2022年8月30日火曜日

『クジラアタマの王様』(伊坂幸太郎)読みました。


エクセルに入力している
読了本リストを眺めていると、
びっくりする書名に
出くわすことがあります。

「ほんとかよ。そんなのいつ読んだ?
 ぼく?ぼくが読んだの?」
ってヤツです。

例えば5年前の記録には、
又吉直樹さんの『火花』が載ってました。

時々、又吉さんが
テレビに出ているのを見たりすると、
「ああ、確かなんかの賞をとったよな、
 いつか読んでみよう」
なんて思ったりしてるんです。
もう読んでいたのに。

内容も読んだことも忘れているくせに、
「花火」と誤読して
友達に笑われたことは覚えてる。
だいたい「火花」ってタイトルに見合った、
ぶつかり合っちゃうみたいなお話だったけ。
それだったら
もう少し覚えていてもいいような気が
するんですけど。

まあ、
そんなふうにリスト見てびっくりするのは、
この本だけじゃないですが。

で、この『クジラアタマの王様』。

単行本で読み、文庫が出たから再読しました。
読んだことは覚えてました。
でも、タイトルの意味は
今回初めて知った気がします。




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2022年8月26日金曜日

『鯉姫婚姻譚』(藍銅ツバメ)読みました。


仕事の関係で
あまり一般には知られていない業界新聞を
とっています。

まあ、あくまで仕事の一環なので、
面白いとかとつまらないとかには関係なく、
頭の片隅に入れておかなきゃいない情報を
確認しておくためのものでした。
少し前までは。

さて、
その少し前に何があったかというと、
新規連載小説の告知記事を見たんです。

昔夢中になって読んでたあの「リング」の
鈴木光司さんが連載するって。うはは。

仕事の一環なのに、娯楽にもなる。
よくある新聞小説と同じ分量なので、
読むのにそう時間もかからないし、
仕事しているふりにもなる。うはは。

こんな業界紙でも、そんなことがあるのね、
と思い、ちと思い立って、
過去にはどんな人が
連載したんだろうと調べてみました。

そこにはなんと、
大好きだった『鉄塔 武蔵野線』の
銀林みのるさんもいるではないですか。

本は好きだったのに作者名を忘れていて、
連載は目にしているはずなのに、
一文字も読んでなかったんです。ああ。

で、この『鯉姫婚姻譚』。

ファンタジーノベル大賞の受賞作。
そして鈴木さんも銀林さんも同じ賞で
デビューした作家さんでした。
藍銅さんの名前忘れないようにしようっと。




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2022年8月23日火曜日

『殺す風』(マーガレット・ミラー)読みました。


ちょっと前にマイブームだった
ローレンス・ブロックさんの作風について、
何冊目かに読んだ作品の解説に、
「グライダーのようだ」と書いてありました。
確か伊坂幸太郎さんの意見だったと思います。

普通の飛行機はエンジンがついていて、
ぐんぐんのスピードで空を駆けるけど、
グライダーにはそんな推進機はなく、
風に乗ってゆったりのんびり、
眼下の風景を楽しみながら
スイーっスイーっと進んでいく。

ブロック作品には、
エンジン付き飛行機のように
物語がぐんぐんの速度で
展開するものもあるけれど、

それとは異なり、
スピードはないけれど景色や風の心地よさを
じっくり感じさせてくれるような小説も多い。

それがとっても気持ちよくて
好きだと言ってました。

そう、確かにそうでした。
話の筋には直接関係のない会話が
十数ページも続いたりする。

普通は、事件の謎が深まり、
なんだなんだこの先どうなるってドキドキ感や、
えーっちょっと待ってその扉を開けちゃダメ
みたいなハラハラ感なんかが、
読む人に次のページをめくらせるんだろうけど、
そんなのなくても、
テンポや洒落っ気、
噛み合わないのに噛み合っちゃうおかしさ
みたなところで読み進められる。
気持ちいいな、読み終えたくないな
って思えるんです。

