2014年12月26日金曜日

『剣豪将軍義輝(中)孤雲ノ太刀』(宮本昌孝)読みました。

先日、昔から疑問だったことが解明し、
久々にスッキリ感を味わいました。
何かって言うと、クルマのオートマチックについて。

普通の自転車のギアは、
後輪側に大きさの違う円盤が何種類かついていて、
大きい円盤にするとペダルが軽くなり坂道スイスイ。
小さい円盤だと重たくなって
スピードぐんぐんになりますよね。

ギアを変えるときには、
違う円盤にしなきゃいけないので、
ガチャガチャと音をたてながら
チェーンを架けかえる。

子どものころから、
あのしくみを見てきたので、
チャリじゃなくクルマも
同じなんだろうなと思っていました。

ただし、
人間の足の何百何千倍も
高速で回転するエンジンなので、
ギアを変えるとき何らかの工夫をしないと、
ガチャガチャどころの騒ぎじゃなく、
ぶっ壊れちゃう。

そこで、
エンジンの回転がタイヤに伝わるのを
一旦切り離す役目としてクラッチがある。

クラッチ切り、
動きが伝わらないようにしてる間に、ギア変速
──ぼくはそう解釈してました。

さてさて、
じゃあオートマチックって、クラッチないじゃん。
どうなのよ?
……これが、時々思い出しては
「なんでだろ?」っと一瞬考え、すぐに忘れる、
を繰り返していた長年の疑問だったんです。

その答え、つい最近、知っちゃいました。

犯人は、じゃなかった主役は「油」でした。
エンジンの回転は直にタイヤに伝わるのではなく
油を介するんだとか。

扇風機を2台向き合わせて
1台だけ回したとき、
間にある空気を通じて力が伝わり、
もう1台もそのあおりを受けて回る。

その空気と同じ役目を、
油(オイル)にさせているんだそうです。
回転するエンジン側 ─ オイル ─ タイヤ側
って感じに組み合わせて、タイヤ側に動力を伝える。
だからギアが変わっても、
衝撃は和らげられるんだそうで。

あれ? こここには
『剣豪将軍義輝(中)孤雲ノ太刀』
の感想書くはずでした。

でも長年の疑問が晴れたのが嬉しくて、
それだけになっちゃっいました。
ごめんなさい。

本はすごく面白かったです。 




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2014年12月24日水曜日

『2312 太陽系動乱(上)』(キム・スタンリー・ロビンスン)読みました。

どこのラーメンが美味しいとか、
あの店のカレーはダメだとか
……同じメニュー名なのに、
店によって味の違いは千差万別ですよね。

それと同様に、
消化の度合いというか、お腹のもたれ具合も、
お店によって違うなと思います。

食べたときには、とても美味しく感じるのに、
食後の数時間、ゲップが出っぱなしに
なっちゃうとんかつとか。

同じとんかつで言うなら、
食感がなんとなくべちゃべちゃしてて
「こりゃあ失敗」と感じたみトコでも、
店を出たあとには、
油モノを食べたあととは思えない
胃のすっきり感があったり。

原因は、
使っている素材の違いかもしれないし、
調理の順番、火加減、
調味料の組み合わせとか、かもしれない。
もっといえば、
ぼくとそのお店の相性や、
食したときの体調もあるんでしょうね。

揚げ物は好きなんですが、5件に1件は
ゲップゲップ状態の店に当たるんです、最近。

で、この『2312 太陽系動乱(上)』。

なんか、うまく消化できませんでした。
この胃もたれ状態、下巻を読めば解消できるかな。



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2014年12月22日月曜日

『明治の「性典」を作った男: 謎の医学者・千葉繁を追う』(赤川学)読みました。

つい先日、高校時代に所属していた
バドミントン部のOB会がありました。

試合の参加者の中ではぼくが最年長。
50歳を過ぎたおっさんが、
若いやつらに足蹴にされながら、
どたどたとコートを走り回っていました。

このOB会は、年に1回。
ぼくがバドミントンをするのも、
ほとんどこのときだけです。

当然、昔のようには動けません。
高校生のときには、
軽いフェイントでネットぎわに落とされた球でも、
ひょひょいとステップを踏んで、
軽く手を伸ばせば返球できた。

でも今じゃ、
足はもつれ、ラケットも出せない。
それがわかっているハズなのに、
追っかけちゃうんです、51歳のぼく。

当然、転がります。
すると、周りから
「ケガするから、無理するのはやめましょう」
と声が掛かる。

だけど、同じ球が来ると、
とれないとわかっているのに、
またまた走ってって転ぶ。
んでまた忠告を受ける。

なんでまぁ、
できないとわかっているのに
追い求めちゃうんですかねぇ。

で、この『明治の「性典」を作った男』。

できないとわかっているわけじゃないけど、
つかまらないとわかっているわけじゃないけど、
謎の医学者、追い求めてます。

自分がそうだからなのかな……
追ってる人、好きです。



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2014年12月18日木曜日

『剣豪将軍義輝(上)鳳雛ノ太刀』(宮本昌孝)読みました。

トイレに行きたくても、
その場のあれやこれやの事情で行けなくて、
我慢しなくちゃいけないことがあります。

そのとき、小のほうは、
欲求が時間を追うごとに膨れあがるのに対し、
大のほうは、
強くなったり弱くなったりを波のように繰り返し、
ときには、「あれ? もうしたくなくなった?」
なんて思って安心した途端に、
ぎゅーっと差し込んできたりする。

