2015年12月28日月曜日

『宮本武蔵(一)』(吉川英治)読みました。


ナマコの酢の物が大好物だという人が

「これを最初に食べた人、
 本当に尊敬するよ。
 見た目がアレだよ。
 食えるとは思えんだろ」

と言っていました。

ぼくはそんなに好きじゃないけど、
その人にとっては、
ナマコが食用になると発見した人物を
神様みたいに崇めてたようです。

(そんなことをふと思い出して、
 ナマコで検索かけてみたら、
 夏目漱石さんの『吾輩は猫である』に、
 「初めてナマコを食べた人の胆力を敬すべし」
 みたいな一節があり、
 もしかしたら、あのナマコ好きの人は
 漱石の受け売りだったのかな、
 と思ったりしましたが…)

ということで、
人が見かけによらないのと同じで、
食べ物の味も、
その姿や形、見た目の印象だけじゃ
わからないってことですね。

で、この『宮本武蔵(一)』。

読む前の印象は、すっごく堅くて、
娯楽のゴの字もない内容なんだろうな
と思ってました。

とろこがどっこい!
エンタメしてます。面白いです。
小説も、見かけにはよらないんですね。



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2015年12月25日金曜日

『いつまでも若いと思うなよ』(橋本治)読みました。

今はもう期限が過ぎて
対象外になったから、
言っちゃいます。

1、2年前、
ぼくは当選したことがあるんです。

宝くじじゃないですよ。
裁判員です。

裁判所だかなんだかが差出人の、
物々しい封筒に入ったお知らせが来て、

「1年間は候補になっているから、
 心しておいてね」

みたいなことが書いてある。

(この期間は、自分が選ばれたことを
 ネットなんかで公表しちゃダメ
 とも書いてありました。
 
 ぼくはその指示に従い、
 「王様の耳はロバの耳」の主人公みたいに
 必死に口をつぐみ、
 我慢しきれずに井戸の中に向かって
 叫ぼうとしましたが、
 井戸がなかったので黙ってました)

でもそこには、

「候補になっただけで、
 選ばれないこともある」

みたいなことも書いてある。

「なんだそうか」と思い、
そのまま放って置いたら、

しばらくして今度は
「○月○日に裁判があるから来てね」の
〈物々し封筒〉が届いたんです。

「来なかったら犯罪だから、捕まるよ」

みたいなことも書いてある。

それでも書類の中には
「どうしても来れない人」用の
返信書類みたいなのがあって、

すがる思いで、
「ぼくは小さな会社をやっていて、
 何日もかかるような裁判に出ていると、
 会社が立ちゆかなくなっちゃうんです」
という内容をしたためました。

この文面を司法の人が認めてくれたんでしょう。

それから何日かして、
「では、今回は勘弁してあげる」
って書面が届きました。

で、この『いつまでも若いと思うなよ』。

著者の橋本さんはきっと、
どんなに忙しくても裁判員の仕事を
(だけじゃなくどんな仕事も)
引き受けるんだろうなと思いました。




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2015年12月21日月曜日

『天国でまた会おう(下)』(ピエール・ルメートル)読みました。


いつもは、
つっかえつっかえにしか進まない物事が、
水道管の中を通る水みたいに、
やたらとスムーズに
こなせてしまう日があります。

排水口の中にポンッと一粒落とせば、
パイプの中に溜まった
水垢だとか髪の毛だとかを溶かして、
中をピカピカにしてくれる
洗浄剤のCMみたいな勢いで。

昨日はそんな日でした。

クルマで通ると
いつも混雑している道だから、
それなりにり覚悟して出掛けたたのに、
ガラガラのスカスカ。

だからなのか、
赤信号で止まる回数も少なく、
少なくとも連続20分以上は
青信号を走り続けられました。
(都心の幹線道路ですよ)

コンビニで買い物すれば、
持っている小銭でぴったり払え、
サイフのジャラジャラ感も解消される。

混んでいるファミレスで
名前を書いて待とうと
レジのところでペンを取る直前、
次々に前の人たちが案内され、
名前を書くまでもなく
「はい、どうぞ。いらっしゃいませ」
と案内される。

……と、
まぁそんないい調子が続くと、ぼくは、
「おいおい、そんなに持ち上げてくれるなよ
 あとで、そのぶんのしっぺ返し
 を企んでいるじゃないの?」
と警戒してしまうんです。

