2017年3月31日金曜日

『SOSの猿』(伊坂幸太郎)読みました。


スティーブン・キングさんの
物語のつくり方は、
「ストーリーの構成など考えずに
 勢いでががーっと書く」
みたいな感じだそうです。

通っていた映画学校で、
「大切なのは構成だ」
と習ってきた
ぼくにとってはびっくりでした。

それでも、
疑問に思いながら
キング作法を試してみると

「おお、なるほど、
 そっちのほうが展開が
 ごろごろ転がって面白くなる」
と気づき、

牛歩の歩みではありますが、
自作のお話づくりを進めています。

とはいえ、最近、
それだけじゃダメだってことが
わかり始めたんです。

つくり出しの初っ端は、
ががーっと書くのがいい。

でもそれだけで終わっちゃいけない。

キングさんほどの力量があれば、
それでもいいんだろうけど、
ぼくレベルだと、
ががーっで出来たものを見直し、
あのエピソードと
この説明を入れ替えたり、
冗長な場面を削ったりという
まさしく構成を練り直さないと、
満足できるお話にはならない。
勢いプラス構成作業
……やっぱ、お話つくるのは大変です。

で、この『SOSの猿』。

練られてますね、構成。
当たり前だろうけど、
やっつけ仕事じゃないなって思いました。




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2017年3月29日水曜日

『ヤマンタカ 大菩薩峠血風録』(夢枕獏)読みました。


昔、『神々の山嶺』って
小説を読んで、
「この本、すごっ!」と
感激したのを覚えています。

ネットで調べてみると、
最初に出版されたのは
1997年となってました。
ということは20年前。

んで、映画化されたのが去年。
(映画は見てないんですが……)

映画化と聞いたとき、
20年近くたった今ごろ、
なんで? と思ったんですが、
ま、いろいろあったんでしょうね。

ネットには、
その間に漫画化もされていると
載っていたし。
静かに企画が進行していたんだと。

ということでここからが本題。
ぼくの記憶力、
やっぱりポンコツだってお話です。

普通は、
それだけ感激した本なら、
頭のどっかに引っかかっていて、
同じ作者の作品を
続けて読むハズなんです。
いつものぼくなら……。

でも、ポンコツ力が本領を
発揮しちゃったんでしょうね。

著者の夢枕獏さんの作品には、
まったく反応しなかった。
すっかり忘れてたんです。

その忘却のかなたで
隠居してしまった記憶を
呼び戻してくれたのが、
映画化のプロモーションなんかで見た
『神々の山嶺』というタイトルでした。

「あ! ポカリ飲まなきゃ!」
同じトーンで
「あ! 夢枕さん、読まなきゃ!」
となりました。

で、この『ヤマンタカ』。

「読まなきゃ!」と思って入手した
夢枕さんの最新刊。

うーん。
昔の感激には及ばなかったな……。
せっかく思い出したんだから、
神々のほうを読み返してみるか。





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2017年3月27日月曜日

『14の夜』(足立紳)読みました。


日芸(日本大学芸術学部)の
合格発表の帰り、
掲示板に自分の受験番号が
書かれてなくて、

「だよな…」なんて思いながら、

とぼとぼ校門を出ていったとき、
殺気だった兄ちゃんに行く手を塞さがれ、

「受け取らなかったら、
 タダじゃおかねぇ」という目で、
押しつけるように渡されたのが、

今じゃ日本映画大学という
近づくのさえ畏れ多い
権威のある教育機関に
なってしまったところの
前身である
横浜放送映画専門学校のチラシで、

そこには
「映画づくりは格好悪いぞ、
 それでも君は来るか」
と書かれていて、

掲示板に受験番号がないのを
「だよな…」くらいにしか
感じなかったぼくは、

「そうか、ぼくはカッコ悪いわ、
 ぼくの行く学校はココだ!」
と思ってしまい、

なぜが農村に何日も泊まり込んで、
それを「実習」と称して
学生にやらせるような
トコに入っていたのでした。

で、この『14の夜』。

ぼくの出身校、通称「今村学校」は、
現在の大学になる前、
日本映画学校という名の
専門学校だった時期がありました。

著者さんは、
その時期の卒業生だったみたいです。
すごいすね、みんな。
色んなとことで活躍してて。

面白いっすよ、この本。




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2017年3月23日木曜日

『ビブリア古書堂の事件手帖7 栞子さんと果てない舞台』(三上延)読みました。


「平日はできるかぎり毎日、
 ツイッターで情報発信する」
というルールを自分でこしらえ、
(なぜ、そんな縛りをつくったのか
 ぼく自身もわかならいのですが)
もう何年も続けています。