で、この『殺す風』。

ブロックさん的な気持ちよさは
感じられなかったけれど、
グライダー系の作品だなあと思いました。




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2022年8月19日金曜日

『異常』(エルヴェ・ル・テリエ)読みました。


若かりし頃、自主映画を何本か撮りました。
そのときは楽しかったと同時に、
あれやこれやと
悩みの尽きない作業が続きました。

ぼくの場合たいていは、
映画なんかに興味がない、
ただ仲の良かった友だちを
無理やり手伝わせてつくっていたもんだから、

面倒なことや誰もやりたがらない力仕事、
それにちっとばかし知識が必要なカメラや
編集機の操作なんかは、
全部自分でやらなくちゃいけなかった。

脚本書いてコンテ割って、
あちこちに借りまくって制作費を算段し、
役者やスタッフ(無理やり引き込んだ友だち)の
都合聞いて、香盤表つくって、スケジュール組んで、
泊まり込みが必要なら宿の手配して、

撮影で近所から
「何いかがわしいこと、やってんだ」
と怒られればペコペコ頭を下げに行き、

なんてもろもろのエキサイティングジョブに
飛び回っていました。

そのとき、つくづく思ったのは、
ぼくとまったく同じ経験、
脳みそ、身体を持った人間が
もう一人いてほしい。
いや、一人といわず、二人や三人。

で、この『異常』。

うん、これこれ。ホント面白かった。
なんの躊躇もなしに5つ星つけました。
そうっすね。二人は要らないな、ましてや三人も。




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2022年8月16日火曜日

『山猫の夏』(船戸与一)読みました。


この前、なんとはなしに
アマゾンで売っている自分の
電子本のページを開いたんです。

やたら長ったらしい題名なので、
正確には覚えきれていないから、
そのタイトルを書き込まなくちゃいけない
用件ができて、確認するために開いたんでしょうか、

って人に聞いてもわかるはずはなく、
はっきりした理由は、
こんにゃく脳みそっていうか
古い言い方すればピーマン頭で
そこに空いた虫食い穴から
吹き飛んでいってしまったので、

今となっては、
宇宙の彼方へさあ行くぞというバズの誘いに乗って、
カッコつけながらどこかへ墜落しているんでしょう。
きっと鳥取砂丘あたりに。

えーと、何を書こうとしていたんでしょう、
と人に聞いてもわかるはずはなく、
書きたかった内容は、
こんにゃく脳みそ……以下省略。

そんなふうに遊んでいたら、
本当に何を書こうとしてたのか、
忘れちゃいました。

忘れたくせに、
埋めた文字数は結構な行数になっていて、
こりゃもう忘れたままで済ませても
いいんじゃないかとも思えてきました。

でもそれじゃあまりにも情けないので、
何とか最初に考えていた文章の流れを
思い出してみると。

ぼくの電子本1冊のページ数は少ない
→読了本の数を冊数で数えるのは
 意味がないのかもしれない
→ページ数で累計していけば
 正確な読書量になるのでは
→ページ数を確かめ記録するのは
 面倒だからきっとやらない
……って感じだったかな。

で、この『山根の夏』。

約750ページでした。
ぼくの電子本の10倍以上です。




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2022年8月9日火曜日

『十角館の殺人』(綾辻行人)読みました。


詰め物がとれてしまい
歯医者さんに行ったとき、先生から
「こんなに真っ黒じゃ、
 どれが虫歯かヤニかわからん」
と言われたのがきっかけで、

今では火を使うやつはやめて、
加熱式(電子式?)に変えています。

友だちの「これなら歯も黒くならないよ」
という言葉を信じて試したところ、
ホントに黒色変化はしなくなり、
それでもちょっとは汚れてくるので
毎日の歯磨きはちゃんとしています。
歯医者さんの治療も
もうだいぶ前に終わりました。

