2015年8月31日月曜日

『眠狂四郎無頼控(一)』(柴田錬三郎)読みました。

去年くらいだったかな、
木枯し紋次郎がマイブームになったのは。

「あっしには、かかわりのないことでござんす」
のセリフ通り、紋次郎さんは、
あらゆることに無関心な虚無キャラ。

それでも、
周囲から何だかんだのちゃちゃが入って、
無関心を通せなくなり、
しょーがない感じで腰を上げて、
ばったばったと切り倒す。

なので、紋次郎シリーズのキモは、
虚無な人が、どうして一肌脱ぐになったのか、
ってところにあるような気がします。

理由がしっかりしてないと、
虚無キャラじゃなくなっちゃう。
それじゃ、単なるお人好しとか、
熱血漢の正義の味方。

で、この『眠狂四郎無頼控(一)』。

紋次郎さんと同じで、
眠狂四郎さんも虚無キャラって感じでした。
「かかわりないことでござんす」
と言わせても、何の違和感もない感じ。

なのですが、
「どうして一肌脱ぐのか」の理由が、
ぼくには、よく読み取れなくて、
ちと欲求不満でした。
とりあえず、続きの二巻を読んでみます。



眠狂四郎無頼控 (1) (新潮文庫)
柴田 錬三郎
新潮社
売り上げランキング: 195,847


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年8月26日水曜日

『異世界食堂 1』(犬塚惇平)読みました。

「やめられない、とまらない」
というCMの「かっぱえびせん」。

最近はあまり食べなくなっちゃったんですが
(一番近い記憶は娘をお祭りに連れて行ったとき。
 お神輿と一緒に街を歩いた子どもに、
 お土産として梨やら駄菓子セットやらが配られ、
 食べきれないかっぱえびせんを
 娘からもらったとき。
 娘はもう成人しているから、かれこれ20年近く前か…
 あ、まったく関係無い余談でした。
 思いのほか長くなっちゃった)
ぼくだって子どもの頃は、
その宣伝文句の通り一袋なくなるまで
ぽりぽりもぐもぐを
続けていたことがありました。

んで、
そのとき(ぼくの子ども時代)はなぜか、
家にかっぱえびせんが何袋かあったんです。

一袋なくなっても、
まだ物足りなく感じていた
ハナ垂れガキのぼくは、お袋の目を盗んで、
封の切られていない、えびせん袋を引き寄せ、
音を立てないようにちょびちょびとこじ開けて、
再度ぽりぽりを始めました。

ところが。
ものの5〜6本食べただけで
手がとまっちゃったんです。
その味に飽きちゃったんです。

「やめられない、とまらない」というお菓子にも、
それなりに限界があるようで。
ハナ垂れガキでも。

で、この『異世界食堂1』。

1話1話はそれなりに美味しいです。
ただそれを20話ほど集められると、
とまらないはずのページをめくる手も、
だんだんとだれてくるようです。
10話が、えびせん1袋くらいかな。



異世界食堂 1 (ヒーロー文庫)
犬塚 惇平
主婦の友社
売り上げランキング: 6,629



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年8月24日月曜日

『風眼抄』(山田風太郎)読みました。

ぼくはそんなに社交性があるわけじゃなく、
顔見知りの人は
限られた数しかいないのですが、
それでも、
ごくまれにエッセイなんかを読んでいるとき、
知っている人の名前が出てきたりします。

そんなときには、
何はともあれうれしくなって、
それまであまり評価していなかった著者さんでも、
その瞬間から自分の中で
大先生と呼ぶようになったりします。

「へぇ〜アイツ、この大先生と、
 そんな関係なんだ。
 ってことは大先生も、
 ぼくの友だちの友だちで、みな友だちだ!」
って感じにうきうきになります。

まぁ、知人を5人だか6人たどれば、
地球上の人はみんな知り合いになるって話を
どっかで聞いた気がするので、
これもありふれたことなんでしょうけどね。
でも、うれしいわけです。

で、この『風眼抄』。

なんと、著者の山田風太郎大先生は
かの江戸川乱歩大先生と、
とても親しい仲だったんですね。

このエッセイ集を読んで初めて知りました。

んでさらに!
学生時代、ぼくに個人授業をしてくれたあの恩師とも
交流があったとも書かれているじゃないですか!

