2013年5月29日水曜日

『ローマ人の物語1 ローマは一日にして成らず(上)』(塩野七生)読みました。

今、平行して読んでいる別の本で、
ぼくのまったく知らない外国の歴史を
説明する箇所がありました。

その本では、
あまり馴染みのない国の動乱期を
わかりやすく解説するため、
その国で呼ばれている人や土地の名前を
日本の歴史上の人物や地名などに置き換えて
文章をつくっていました。

でも、ぼくには、
これがとてもわかりずらかった。
途中からどうでもいいやって気になって、
失礼ながら飛ばし読みしちゃったほど。

わかってもらいたい、伝えたいって気持ちは、
十分感じられるんです。
けど、気持ちが感じられるのと、
文章をすんなり理解できるのとは別のこと。
やっぱ、難しいんですね。伝えるのって。

で、この『ローマ人の物語1(上)』。

世界史の授業を
まるまる睡眠時間に充てていたぼくは、
「ローマはジンギスカンが征服した国なんだよ」
と言われても
「へぇ、そうなんだ」とうなずいてしまうくらい、
ローマとかそっち方面の知識は
まったくありませんでした。

それでも!! わかるんです、この本。

カタカナを羅列しただけの
聞いたことない人名や地名がずずーって出てきても、
平気で理解できちゃう。
もちろん、
日本の人物や地名に置き換えるなんてやり方は、
まったくやってません。

すごいなぁ。
なんでわかりやすいのか、
続きの次の巻を読むときはしっかり分析しようっと。
あっ、そうだ。
日本の名前に置き換える方法が
なんでわかりにくかったのかも、あとで考えよっと。

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社
売り上げランキング: 6,155

2013年5月27日月曜日

『KAMIKAKUSHI 神隠し』(長野慶太)読みました。

一度その人の作品を読んで
「ぼくにはちょっと合わないな…」
と思ったにもかかわらず、
ベストセラー!大人気!重版出来!
なんて広告の文字をこれでもかと見せられ、
「もしかしたら今度のは、前と違うかも」と、
かすかに持っていた学習能力を打ち砕かれた末、
棚から抜き、レジまで運び、
なんとか最後のページまで読んでみたものの
「あーあ、やっぱ合わない…」となげいちゃう。

そんな作家さんが5〜6人います。

その作家さんたちの本が、1人につき数冊、
ブックオフに持っていくことも忘れ、
本棚に残っていたりします。

それを見た人から
「あっ、○○○○のファンなんだ」
なんて言われたりします。

で、この『KMIKAKUSHI 神隠し』。

次の作品が大ヒットしても、
どうか広告とかでアオリ過ぎないようにして欲しいです。
「もしかしたら今度のは、前と違うかも」病が
再発しちゃいます。

KAMIKAKUSHI   神隠し
KAMIKAKUSHI   神隠し
posted with amazlet at 13.05.27
長野慶太
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 139,282

2013年5月24日金曜日

『日本語練習帳』(大野晋)読みました。

仕事で書いた原稿を、
編集者さんとかクライアントさんとかに
チェックしてもらったとき、
戻ってきた赤ペンの修正依頼に対して、
ぼくはよっぽどのことがない限り、不平を言いません。
まるまる承諾。

不平を言うとしたら、自分自身に対してです。
「なんで、誰もがわかるような文章を
 最初から書けないんだ」って。

文章が伝わらないのは、
読んだ人に責任があるんじゃなく、
書いた人に問題がある。
ぼくは、いつからかそう思うようになっていました。
誰かに言われたからなのか、
どっかの本で読んだからなのか、
何がきっかけだったのか、わからないんですけどね。

で、この『日本語練習帳』。

終盤のまとめ的なコラムに、
「自分の思うところを a と表現したとき、
 相手が a' と取ったとしたら、
 それは相手が a' と取るように表現した自分が悪い」
って書いてありました。

ひょっとしたら、
この本の著者先生の言っていたことが巡り巡って、
ぼくのトコに届いていたのかもしれません。

面白かったし、勉強にもなったし、イイ本でした。


日本語練習帳 (岩波新書)
日本語練習帳 (岩波新書)
posted with amazlet at 13.05.24
大野 晋
岩波書店
売り上げランキング: 10,476

2013年5月21日火曜日

『ラブオールプレー 夢をつなぐ風になれ』(小瀬木麻美)読みました。


人の容姿にしても、本の内容にしても、
キレイすぎるのは、敬遠しちゃう。
そんな話を前にも書きました。

美人すぎたり、美男子すぎたりは、
なんだか痛々しく感じちゃう。
自分の不器量さに対するコンプレックスなんですけどね。

それ実は、
この『ラブオールプレー 夢をつなぐ風になれ』の
第1作目のときに書いた感想なんです(この本は3作目)。
内容がキレイすぎちゃってるな、って。

んで、この3作目も同じでした。
キレイさによけい磨きがかかってる感じ。
「あとがき」や「解説」でも、
「キレイなものだけ書いたんです」みたいなこと言ってます。
なので、ぼくにとっては、
ちょっと腰が引けちゃう本でした。