そのどうでもいい掟を守るべく、
この感想文もどきも
発信コンテンツの一つにしています。
ブログを書いたら、「更新しました」の
つぶやきを入れるんです。

作文をつくるときは、
1冊読み終えたら
まずパソコン内に書きためておき、
その後、ネット上にコピペで書き込む。

すると、短期間でたくさん読めれば、
それだけストックがたまることになります。

思うように読めないと、
書いた途端にネットにアップ
という自転車操業になります。

去年の暮れから今年の年頭にかけては、
ストックがたまっていたので、
気分的にも楽に
ネットのアップ作業ができていました。

ところが、
ここのところ、なんやかんやで
本を読む時間が少なくなり、
ストック分もなくなってきたんです。

で、この
『ビブリア古書堂の事件手帖7
 栞子さんと果てしない舞台』。

時間がなくても、面白くって一気読み。
ストックに一冊分の余裕ができました。




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2017年3月21日火曜日

『ダントン派の処刑 小説フランス革命 17』(佐藤賢一)読みました。


高校生のとき、
やんちゃな男友だちと
タルコフスキー監督の『ノスタルジア』を
観に行きました。
(ネタの使い回しだけど、
 誰も覚えてないでしょ、きっと)

劇場から出て、
お互いが言い合ったのは
「ぜんせん意味わかんねーよ!」でした。

内容が高尚すぎて、
アホガキの高校生には
ストーリーが追えなかったんです。

で、翌日。
学校でぼくはその友だちに訊きました。
「お前、パンフレット読んだ?」
「読んだ!
 すげーいい話だったんじゃん!」
「そうだろ!
 パンフ読んで初めてわかった!
 あれいい映画だ!」

ヤンチャ君とぼくは、『ノスタルジア』を、
その年のベスト1にしました。

世界情勢だとか、
主だった歴史の流れだとか、
経済が動いている仕組みだとか、

そんな知識を
まったく持たないアホ高校生は、
作品を観賞するための土台が
できていないんです。

そんな時期に観た映画には
この『ノスタルジア』と同じように
「意味わかんねー!」な
作品がいくつもありました。

で、この『ダントン派の処刑 小説フランス革命17』。

たしか『ノスタルジア』と同じ頃、
アンジェイ・ワイダ監督の
『ダントン』という映画も観ました。

劇場を出たときの感想は
『ノスタルジア』と同じでした。

ああ、この本を先に読んでいれば、
そんなことなかっただろうに。
とはいえ、もう30年以上前。




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2017年3月17日金曜日

『サピエンス全史(下)』(ユヴァル・ノア・ハラリ)読みました。


経済の本、心理学の本、
哲学の本、環境問題の本……。

その道の専門家じゃないぼくらが
本をつくるんですが、
内容があまりにも間違っていてはダメなので、
その分野に造詣の深い先生に、
内容チェックを
お願いすることがあります。
いわゆる監修です。

今までの経験からして、この監修の先生、
大雑把にいって2種類に分けられます。

細かい人とそうじゃない人。
(区別するため以下「細さん」と「太さん」)

細さんがよく指摘するのは、
例外があること。

「言い切ってはいけません。
 異なる場合もあるのです。
 例外を列挙してください。
 注を入れてください」

それに対し、
太さんはどちらかというと
ぼくら側に近く、
わかりやすさや読みやすさを優先する。

「この表現は厳密に言えば
 違う場合もあるけど、
 大づかみすりゃ正しいからOK。
 もっと言えば、
 それに続く例外も削ったほうがいい。
 もっと読みやすくなるし、
 素人の頭に入りやすい」