つーことは、
ぼくの知り合いの知り合いが風太郎大先生で、
その知り合いが乱歩大先生!
結構すごいって思っちゃいました。
友だちの友だちは、みな友だちだ!



風眼抄  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
山田 風太郎
角川書店(角川グループパブリッシング) (2010-11-25)
売り上げランキング: 749,893



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年8月17日月曜日

『武士道ジェネレーション』(誉田哲也)読みました。

確かブックオフって、
書き込みがしてある本だと、
買い取り価格が安くなったり、
買い取ってもらえなかったりするんですよね。

その本がどれだけ古書的な価値があっても、
キレイかどうかの状態で判断されるとか。
知識のないアルバイトの店員さんとかでも、
決まった買い取り価格を提示できるように。

だとしたら、
やっぱり著者のサイン入り本も、
安価もしくは買い取り不可に
なっちゃうんでしょうね。

ぼくは、別にブックオフ目当てで、
そうしているワケではないのですが、
本を読むときには、
なるべく汚さないように気をつけてます。

仕事で資料にしなきゃいけないものは、
ときどき書き込みすることもあるんですが、
それでも、鉛筆で薄く書いて、
その本を使い終わったら消しゴムかける。

なので、新刊売ってる本屋さんで、
「著者サイン入り」とうたっているヤツは、
まず手にとりません。

サインだろうがなんだろうが、
やっぱまっさらのほうが好きなんです。

で、この『武士道ジェネレーション』。

間違って、サイン入り本を買っちゃいました。
ブックオフは買い取ってくれないかなぁ…。

でも、もう一度読み返したいって
思える内容だったから、
本棚に置いておけばいいか。
(とはいえ、前3作のほうが好きですけど)


武士道ジェネレーション
武士道ジェネレーション
posted with amazlet at 15.08.17
誉田 哲也
文藝春秋
売り上げランキング: 633



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年8月14日金曜日

『バケモノの子』(細田守)読みました。

昔のスポ根まんが『侍ジャイアンツ』の
主人公・番場蛮の背番号は4でした。

4は「死」と同じ読み音なので、
多くの人が嫌う番号。
アンラッキーナンバーとでも
いえばいいんでしょうか。

それをあえて選ぶ番場蛮は、
無頼というか豪快というか、
キャラのたったヤツでした。

番場蛮のライバルでウルフ・チーフ
というアメリカ人選手の背番号は13。

これも西洋では
アンラッキーナンバー的な番号で、
ウルフもあえて皆が嫌うその数字を選ぶ
跳ねっ返り野郎でした。

話は変わりますが、
ぼくが昔乗っていたクルマの
ナンバーが「77」だったことがあります。

一見、良さげな番号に思えるのですが、
このクルマに乗っていると、なぜか、
電信柱にこすったり、車上荒らしにあったり、
交通違反で捕まったり、
ってことばかり続いてたんです。

ねずみ取りで止められとき、
警官がいった言葉を今でも覚えています。

「おっ、ナンバーは77で、速度も77。
 ここは60キロだから17キロオーバーね」

それ以来、
ぼくは77をなんとなく避けるようになってます。
これってアンラッキーナンバーなんでしょうかね。

で、この『バケモノの子』。

今年に入って77冊目に読んだ本でした。

『侍ジャイアンツ』の話を最初にしたのは、
何か特別な意図があったのか、
自分でもわかりません。


バケモノの子 (角川文庫)
バケモノの子 (角川文庫)
posted with amazlet at 15.08.14
細田 守
KADOKAWA/角川書店 (2015-06-20)
売り上げランキング: 860


