2023年4月27日木曜日

『泥棒はライ麦畑で追いかける』(ローレンス・ブロック)読みました。


このブログを下から順番に読んでもらっていたら、
これは星新一伝記(以下、星伝)のあとになるから、
少しつながりのある内容にします。

星伝の著者、最相葉月さんは、その本を書く前、
書店で何かの資料を探しているとき、
たまたま中高生の頃に夢中で読んでいた
星新一作品のショートショート棚を見かけたそうです。

そして懐かしいなと手に取りページをめくるんですが、
驚いたことに、内容をほとんど覚えていなかったそうです。

そんなのがきっかけで、
星伝の執筆にかかわり始めたと書いてありました。

ぼくも夢中になってた中学生の一人だったんですが、
特に印象深い数話を除き、やっぱ覚えてないんですわ。

この前は、仕事で熟読し紹介記事まで書いた本を
未読だと思って、もう一度購入しようとしたし。

で、この『泥棒はライ麦畑で追いかける』。

『ライ麦畑でつかまえて』をからめた泥棒のお話。
面白かったです。
その『ライ〜』も星作品同様、
夢中で読んだはずなのに、覚えてないんですが…。




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2023年4月25日火曜日

『星新一 1001話をつくった人(下)』(最相葉月)読みました。


「ひらく」って言葉があります。
もしかしたら本なんかをつくる人たちだけに
通じる業界用語なのかもしれませんが、
別に難しい意味じゃなく、
漢字をひらがなで書くことです。

さらに「漢字→ひらがな」という
ピンポイントの意味から広がって、
「小難しい文章を読みやすくやさしい表現に変える」
ってことを示すときもあります。

そして仕事の原稿をつくるとき、
ぼくがいつも気にかけているのが、
この「ひらく」なんです。

難しい漢字を使ったり、
ぐねぐね入り組んだ論理回路で言葉を重ねたり、
昔々の中国にいた偉い人がおっしゃったような
格言を引用してカッコつけたり、
ってのをなるべくやめたい。

今までの経験からいって、
ライターとかって肩書きを持っている人は、
たいていぼくと同じように考えているらしい。

でも、ぼくの場合は、
なんとなくその思いが極端で、
なんでもかんでも
「ひらく」にしちゃう傾向があるような。
それを直そうとは思わないけど。

で、この『星新一 1001話をつくった人(下)』。

この本読んで、どうやら星新一さんも
徹底的に「ひらく」にこだわった人なんだと知りました。
その影響なのかなあ。
中学生の頃は星さんの作品しか読まなかったからな。




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2023年4月20日木曜日

『三体0 球状閃電』(劉慈欣)読みました。


中身はたいしたことないのに、
ほれぼれしちゃうような素敵なタイトルだったり、
それとは逆にしょぼしょぼの題名なのに、
内容は極上だったりって、
どんな世界にもありますね。

書籍だけじゃなく、映画もドラマも。
いや、ちまたで売られてるあらゆる商品に当てはまる。

タイトルっていうのはつまり商品名だから、
それと中身のマッチ具合を問題にすれば、
ほらほらあれもそれも、ツッコミ放題です。

もちろん、表題も内容もどっちも素晴らしくて、
どんぴしゃなものもあります。

少し前だけど、
村上春樹さんの『騎士団長殺し』って、
なんか少し耳新しいいい題名だなあと思ってたら、
どっかの対談か何かで、村上さんは、
そのタイトルがいいと思って、
それに合わせ後からストーリーをつくっていった
みたいなこと言ってました。

まあ、ぼくはそれ読んだあと、
中身よりも題名のほうが優っていると
思っちゃったんですけど。

「名前のほうが勝っている」で思い出すは、
昔よくお袋がぼくに対して言っていた
「この子は名前負けしている」です。

漢字で「規悦」と書くのですが、
画数多くて難しそうでいかめしくも感じるのに、
本人は泣き虫で弱っちい。
タイトル詐欺の生きている標本みたいなもんです。

で、この『三体0【ゼロ】 球状閃電』。

三体問題はかけらも出てこなかったけど、
面白かったからOKです。
あ、出てこないから【ゼロ】なのか。
なお、解説には、一応タイトルについての
エクスキューズ的文面は記してありました。




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2023年4月13日木曜日

『テキヤの掟』(廣末登)読みました。


かなり昔、たぶん二十数年前、
ぼくが30代のときだと思います。

小学校の同窓会に参加しました。

(同じ代だけなので同期会っていうんでしょうか。
 なぜか、これ以降は集まりはなく、
 今後やるかもしれませんが、今のところ、
 これが最初で最後の同窓同期の
 一斉イベントになってます)

ほとんどが卒業以来
(3分の1ほどは同じ中学に行ったので、
 そいつらは中学卒業以来)
はじめて顔を合わせる人たちで、
ぼんやりと面影が残ってはいても、
思い出の中の人物と、
目の前にいるおじさんやおばさんとは、
ぴったり一致するはずもなく、
最初はとてもかしこまってました。

