazonに飛びます。




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2013年9月24日火曜日

『世界は2乗でできている』(小島寛之)読みました。

仕事の関係もあって、
『数学ガール』とか『いかにして問題をとくか』とか
数学まわりの本を読んで、ちと参考にしています。

そうした本にごりごりと目を通しているとき、
ふと思いました。

「なんで指数がこんなに出てくるんだ?」

指数って、数式の中のxとかyとかの
右肩に小さく乗っている2とか3とかのアレです。
同じ数をかけるって意味ですよね。

それが、あちこちに出てくるだけの
重要性がわからなかったんです。

たんなるかけ算ならわかります。
袋にりんごが3個入っていて、
その袋が5つあったら3×5で合計が出せる。
という感じで、
かけ算なら日常的に活用する場面を
すぐ思いつきます。

でも、
同じ数と同じ数をかけ算するって
「いつ使うんだい?」と自分に問い掛けたら、
「そうか正方形の面積を出すときだ」
と1つだけ答えが出てきて、
ほかには思い浮かばなかった。

そんなもんが、
毎ページ何カ所も数学の本に出てきていいんだろうか。
それだけじゃなく、
同じ数を掛けると、もとに戻るなんていう記号(ルート)も
うじゃうじゃ出てくる。
こりゃひょっとしたら、
ぼくの無知さ加減がとんでもなくて、
世の中のこと、
ちっともわかってないからなんだろうか。
どうなの? 指数ちゃん。

ってときに、目についたのが、
この『世界は2乗でできている』。

わお!
もろ、ぼくの疑問に答えてくれそうな
タイトルじゃないですか!

えーっ……でもですね。……残念でした。
たぶんぼくの理解力がないことが主な原因で、
すんなりすっきりする答えは見つかりませんでした。
まぁいいか、また違う本を探そっと。





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2013年9月19日木曜日

『精霊の守り人』(上橋菜穂子)読みました。

少し前(その本を読んだことは覚えているけど、
内容は忘れちゃうくらいの少し前)、
シリーズで刊行されている、
とある本の1巻目を読みました。

シリーズといっても、
その本は1冊ごとに話が完結しています。
だから、そのまま2巻目に進まなくても、
続きが気になるわけではありません。

んで、そのときは
「次の巻を読むまでもないかな」って感想でした。
つまらないわけじゃないけど、
ほかにも読みたいって思いながら
積んである本がたくさんあったんです。

そうやって違う本を読んでいくうち、
そのシリーズ1巻目のお話も
忘れてしまうくらいの時間がたちました。

そんなとき、
たまたま読んだ別の本が、
わくわくどきどきほんわかで、
ごっつ面白かったんです。

「わーっオモロイ!」
って思いながら、気づきました。

「この作者、1巻だけで読むのをやめた
 あのシリーズを書いた人だ!」

これはきっと、
最初に読んだときのぼくの感覚がヘンだったんだ。
もう一回読み返さないといかん!
絶対面白いはずだから。

まーそうやって読んでみたんです、1巻目。
したら、
やっぱ最初のときと同じ感想
「うーん、次の巻は読むまでもないかな」でした。
ぼくの感覚は、ぼくと同じだったということですね。

つまりこの『精霊の守り人』が、
そのシリーズ1巻目なのでした。
でも念のため、
今度は2巻目読んでみようかな。


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2013年9月18日水曜日

『皆勤の徒』(酉島伝法)読みました。

ぼくは、ピカソさんの絵が理解できません
(「絵画は理解するものじゃない感じるものだ」
 なんて言われそうですが…)

でも、たくさんの人がイイって
評価してる事実は、理解できます。
絵そのものは理解できないんだけど、
たくさんの人がどのヘンにイイって感じるのかは、
なんとなくわかる。

もう結論を書いちゃった気がしますが、
これだけだと短すぎて手抜きと思われるので、もう一つ。

ピカソさんとは逆に、
絵のほうはなんとなく理解できても、
周りの評価が理解できない画家さんもいます。

セザンヌさん。

あの絵は誰が見ても、
何を描いたものなのかわりますよね。
でも、勉強不足で感性がちょろちょろのぼくは
「これってどこがそんなに凄いの?」
って思っちゃうんです。

で、この『皆勤の徒』。

ぼくが感じているピカソさんの絵でした。

この本の最初の10ページくらいを読んで、
ぼくがなんでピカソさんを
例に出したのか、わかった人は
「ネタバレ」と注意書きされてる巻末の解説を
全部読んでから、物語に戻ることをおすすめします。


