2021年8月31日火曜日

『死への祈り』(ローレンス・ブロック)読みました。


今読んでいる別の本に
明治時代の翻訳家・黒岩涙香さん

(ネットを見ると小説家やジャーナリスト
 という肩書きのほうが
 先に並んでいたりしますが、
 ぼくが読んだの本は翻訳の話だったので。
 ちなみに書名は『本当の翻訳の話をしよう』。
 村上春樹さんと柴田元幸さんの
 対談集というか、まあそんな感じ。
 まだ半分くらいしか読み終えていませんが、
 対談部分よりも、柴田さん単独の
 翻訳うんちくのほうが面白いです。
 この黒岩さんの話もそこに出てきもの。
 もう少ししたら、ここに登場すると思います。
 といってもそのときは、
 いつものように本の内容と関係ない
 ぐだぐだ文章で終わっちゃうかもしれませんが。
 だって、今回もカッコ書きの中に、
 こんなに多量の文字を打ち込んじゃったし)

の面白いエピソードが紹介されていました。

黒岩さんが、海外の小説を翻訳したとき、
そのまえがきだか、あとがきだか、
広告用の文章だかに、

「翻訳とはいってもその作業中は
 原書を見ていない」

と書いていたんだとか。
原書は家にあって、翻訳は会社でやるから、
見返すことができない。だから、
ほとんど自分の創作だといってもいいんだけど、
そのつもりで読んでね、と。

それに対して柴田さんは、
本当に見ないで書いたのなら、
一見だけで物語を吸収できる能力は
すご過ぎるって言ってました。

で、この『死への祈り』。

黒岩涙香さんが訳したものを読んでみたいな。




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2021年8月26日木曜日

『ザリガニの鳴くところ』(ディーリア・オーエンズ)読みました。


確かどこかの本の解説文に、
日本では特にネタバレを嫌う傾向がある
と書いてありました。

そうなんですかね。
ほかの国じゃ物語の結末を話しちゃっても、
それほど文句は言われないんでしょうか。
まあ、人によりけりか……。

前にもいったと思いますが、
ぼくは読んでいる本の
中身の部分が終わったら
すぐに表紙を閉じて、
自分なりにストーリーを思い返したいので、
解説とかあとがきとかは、
本文に入る前に目を通しておき、
最後に読まなくてもいいように
しておくんです。