1作目、2作目が「大好き!」だった人は、
3作目も裏切られることはないでしょう。
でも、そこで「少しお腹いっぱい」って感じた人は、
ぼくと同じ印象を持つんじゃないかな。

とはいえ、シリーズが3作も続けて出せるってことは、
それなりに人気があるって証拠だろうから、
みんなキレイなものを求めてるんでしょうね。
ぼくみたいはへそ曲がりを除き。

(P[こ]4-3)ラブオールプレー 夢をつなぐ風になれ (ポプラ文庫ピュアフル)
小瀬木 麻美
ポプラ社 (2013-05-01)
売り上げランキング: 31,900

2013年5月20日月曜日

『統計学が最強の学問である』(西内啓)読みました。


難しい内容を、
みんなにわかってもらえるように書くには、
どうすればいいか。
いつも頭をかかえて悩んでいます。

悩んだ末にぼくがよく使うのは、たとえ話。
前に仕事で書いた原稿でこんなのがありました。
地球は太陽の周りをほぼ正円の軌道で回っていると聞き、
地球と太陽の距離がいつも同じだったら、
なんで四季があるんだと思い、その仕組みを書いたものです。

「太陽に見立てたボールの両側に
 2つの世界地図を置いたとしよう。
 地図はボールを挟んで向かい合わせで、
 いずれも地面と垂直に立てる。
 
 ここで2つの世界地図を
 平行のまま右方向に少し倒してみる。
 すると、右側の地図は太陽であるボールから少し離れ、
 左側の地図は太陽に少し近づく。
 大雑把にいえば、
 右側の離れた状態が冬、近づいた状態が夏。
 その中間が春と秋」

そんなにうまい例じゃあないけど、
なんとなくのイメージは
思い浮かべられるかなって思います。
たとえですね、たとえの話。

で、この『統計学が最強の学問である』。

うまいです、たとえ。ぼくのたとえなんかより全然うまい。
統計の「と」の字も習ったことのないぼくでも、
内容はちゃんと理解できました。


統計学が最強の学問である
西内 啓
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 29

2013年5月16日木曜日

『アニバーサリー』(窪美澄)読みました。


3冊同時平行という、なんか罰当たりのような
本の読み方をしているぼく。
のちのち便利かなと思って、それぞれに名前を付けました。
会社の昼休みに読むのは「昼本」
帰りのバスで読むのは「バス本」
就寝前に寝床で読むのは「夜本」。
なんのひねりもなく、そのまんまです。

んで、最近。
そんな読み方をしていると、
リアルタイムで、本の質的な比較ができる
ってことに気づきました。

昼本が、もうちょいだよなって思ったとき、
「そうか、今読んでる夜本は、同じことを言うのでも、
 言葉の選び方が違ってるわ!」みたいな。

昼本:メンタル面の弱さが克服された。
夜本:心が強くなった。

どうやら、ぼくがイイって感じる本は、
どろくさい言葉を選んでるヤツっていうか、
難しっぽくみえる言葉を使わないヤツっていうか、
格好いいっぽい言葉が出てこないヤツっていうか
……そんな本なんだとわかってきたんです。
リアルタイム質的比較ゆえ。

で、この『アニバーサリー』。

上記の例の「夜本」です。
つまり、イイって感じた本。

比較された「昼本」は何かっていうと……
……もうちょっとしたら読み終えて、
ここに感想書くので、そこから見当をつけてくださいね。


アニバーサリー
アニバーサリー
posted with amazlet at 13.05.16
窪 美澄
新潮社
売り上げランキング: 84,183

2013年5月15日水曜日

『南極点のピアピア動画』(野尻抱介)読みました。


ついこの前、
テレビのバラエティ番組で、どこかの偉い先生が、
「読書はストレス解消にとても役立つ」って言ってました。

理由は、仕事とか人間関係とか、
日常のあーでもない、こーでもないを
忘れさせてくれるからだそうです。
確かに本の世界に没頭できれば、
その間だけは、
ごちゃついた仕事のこともどっかにほっぽれます。

だけど、ぼくの場合、
幸か不幸か本をつくる仕事をさせてもらってます。
なので、たいていの本では、
仕事をうまくほっぽれないんです。

読んでいる途中で
「そうか、こういうふうに書けば良かったんだ」とか
「この図は余計わかりにくくしてるな、
 こんな使い方はしないようにしよ」とか。
ついつい、楽しむべき本の内容よりも、
細かなことを気に掛けて、自分の仕事に対する反省だったり、
「コレ、いただき!」
っていう著作権侵害的な野望だったりをしちゃうんです。

で、この『南極点のピアピア動画』。

そんなぼくでも、ばっちり、ほっぽれました。
もーっ、何もかも。

面白いです! 星5つ!
読書中「あっ、今ニンマリしてる」
って自分で感じてるにもかかわらず、
涙でにじんで文字が読めないんですから。
竹中直人さんじゃないけど、笑いながら泣く人です。