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年8月12日水曜日

『常識外の一手』(谷川浩司)読みました。

新聞や雑誌の広告の中に、
「記事広告」という種類の
宣伝方法があります。

普通の広告は、
商品の写真をどかーんと載せて、
「おいしいよ」とかの
買いたくなるコピーを配置してつくる。

そういう一般の広告じゃなく、
他のページに載っているような
普通の記事みたいなレイアウトにして、
写真中心じゃなく文章が
主体になっているようなつくりの広告。

ぱっと見には、記事と見分けがつかず、
読んでる人に、

「ほー、この雑誌(または新聞)が
 客観的に取り上げた商品なのか、
 良さそうだな」

なんて勘違いしてもらうのが
狙いになっているような広告です。

最近では、
読者をだますような
そんなやり方はよくないと
誰かが言い出したのでしょう。

記事広告にも、隅っこのほうに、
四角囲みで「広告」とか「PR」とかって
表示しているのをよくみかけます。

えーっと実は、ぼくもその記事広告を
長い間、つくっていたことがあります。
んで今も時々、つくります。

で、この『常識外の一手』。

著者は日本将棋連盟の会長さん。
なんか、日本将棋連盟の記事広告を
読んでいるような気がしました。

なぜ、この本を読もうと思ったのか、
購入のきっかけを
まったく思い出せないのが不思議。


常識外の一手 (新潮新書)
常識外の一手 (新潮新書)
posted with amazlet at 15.08.12
谷川 浩司
新潮社
売り上げランキング: 13,797



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年8月10日月曜日

『長いお別れ』(中島京子)読みました。

テレビのバラエティ番組かなにかで、
「どんな死に様でありたいか」みたいな質問を、
司会者がゲストの人たちにしていました。

周囲の人に迷惑を掛けないようにとか、
病院じゃなく自宅でとか、
仰向けにひっくり返るんじゃなく
前向きに倒れてとか、
いろいろ意見が出てました。

その中で、たしか落語家さんが、
こんなことを言っていたんです。

「ぼくは仕事柄、
 いつも人に笑われたいと思っている。
 だから人生のフィナーレである
 死んじゃうときにも、絶対笑われたい。
 10センチくらいの深さしかないドブに
 はまって溺れちゃうとかね」。

これ聞いたとき、ぼくは、
「その考え方、もらった!」と思いました。

人が死んじゃうのって、
何したって悲しいでしょ。

その死に方が、どんなに滑稽だって、
いなくなっちゃうのは一緒だし。

だから、反抗したいんです。

死因も笑えて、
いなくなっちゃうことも笑えるような
お話ってないかなって思うんです。

どうしょうもない悪いヤツが、
滑って転んで逝っちゃって、
みんなワハハッというんじゃないですよ。

死ぬことを純粋に笑える
……そんなお話ないかなって。

で、この『長いお別れ』。

ぼくが考えてる笑いに近いものがありました。
……これ、いいかも!
この作者の他の作品も読んでみよっと。



長いお別れ
長いお別れ
posted with amazlet at 15.08.10
中島 京子
文藝春秋
売り上げランキング: 473



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年8月7日金曜日

『ホテルローヤル』(桜木紫乃)読みました。

その一言だけ覚えている
映画のセリフがあります。

確かテレビで放映した
洋画だったと思うんですが、
題名も覚えていなければ、
どんなシチュエーションで
発せられたセリフなのかも、
おぼろげです。

実は洋画か邦画かもあやふやで、
セリフも一字一句正確に
記憶しているのではなく、
なんとなくこんな意味だったかなぁ
って程度なんですが……。

そのセリフは
「前向きに歩いて行くのは大切だけど、
 たまには後ろ向きに行ったっていいじゃん」
(という感じ)

ラストの別れの場面だったんじゃないかなぁ。
今まで苦労を重ねて
こつこつと積み上げてきたいろんなものを、
誰かのために捨てちゃうとか、あげちゃうとか、
そんな場面で言われたセリフのような気がします。