大と小の違いは、
身体の構造上の問題なんですかね。

ちょっと、たとえが下品だったかもしれませんが、
小説も、大と小みたいな分類が
できるんじゃないかと思いました。

「小」は右肩上がり型。
始まりは状況説明みたいな取っつきにくい文章が
連なっていたのに、ページをめくっていくうちに、
ぐいぐい引き込まれて
「えーっ!? どこまでいっちゃうの〜!」みたいな。

「大」は周波数グラフ型。
「もうダメ!我慢できない!」的な
物語の山場があったと思ったら、
次のページでは人物設定や背景の解説なんかの
平坦な文章が結構長く続いて
「あれ? したくなくなった」と思いきや、
また見せ場がくる。

どっちがいいとか悪いとかじゃなく、
大でも小でも、
そんなふうに感じられる本があるなって思い、
ぐだぐだ書いちゃいました。

で、この『剣豪将軍義輝 上 鳳雛ノ太刀』。

ぼくの分類でいえば、「大」でした。
この本は、あと2巻続くんですが、
そこにいくと、
なんとなく右肩上がりの「小」になる予感。
次、早く読もっと。


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2014年12月16日火曜日

『二流の人―官兵衛と秀吉』(坂口安吾)読みました。

現場を直接見ていないのに、
渡された資料だけで、施設紹介とかの記事を
書かなくちゃいけないことがあります。

ぼく、実はそれ、得意なんです。

ひょっとすると、
実際に見て書くよりも、見ないで書く方が、
いい原稿になるかも…ってくらい。

資料だけでそんな記事を起こすときは、
間違いがあると怖いので、
たいてい現場の人に内容を
チェックしてもらいます。

すると、少々の修正依頼と一緒に、
「いつ取材されたんですか?」とか
「こんなこと資料には載せていないのに、
 なぜ知っているんですか」
とかのコメントが返ってきます。

もちろん、現場に行ったワケじゃないし、
バイトちゃん使って探りを入れたワケでもない。

なぜ見てもいないのに書けるかっていうと、
想像して書いちゃうから。

でも、ですね。
それって、つくっているんですけど、
つくっていないんです。

資料を読まないと頭の中に浮かんでこない
「つくりモノ」なんです。

このぼくの「つくりモノ」は、
実物を見ちゃうと頭に残らず
スルーしちゃう性質を持っているみたいで、
だから、
資料だけで書いた原稿のほうが、
リアルに近く面白くなるんだと思います。

で、この『二流の人』。

大河ドラマでやってる黒田官兵衛を
描いた『二流の人』と、
豊臣秀吉が主人公の『真書 太閤記』の2編。
表題作より秀吉が面白かったなぁ。
でも実物見たら、こうは書けないだろうな。
「つくりモノ」の面白さ。


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2014年12月12日金曜日

『大神兄弟探偵社』(里見蘭)読みました。

このブログでも何度か言ったと思いますが、
数年前に他界したぼくの親父は、
ぶつかったクルマを直す修理屋さんでした。

専門は塗装。
でこぼこになったドアとかの鉄板を
平らにするのは板金屋さんで、
親父は、
平らにはなったけど、
鉄板がむき出しになっちゃったトコに、
周囲と同じ色の塗料を塗っていく人でした。

これがまあ、なんとも職人なんです。

いわゆる「技」を持ってる。
塗装のはげていないほかの部分と
色がぴったり合っちゃうんです。

ぼくも、親父の仕事を少し手伝ったことがあり、
言葉には出さずとも、
はたで見みながら、「ほぉ〜」と感心してました。

まず、
大まかに数種類の塗料を
適当な大きさの缶に入れて混ぜ合わせ、
近い色をつくります。

その大まか色を指先に1滴たらしたら、
クルマの塗料がはげていない部分に
ちょこっと塗って、色の違いを確認する。

見ているぼくは、
「これはたぶん緑が足りないぞ」なんて思う。

すると、親父は
緑とは真反対の赤の塗料を数滴、
大まか色の中に落とし、木べらぐるぐるかき回す。

これが見た目には、
ちっとも色が変わっているようには見えない。
でもそれをまた、指先にたらし、
塗ってみると、なんと、どんぴしゃ。
すげー親父!

で、この『大神兄弟探偵社』。

足す色がちと違ってるかな……って印象でした。



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2014年12月10日水曜日

『読書狂の冒険は終わらない!』(三上延/倉田英之)読みました。

昔かよっていたスポーツクラブは、
温泉施設とジムが併設されていました。

少し多めに会費を払うと、
ジムだけじゃなく温泉も入れるんです。

お風呂大好きのぼくは、
もちろん温泉併用メニューの利用者。
というか、
毎日温泉に入るために会員になっている感じでした。

でも、悩ましい点が一つだけあったんです。

それは温泉施設にはなくて、
ジムのプール脇だけにあるジャクジーの存在。

そのジャクジーには、
足裏にぶくぶくを噴射する設備
(勢いがとんでもなく強烈!)があったんです。

これがなんとも言えず気持ちいい。
あぁ〜極楽極楽っ、なんです。

温泉もジムも利用できる会員だから、
足裏ぶくぶくもやって、温泉にもつかってと、
2つの恍惚感を味わえる。

……と思いきや、そうは問屋が卸さない。

ぼくが利用していたのは、
会社に行く前の朝の時間帯。
2つの楽園に行っちゃうと会社に間に合わないんです。

しかも、温泉は裸OKだけど、ジャグジーは要水着。
足裏ぶくぶくしたければ、
海パンも用意しなきゃならない。

どちらか1つにしなきゃダメだったんです。

仕方なく、ぼくは温泉をメインにして、
週1〜2回だけ海パンを持参し
足裏ぶくぶくの日にしていました。
どっちも気持ちよかったなぁ。
あぁ〜極楽極楽っ。

で、この『読書狂の冒険は終わらない!』。

「あぁ〜極楽」な本でした。
どらかというと足裏ぶくぶく的な。


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2014年12月8日月曜日

『みんなの少年探偵団』(万城目学ほか)