バラエティ番組の先生に言わせれば、
最高のストレス解消ってことになるんでしょうね。
鈍感なぼくはストレスってどういう状態なのか、
ホントはよくわかってないんですけどね…。

南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)
野尻 抱介
早川書房
売り上げランキング: 7,797

2013年5月13日月曜日

『からだの中の外界 腸のふしぎ』(上野川修一)読みました。


小学生の頃から、モジモジ君だったぼくは、
周りの大人、とくに先生から
よくこんなことを言われました。

「言葉尻をごにょごにょ言うのは止めて、
 はっきり言いなさい!
 “ぼくはきのうとても…ごにょごにょごにょ”
 じゃあ何を言っているのかわかりません!」

おじさんになった今も、
モジモジ度はそれほど変わっておらず、
よく人から「えっ、何?」と聞き返されるので、
そんなときは、
小学生のときにちゃんと先生の言うことを
聞いておけば良かったなって反省します。

でも、本はちと事情が異なるようです。
たいていの本は、
語尾にあたる後半部分がごにょごにょと
つまらない内容になっても、
始まりの部分に勢いがあれば、
そこそこ売れるんだって話を聞いたことがあります。

アマゾンでも中身を読めるのは始めの部分だし、
本屋さんでも最初の数ページで判断して
買う買わないを決めるからなんでしょうね。

で、この『からだの中の外界 腸の不思議』。

そこそこ売れる本なんだと思います。
最後の数十ページにくるまでは、
結構な勢いを感じましたから。
最後でごにょごにょしてるなって感じなければ、
よかったんだけどなぁ。
ぼくもこれから、ごにょごにょしないように気をつけるので。

からだの中の外界 腸のふしぎ (ブルーバックス)
上野川 修一
講談社
売り上げランキング: 867



2013年5月8日水曜日

『報道記者のための取材基礎ハンドブック』(西村隆次)読みました。


小物を入れて持ち歩くのに
ちょうど良さそうなポシェットを見つけ、
衝動買いしたときのこと。

家に帰り、具合を確かめてみると、
やっぱ、帯に短し、たすきに長し。
カードケースやタバコなどを入れると文庫本が入らない。
それならと、
単行本を入れてみると、しっくり収まるけど、
それだけでいっぱい。

でも、
そのポシェットのヨコに、付属品みたいについてたケースは、
携帯を入れるにはぴったり。
それに、
内側にあったジッパー付のメッシュ袋は、
小銭を入れるのに最適。

「うーん、悩ましい〜」
としばらく考えたぼくは、
ポシェット解剖再生プロジェクトを開始しました。

携帯ケースとメッシュ袋の2つを切り離し、
今使っている腰巻きポシェットに
縫い付けて合体させる計画です。

所要時間は約3時間でした。ハサミと針と糸を
駆使しながらの格闘の結果、解剖再生は成功。

使い古しの腰巻きポシェットは、
携帯ケースとメッシュ袋の装着で、
とっても使い勝手のいい
お気に入りグッズにバージョンアップできたんです。

「せっかく買ったんだから、無駄にはしないぞ」
という貧乏性ゆえに成し遂げられた大工事でした。

で、この『報道記者のための取材基礎ハンドブック』。

実際のインタビューとか取材とか、
現場でのノウハウを勉強しようと思って読んだのですが、
そのあては、ちとハズレ。
でも、原稿の書き方は勉強になりました。
貧乏性なので、どんな本でも無駄にはしません。
なにかしら自分の役に立つこと、見つけちゃいます。


報道記者のための取材基礎ハンドブック
西村隆次
リーダーズノート
売り上げランキング: 54,046


2013年5月1日水曜日

『さらば雑司ヶ谷』(樋口毅宏)読みました。


昔、助監督をやっていた頃、
「模倣の天才だ」って思う監督についたことがあります。

いいなと思った映画やら本やらの内容を、
自分の作品に恥ずかしげもなくアウトプットしちゃう。

一度、尊敬と冗談をまぜこぜにして
その監督に言ったことがありました。
「真似はいけないんですよね?」

すると監督は、
「単なる真似をつなげるだけじゃあ、映画はできないよ。
 それを咀嚼して、消化吸収して、自分の血肉にしてるから、
 真似が真似じゃない塊になる。
 それをつなげれば映画になる」と。
さすが、ぼくが「模倣の天才」と思ったお人。

で、この『さらば雑司ヶ谷』。

あの監督と同じでした。
観たもの、聴いたもの、身の回りのいろんなものを
自分の血肉にして、塊にしてつなげてます。
こんなふうに消化吸収して吐き出せる力、ぼくも欲しいです。


さらば雑司ヶ谷 (新潮文庫)
樋口 毅宏
新潮社 (2012-01-28)
売り上げランキング: 58,324