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2013年9月17日火曜日

『光秀の定理』(垣根涼介)読みました。

映画の『スターウォーズ』って、
最初の公開からもう30年以上もたっているのに、
いまだに人気があり、あちこちで再上映されたり、
過去作を集めたDVDなんかが
新しく発売されたりしてるんだそうですね。

でも、今になってリバイバルしたり、
DVDで再発売する作品は、
最初に上映されたのとは
少し違くなっているんだそうです。

ぼくが、それを知ったのは、
ついこの前のことでした。
映画が大好きな学生時代の
友だち(Hさん)から聞いたんです。

Hさんいわく
「出来上がった作品に手を入れちゃダメでしょう。
 最初の公開版で、感動した俺たちはどうなるのよ」

自分のつくっているものを、いつ完成させるのか。
どこで手を止めるのか。
難しいですよね。

それを「えいやー、ここだ」と
決断できた人の作品がホントの傑作っていえるのかな。

で、この『光秀の定理』。

いやーよかった……
……よかったんですが……
最後の1章を書かないで、
その手前の章で「えいやー、ここだ」と
止めてもらえれば、
あと10個くらい「よかった!」を繰り返してました。
いや、あくまで個人的な感想ですけどね。おしいなぁ。

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2013年9月11日水曜日

『充たされざる者』(カズオ・イシグロ)読みました。


ぼくは会社までの片道約5キロを
ランニングで通っています。
走り始めてから、かれこれ約2年半。
それでも、いまだにへろへろでつらいんです。

しかも走り始めの一歩目からキツイ。
走り出しは楽ちんで徐々につらくなっていくのなら、
わからないでもないんですが、ぼくの場合はそうじゃない。

ひょっとすると約30分の道のりの中で、
一番キツイのが最初の10分かもしれません。
もちろん、残りの20分もキツイことに変わりはないけれど、
その頃にはもうどうでもよくなってるみたいです。

というか、
身体の発しているキツイって情報が、
脳みそに伝わりにくくなってる感じです。
情報の通るパイプが、だんだん細くなって、
キツイって気持ちを
受け入れないようにしてるのかもしれません。

そうなると、
逆に、気持ちよくなるというか、
冷静になれるというか、無になれるというか。

で、この『充たされざる者』。

長いです。
普通の本ならゆうに3冊分くらいの分量。
だから、読む前は、キツイかなって思ったんです。
ところがどっこい、そのキツさが、気持ちいいというか、
冷静になれるというか、無になれるというか。
ランニング通勤の残り20分の感覚で読み続けちゃいました。


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2013年9月9日月曜日

『(株)貧困大国アメリカ』(堤未果)読みました。


「仕事をくれるお客さんだから何も言えないけど、
 そこの担当者、ホント、ダメダメなんだよね」
と愚痴をこぼす人の話を聞き、
「そりゃーひどいね」と納得することがあります。

そのときは、
愚痴さんが非難している相手に会ったことがないから、
すぐに、ふむふむと、納得できちゃう。

でも、なんかの折りに
愚痴さんの評するダメさんと話をする機会があったりすると、
実はそれほどダメダメではなく、
その人はその人なりの言い分があるってわかります。

ぎくしゃくしてたり、
対立していたりする関係があったとき、
その一方の意見だけを聞いて、
「そりゃーいかん」と判断してしまうのは、
その判断自体が「そりゃーいかん」なんですね。

両方の意見を聞いて、対立のワケとか、
裏っかわにあるいろんな事情とかを考えないとね。

その上で、
自分はどっちの味方になるのか、
どっちの味方にもならずに仲裁するのか、
何もせずに放っておくのか決める。
——それが、いいんでしょうね。

で、この『(株)貧困大国アメリカ』。

ほんの一部のお金持ち層(1%)が、
それ以外(99%)を食い物にして、
アメリカの社会はとんでもない状況に
なっていると言っています。
でも、もう少し1%層の言い分を伝えて欲しかったな。
その上で、
ホントに「とんでもない状況」なのかどうか、
考えたかったです。


(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)
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