つまならいとも、面白いとも思わずに、
ただ漫然とテレビドラマを観ていること
ってありますよね。 よね?  たぶん。

少し離れた場所にあるリモコン取って
チャンネル変えるのも面倒だと、
休日の昼時に食事をしながら、
なぜか映っていた再放送の
2時間サスペンスドラマを、
そのまま眺めているとか、

一日の仕事が終わって
「あぁ、疲れた」なんてぼやきながら、
リビングにごろんと転がって、
誰かが消し忘れたテレビの
時代劇をそのまま観ているとか。

「これを観たい」という意志があって、
映像を目にしているのではないから、
つまらない内容でも気にしない。

というか、
映っている番組のことなんか考えていない。
考えていないけど、
ストーリーは頭の中に流れてくる。

どうしようもなく下らない話が流れてきても、
それはそれで、心地よかったりする。

逆にのめり込んじゃうような
面白い物語だったら、
せっかくのまどろみ的状況が台無しになっちゃう。
そいうシチュエーションに
ぴったりはまるドラマってありますね、よく。

で、この『みんなの少年探偵団』。

短編5作を1冊にまとめている本。
どれも、まどろみ的シチュエーションに
最適のお話でした。


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2014年12月5日金曜日

『鹿の王 (下) 還って行く者』(上橋菜穂子)読みました。


iPhoneとかMacに表示される
アイコンなんかのデザインが、
昔に比べて平面的になってますよね。

ぼかしの影とかをつけて、
立体的に見せていたものを、
紙を切って貼ったようなフラットな
形にしちゃってる。

人によって好き嫌いはあるので、
あちこちで賛否両論があるみたいですが……。

余計な飾りを徹底的に捨てちゃって
シンプル・イズ・ベストを
目指そうってことなんでしょうかね。

そういうことだったら、ぼくは、まぁ賛成です。

なんだかんだがゴテゴテくっついていると、
もともと、理解力の乏しいぼくの頭が
ついていけなくなっちゃうからです。

ごちゃごちゃの修飾デコレーションに惑わされ、
本当は何を示したいものなのか、
わからなくなっちゃう。

それって、デザインもそうなんですが、
それよりも文章のほうが顕著。
例えば、ぼくを修飾するために
「格好いい」とつけて、
「格好いい」には「トム・クルーズのように」、
その上に「いつもさわやかな」で
「すがすがしい夏空のように」なんてきたときには、
えっ!? 何のことだっけってなっちゃいます。
まるで、ぼくの書く文章みたい。

なので、
とにかくシンプルにしてもらえると、
おばかなぼくでも、
すとんって理解できるから、うれしい。

で、この『鹿の王(下)』。

もうちょい物語の筋がシンプルだったら、
うれしかったです。


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2014年12月3日水曜日

『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』(佐々涼子)読みました。


ページの構成を考えたり、文章を書いたり、
レイアウトをしたり
という本づくりの仕事をしていると、
普通の読書ができなくなることがあります。

ここでいう普通の読書ってのは、
書かれている内容に没頭して、
頭の中が、
その物語だけで埋め尽くされちゃうような感じや、
「あーつまねんねぇなー」と愚痴りながら、
つまらなさを噛みしめて読む感じ、の読み方です。

たぶん、
多くの人がやっているだろう一般的な読書スタイル。

そんで、
それができなくなるというのは、
読書の最中に、
自分がつくってるときの様子を思い出しちゃうこと。

楽しむだけのために読もうと思った本でも、
「1章と3章の順番を入れ替えたほうがいいのに」
「同じ内容が重複してるじゃん」
「見出しの付け方が、どんぴしゃ。
 今度、真似しよっと」
などなど、余計なことがよぎってくる。

たとえるなら、
止まらず走りたいのに、
道の真ん中にゴミが落ちていたり、
信号で止まったり、
偶然友だちに会ったり、
……みたいなジャマー大量状態。

で、この『紙をつなげ! 彼らが紙の本を造っている』。

泣ける本なのになぁ〜
……ジャマー大量でした。



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2014年12月1日月曜日

『小夜しぐれ(みをつくし料理帖)』(高田郁)読みました。


ちょっと前に読んだ沢木耕太郎さんの本に、
「旅は人生に似ている」
ってなことが書いてありました。

旅も人生も、はじめのうちは、
知らないことばかりで刺激に満ちているけれど、
長く続けると感動も薄れてくる、みたいな。

それは、旅と人生ばかりじゃなく、
ほかのいろんなものにも通じていそうです。

恋愛なんかはその最たる例じゃないですか。
最初は熱々だったけど、
そのうち冷え冷えになっちゃうとか。
この「熱→冷」でいえば、
温かい食べ物なんかはみんなそうだし。

で、この『小夜しぐれ(みをつくし料理帖)』。

シリーズの5巻目だか6巻目なんです、確か。
1巻目を読んだとき、
泣けて泣けて、鼻水すすりながらページを
めくった覚えがあります。

でも、
これも旅とか人生とか恋愛とか
冷めちゃう食べ物とかのように、
なってしまったんです、ぼくの場合。
まだ続きの巻があるんですが、
読もうかどうしようか検討中です。