とまあ前振りが長くなりましたが、
タバコの件。

その加熱タバコに変えてから、
それほど吸いたいという気持ちが
起きなくなったんです。

紙巻きのときは、いつ何時でも
煙で肺がキュッとなる感覚が頭に浮かんできて
「ああ吸いてぇ」となってたのに、
それがなくなってる。

ひょっとすると、
このまま喫煙習慣自体をやめちゃえるかも、
なんて思えてきました。

そうなると、
もう紙巻きの煙を吸い込めない身体に
なってしまったように思え、
持参する加熱部隊を切らしたとき、
人から紙巻きをすすめられても
辞退する人に成長していました。

で、この『十角館の殺人』。

今ほど
モクモク行動が嫌われていない時代の話なので、
タバコを吸う場面がたくさん出てきました。
読んでると、とても美味しそうです。
思わず、吸いたくなっちゃいました。
もちろん、加熱じゃなく紙巻きのほう。




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2022年8月4日木曜日

『2020年度版 電気事業法の解説』(資源エネルギー庁)読みました。


だいぶ前にここに書いた
『人と数学のあいだ』のとき、
著作権法の条文をコピペしてスペースを埋め、
誰がどう見ても
感想文とはいえない文章にしちゃいました。
いまさらながら、ごめんなさい。

その『人と数学〜』という本の中で
法律の条文を使って言及してたのは、
コンピュータのプログラムについてでした。

よくシステム障害だとかバグだとかって
言葉を聞きますが、
そういった不具合のないプログラムを書くには、
いつくかのコツがあるそうです。

そのコツの中の「こうしたらダメ」
というNG記述のひとつが、
参照させる項目を一定数以上にしないこと。

具体的な数は忘れましたが、
とりあえず13としときましょうか。

何かを作動させる1つの
命令(コマンドっていうのでしょうかね)で、
ほかの13カ所以上の
計算値なり入力値なりを参照させて
次の処理に進ませるプログラムを書くと、

ほとんどの場合、
バグっちゃうそうです。

たぶんコンピュータの性能ってよりも、
書く人間側のミスというか理解力みたいなもんの
限界なんじゃないかとぼくは思ってます。

ほんで、あの引用した著作権法の条文は、
100カ所を参照してた。
本の中で指摘してた
「人間が読むもんじゃない」
ってのは、強くうなずけます。

で、この『2020年度版 電気事業法の解説』。

解説がついていても、やっぱりねえ。
法律の文章ですね。




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2022年8月2日火曜日

『オリエント急行殺人事件』(アガサ・クリスティ)読みました。


失礼ながらお名前は忘れてしまったんですが、
通っていた映画学校で小説家の先生が何回か
授業されていたことがありました。

その授業の中で
先生の言った冗談がみんなに通じず、
何事もなかったようにスルーされる中、
ぼくは密かにドギマギしてたって話。

……これ確か、ここに一度書いた気がするんですが、
いつだったか忘れちゃったし、探し出すのも面倒だし、
印象に残った作品は再読することもあるし、
ネタを再掲したっていいかなと思い、
も一回書いちゃいます。

えーと、
授業では小説をつくるときに
大切なポイントをいくつかあげ、
その一つに出だしの文章があると
先生は言いました。

具体的な作品を何個か例示して
(それがなんだったか思い出せないんですが、
 たぶん、トンネルを抜けた雪国だとか、
 激しく怒ったメロスだとかだったと思います)
この最初の1行で読者を引き込むテクニックのある作家は
「出だしスト」といわれる、とおっしゃった。

続いて、出だしに対する「切り」、
つまり最後の文章を秀逸な語句でまとめられる達人もいて、
それを「キリスト」と呼ぶって、さらりとおっしゃった。

あ、それ、駄洒落、とぼくは気づいたんですが、
周りにそれらしい反応をしている友だちはおらず、
どうしたものかとオロオロしているうちに
授業は終わっていました。

で、この『オリエント急行殺事件』。

これぞキリストって思いました(個人の意見です)。




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