こんな日は、警戒心なんか持たずに
素直に喜べるようになれば、
人生はもっと楽しく面白いハズなんですけどね。

で、この『天国でまた会おう(下)』。

素直に読んで受け止めれば、
面白い作品のハズです。


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2015年12月18日金曜日

『鬼平犯科帳(17)特別長篇 鬼火』(池波正太郎)読みました。

毎度お馴染みのランニング通勤ネタです。
約6キロ、約40分のヘロヘロ走りを続けて、
もうじき丸5年になります。

(以前は概略「5キロで30分」と
 言っていたのですが、
 最近ランニングアプリを使い始め、
 細かな数字が計測できるようになったので、
 その表示により近い数値にしました)

このとき、
何よりもありがたいのが信号待ちです。

5年もやっているのに、
休みなしで走り続ける体力は、
まだ身につかないようで、

赤信号の前で足踏みしながら
息を整えるインターバルなくしては、
ゴールまでたどり着けないんです。

とはいえ、
信号さんは気まぐれで、
これまで数回、
すべてが青信号だったこともあります。

こりゃもう、ぶっ続け走り。

そのときは、
歩いたほうが速いくらいのスピードで、
「ヘロヘロ×ぐじゃぐじゃの二乗」的な
姿をさらしながら、
倒れ込むように終点へなだれ込みました。

はやり、
何事においても緩急ってのは必要なんです。

だだーっと走るときもあれば、
足踏みして休むときもあり、
ゆるゆると流したかと思えば、
またスピードアップ。

そんなリズミカルなパターンが、
なくちゃいけないようです。ぼくにはね。
なんか、言い訳みたいだけど。

で、この『鬼平犯科帳17』。

1巻から通しで読んできて2作目の長編。
ストーリーが、だだーっと流れるときと、
コミカルな余談なんかで小休止するとき、
その配置具合が絶妙でした。
足踏み大好き。



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2015年12月16日水曜日

『作家の収支』(森博嗣)読みました。


ツイッターで、
自分の生活を、まるごと全部
さらけ出しちゃう人が、
話題になったことがありました。

ぼくは読んだことがないので、
はっきりは知らないんですが、
たしか普通の女子大生だかOLさんだか、
だった気がします。

そのつぶやきを称して
「ダダ漏れ」って呼ばれてました。

たぶん、
朝起きたところから始まり、
用を足したこと(その色とか形状とかも)、
朝食のメニュー、
目玉焼きに醤油を何滴たらしたか、
髪をとかしたとき抜け落ちた本数、
着替えた服装、下着の種類、
駅までの道のりで出会ったあれやこれや、
駅に着いたらその駅名から、
駅員さんの名前(名札を見て)

……などなどを、
つぶやき続けていたんだろうと
想像しています。

だって、ダダ漏れですから。

もう一度いいますが、
ぼくは直接読んだわけじゃないです。
このダダ漏れ嬢のことを
「馬鹿なヤツ」みたいな
冷ややかな論調で語っていた
ネットのニュースなんかを見かけただけ。