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2014年11月27日木曜日

『鹿の王 (上) 生き残った者』(上橋菜穂子)読みました。

高校時代、
部活でバドミントンをやっていました。
今でも年に一度OB会があり、
そこで遊びのゲームをします。

でも、そのとき戸惑うのがルールの違い。

今は、サーブ権のあるなしに関係なく
ショットを決めるか相手がミスすれば
得点できるラリーポイント制です。

ところが、ぼくがやっていた当時は、
サーブ権を持っていないと、
いくらスマッシュを決めても点数は入らない
サーブ権ポイント制だったんです。
(↑この名前はぼくが勝手につくりました)

まあ、それだけなら別に迷うことはないんですが、
このルール変更にともなって、
ダブルスでのサーブのやり方が、
複雑怪奇(←ぼくにとって)になっちゃったんです。

ダブルスの二人のうちどちらがサーブするか、
半分に分かれているコートの右と左の
どっち側から打つのか……

「偶数だから右だよ」とか、
「前回はぼくだったから、今度はあなた」とか、
その度ごとに教えてもらうんですが、
何度やっても、いまだにそのしくみが覚えられません。

もっと単純に、初めての人でも
すぱっと理解できるやつにしてほしいんだよな。

で、この『鹿の王(上)』。

もっと単純に物語を組み上げてもらえると、
うれしかったな。
でも下巻を読み進めるとその印象も変わるのかな。



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2014年11月25日火曜日

『深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン』(沢木耕太郎)読みました。

ぼくは一度やり始めると
なかなかやめられない性格のようです。
というか、やめるのが怖い感じ。

たしか、イチローさんは自分の打席のとき、
ベンチからバッターボックスに立って
構えるまでの一連の動きが、
指の使い方まで毎回同じだと聞いんたですが、
(イチローさんと比べるのもおこがましいけど)
ぼくもそれなんです。

お風呂で身体を洗う順序はもちろん、
朝起きてから家を出るまでにする行動の流れも、
お弁当を食べるときのおかずに箸をつける順番も、そう。

その流れの中に、
何かの拍子で新しい動きが一つ加わって、
やがてフローに組み込まれちゃうと、
「やっぱ、その動きは無駄だよ、やめようかな」
と頭に過ぎったとしても、
なぜかやめるのが怖くなってやめられない。

そんな日常に組み込まれたパーツの一つに
ツイッターの投稿があります。
平日は一日一回。
もう何年も続いています(やめるのが怖い)。

でも、それを長くやってると、
ネタがなくなってくる。
ひどいときは、投稿し終わってから、
「そういえば、同じこと前にも書いた」と気づくくらい。

自分の中でネタが新鮮だと思えなくても、
なんかわからんものに縛られて、書いちゃってる。

それって、なんか、いかんなと思うわけです。

で、この『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』。

なんか、いかんな、と感じちゃいました。



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2014年11月21日金曜日

『火星の人』(アンディ・ウィアー)読みました。


今日は11月21日なので、
2014年はまだ1カ月と少しあるけれど、
今年読んで5つ星つけた本をまとめておきます。

読んだ本のリストを見てみると、
今年は再読の本が3つも、
お気に入り最高評価欄に入っていました。

そんなに時間を置かないで二度目読みしたから、
感激度合いも変わらないってことですね。

今度は、もう少し間を空けて、
年齢を重ねてから読んでみよっと。

それ、ずずっと並べると以下の通りです。
(カッコの中に「/再」とあるのが再読)

『幕が上がる』(平田オリザ/再)
『11/22/63』(スティーヴン・キング)
『ジェノサイド』(高野和明/再)
『天使は結果オーライ』(野尻抱介)
『オービタル・クラウド』(藤井太洋)
『楽園のカンヴァス』(原田マハ/再)
『グリーン・マイル』(スティーブン・キング)

で、この『火星の人』。

今、上にあげた居並ぶ5つ星軍団7冊を
超えちゃいました。

はぁ〜、ホントおもろかった。

表紙が堅い印象だったり、
ハードSFとかってうたい文句にしていたりするけど、
そんなイメージはとっぱらってください。
楽しめちゃうんだから。

ぼくが面白いっていう本は、
他の人には受け入れられない場合が多いけど、
これはたぶん大丈夫。
思い切って言っちゃいます。オススメ!


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2014年11月12日水曜日

『深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海』(沢木耕太郎)読みました。

若いときには、
目の前で起こることのほとんどが
初めての経験で、良くも悪くも、
そこからヒリヒリするような刺激を
受けていました。

それがやがて中年、老年になってくると、
たいていのことは経験済みで、
ちょっとやそっとのことでは
刺激なんて、もらえなくなっちゃう。

聞こえのいい言い方をすれば
「物事に動じなくなる」だし、
皮肉った表現なら「鈍感になる」。

まぁ人生ってのは、そんなものでしょう。

これに似ているのが、長い旅。
最初のころは、電車の切符を買うのにも、
おろおろして、どうすればいいのかわからない。
それでも、なんとか人に聞いたりして、
ようやく買えた切符を眺めて、
「おぉ!」とかって感動する。
「この切符でとんでもなく遠くまで
 行けるんだな」とか、感無量になったりする。

でも、旅を長く続けてると、
最初のころに受けた刺激はどこへやら。
旅先だからこその珍しい出来事があっても、
「あ、これあのときと同じだ」
とか思うようになる。
鈍感になって、何事もつまらなくなってきちゃう

……ってなことが、
この『深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海』
に書いてありました。

シリーズ5冊目。
全6巻なので、人生でいえば、中年・老年。
長旅なら終盤。
本の中で言われてたのと同じように、
ぼくもこの5巻目では、
そんなに刺激を受けなくなっていました。



