2014年3月31日月曜日

『愛と日本語の惑乱』(清水義範)読みました。

ぼくがつくったお話を
自分の会社で電子書籍として売り出してます。
タイトルは長いので略して『電卓エクセル』。
言ってみれば表計算ソフトの使い方と
一般ピープルの物語を組み合わせたようなものです。
(下段にAmazonへのリンク。宣伝のようでごめんなさい)

この実用ノウハウと物語を組み合わせるってやり方が、
成功しているかどうかは、
読んでもらった人に判断してもらうしかなくて、
自分でいくらイイって言っても、
根拠がない言い訳みたいになっちゃうんですよね。

それでもあえて言うと、
普通のパソコンソフト解説本では、
ただ便利ワザが羅列されているだけで、
それを読んでも、すぐに忘れちゃうんだけど、
同じワザをストーリーの中に組み込んで読んでもらえば、
多少は記憶に留めることができ、
ちったぁ実用価値があるんじゃないかな、
と思ったりしてます。

で、この『愛と日本語の惑乱』。

著名な作家さんの作品と比べるなんて
非常におこがましいんですが、
この本、ぼくの『電卓エクセル』と同じような
実用価値があると思っちゃいました。

日本語の正しい使い方という実用的な知識が
物語の中に組み込まれてる。
ただ、本の中には、その知識量が多すぎて、
ぼくはまだ使いこなせていないんですけどね。


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清水 義範
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2014年3月28日金曜日

『自分では気づかない、ココロの盲点』(池谷裕二)読みました。

「どんな本が良い本だと思う?」という質問に
「分厚くて空白部分が少ない本」と言った人がいました。

分厚いっていうのは見た目ですぐわかります。
「でも、空白部分が少ないって何?」
「改行がなくて、
 文字がページ全部に詰まっているヤツだよ」

なんでもその人が言うには、
同じお金を出して手に入れる本なら、
あれやこれやがたくさん盛り込まれていて
「お買い得!」って感じがしないとダメなんだそうです。

ぼくはその人の好みとは逆の
本づくりをしていました(というかしています)。
そのほうが読みやすいだろうと思って、
なるべく改行が多くなるように文章をつくったり、
「お手軽に一目で情報が得られる感」を出そうと、
余白部分を大きくとったり。

その人の話を聞いて、
誰もが受け入れてくれると思っていた、
ぼくのような本のつくり方が
気に入らない人もいるんだなってことを知りました。

で、この『ココロの盲点』。

ページ数は少なくて厚みはありません。
文章は、改行が1行ごとにあるような形式で、
もちろん空白スペース満載。
この本を読んで、
ぼくのような本のつくり方が気に入らない人の気持ち、
少しわかった気がしました。


自分では気づかない、ココロの盲点
池谷 裕二
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2014年3月26日水曜日

『心を操る文章術』(清水義範)読みました。

「あばたもえくぼ」っていいますよね。
好きな人の一部分であれば、
普通は嫌いになってもおかしくないことでも、
よく見えてきちゃう。

もう一つ、まったく違う意味のようで、
よく考えると似ていることわざが、
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」
その人を嫌いになると、
その人の着ている服まで嫌いになっちゃう。

どっちの言葉も極端だけど、
そんな極端まではいかないまでも
「あばた〜」から始まって「坊主〜」的な
気持ちになっていく本は、たまにあります。

導入部分がすごく面白くて引き込まれていき、
でもその中に少しだけ、
自分的にはしっくりこない言い回しが
使われているようなとき。

最初は、しっくりこない部分も
面白さに隠されて読み進められる。
でも、そのしっくりこなさが
何度も繰り返し使われるようになると、
だんだん鼻についてきて、
次第にその本全体が
「なんか合わないなぁ」って思ってきちゃう。

で、この『心を操る文章術』。

面白かったです。ためになりました。
ただ、ぼくの個人的な趣味なんですけど、
昔の文語的な記述の本を除いて、
文章の末尾が「のだ」で終わるのが好きじゃないんです。
それが繰り返し出てくると
「なんか合わないなぁ」って思ってきちゃうのだ。
そんなの気にしなきゃ、とっても良い本なのだ。


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清水 義範
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2014年3月24日月曜日

『天使は結果オーライ』(野尻抱介)読みました。

「予測可能なストーリー展開」って文言は、
つまらない作品の感想として、よく目にします。

ようするに、
結末が読めちゃって面白くないってことですね。

面白い物語っていうのは、
その先どうなるんだろうって考えても、
まったくわからず、
どきどき、はらはらしまくるもの。

自分の考えが追いつかない、
思考未達型の楽しさです。
その逆で「あぁ、最後はこうなるんだろうな」
と読めちゃうと興ざめしちゃうんでしょうね。

それからそれから、
結末を予想するもなにも、
そんなふうに考える隙間さえ
与えてくれないものありますね。

「わっ!わっ!わっ!」とかって言いながら、
取り憑かれたみたいにページをめくっていって、
どっぷりはまっちゃう作品。

次はどうなるんだろう、
なんて考える思考回路は通行止めされて、
その物語だけの優先道路が、
頭の中にどとーんと敷かれるような。

そんな作品もやっぱり、
ストーリー展開は予測できない。
これは、いわば思考占有型。
そういう本に出会えると
スキップして飛び回りたくなっちゃいます。

で、この『天使は結果オーライ』。

なんもかんも忘れさせてくれた、思考占有型でした。
楽しいです!