でも、ある意味、このダダ漏れ嬢、
尊敬できるなって思ったりしてます。
自分をそんなにさらけ出せるって、
相当な勇気がいるだろうから。

で、この『作家の収支』。

著者の森博嗣さんのさらけ出し加減、好きです。



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2015年12月14日月曜日

『天国でまた会おう(上)』(ピエール・ルメート)読みました。

このところ池波正太郎さんの
鬼平犯科帳シリーズを立て続けに読んでいて、
ページの下半分がほとんど余白に
なっている文章に慣れきっていました。

一文が短く、
文章の途中でも改行してるので、
文字が埋まっているスペースが少ない。

だから、
ツバをつけながら紙をめくる指が、
休む間もなく動いて、
1ページを読むのに費やす時間が、
かなり短いんです。

でも、
ぼくは昔から、
本を読むのが遅かったんです。

ぼくがマンガを読んでいる後ろから、
友だちがのぞき込むように、
一緒読みしようとすると、必ず

「早くぅー! 次めくれよ!」

というイライラした声がかかります。

逆に、
ぼくが後ろから一緒読みしようとしても、
友だちのページをめくるスピードが早すぎて、
ついて行けなかった。

それが鬼平シリーズでは、
どんどん先に進んじゃう。

ひょっとして、
人並みに早く読めるようになったんじゃないかと、
思うようになっていました。

ところがどっこい、
違っていたようです。

改行も少なく、
ページに全部文字が埋まっているような本だと、
やはり人並み以下のスピードに落ちてしまう。

で、この『天国でまた会おう(上)』。

1ページの文字数、たくさんありました。
だから時間はかかりました。

でも、面白い!
下巻も時間かけて読もっと。



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2015年12月11日金曜日

『鬼平犯科帳〈16〉』(池波正太郎)読みました。



前にも書いた気がするけど、
いつのことだったか忘れたので
ネタを使い回します。

「肩書きが人をつくる」とか
「役職が人をつくる」のネタ。

「おい大丈夫かよ、この人…」な方に、
いきなり、ど偉い肩書きを与えても、
なんとかなっちゃう状況のこと。

のび太くんが、
何かの間違いで学級委員長に選ばれても、
そのうちだんだんと成長して、
出来杉くんのごとく
仕事をこなせるようになる。

それって、ぼくの
乏しすぎる人とのお付き合い関係から判断しても、
かなりの確率で本当です。

学校生活の場面なら、
面倒だからと、ひ弱くんに班長を押しつけたら、
先生との連絡やほかの班との折衝なんかを
誰よりも上手にやっちゃったり、

大人になってからでも、
「えっ!? あいつ親から社長を引き継いだけど、
 あの会社、大丈夫?」
なんて思ってたら、
知らぬ間にぐんぐんでっかい会社になって、
今じゃあ気軽に声も掛けられない
雲上人になってるとか。

能力ってのは、
与えられた環境の大きさに準じて、
伸びたり縮んだり、
それなりに育っていくものみたいです。

で、この『鬼平犯科帳(16)』。

1巻から16巻まで続けて読んできましたが、
鬼平さん、どんどん鬼平さんらしく
育ってるみたいです。



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2015年12月9日水曜日

『鬼平犯科帳(15)』(池波正太郎)読みました。


中学高校と部活でバドミントンをやっていて、
当時はまったく感じなかったんですが…

スマッシュって、打つとかなり体力を
消耗するものなんだってことが、
30代を過ぎてからわかるようになりました。

特に最近は、年に1度のOB会でしか
ラケットを持つこともなくなり、
そのときに打つスマッシュの疲労促進度は、
かつて先輩たちのしごきの中でも
最もきつかった
「大回り20周!」と同レベルです。
(約1時間ほど走り続けます)

1度のスマッシュなら、
なんとか勢いで打てます。

でも、それを返されちゃうと、
足はもつれ、手は上がらず、
連続スマッシュなんて夢の夢。

やっとシャトルに追いついて、
ちょこんとネット際に返すぐらいが関の山です。

やったことの無い人に
「スマッシュは疲れるから、
 50歳を超えたおじさんには、
 もう無理ですよ」 って言うと、

「へぇ〜そうなの。
 スマッシュって疲れるんだ。
 ほかの打ち方と一緒だと思っていた」

なんて言われるけど、見た目だけじゃ
判断できないモンなんですよ、これが。

とはいえ、
中学高校の元気一杯のころは、
ぼくもスマッシュだけが特に疲れるとは
感じなかったんですけどね。

スマッシュもロブもドロップショットも、
みんな同じように、
その場に応じて打ち分けられる体力は、
もう戻っては来ないんでしょうね。

で、この『鬼平犯科帳15』。

15巻目にして初めの長編でした。
池波さんは、短編でも長編でも
その場に応じて打ち分けられるんですね。
うらやましい!


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2015年12月7日月曜日

『黙示(下)』(サラ・ロッツ)読みました。

今日も片道約5キロの道のりを
走って通勤してきました。

最近はスマホのランニングアプリを
使っているので、所要時間が細かに把握でき、
前は大まかに30分ほどだと思っていたのが、
今では、ほぼ40分かかっていることが
判明しています。