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2014年11月10日月曜日

『シャイニング(下)』(スティーヴン・キング)読みました。

昔は、テレビがついていたり、
人の話が聞こえてきたりする場所で本を読むと、
ちっともその内容が頭に入らず、
何度もページをめくり直して、
読書が進みませんでした。

脳みそががんばって
「文章も読み解きつつ、周囲の音も理解しなくちゃ」
とマルチタスクの処理に向かっていたんだと思います。
んで、結局どっちつかずになっていた。

でも最近は、
本を読んでいるときには、
わりと周囲の音が気にならず、
テレビがついていても、
近くで誰かかが会話していても、
すすっと内容を
理解できるようになってきたんです。

それはたぶん、
脳みそにあきらめの境地が
入ってきたからだと思います。

「あっちもこっちも理解するのは疲れるよ、
 もういい年なんだから」
って感じかと。

そのあきらめの境地は、
本の内容が面白いとき、顕著にあらわれます。
逆に、書かれている内容に
気分が乗らないときは、
なぜか、あきらめさんの勢力は衰え、
マルチタスクさんが頭をもたげます。
不思議なもんです。

で、この『シャイニング(下)』。

どうしたことでしょう。
上巻はあきらめさんが優勢だったのに、
この下巻では、
マルチタスクさんのがんばりが凄かった。
読書中は、テレビの音が小さくても、
ひそひそ話の会話でも、
なんかやたらに気になっちゃいました。


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2014年11月6日木曜日

『蜩ノ記』(葉室麟)読みました。

書道コンテストの実況中継をしていた
テレビ番組がありました。
もしかしたら、バラエティ番組の
1コーナーだったかもしれません。
いつのことだかも覚えてないんですが、
とにかくぼくはその番組を観ていて、
解説者が言ったコメントが頭に残っているんです。

「素晴らしい!
 一文字目の最後の跳ねる部分は明らかなミスで、
 全体のバランスが崩れかかっていましたね。
 それをきちんと自覚して、
 二文字目で崩れたバランスを補うように、
 文字の大きさを調整しています。すごい!」

こんな感じの解説者の言葉なんて、
テレビの中にあふれているのに、
なぜかこれは残っている。

それはたぶん、
自分のやってる仕事と比べたからだと思います。

原稿を書く仕事は、
ミスったと気づいた段階で何度でも書き直せる。

でも、書道は一回こっきりのその瞬間だけ。
やり直しはできない。そんな作業なのに、
解説者がほめた人は、
軌道修正しながら作品を仕上げた。

なんか見習いたいなと思う所があったから、
覚えてたんでしょうね。

で、この『蜩の記』。

途中で、
「えっ、それはちょい違和感ある。強引…」
って思った箇所がありました。
でも、最後まで読むと、
ちゃんと収まるとこに収まってました。
書道の解説者みたいなほめ言葉が浮かんできました。



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2014年11月4日火曜日

『深夜特急〈4〉シルクロード』(沢木耕太郎)読みました。

もう20年近く前に、
外国で暮らしたことがある友だちから聞いた話です。
海外生活で、禁断症状的に求めてしまうもののこと。

何のことかって言うと、日本語の「活字」。

当時は携帯もインターネットもないから、
文章を読みたかったら印刷物に頼るしかない。
でも、
海外で日本語の文章が印刷されているものを
手に入れようと思っても、
日本にいるときのように簡単にはいかない。

だから、
滞在先でたまたま出会った日本人旅行者が
母国語の本を持っていると、
それに飛びつくように群がっちゃう。

相手の旅行者も同じように
日本語禁断症状になってるから、
互いが持っている本
(何度も読み返してすり切れた感じのヤツでも)
を交換して、両者安堵のため息をつく。
との、経験談でした。

とはいえ今は、
スマホなんて便利グッズがあるから、
そんな経験、誰もしなくなってるんだろうな。

で、この『深夜特急4 シルクロード』。

まさに、この友だちと同じ話が出てきました。
世界を旅していた40年前ほど前の若者たちが、
どこかの異国で日本語の本を交換し合っていた話。

今は電子書籍でかさばらずに何十冊も持ち運べるから、
禁断症状も起こらないと思いますけどね。
……うーん、紙の本って、いいっすね。


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2014年10月31日金曜日

『四人組がいた。』(高村薫)読みました。

似合うか、似合わないか、それは問題です。

ぼくなんかがもし女装をしたら、
そりゃもちろん、似合いません。
いやいや他人の判断なんか必要ありません。
似合わないんですから……やったことないけど。

この前、なんかの飲み会で、
誰かかがふざけて持ってきたアフロのズラを、
みんなでかぶりっこしました。

当然、カッコ良くなっちゃうヤツもいれば、
どっかの爆破現場から
逃げ出してきたような姿になるヤツもいる。

そのとき思ったのは、
似合うか似合わないかは、
その人が持っている外形では
決まらないんじゃないかってこと。

顔や頭の形とかそういうのではなくて、
性格というかキャラというか、
内面的なものが影響していると感じたんです。

その人の中身が、
そのズラやら服装やらを
受け入れるような形になってるか否か。
フィットする形であれば、
それが似合うってことで、
種類の違う形であればイタい姿になる。

で、この『四人組がいた。』。

どうでもいいけど、タイトルに句点「。」が入ると、
句点がつながって絵文字みたいになっちゃいますね。
と、いうことで、
高村薫さんにはユーモア小説は
似合わないなと感じました。