だからその付属部分に
お話の仕掛けを明かしてしまうような
内容があったら、
楽しみが半減するかもしれない。

でも、ね。
大丈夫なんですよ、ぼくの場合。
ネタバレ攻撃に対抗できる
強い味方がいるんです。

それは持ち前の軟弱な記憶力。

読む前に結末がわかっていても、
本文を読んでいる何日かの間に
忘れちゃうんです。
面白い話のときは特に。

その物語にのめり込んでいるから、
解説でいってたことなんて
頭からすっ飛んでる。

まあ、最初にもいった通り、
日本のお国事情が忖度されて、
ネタバレの解説なんか、
あまり見ないですけどね。

で、この『ザリガニの鳴くところ』。

いやいや面白かったです。
これならホントに、
最初から犯人を知っていても、
忘れて読み進められるでしょう。





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2021年8月19日木曜日

『007 逆襲のトリガー』(アンソニー・ホロヴィッツ)読みました。


将棋の羽生さんが言ってたことだと思います。
いつもいつも頭の中に盤面が浮かんできて、
気をつけないと危なくて自動車の運転も
できないんだとか。

そういえば、
徹夜でマージャンした後で、
疲れ果てて寝ようとしても、目をつぶったら
その裏側にパイがずらっと並んで
眠れやしないってのは何度か経験しました。

そんなのと同じ感じでしょう。
音楽の大好きな友だちがいて、
胸中、常に音楽が流れているそうです。

ウォークマン的なものから聴けるときはもちろん、
それができない状況でも、
通常は無意識のうちに頭の中に曲がかかっている。

そんなとき、もし「無音」だと気づいたら、
慌てて脳内レコードプレーヤーに
針を落としてリズムを刻む。

そんなことしている自分が
心地よくて好きなんだって言ってました。

けれど、
何事にもマイナスの側面はあるようで、
恥ずかしくなってしまう、
ちょっとした失態がときどきある。

つまづく、持っているものを落とす、
人やモノにぶつかるなど
不意の出来事が起きたとき、
頭の中に流れていた曲の歌詞が
思わず口から出ちゃうんだそうです。

普通の人なら「あっ!」というとこで、
もし聖子ちゃんの〈こころの岸辺に咲いた〜〉
まで流れていたら
「赤い!」って言葉が漏れてしまうのだと。
(スイートピー〜以下は急いで口をつぐむんだそう)

で、この『007 逆襲のトリガー』。

読んでいる最中、
ずっとデンデケデンデン♪って
あのテーマ曲が頭の中に流れていました。





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2021年8月17日火曜日

『バランスが肝心』(ローレンス・ブロック)読みました。


全部真っ黒で、
どれがヤニでどれが虫歯だかもわからず、
これじゃ治療できやしない、
って感じのことを歯医者さんに言われ、

「煙じゃないから大丈夫よ」ってウリの
加熱式タバコのアイコスに変えてから、
もう数年たつでしょうか。

確かに黒くはならないから、
これなら大手を振って
歯を診てもらえるようになりました。

以前の紙巻きタバコのときは、
火をつけてから3口くらい吸うだけで満足して、
それでおしまいという1分にも満たない
喫煙タイムだったんですが、

アイコスになると、
これは人工的な機械だけあって1
本当たりの所要時間が決まっており、
所定通りだと6分なんです。

それは結構長く、
なんか間が持たなくて、
空に浮かぶ雲を眺めながら
喫煙時間を過ごしています。

アイコスふかしながら、
ぽつり離れているハンバーガー型の雲に
「消えろ、消えろ」と念じたりして。
だけどたいていは消えてくれません。

で、この『バランスが肝心』。

雲を消す話が出てきます。
きっと6分以上やるんだと思う。




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2021年8月13日金曜日

『墓場への切符』(ローレンス・ブロック)読みました。


ちまたではよく「思えばかなう」
なんてことがいわれますが、
本当に自分の思い描いていた通りの
人生になってる人って
どれくらいいるんでしょうか。

少なくともぼくは、
今のような生活をしていると
想像したことは一度もありません。

社会に出る前の学生時代は、
毎朝満員電車に揺られて
会社に行くのはイヤだと思っていたけど、
毎朝汗だくになりながら
ランニングで会社に行くなんてことは、
へそのゴマほども考えていませんでした。

イケメンといわれるような容姿を
持ち合わせていないのは
幼少の頃から判明していたので、
拾ってくれる奇特な女性は生涯現れず、
孤独な独身生活を送るんだろうなと
思っていたにもかかわらず、
奇特なかみさんが
もう何十年も愛想尽かさずにいてくれて
(と少なくともぼくはそう思ってて)
娘たちも立派な社会人(少なくともぼくよりも)に
なっている。

だいたい昔は
パソコンなんてモノもなくて、
そんな物体を頭の中に
描くのさえできなかったのに、
今じゃあ、その前に一日中座ってて、
ペコペコとキーボードを打っている。

で、この『墓場への切符』。

主人公の2人が将来裕福な夫婦になってるなんて
作者のブロックさんも思ってなかったんだろうな。




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2021年8月11日水曜日

『泥棒は野球カードを集める』(ローレンス・ブロック)読みました。


だいぶ前、
伊坂幸太郎さんと阿部和重さんの共著作品
『キャプテンサンダーボルト』を読んだ書評家が

「御釜(作品中に出てくる湖というか火口湖)の
 設定に無理がある」 って言ってました。

(と、ぼくの頭は記憶してます。
 確か大森望さんの発言だったと思うのですが、
 ネットを検索してみてもヒットしなかったので、
 たぶん違いますね)

今ではもうストーリーは忘れちゃってますが、
そのときは読んだばかりだったので、
「ぼくには、
 どこかにギクシャクした設定があるとは、
 思えなかったけど」とつぶやいていました。