まあ、とにかく、
タイトルも俳優もどこの国の映画かも、
すっかり頭の中から飛んでいっちゃっても、
セリフ一つだけ、
覚えている作品ってあるもんです。
人並みな記憶力を持たないぼくの場合。

で、この『ホテルローヤル』。

題名や作者を忘れちゃったとしても
「コレ忘れないだろな」
ってセリフが一つありました。


ホテルローヤル (集英社文庫)
桜木 紫乃
集英社 (2015-06-25)
売り上げランキング: 525



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年8月5日水曜日

『幻燈辻馬車(下)』(山田風太郎)読みました。

誰だか忘れたんですが、
小説の執筆作業について、
「こんなやり方をしています」と、
雑誌かなんかのインタビューに
答えていた作家さんがいました。

こんなやり方とはつまり、
一度書いて消しちゃう方式。

原稿を書き始めた最初の1時間ほどは、
筆が(というかキーボードが)振るわないので、
その1時間ぶんは、
とにかく思いつくままに書きまくって、

面白かろうがつまらなかろうが、
誤字があろうが、辻褄が合わなかろうが、
何でもかんでも原稿用紙のマス目を埋めていく
(というか、キートップを叩きまくる)。

そうして1時間ほどたったら、
それまで書いた原稿用紙は丸めて屑箱に捨てる
(というか[すべてを選択]して[削除])

そんなウォーミングアップをしてから、
実際の原稿執筆にとりかかるんだそうです。

はじめのうちは、
頭も手もぎくしゃくした状態だから、
そのときつくり出したものは、
どこかしら、しっくりこないんでしょうね。

そんで、準備体操みたいな作業を
進めるいうちに、こなれてきて、
いいものになっていく。
そのいいとこ取りをしたいがために、
書いて消しちゃう方式を採用しているのでしょう。

で、この『幻燈辻馬車(下)』。

この前の上巻は、
消されずに残ったままの
ウォーミングアップ状態みたいだと感じました。

でも、この下巻は、
それを超えた「いいとこ」の域に入ってます。
上巻の準備体操を我慢して読み進め、
下巻に突入できれば、きっと楽しめます。



幻燈辻馬車 下  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
山田 風太郎
角川書店(角川グループパブリッシング) (2010-11-25)
売り上げランキング: 363,724


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年8月3日月曜日

『ドクター・スリープ(下)』(スティーヴン・キング)読みました。

順調に、スムーズに、思った通りに、
物事が流れていくのは大好きです。

仕事でいえば、
仕上げるのに今日いっぱいかかると
思っていた作業が、
とんとん拍子にあれもこれも
できちゃって午前中に仕上がっちゃうとか。

スケジュールを調整するのに、
山田くんと池波くんと、もう一人、
一番忙しそうな村上くんの都合を
聞かなきゃなんてときに、
「とりあえず一番難しそうな
 村上くんから聞いちゃえ」
って訊ねてみたら
「ああ、大丈夫です。
 その日はちょうど山田くんと池波くんと
 3人で会う約束してたからちょうどいい、
 私が伝えておく」
と返されて、一度の電話だけで済んじゃうとか。

でもまあ、世の中は、
そう思う通りに運ばないのが常で、
まったく正反対のことばかり起こる。

1時間で済むと思っていた
作業に3日かかったり、
3人の日程調整のはずが、
秘書だの担当部署だのなんだので、
10人以上に電話かけまくったり。

んで、小説や物語ってものは、
そんなスムーズじゃないお話が面白い。
物事が順調に流れていく人の話を聞いても、
「なんだかなぁ」って思っちゃう。
自分のことだと、順調大好きなくせに。

で、この『ドクター・スリープ(下)』。

結構、順調に物語が進んじゃいました。
えーっ!? キングさん、
そんな素直でいいのって感じ。
次回作に期待ですね。


ドクター・スリープ 下
ドクター・スリープ 下
posted with amazlet at 15.08.03
スティーヴン キング
文藝春秋
売り上げランキング: 4,709



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************