これって、
結構なへろへろスピードだと思います。

日によって、
へろへろ度合いは変わってくるんですが、

特に今日はキツかった。
だって月曜日ですから。

土日は走らないから、
その2日間のぐだぐだで
身体がふにゃふにゃになるんでしょうね。

でもね。
今日に限っては、家を出たあとの
100メートルほどだけ違ったんです。

「あれ? 休み明けなのに軽いじゃん」
「今日はさわやかに走り通せるかも」

なんて期待に胸膨らませてたんです、
スタートからほんの1分ほどは。

その後、すぐに息があがり、
お腹は痛くなり、足はもつれ
……なんだったんだろう、
あのスタート時の軽快さ。

気がついたら「さわやか走り」の期待は
期待だけで終わっていました。

で、この『黙示(下)』。

上巻の冒頭から
「わっ!これいいかも」と期待がわいてきて、
「あれ?おかしいな」と思いつつ下巻に進み、
期待はいつの間にか、
期待だけで終わっていました。



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2015年12月4日金曜日

『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽』(山田風太郎)読みました。

「ああ、もう12月か……」
と思いながら、今年読んだ本のリストを
ざっと眺めてみました。

記憶力に難があると思われるぼくは、
ほとんどの内容を
おぼろげにしか覚えておらず、
心に残っている作品は
数えるほどしかありません。

そんなこと思いながら
並んだタイトルを目で追っていたら
「読む順番のあや」
みたいなことに気づいたんです。

例えば2月に読んだ
『ビブリア古書堂の事件手帖(6)』。

それまで5巻まで読んでいて面白かったので、
期待を膨らませて読んだ本。

でも、ぼくの期待のほうが大きすぎでした。
もし、この6巻を最初に読んでいたとしたら、
夢中になった1〜5巻には、
きっと手も触れなかったと思います。

それから、
8月に読んだ『武士道ジェネレーション』。
これも同じようにシリーズものの前3作があり、
その3つは、
ごくごくと喉を鳴らして水を飲むように
貪読(貪り読むの略)したはずなのに、
前と同じ面白さは感じられなかった。

これも、
この4作目を先に読んでいたら、
貪読経験ができなかったでしょう。

で、この『誰にも出来る殺人/棺の中の快楽』。

山田風太郎さんは、
忍法モノが異常に面白いと思います。
でもこの作品は忍法モノではありません。
もし、これを風太郎作品群の中の
最初に読んでいたら、
忍法モノを知らなかったかも…。



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2015年12月2日水曜日

『鬼平犯科帳〈14〉』(池波正太郎)読みました。

映画学校にいた時代から
卒業後数年くらいは、
映画館で年間200本ほど観てました。

それがいつの間にか
熱がさめてきちゃって、
今は映画館も年1回行けばいいほうだし、
DVDでの観賞だって
月1本くらいになっちゃってます。

学校時代の友だちに怒られそう……。
その分、本に移行しちゃったって感じかな。
フットワークが重くなる老化現象でしょうか。

その年間200本観ていたころは、
年を400日としても2日に1本なわけだから、
映画がもう生活の一部になっていたんです。

そんな時期に、
なんかの都合で1週間も観られなくなると、
やたらとウズウズしてきて、
居ても立ってもいられなくなり、
ときどき「ウギャーっ!」って
叫んじゃったりします。

映画切れの禁断症状。
ちょっとがんばって2、3日禁煙したときと
同じような焦燥感でした。

で、この『鬼平犯科帳(14)』。

ほかの積ん読本がたまっていて、
それらを読みこなすのに時間をくってしまい、
なかなか手がつけられなかったんです、この鬼平本。
いやいや、やっと読めました。
映画を観られなかったときの禁断症状と同じ状態でした。



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2015年11月30日月曜日

『黙示(上)』(サラ・ロッツ)読みました。

「ハイお口を開けて。あ〜ん」
とか言って、スプーンで食べ物を差し向け、
パクッとしようとした瞬間に、
さっとスプーンを引く。

上下のくちびるはむなしく空振りして、
間に食べ物を挟めない。

たいていの人なら、
一度はやったことあるだろうし、
やられたこともあるでしょう、
そんなイタズラ。

ときには、
そのアレンジバージョンで、
「あ〜ん」と言いながら口を開けさせ、
パクッとする直前で
スプーンを少し持ち上げ、
鼻に食べ物をつけたりする芸達者もいます。

じらしの悪ふざけです。
(関係無いけど「じらし」と「ジェラシー」って
 語感も意味も似てますね。「津波」みたいに
 日本語から英語になったのかも……ちゃうな)