小説を読みながら、疑問に感じたり、
そんなことありえねーと思ったり、
それはこじつけだろうと考えたりするのは、
いいことですよね。

少なくともぼくは、
物語を鑑賞するときの
楽しみのひとつにしています。
(あら探しが楽しみなんて悪趣味だけど)

その愉快なことを、
〈無理設定〉書評家さんはひとつ見つけた。
でも、ぼくは見つけられなかった。きー。

で、この『泥棒は野球カードを集める』。

話が進んでいく中で、
いくつもの偶然が重なって重なって
物語が展開していきます。
そんで結局、それらの多くは偶然じゃなく、
最後にはしっくり収まる。
でも、ひとつだけ収まらないのを見つけました。
悪趣味はわかってますけど。




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2021年8月5日木曜日

『暗闇にひと突き』(ローレンス・ブロック)読みました。


言葉の意味が、
ぼくの頭の中でなんとなくぼやけていたので、
はっきりさせようと、
パソコン辞書で引いてみました。

「ひもつき」って単語です。

〈1〉紐がついていること。「〜の寝巻」
〈2〉女性に、情夫がついていること。情夫のある女。
〈3〉見返り条件がついて、人の言動や物の機能が
   制約をうけていること。「〜の金」

……うん、ありました。ありました。
〈3〉の意味です。

例示に載せられている通りの使い方で
「ひもつきのお金」ってのが出てきて、
これって、何だっけ? とぼやけてきたので
誰かにきちんと意味を言ってもらいたかったんです。

そうそう、なんか条件があって、
それをクリアしたらもらえるお金ってこと。

一般的にいって
仕事でもらえる報酬はすべてこれですね。

一般的な社会に半世紀以上いるので、
だからぼくは、お金がもらえるとなると、
すべてが「ひもつき」に思えてきちゃう。

子どもの頃、お年玉をもらったときには、
そんなのみじんも考えてなかったのに、
歳をとると、いらぬ雑念がこびりついてくる。

あっそうだ、
もう1年ぐらい前になるんでしょうか、
お国からみんなに10万円くれるってのも、
なんか「ひもつき」のような気がして、
びびっちゃってたなあ。

で、この『暗闇にひと突き』。

主人公の探偵は、
5000ドルあげるといわれても拒否したのに、
1000ドルは素直に受け取りました。
5000はひもつきだったようです。
辞書で意味が確定できて、すっきりしました。




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2021年8月3日火曜日

『三体Ⅲ 死神永生(下)』(劉慈欣)読みました。


光瀬龍さんの『百億の昼と千億の夜』を
読んだのは中学生の時です。

いつも「ぐらい」「ほぼ」「確か」
「たぶん」「ころ」など、
「この記憶には自信がないです」
という意味を示す但し書き的な
形容詞や助詞をつけるのに、
今回はきっぱり「中学生の時」と
言い切りました。

たまには、
そんなのもあるんです。

なぜ覚えているかというと、
解説に書いてあった内容を
そのまま写して宿題を仕上げたから。

(今みたいに一瞬でコピペできる機械は
 影も形もなかったので、
 こりこりと鉛筆で書き写しました)

今から40年以上前のはな垂れ坊主時代で
著作権なんて言葉も知らなかったから
違法行為にびびっていたはずはないのですが、

それでも、何でも知っているだろう先生には
「そんな手抜きをしてはいけません」と
叱られると予想してたんです。

ところがどっこい、
返されてきた宿題には花丸がつけられ、
しかも引用した文章のキモの部分に
赤ペンで「この考察は素晴らしい」
みたいなコメントがついていた。

それを見てぼくは、
叱られずにほっとしたのではなく、
後ろめたさ倍増で
びびり累乗の気持ちになりました。

あの先生は『百億の昼と千億の夜』を
読んでなかったんでしょう。
読んだとしても解説までは
目を通さなかったんでしょう。

で、この『三体Ⅲ 死神永生(下)』。

解説(あとがき?)に
『百億の昼と千億の夜』が出てきました。




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