2023年4月11日火曜日

『書楼弔堂 待宵』(京極夏彦)読みました。


レイモンド・チャンドラーばりの
ごちごちのハードボイルドで
楽しませてくれる原尞さんが
つくり出した探偵は「沢崎」。

この名前、
グーグルもウィキペディアも使わずに
そらで書けました。

そんな簡単な名前を覚えるのは、
犬でもできるだろと言われそうですが、
本を読んでもその30分後には
内容を忘れているぼくにとっては、
かなり奇跡的な出来事なんです。

沢崎……
あの原稿書いて、あっちに支払いをして、
親戚の養生先にお見舞いに行って、
この記事の図版つくって、
同級生の会のホームページつくって、
積立共済の解約手続きの書類つくって、
娘の引っ越しを手伝って、
などなど、360度方面から
攻め立てられるような状況のとき、
ふっと思い出すのが「沢崎」なんです。
もう一度読みたいなって。

5年ほど前に出た作品の中では、
ホームレスの人でも携帯電話を所有しているのに、
探偵の沢崎は持っていませんでした。
時代の流れに乗っかるのが嫌いな、
いわば頑固ジジイみたいな人です。

で、この『書楼弔堂 待宵』。

時代は明治。その頃の頑固ジジイは
普及し出した電気なんかも使いたくないんだと認識。
今も昔も同じだな。頑固者にとっては。




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