じらしと言って今思い出したのは、
馬の目の前にぶら下げたニンジン。

馬の背に乗って、
ニンジンをぶらさげた棒を前方にかざし、
馬にそれを追いかけさせる。
そんな場面をアニメか何かで
見たような気がするけど、
あれ、ホントに効果あるのかな。

で、この『黙示(上)』。

上巻を読了。
物語は、いつ大きく動き出すんだろうと、
じりじりじらされてます。
きっと下巻はすごくなるって思うけど……。
ちゃうのかな。ぶらさがったニンジンかな。



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2015年11月26日木曜日

『群狼の舞: 満州国演義三』(船戸与一)読みました。

いつでもどんなときでも、
すぐにパパッと集中できるように
ならないモンかなと常々思っています。

楽しいお誘いのメールが来ても、
脇目もふらずに仕事を片づけ、
そのあとでじっくり「OK行くよ♪」
とかの返事を書くようにしたりとか。

整理整頓しなきゃと気になったら、
そんとき閲覧している桃色サイトを
さっさと閉じるとか。

電車に乗って本を開いたとき、
車内アナウンスなんか耳に入らないうちに、
隣に座っている兄ちゃんのイヤホンから洩れる
シャカシャカ音など気にならないうちに、
物語の中にどっぷり浸かれないかな、とか。

やっぱぼくは集中力が
人並み以下なんだろうな……。

でも!
そんなぼくでも、
あっと言う間に時間も忘れ、
降りる駅も乗り越しちゃうような
集中姿勢をとれるときがあります。

それは心底面白い本を読んだとき。
心底じゃないとダメです。
ないんですよね、そういう本。なかなか。

で、この『群狼の舞:満州国演義三』。

残念ながら、心底まではいかなかったです。
がんばって自分を奮い立たせて集中させながら、
ごりごり読み進めました。

このシリーズ、続きがあって、
まだ文庫が刊行されてないみたいなんですが、
続きもごりごり進めるべきかどうか、
迷っているところです。どうしよかな。


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2015年11月24日火曜日

『ヒトでなし 金剛界の章』(京極夏彦)読みました。

テレビのCMで
夫婦がキャッチボールしながら
会話する場面があったのを覚えています。

奥さんが
「夕飯は何がいい? 何でもいいはなしよ!」
と言いながらボールを投げるとこ。

ぼくは食事のメニューを聞かれても、
いつも「何でもいい」と言ってしまうので、
テレビから「それダメ」
と言われギクっとしたのでした。

さて、この「何でもいい」。

ぼくとしては、
それなりの覚悟をもって
発言しているつもりです。

「何でもいい」と言ったからには、
出てきたモノには一切文句をつけない。

好き嫌いはそんなにないんですけれど、
ちょっと苦手だなと思うモノでも、
嫌な顔しないで食べる。

辛いモノは嫌いではないけれど、
食べるとシャワーを浴びたときみたいに、
頭からジャバジャバと
汗がしたたり落ちてくるので、
「難儀だな」とは思うけど、
それでも「何でもいい」と言ったからには、
タオルを片手にちゃんと食べる。

まぁ、それでもカミさんは、
ぼくのそんな体質を知っているので、
それなりの美味しいメニューを
つくってくれるんですけどね。

だからそれに甘えて
「何でもいい」なんて
ほざいてるんですけどね。

なんかモノ凄いゲテモノ料理が出てきたら、
きっと「何でもいい」と言ったときの覚悟は、
どっかに吹っ飛んでると思います。

で、この『ヒトでなし』。

胸ぐらをつかまれて、
「お前は本当に、何でもいいのか!」
と思い切り揺さぶられた気がしました。
(本では「何でもいい」じゃなく
 「どうでもいい」という表現だったけど)

コレ、たくさんある京極本の中で、
ぼくの大好きランキングベスト3に
入る作品でした。



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2015年11月20日金曜日

『確率』(ジョン・ヘイグ)読みました。

たしか高橋源一郎さんだと思うんだけど、
「本を読むときには、なるべく時間をかけて
 じっくり頭にしみ込ませましょう」
みたいなことを言っていました。

一番いいのは、
作家がその文章を書くのに使ったのと
同じだけの時間をかけて読むこと、とか。

ってことは、
1年がかりで完成させた本なら、
読むのにも1年。
まぁそれはオーバーなたとえ
でしょうけどね。

だって、アインシュタインさんが
「E=mc2」(2は上付の小さい2)って
1行にたどり着くまで、
どんだけ時間をかけたかは知らないけど、
その天下の相対性理論の
たった1行を読むために、どうやれば、
何年何十年っていう研究期間と
同じ時間をかけられるんだ、
ってことになっちゃう。