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2014年3月20日木曜日

『月の輪草子』(瀬戸内寂聴)読みました。

昨日へんな夢を見ました。
場所は10年ほど前に通っていたスポーツクラブ。
ふだんはやならいトレーニングマシンで
筋トレしてるんです。

調べたらチェストプレスというマシンらしく、
ボートをこぐときみたいな姿勢で
両脇のレバーをぐぃーっと前に押し出していく。

それが、いくら力を入れても、びくともしない。

ヘンだなと思って右側の重りの部分をのぞいて見ると、
なんとワイヤーの先にゾウがぶら下がって
「ぱおー」とか言ってるんです。

「うへっ、なんじゃそりゃ」
と思い反対側の左の重りを見たら、
Tバック水着でダイナミックボディの
半裸の美女が十人くらい、
やっぱワイヤーにぶら下がっている。
目が合うと艶めかしく手招きなんかするんです。

それを見た途端、ぼくはなぜか
「うっ、こりゃいかん!
 これは腕じゃとても無理だ!
 股間で攻めろ!」
と考えてしまう。夢ですよ、夢。

そこで、自分のジュニアを奮い立たせようと思い、
ピンク色の妄想をアレコレしているうちに、
目が覚めちゃった。

ぎゃ、いかんいかん!
本を読んだ感想を書こうとしたのに、
まったく関係無い夢の話をしちゃいまいた。

ということで、この『月の輪草子』。

著者の瀬戸内さん、
90歳を過ぎてこれだけの作品をつくれるって、
スゴ過ぎます! 心から脱帽です。
ぼくも90歳を過ぎても
半裸の美女が大勢出てくる夢を見ていたいな。


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2014年3月17日月曜日

『存在しない小説』(いとうせいこう)読みました。

ぼくもときどき物語をつくって、
会社で短編小説集を出したりしてます。

小説を書くとき、びっくりするのは、
自分では考えてもいなかった方向に
話が進んでいくことです。

登場人物たちが、
勝手に動いていっちゃうんです。

自分がつくっているつもりなんだけど、
本当は誰かに書かされているんじゃないか
って思えてくる。

それとは逆に小説を読んでいるときに、
はっと気づいて少し怖くなるのが、
「読んでる自分」と「読んでない自分」が
同時に存在するように思えること。

「読んでる自分」は物語の筋を追って楽しんでいて、
その裏では「読んでない自分」が、
物語の登場シーンと似た別の実生活のことを
考えていたり、関係無い人のことを
思い浮かべてたりする。

そんな小説をつくる時の現象と読む時の現象を、
ぼくは特に意識しないまま受け入れていたようです。

で、この『存在しない小説』。
 
作中にこんな文章(というか、式?)がありました。

「作者」
 ↓
「小説内の語り手」
 ↓↑
「小説内に入り込む読み手」
 ↑
「読者」

これまさしくぼくが感じていたことを
表しているようで、びっくり。
意識しなかったことを、意識するようになっちゃいました。
存在しない小説だけど、意識はできるってことでしょうか。


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2014年3月13日木曜日

『フェイダーリンクの鯨―クレギオン〈2〉』(野尻抱介)読みました。


今はすっかりやらなくなっちゃいましたが、
昔、友だちから馬券の買い方を教えられ
少しかじったことがあります。

そのころ読んだ競馬雑誌かなにかに
その本が独自に編み出した必勝法が載っていました。

その馬が1〜3着までに入ったそれぞれの回数と
4着以下だった回数を、
何かの数式に当てはめて計算する方法。

数式も細かいやり方ももう忘れてしまったんですが、
まあまあ当たったその〝必勝法〟の
基本的な考え方は覚えています。

それはようするに、
「勝つときもあれば負けるときもある」。

滅多なことがない限りずーっと勝ち続ける馬はいないし、
逆にそれなりの馬であれば、負け続けることもない。

だから、これまでの過去の成績を計算すれば、
勝ちと負けの比率は半々くらいになる。
その仮定をもとに、
次のレースでは勝ったほうが半分に近づくのか、
負けたほうが計算が合うのか、
数字を使って分析するんです。