ぼくの経験からいって、
細さんと太さんの割合は9対1。

本が売れるのは
その「1」の先生に
見てもらった場合のほうが多い。
大づかみにストンと
読者の頭の中に印象として残す。
──これ大切だと思います。

で、この『サピエンス全史(下)』。

この本、人間の周りにある色んなこと、
大づかみにストンと
頭の中に落としてくれます。




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2017年3月15日水曜日

『自閉症の僕が跳びはねる理由』(東田直樹)読みました。


『美女と野獣』って物語がありますね。
おとぎ話もアニメもミュージカルも、
どれ一つ、
読んだことも観たこともないので、
ホントはよく知らないんですが、

あれって要するに、
魔女かなんかが意地悪して、
心の優しい立派な王子様みたいな人を、
醜い野獣の姿に変えちゃって、

それを知らない美しい女の子が、
本当はイケメン王子の野獣と出会い、

びくびくしながら
対応しているうちにひかれ合っていく
ってストーリーなんでよね。

それでハッピーエンドで
野獣の魔法が解けて、
元野獣の王子と美女とが
幸せに結ばれました。
めでたし、めでたし。

……この、ぼくの想像の話の筋は、
そんなに間違っていないですよね。
知らないんだけど。

で、この『自閉症の僕が跳びはねる理由』。

著者の東田さん
(というか、自閉症をわずらっている人たち)は、
本当は王子様である魔女に意地悪された人みたいに、

本来の立派な姿を、
誰かに隠されちゃってるような気がしました。

さらに頭が下がるのは、
隠してるベールみたいなものさえ
受け入れちゃって、
その中で懸命に生きてるところ。

立派で強い人格を持った人たちに、
久々に触れた気がしました。




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2017年3月13日月曜日

『あるキング: 完全版』(伊坂幸太郎)読みました。


何かと話題の向こうの国の大統領。
花札さん、じゃなかった、
タロットさん、じゃなく、
カルタさん……
あれ? 正しい名前、ど忘れしました。

まーとにかく、
その大統領さんの演説の仕方について、
テレビで解説してました。

テレビが言うには、
自分は自信を持ってるんだ、
絶対に正しいんだ
という意志を伝えるため、

かの人は、
同じ言葉を繰り返すんだそうです。

それは自分を奮い立たせる
自己啓発のテクニックの一つ、
みたいなことも言ってました。

「いいですか。
 私はアメリカを第一に考えてるんです。
 アメリカは一番でしょ。
 アメリカは一番ですよ。
 なんでって、決まってるじゃないですか、
 アメリカは一番だもの」

ぼくはよくわからないんですけど、
どうなんでしょうかね。
こうした物言いって。

まっ、それを力強いと思い、
彼に任せようと思った人が
それなりの数いたから、
大統領になっているんだろうけど。

で、この『あるキング 完全版』。

一冊の本の中に、
同じお話が3個載ってます。

単行本、雑誌、文庫本に
載ったときの3つのバージョンを
そのまま掲載したと
書いてありました。

ぼくのこの本の評価は
「まあ普通」としたんですが、
もしこの形態じゃなく、
1つのバージョンだけの本だったら、
もうちょい高い評価になったと思います。

あ、名前思い出した! トランプさんだ。




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2017年3月10日金曜日

『徳の政治 小説フランス革命 16』(佐藤賢一)読みました。


夫婦げんかは犬も食わぬ、
なんて言葉もあるように
親しくなった人同士の争いは、
なんだかわからんもののようです。

ドラマや漫画なんかにも、
ケンカしているところに仲裁に入り、
互いに落ち着いたところで
「原因は何?」と訊くと、
さっきまで
取っ組み合いしていた2人が
顔を見合わせて
「何だっけ?」と首をひねる。
そんな場面がよくあります。

だからきっと、
家庭内とか飲み屋内とか
小さな範囲のいさかいだけじゃなく、
もっと規模の大きなところでの
いがみ合いも、
突き詰めれば、
なんだかわからんものに
なるんじゃないかな、
なんて思ったりします。

例えば、
政治の派閥争いとか国際的な紛争とか。

で、この『徳の政治 小説フランス革命15』。

革命を進める人たちが、
色んなグループに分かれていって、
ああじゃないこうじゃないの
衝突をしていきます。

んで、負けたほう(と言っていいのか
わかりませんが)はギロチンに
かけられたりします。

そんな大筋を後から思い出し、
「そんで、主張の違いは何だっけ?」
と考えてみと、わからないんです。
(ぼくの脳みそが
 へなちょこなせいもありますが)
頭に残ってないんです。