そんなふうに思っていたのは
みんなも同じだったので、
とりあえず小学校のクラスや当時の様子、
それに現在の仕事とかを
一人ずつ言っていくことになりました。

「クラスは3組で、
 きく丸とかって呼ばれてました。
 今は本とかの編集の仕事してます」などと、
ぼくはもじもじしつつ言ったんですが、
その何人か後に

「露天商をしてます」
って男子がいたんです。

実はぼく、
そのとき露天商とは何かを知らず
「ロテンショー」って音の響きを不思議に思い
隣のやつに小声で聞いたんです。

すると
「いわゆるテキヤでしょ」と返された。
それで余計混乱したのを覚えてます。

で、この『テキヤの掟』。

タイトルを見て同窓会のことを思い出し
読んでみました。
仕事の内容はよくわかりました。
彼は今もやってるのかな。




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2023年4月11日火曜日

『書楼弔堂 待宵』(京極夏彦)読みました。


レイモンド・チャンドラーばりの
ごちごちのハードボイルドで
楽しませてくれる原尞さんが
つくり出した探偵は「沢崎」。

この名前、
グーグルもウィキペディアも使わずに
そらで書けました。

そんな簡単な名前を覚えるのは、
犬でもできるだろと言われそうですが、
本を読んでもその30分後には
内容を忘れているぼくにとっては、
かなり奇跡的な出来事なんです。

沢崎……
あの原稿書いて、あっちに支払いをして、
親戚の養生先にお見舞いに行って、
この記事の図版つくって、
同級生の会のホームページつくって、
積立共済の解約手続きの書類つくって、
娘の引っ越しを手伝って、
などなど、360度方面から
攻め立てられるような状況のとき、
ふっと思い出すのが「沢崎」なんです。
もう一度読みたいなって。

5年ほど前に出た作品の中では、
ホームレスの人でも携帯電話を所有しているのに、
探偵の沢崎は持っていませんでした。
時代の流れに乗っかるのが嫌いな、
いわば頑固ジジイみたいな人です。

で、この『書楼弔堂 待宵』。

時代は明治。その頃の頑固ジジイは
普及し出した電気なんかも使いたくないんだと認識。
今も昔も同じだな。頑固者にとっては。




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2023年4月6日木曜日

『本好きの下剋上 第一部兵士の娘2』(香月美夜)読みました。


4、5年前にはじめて読んだ
『火星の人』(アンディ・ウィアー)は、
そのあと3、4回は再読してて、
今でももう一回読みたいなと
ときどき思ったりする本です。

一人で火星に取り残されて、
地球から助けに来てもらえるまで
なんとかサバイバルしていく話。

主人公には電気やら食料やらなんやらが
まったく足りねーじゃんなどと、
次から次へと無理難題のトラブルが舞い込んで、
それでも、へこたれずに頑張って生き抜く。

この作品の著者さんは、
そうした続々と立ちはだかるハードルを
「作品を盛り上げるためには設定してはいない」
ってどっかで言ってました。

今あるテクノロジーが、
この状況に陥ったとき、
当然出てくる障害をリアルに描いたんだと。

話を面白おかしくしようと考えて、
頭の中だけで難事を想像して置いていくような
ことはしなかったと。

その姿勢は、それなりに立派だとは思うんですが、
科学のこととかテクノロジーのこととか
何も知らないぼくなんかは、
そういう物語の中だけの空想であっても、
リアルっぽく描かれていれば、
きっと気づかずに、
十分楽しめちゃっうんだろうな。

で、この『本好きの下剋上 第一部兵士の娘2』。

売れてる本らしく人気作品の王道的な構成で、
やはり主人公にはいろんなハードルが
てんこ盛りになっています。
それも『火星の人』みたいないい感じで。

リアルなのかどうなのかはわからないけど、
それっぽくあるので、
ぼくは十分楽しめちゃいました。
とはいえ、続きの巻があるらしいけど、
ここでやめておきたい気がします。
ハマりすぎであちこち支障が出そうなので。



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2023年4月4日火曜日

『踏切の幽霊』(高野和明)読みました。


もうだいぶ前の話ですが、
友だちのすすめに従って
平山夢明さんの『ダイナー』を読み、
一気にファンになりました。
(とはいえ、平山さんは
 怪談モノも書いているけど、
 そっち系は怖いから1冊も読んでません)

それからしばらくして何冊かかじったあと、
ぼくのもう一人のお気に入り作家・京極夏彦さんと
その平山さんが一緒に出演していたラジオ番組が
本になってるってことを知り、
(『バッカみたい、読んでランナイ!』)

これまた何年か前に、
嬉しくてよだれ垂らしながら読んだ覚えがあります。

ラジオ番組で暴れる2人の作家のバカ話を読んでると、
山本周五郎賞をとった小野不由美さんの『残穢』に、
平山さんの実体験の怪談話が
そのまま使われているってエピソードが出てきました。

「わーあの話か!」読んだわ、読んだ。

その『残穢』は、
怖すぎて手元に置いておくのも恐ろしく、
本好きの友だちにプレゼントしちゃったほどの作品なんです。

で、この『踏切の幽霊』。

題名からして
友だちへの進呈コースを覚悟して読みました。
でも怖さはそれほどではなかったので、
今はそのまま本棚に鎮座しています。




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