2014年3月6日木曜日

『有頂天家族』(森見登美彦)読みました。

最初は不思議だったんだけど、
同じことが何回か繰り返されるうち、
「そうか!」と理解したことがあります。

子どもの頃、おふくろが家族みんなに向かって
「チョコレートもらったんだけど食べる?」と聞くと、
ぼくと弟、妹の3人の子どもらは
「食べる食べる!」と、
おふくろのもとに飛んでいきました。

でも、親父は「いらない」と言って
テレビの野球中継なんかから目を離しません。

それが不思議でした。

なんで、こんなおいしいモノが欲しくないのか。
たとえお腹がいっぱいでも、
チョコレートはいくらでも食べられるじゃん。

それがチョコレートだったり、ケーキだったり、
おまんじゅうだったりするんですが、
ぼくらが嬉々として「食べる!」ときに、
親父は「いらない」っていう場面を、
何度か経験したんです。

その何度目かのとき、ふいに、
「そうか! みんな同じじゃないんだ。
 好みは、人それぞれなんだ」
と天啓がくだったんです。

そして身体が大きくなっていくに従い、
親父が甘いものを前にしたときの「いらない」状態も、
実感できるようになってきました。

好みは人それぞれ。
しかも、同じ人でも時間の経過で好みは変わる…。

で、この『有頂天家族』。

ちょっと前に読んでウルトラ面白かったので、
再読した本です。
人にも薦めまくりました。
読んだ人はほとんど、
ぼくと同じように面白いと感じたようです。
でも、そのうち一人だけ
「これは自分には合わない、
 何が面白いのかわからない」
って言った人がいたんです。

実は今回の再読で、
その人の気持ちがわかるような気がしました。
大人になって親父と同じことを実感できたように。
好みは人それぞれ。時間の経過でも好みは変わる…。


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