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2014年10月27日月曜日

『Another(下)』(綾辻行人)読みました。

ダチョウ倶楽部のギャグで
「聞いてないよぉー」
っていうのがありましたね。

ネットで調べてみたら十年以上前に
流行語大賞の銀賞をとってるみたいです。

あの方たちは芸能人で、
サプライズのひどいことをされるが商売になっている。
聞いてなくても、ネタになるから、
それはそれで良しとなります。

でも、ぼくら一般の人は、
やっぱ事前に知らせて欲しい。
いつもと同じギャラをもらえると思ってやった仕事で、
「ありがとうございます!
 今回は予算がないからノーギャラなのに、
 よくがんばってくれました!」
なんて言われようものなら、
「聞いてない」どころの騒ぎじゃおさまりません。
(幸い今までそんな場面はありませんでしたが…)

で、この『Another(下)』。

どんでん返しっていうわけじゃないんだろうけど、
「それは聞いてないよー」でした。
なんかずるいなと思ったのは、ぼくだけかな。



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2014年10月24日金曜日

『シャイニング〈上〉』(スティーヴン・キング)読みました。

小説の売り文句で
「一気読み必至!」ってありますね。

物語にぐいぐい引き込まれて、
ページをめくる手が止められなくなり、
ほかのこと忘れて読みふけっちゃっう。
それくらい面白いから読んでね、みたいな。

小説っていうのが、どれもこれも全部
「一気読み必至!」だっらいいんですけど、
そうじゃないのは皆さんもご存じの通りです。

とはいえ、
一気読み本だけが面白いのかというと、
そうでもないですよね。

前に読んだところを
いとおしげにめくり直しながらとか、
ため息つきながら一行一行に立ち止まりながらとか、
そんなふうに読める本なら、
もしかしたら一気読み本よりも面白いかもしれません。
まあ、ぼく的には、活字が並んでいさえすれば、
どんな本でもいいと思ってるところが
ないわけでもないわけで。

で、この『シャイニング(上)』。

キング好きの人からは、
何を今さらって言われそうだけど、
やっぱもう一回読みました。
このお話の続きが出るとかって噂を聞いたものですから。

それでわかったこと。
大抵のキング作品を
ぼくは一気読みジャンルに分類してるけど、
これはそこからちょっとはみ出してるなってこと。
立ち止まりながらのため息ジャンルも入ってる。
なので、即座に下巻読んで、その分析が正しいか判断します。



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2014年10月22日水曜日

『光と風と夢・わが西遊記』(中島敦)読みました。

「開く」って言葉があります。
ここでいうのは漢字をひらがなに直すこと。

(おそらく業界用語だろうと思って辞書をみたら、
 「漢字→ひらがな」の意味も載っていました。
 へぇ〜一般的な言葉なんだ)

本の校正刷りなんかに、
赤ペンで修正指示を入れるときに使ったりする言葉です。

「菊池」って印字してあるところに
赤線を引っ張って「開く」指示を入れると
「きくち」になる。

ぼくは、
自分の知的レベルがそれほど高くないこともあって、
開くのが好きです。

その度が過ぎて、
言葉の意味的なことにまで、
この「開く」を使って赤ペンを入れることがあります。

要するに、難しく書くのはやめようよ、
もっと誰でもわかるように簡単に書こうよってこと。

ライターさんとかから
「日本国民は、恒久の平和を念願し〜」
なんて書いてある原稿があがってきたら即
「この文章もっと開いてください」
と注文しちゃうんです。

(この「日本国民〜」の文章は
 日本国憲法から引いたんですけどね。
 憲法の条文も開きたい!)

でも……それはそうなんですが、
開かないほうが、
ぎゅぎゅっと内容が詰め込めるんですよね。

詰まってるから、
読むほうは、解きほぐしながら
時間をかけて読まなきゃいけない。

理解しようと思ったら
真剣に文章と格闘しなきゃいけない。
そういうのも、
ある程度必要なのかなぁとも思ったりするんです。
優柔不断で、どっちつかずなぼくは……。

で、この『光と風と夢と・わが西遊記』。

ん〜っ、開いて欲しい。けど開いて欲しくない。


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2014年10月20日月曜日

『Another(上)』(綾辻行人)読みました。

不思議な夢を見ました。
先生と二人で酒を飲んでいる夢。

小学校から映画学校まで、
どの時代に習った先生なのかは不明で、
というより夢から覚めた直後に、

「これまで、あんな先生に教わったことないよね?」
「なぜ先生と呼んでいるかもわからない、
 だって初対面でしょ?」

と頭の中で自分に問いかけていたくらいです。

でも、その酒の席では、
先生が、ぼくの記憶の中にある出来事を
一緒に経験してきたみたいに話してくれる。

「そうですね、なつかしいですね」
なんて相づちを打ちながら、
ぼくも興に乗って、お酒もどんどん進む。

そうするうちに、
先生の髪の毛が変なことに気づくんです。
髪の毛というか、目というか。

向かって左の目に先生の前髪の先が触れ、
やがてその髪の先端が
目玉の表面をなぞるようにゆらゆら動くんです。

ワカメみたいに揺れたかと思うと、
ワイパーみたいに規則的な動きになったり。

「先生!髪の毛、目に入ってます!」
とぼくが言うと、先生は、
「ああ、これね、いいのいいの」と笑う。
そこで目が覚めちゃったんです。

で、この『Another(上)』。

この本を読んだから、そんな夢を見たんだと思います。
早く続きの下巻を読もうっと。
夢の続きも見られるかもしれないから。



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2014年10月14日火曜日

『山月記・李陵 他九篇』(中島敦)読みました。

30代の半ばくらいだと思います。
友だちがインドに行ってきたという話を聞きました。

それまでぼくがインドについて聞いていた噂では、

「インドに行くと
 圧倒的なカルチャーショックを受けて、
 もう日本に帰ってくる気がなくなる」

「そのまま住み着いて、
 音信不通になっている人がたくさんいる」

っていう、なんだか怖いような、
でも覗いてみたいような、
とにかく不思議な魅力がある場所と
思っていたんです。

なので、帰国した友だちに、
「よく帰って来られたね。
 インドってすご過ぎて、そのままどっぷり
 はまって居着いちゃう人がいっぱいいる
 みたいじゃん。はまらなかったんだ」
と聞いたんです。