わかったのは、
人は「なんだかわからんけども」殺し合ったり
するんだなってこと。
やっぱ、オモロイです、この本。




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2017年3月8日水曜日

『サピエンス全史(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ)読みました。


昆虫の羽根は、
空中を飛んで速く移動するために
進化したワケじゃない。

そもそもは、太陽の光を
出来るだけたくさん
身体に受け止められるようにと、

ソーラーパネルの役目をする
背中の板状の器官が
どんどん大きくなったのが始まり。

それが風にあおられ、
「あ、飛べるじゃん」となり、
今いる虫みたいになった……とか。

はじめ人間ギャートルズみたいな
大昔の狩猟採集で
生きていた人たちは、
毎日必死になって狩りに出掛け、
食べられる植物を探し歩き、
生きるか死ぬかの瀬戸際で
働きまくっていたかと思いきや、

労働時間からすれば、
現代人の労働時間のほうが
メッチャ長い……とか。

知らなかったことを
知るようになるって、オモロイです。

で、この『サピエンス全史(上)』。

そんなオモロイことが、
いっぱい載ってます。




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2017年3月6日月曜日

『終末のフール』(伊坂幸太郎)読みました。


この話、たしか星新一さんの
ショートショートだと思ったんですが、
自信ありません。

以下を読んで、
もし「あ、それ知ってる!」
って思ったら、教えてほしいです。

お話のタイトルと
どの本の中に入っていたか。

といっても、
星新一さんじゃないかもしれないけど……。
もう1回読みたいなって思って。

こんな話です。
核戦争が起こったり、
凶悪なウィルスが猛威を振るったり、
太陽が突然どっかに飛んでいっちゃったり、
ってことが起こって、

地球が、
人間の住めないような
ドヒャーな環境になったときに備え、

どんな状況でも
人間に癒やしを与えてくれる
頑強な装置をつくることになった未来。

途方もない予算がかかると、
あっちこちから反対の声があがったけど、

「この装置は絶対必要なんだ!」と、
みんなが火傷するくらいの熱意で
科学者たちが押し切り、
ようやっと完成させた。

そんで、時は流れ流れて、
人間が一人もいない廃墟の地球で、
その装置が動き出す。

機械の上部がぐぃーんと開き、
拡声器状のものが出てきたと思ったら、
気持ちが和らぐクラシック音楽が流れ出す。
装置は、
その一曲を流すためだけのものだった
という〈お話〉。

で、この『終末のフール』。

この本読んで、まったく忘れてた、
その〈お話〉を思い出しました。


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2017年3月2日木曜日

『粛清の嵐 小説フランス革命15』(佐藤賢一)読みました。

本や雑誌に載せるのに、
イラストを描いたり、
写真を加工したりします。

その写真加工で、
ちょっと前、
面白いことを知りました。

文章に絡ませて〈炎〉のイメージを
横に置こうと思ったときのことです。
火がメラメラと燃えてる感じ。

ネットの情報をみると、
フォトショップという
写真加工ソフトを使えば、
元になる写真はなくても、
色の設定とか
フィルター機能なんかを
駆使すれば、
〈炎〉の写真はゼロからできる
と書いてありました。

ま、出来るのは出来るんだろうけど、
なんやかんや時間がかかって
結局、ライターの火なんかを撮影して、
それを元にしたほうが
いいんじゃないと疑いつつも、

やってみると、あら簡単。

本物みたいな〈炎〉の写真が
あっと言う間に浮かんできました。

ちょっと長くなりましたが、
ここからが言いたかったこと。

できた炎が全体的に暗かったので、
少し明るくなるよう
設定を変えてみたんです。

すると、
その〈炎〉が消えちゃったんです。
透明になっちゃったんです。

かすかなグラデが
ぼんやり残っているんですが、
輪郭はぼやぼや、
どこからが背景で
〈炎〉の本体はどこからなのか
まったくわからなくなっちゃった。
これ、結構、不思議でした。

で、この『粛清の嵐 小説フランス革命15』。

15巻まで続けて読んでると、
どこからどこまでがこの巻だったのか
輪郭ぼやぼやになっちゃいました。
面白いからいいけど。



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