音読するなら、
「E」を「い〜〜」って3年ぐらい
言い続けなきゃ。

まあ、それはそれとして、
時間をかけてじっくり読むっていうのは、
本に向かう姿勢として正しいと、
ぼくも思います。

文字だけ追っていけば
すぐ理解できる小説とかビジネス書とか
じゃない場合には、
余計、時間かけなきゃダメですよね。

で、この『確率』。

じっくり考えながら時間かかて
読まなきゃダメな本でした。
それを斜め読みしちゃったぼくに反省。



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2015年11月18日水曜日

『夜よりほかに聴くものもなし』(山田風太郎)読みました。

仕事で行ったオフィスビルだったか、
デパートの買い物のときだったか、
どこだか忘れちゃったんですが、

とにかく、
出先でトイレに入ったときのことです。
大きいほうの用を足す個室。

入ってドアをしめて洋式の便器に向かうと、
フタが閉まってました。

掃除したてというワケでも
なさそうだったので、
きっと前に入った人が
律儀に閉じていってくれたのでしょう。

ウォシュレットとかついていて
便座を暖めるみたいなヤツだったので、

「フタを閉めれば省エネになる」
なんて思ったのかもしれません。

「感心、感心っ」とか思いながら、
フタを開けると。

……ありゃ! なさったママじゃん!
いやいや、流そうよ。律儀なんだから。

トイレットペーパーの
ゆったりと波打つ隙間から、
きれいな棒状のヤツがゆらゆらしてました。

「やれやれ」
と村上春樹さんの小説に出てくるような
セリフをつぶやきながら、
レバーを引いて水を流し、腰を下ろしました。

そのとき目にとまったのが、
右側についていたトイレットペーパーでした。

それがなんと、
取りやすいように三角形に折ってあったんです。

えっ!? 前の人、ホントに律儀なんじゃん。
これで流してさえあったらなぁ……。

で、この『夜のほかに聴くものなし』。

あ、いかん!
ぜんぜん関係無いこと書いちゃった。
ま、いいか。



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2015年11月16日月曜日

『壬生義士伝(下)』(浅田次郎)読みました。

「読者を泣かせる物語は
 簡単につくれるけど、
 笑わせるストーリーにするのは難しい」

という暗黙の決まり事みたいなものが
あると聞いてから、

その手の小説を、
なんとなく見下すというか、
敬遠するようになっています。

実際に作品を読んで、
ぼろぼろに泣いちゃったとしても、
その気持ちを素直に受け入れずに、

「なんでぇ、
 こんな安易に泣かせやがって」
みたいな。

なんて心がねじくれたやなヤツなんだ、
って我ながら思います。

とはいえ、
自分で物語をつくってみて、
泣き所を描くのは
やっぱ比較的簡単にできるけど、
笑わせる場面は空回りすることが多いと
実感します。

だから「泣き」を狙うのは、
一種の逃げのように
感じているのかもしれません。

本当は、泣かせるのも笑わせるのも、
同じくらいに難しく、
ぼくの創作レベルが低いだけ
ってことなんだろうけど…。

で、この『壬生義士伝(下)』。

泣きましたわ。んで、泣いても、
「なんでぇ、こんな安易に」なんてことは、
ちっとも思いませんでした。
このお話が、ぼくの心のねじくれを
少しほどいてくれたんでしょう。
明日からは素直に生きていきます。