すると彼は、
「確かにガツンってくるとこもあるけど、
 年とって敏感じゃなくなってるから、素通り。
 もう少し若い時に行っていたら、
 違ってたかもしれないけど」
と言いました。

そうか、そうなんだよな。
色々経験しちゃうと、
ちょっとやそっとのことじゃ
刺激を受けなくなっちゃうんだよな。

で、この『山月記・李陵 他九篇』。

ガツンとくるところもあったけど、素通りでした。
もうちょい若い時に読んでたらなぁ。

(中島敦さんの作品は、
 高校の現国の教科書に載っていた
 『山月記』しか読んだことありませんでした。
 そのときは授業だったので、
 どんなに魂が震えるような作品でも
 何の影響も受けられませんでした。
 だって授業だったから)


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2014年10月10日金曜日

『未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ』(リンダ・グラットン)読みました。

「先生は結果を見て、非道なことと判断されています。
 でも、それに携わってる人たちって、
 決して悪意を持ってるわけじゃない。
 他人の役に立つ正しいことだと信じて
 やっている人が大半です」

「そんな人が一番やっかいですね。
 とはいっても、私が知る限り、
 利益追求や自己保身が目的で
 やっている人のほうが多いですよ」

って感じの対談記事をどっかで読みました。
例によって、この部分しか覚えてなくて、
誰と誰が何について話した内容かも忘れてるんですが…。
(立花隆さんが、医薬品メーカーを批判する識者に
 インタビューした記事だったかな、たぶん)

そうなんです。
ぼくも、メーカーとか大きな組織とかが、
ガリガリ亡者的に何かをしてるってことを聞くと、

「違うよ、きっと。
 やってる人がど真ん中で考えていることは、
 世のため人のためってことだよ」
と思っちゃうんです。

甘いかな。
でも、いろんな会社に取材してきたけれど、
本当のガリガリさんには会ったことがないんです。
(経験不足なだけかもしれないけど)

ってことで、
何かと批判の的になるいわゆる「大企業」って、
そんなに捨てたモンじゃない、
と思ってるんですね、ぼくは。

で、この『未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ』。

捨てたモンじゃないことを再認識しました。


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2014年10月1日水曜日

『ビッグ・ドライバー』(スティーヴン・キング)読みました。


昔会社勤めしていたときに、
「すごいエリート」って噂の人が
途中入社で入ってきました。

細かいことにも自分の意見を出し、
入社早々それなりに成績も上げて
上司にも認められていました。

その人がある日
「ここだけの話、会社で不満に思っていることを
 聞かせてくれない?」
と二人だけになったのを見計らったように、
ぼくに話しかけてきたんです。

あれもこれもそれもと、いろんな不満はあったけど、
その人に言うことじゃないと思ったぼくは
「特にありません」と答えました。

でも、その人は、
「ほら、上司が厳しすぎるとか、
 社内の雰囲気が悪いとか、あるじゃない。
 ぼくはそれを変えていきたくて、
 みんなに聞いているんだ。
 B君なんか率直に社長の悪口言ってたよ」
と粘ります。

それでもぼくは
「いやー特にないっすけどね」とか言って
頭をぽりぽりし、少し足りない人を演じていました。

その後しばらくたって、
ぼくは上司から呼ばれ
「お前、そんなにこの会社が不満なら、
 他を探したほうがいい」
みたいな勧告をそれとなくされちゃったんです。

「はっ?」でした。

「えっ、なんのこっちゃ?」
と思って、よくよく聞いてみると、
例のあの途中入社のエリートが、
あることないこと上司に報告してたようなんです。

ほんで、みんなにも聞いてみると、
彼のターゲットはぼくだけじゃなく、
自分より年下の社員全員だってことがわかりました。
(そんなに大きな会社じゃないので、
 全員といっても、人数は二桁にもなりません)

社長の悪口を言ったB君はそのままを告げ口され、
ぼくのようなとぼけた答えをしたヤツは、
勝手な話をでっち上げて。

結局、
彼が何を企んでいたのかわかりませんが、
次第に誰も相手をしなくなって、話も聞かなくなり、
やがて、また転職していきました。

なんだかわからないけど、そんな人っているんですね。

で、この『ビッグ・ドライバー』。

もっと巧妙だったり、
もっと悪辣だったりする「そんな人」っていて、
その周りには、たくさんのまともな人がいる。

そうですよね、そうなんですよね、キングさん。


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2014年9月29日月曜日

『深夜特急3 インド・ネパール』(沢木耕太郎)読みました。

靴ひもが切れたので、買いに行きました。
売り場のディスプレイには、オーソドックスな白から、
色のついたもの、きらきら柄のオシャレなヤツなど
結構な種類がありました。