これって、競馬の予想というより、
なんだか人生訓みたいなものを
表しているなあって思ってたんです。

いいときもあれば、悪いときもある。
人生、山あり谷あり。

で、この『フェイダーリンクの鯨 クレギオン(2)』。

クレギオンシリーズの2作目。
1作目を読んで面白かったので期待して読みました。
でも、前作ほどは惹かれませんでした。
面白いと感じる気持ちも競馬必勝法や人生のように
「山あり谷あり」みたいです。


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2014年3月11日火曜日

『風と共に去りぬ (4)』(マーガレット・ミッチェル)読みました。

ぼくは、中学・高校と部活で
バドミントンをしていました。

当時、試合のとき考えていたのが、
いかに自分のペースで緩急をつけるか。

スマッシュでぐいぐい押していくばかりじゃなく、
山なりのコート奥まで届かせるクリアって呼んでる球や
ネット際にゆっくり落とす球(ドロップ)なんかを、
体力の消耗具合や相手の顔色に合わせて
織り交ぜていくんです。

クリアやドロップが緩急の「緩」だとしたら、
スマッシュなどの攻めが「急」。
緩をどれだけ続けたあとに急を入れるか、
もしくは急ばかりで緩など入れずに突っ走るか。

その判断が、うまくはまったとき、
やっほー! 勝てるんですね。

で、この『風と共に去りぬ(4)』。

全5巻のうちの4巻目でした。
1→緩、2→緩急、3→急、
そしてこの4巻は、ぼく的には「緩」でした。
……急を期待してたんですがね。



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2014年3月6日木曜日

『有頂天家族』(森見登美彦)読みました。

最初は不思議だったんだけど、
同じことが何回か繰り返されるうち、
「そうか!」と理解したことがあります。

子どもの頃、おふくろが家族みんなに向かって
「チョコレートもらったんだけど食べる?」と聞くと、
ぼくと弟、妹の3人の子どもらは
「食べる食べる!」と、
おふくろのもとに飛んでいきました。

でも、親父は「いらない」と言って
テレビの野球中継なんかから目を離しません。

それが不思議でした。

なんで、こんなおいしいモノが欲しくないのか。
たとえお腹がいっぱいでも、
チョコレートはいくらでも食べられるじゃん。

それがチョコレートだったり、ケーキだったり、
おまんじゅうだったりするんですが、
ぼくらが嬉々として「食べる!」ときに、
親父は「いらない」っていう場面を、
何度か経験したんです。

その何度目かのとき、ふいに、
「そうか! みんな同じじゃないんだ。
 好みは、人それぞれなんだ」
と天啓がくだったんです。

そして身体が大きくなっていくに従い、
親父が甘いものを前にしたときの「いらない」状態も、
実感できるようになってきました。

好みは人それぞれ。
しかも、同じ人でも時間の経過で好みは変わる…。

で、この『有頂天家族』。

ちょっと前に読んでウルトラ面白かったので、
再読した本です。
人にも薦めまくりました。
読んだ人はほとんど、
ぼくと同じように面白いと感じたようです。
でも、そのうち一人だけ
「これは自分には合わない、
 何が面白いのかわからない」
って言った人がいたんです。

実は今回の再読で、
その人の気持ちがわかるような気がしました。
大人になって親父と同じことを実感できたように。
好みは人それぞれ。時間の経過でも好みは変わる…。


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2014年3月4日火曜日

『紙の本は、滅びない』(福嶋聡)読みました。

隣の席にいつも貧乏ゆすりをしている友だちがいて、
その震動がこっちのほうまで伝わってくるので、
ついにガマンしきれなくなったぼくは、
「貧乏ゆすり、やめたほうがいいよ」
と言ってしまいました。

意識的に貧乏ゆすりする人はそんなにいないようで、
その友だちも、ぼくに言われるまでは、
自分がそんなことしているとは思ってもいなかったらしく、
それ以降、ぴたっと足の震えを止めてくれました。

それはそれで良かったんだと思います。

……思うんですけど、
今まで、細かく小さなビブラートが
間欠的に起きてきた環境に慣らされていたぼくは、
それがなくなると、
今度は、やけにさびしくなってきて、
「たまには、貧乏ゆすりやりなよ」
って言葉が、何度、口から出かかったことか。

人間って(というかぼくって)、なんとまぁ、
へそ曲がりというか自分勝手というか、
不完全にできてるんでしょうかね。

話は変わりますが、
本を読んでいて「煮え切らない文章はヤだな、
なんでもっと言い切らないんだろうな」
と思うことがあります。
んで、それが自分勝手な言いぐさだと感じたのが、

この『紙の本は、滅びない』。

なんでこんなに言い切るんだろう。
そんなに言い切らないで、
もっとやさしくオブラートに包んだ感じで言ってもいいのにな。
まさしくぼくは、自分勝手なへそ曲がりでした。



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