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2015年11月13日金曜日

『職業としての小説家』(村上春樹)読みました。

以前、誰でも知っているような
ドでかい会社の社長に
取材したときのことです。

普通は向こうに、広報担当者とか
秘書とかが同席して、
こっちも編集者とかカメラマンなんかがいて、
結構大勢になるんですが、

なぜかそのときは、
その社長とぼくの二人きりでした。

話がほどよく盛り上がってきたときでした。
電話が鳴ったんです。

社長は、「なんだよー」とか言いながら、
電話を取り、「うんうん、わかった」と言って、
すぐに受話器を置きました。

そしてぼくに、
少し恥ずかしそうな顔を向けながら、
「なんで俺が牛乳買って帰らないと
 いけないんだよ」
と言ったんです。

どうやら奥さんからの電話だったようです。
ぼくは、どんなにでかい会社の社長も、
みんなと同じ人間なんだな、と思いました。

ぼくの好きな作家・山田風太郎さんは、
エッセイにこんな失敗談を書いていました。

散歩の途中、
トイレが間に合わなくて(大きいほう)、
仕方ないので、立ったままの姿勢でいたし、
お尻をこんもりさせながら、
家に帰った、と。

これを読んだとき、
どんなにもの凄い作品を生み出す小説家でも、
みんなと同じ人間なんだな、
と思いました。

で、この『職業としての小説家』。

当たり前ですが、世界の村上春樹さんも、
みんなと同じ人間なんですね。



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2015年11月11日水曜日

『はじめての江戸川柳』(小栗清吾)読みました。

この前の『壬生義士伝(上)』の
ときに書いた内容をちらっと読み返してみて、
今さらながら「そんなヤツはいないだろう」
って思ったのが、

「300ページある本の、
 真ん中の100ページを抜き出して読む」
って人。

推理小説の犯人が知りたくて、途中まで読んで、
飛ばして最後を読んじゃうとか、

全ページを斜め読みで
あらかたの内容をつかむとか、

そんな読み方をする人は
結構いるかもしれないけれど、
真ん中だけじゃあね。

登場人物の相関関係だってわからないだろうし、
結末もわからない。

もう書いちゃったから、
今さら、前の投稿を書き直すなんてことは
しないけどね。

今回も、その前回書いたことネタに、
もう200文字くらいは打ち込んじゃったから、
これも直さないけどね。

ですが、
たとえどんな読み方をしても、
誰に怒られるワケじゃありません。
良心のとがめを感じることも、
きっとないでしょう。

本をどんなふうに読んだって
その人の自由だし、
読まないでビニール袋にくるんで
漬け物石代わりに使ったっていい。

で、この『はじめての江戸川柳』。

「川柳→解説」の順で
ほぼ全編書かれていましたが、
ぼくはその逆に「解説→川柳」と読みました。
だって、最初に江戸時代の「川柳」じゃあ、
意味わからないんだもの。



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2015年11月9日月曜日

『壬生義士伝(上)』(浅田次郎)読みました。

ときには京極夏彦さんの書籍みたいな、
枕にしたら首が痛くなるような、
ぶ厚い本もあるけれど、

大抵はある程度ページ数がかさんできたら、
2冊とか3冊とかの分冊にして、
上中下とかにして出されるのが普通ですね。

でもそれは、
物理的に分かれているとはいえ、
一つのまとまった物語で、

上巻だけを抜き出して
個別の作品だとかいったり、

前編と後編を読まないで中編だけ読んで
面白いとかつまらないとか批評したりは、
しないものです。

それは、300ページある一冊の本の、
一続きの物語の真ん中の
100ページだけを読んで、

「ああ、あの小説ね。
 そんなに面白くないよ」

なんて知ったかぶりするのと同じこと。

さて、もうおわかりでしょうが、
それ、ぼくがいつもここで
やっていることでなのでした。

一つの物語でつながっていても、
本として1冊の単位に区切られていたら、
その時点で感想文もどきを書いちゃう。

それってやっぱり、
姿勢としてはあんまり正しくないですよね。
まあ、だから、内容的なことにはあまり触れずに、
ごまかしているって面もあるんですけどね。

で、この『壬生義士伝(上)』。

まだ、上巻だけしか読んでないので、
下巻を読んでからにしましょう。



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2015年11月6日金曜日

『偽りの楽園(下)』(トム・ロブ・スミス)読みました。

たぶん多くの作家さんは、
原稿を書いている最中、

「本に仕上がったときの
 1ページごとの見栄え」

なんてものは、気にしないと思います。

昔なら1行20字詰めの原稿用紙に
万年筆とかで書くので、
それが活字になって
ページに並べられたときのことなど、
想像しにくい気がするし、

今だってワープロで
文字を打ち込んだ画面の状態が、
そのまま本のページと
同じ体裁にはならないし。

文字を読みやすく
キレイに配置するのは、
デザイナーさんの仕事と割り切って、
文章表現の的確さとか、
物語の面白さなんかを
突き詰めていったほうが、
餅は餅屋的に正しいのでしょう。