その中に、
「結ばない靴ひも」ってのがあったんです。

ここから先は遊泳禁止ですってときにでてくる
「ブイが等間隔でつながっているロープ」
みたいな感じのヤツを、
スモールライトで靴ひも大に小さくした感じ。

そのブイの部分がひもを通す靴の穴にひっかかって、
結ばないでもゆるまないように
できているらしいんです。

へぇーと眺めていたら
店員さんが使用時の写真を見せてくれ
「こうやって使うんです」と説明してくれました。

「ふーん、確かに手間は省けるかな…」
と思ったところで、
ぼくのうちなる声が聞こえてきました
「靴ひもぐらい、結ぼうよ」
……なので、ぼくは普通の靴ひもを買いました。

で、この『深夜特急3 インド・ネパール』。

旅先で野宿してベッドを使わなかったとき、
インドの料理を現地の人と同じように
スプーンを使わず手で食べたとき、
著者の沢木さんは、
「だんだん道具から解放されていく」
と書いていました。

ふー、危なかった。
ぼくも結ばない靴ひもみたいな便利な道具に、
またひとつ縛られるところでした。
あの「うちなる声」はこの本を読んだから、
聞こえてきたんだと思います。


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2014年9月26日金曜日

『しんがり 山一證券 最後の12人』(清武英利)読みました。

知り合いの編集者がぼやいていたセリフを、
ふと思い出しました。

「なんで俺が、
 〈少しでも読者の方の
  お役に立てれば幸甚です。著者〉
 とかって書かなきゃならないんだよ!」

ぼくもその編集者と同じようなことを
何度か経験しています。

著者とかライターとか原稿を書く役目の人が、
仕事を放り出して逃げちゃい、
捕まらなくなっちゃうんです。

「もう八割がたできているのに、なんで!?」
と叫んじゃう場面です。

スケジュールは押せ押せだから、
どうにもしようがなくて、
編集者が残りの原稿を仕上げる。

泣く泣く書き上げて、やったできたと思ったら、
「あとがき」が残ってる。

なんだよ、くそーと思いながら、
〈お役に立てれば幸甚です。著者〉と打ち込む。
「俺、著者かよ!」
ぼやきたくなるのもわかります。

さて、こんなことは
本当にうんざりしてやり切れないって
気がするんだけども、
その修羅場を乗り越える経験ができるのは、
実は幸せなのかもしれないな、
なんてあとから思ったりします。

「若いうちの苦労は買ってでもしろ」
というけれど、若くなくても苦労をするのは、
もしかしたら良い事なのかもしれないって。

で、この『しんがり 山一證券 最後の12人』。

いやー、いいっすよ、この本。泣けます。
著者やライターが逃げちゃうくらい
屁でもないわ! って思えます。



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2014年9月22日月曜日

『グリーン・マイル(下)』(スティーヴン・キング)読みました。

前にも書いた気がしますが、
ぼくには本を買うときのジンクスがあります。

上下巻とか全5巻とかの分冊になっている本は、
1冊読み終わってから次の巻を買うこと。

そういう買い方をしないと、
どういうわけか、
ぼく的にはハズレな作品にぶつかっちゃうんです。

上下巻に分かれている本で、
上巻を途中まで読み「こりゃオモロイ!」って思い、
すぐに続きを読めるようにと、
上巻を読み終わっていないのに下巻を買って
本棚に置いておくのもダメ。

積んでおいた下巻を読み始めると、
あんなに面白かった上巻の雰囲気は
どっかに吹き飛んでいっちゃうんです、なぜだか。

でも、そのジンクスを忘れて、
ついつい続きを先に買っちゃうものもあります。
いや、ジンクスのことはわかっていながら、
こればっかりは違うだろうと、
たかをくくって先買いしちゃうのもあります。

最近はつい1カ月ほど前に読んだ『親鸞』がそうでした。
これはもろ下巻失速のどんぴしゃジンクスパターン。
何度やってもこりないようです。

で、この『グリーン・マイル(下)』。

上下巻の本でした。
上巻があまりにもオモロくて、
ジンクス恐れず先買いしちゃったんです。
でも……
おめでとう! ぼく!
見事、先買いジンクスが破れたんです!
いいわー、この本。もう一回読も。
あ、その前に、ほかのキング作品も読もっと。


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2014年9月16日火曜日

『グリーン・マイル(上)』(スティーヴン・キング)読みました。

出産の予定がある作家さんが、
先輩からアドバイスを受けてる文章が載ってた
対談記事だかなんだかを読んだ覚えがあります。

例によって誰と誰の話なのか、
また対談の主要テーマがなんかのかとか、
そんなもろもろは、忘れちゃってるんですが、
1つだけ印象に残ってるセリフがあります。

「自分の子どもが生まれると、
 面白い作品が書けなくなっちゃうから、
 書くなら今のうちだよ」

今までは、主人公が過酷な運命を
何とか乗り越えていく物語だとか、
目を背けたくなるような残酷なシーンだとかを
さんざん書いてきたのに、
子どもができると、
それができなくなっちゃうんだとか。

つくっていくストーリーの中に、
自分の子どもを重ね合わせちゃうんでしょうね。

やっぱ、自分の子どもは可愛いし、
親ってのは、子どもが平穏無事な人生を歩むのを
何をおいても望むものだから。

創作はつくりモノで、実際の生活とは違うんだけれど、
そんなことわかっていながら、
どこかでブレーキがかかっちゃうんでしょう、きっと。

でもしかし、
ブレーキを無視して、ずっとアクセル全開で
いられる作家さんもいるんですよね、これが。

で、この『グリーン・マイル(上)』。

アクセル全開でした。


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