でも、
そうじゃない作家さんもいます。
ぼくの好きな京極夏彦さんが代表例。

京極さんはもともとデザイナーだったらしく、
原稿を書くのに、
本をつくるデザイン用のソフトを使っていて、
文字を入力したら
そのまま書籍のもとになる印刷用データが
出来上がっちゃうんだとか。

聞くところによると、京極さんは
「。」までの一文が、
ページ間をまたぐのを嫌っているらしく、
ぺらっとめくったとき、
前のページからつながっている文章は
ひとつもないそうです。

そんなワザを使えるようになると、
読んでいる人をうならせるような効果も、
うまく仕掛けられるような気がします。

で、この『偽りの楽園(下)』。

ページの割り振り方よかったです。
最後に「了」がないのも良。



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2015年11月4日水曜日

『偽りの楽園(上)』(トム・ロブ・スミス)読みました。

締め切り当日の夜、
11時半くらいに原稿を送り、
ギリギリセーフ顔をするライターさんとか、

締め切りを過ぎたから心配になって、
こっちから電話すると
「そうですよね、それ、
 いつまで引っ張れるンでしたっけ?」
と、今、歯を磨いているから
ちょっと待ってね的な対応をする
素材の加工屋さんとかに接すると、

ぼくはうらやましいなって思うんです。

ぼくはときどき「仕事が早いね」
と言われるんですが、

実はそれ、
怖くて仕方ないからなんです。

遅れたら怒られるだろうなって、
びくびくしながら進めていると、
やっぱり期日よりは早く仕上がる。

緊迫感にぎゅぎゅうされて、
か弱いぼくが押し切られちゃう感じです。

でも、さっきのギリギリライターさんとか
歯磨き中屋さんは、
きっとその緊迫感なんか
屁とも思わないくらいの度胸が、
きっとある。

だから、
ギリギリで歯磨き中なんてことができる。
あー、うらやましい。

で、この『偽りの楽園(上)』。

すごいです、緊迫感。
これ読んでると、原稿の締め切り日も忘れて、
別種のどきどきを味わえます。



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2015年11月2日月曜日

『鬼平犯科帳〈13〉』(池波正太郎)読みました。

先日、昔やった仕事の保存ファイルを
ペラペラとめくっていました。

その中の1つを見たとき
「あっ!これ!」
っていうびっくり発見があったんです。

なんと、
10年ほど前に書いた記事のあおり文句が、
つい2、3日前に書いた広告のコピーと
ほとんど一緒だったんです。

伝える中身が違うから、
細かな文言は違っているんですが、
少し誇大ぎみにした修飾語とか、
リズムチックになるような語順とかは、
まったく同じ。

たしか2、3日前に書いたときには、
「うん、ぼくもなかなかやるな。
 今までにない新しい境地に
 たどり着けたのかもしれない」
なんて、コピーを見ながら、
一人で満足してたのに……。

10年たっても進歩なしか、ああ。

で、この『鬼平犯科帳(13)』。

「あれ? このストーリーの流れ、
 前にもなかったっけ?」
という既視感がちらほら。

なんだ、ぼくも池波先生と同じじゃん
……などと無礼千万な妄想が
浮かんできたのでした。


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2015年10月30日金曜日

『地の果ての獄(下)』(山田風太郎)読みました。

ちょっと前、
ラグビーの五郎丸さんが、
野球の始球式に出ていた姿を
テレビで見かけました。

ボールはストライクゾーンを
大きく外れていたけど、
球の勢いはあり、格好いいし、
ほほえましいなって思いました。

投げるフォームのぎこちないところが、
またいいじゃないですか。

そりゃあ同じスポーツ選手といっても、
種目が全然違うんだから、
ぶきっちょな動きで、
暴投になっちゃうのは仕方ない。

アレたぶん、
水泳選手とか陸上選手なんかだと、
もっとギクシャクするでしょ。
ぼくのイメージだと、
簡単な動作を繰り返すような競技
(走るだけとか泳ぐだけとか)
の専門家は、
他のスポーツはあまり上手にできなくて、

とっさの動きが必要な瞬発力系
(剣道とかテニスとか卓球とか)
の選手は、わりとスポーツ万能って気がします。

まあいずれにしても、
自分の専門分野以外は、
その道のプロには、かなわないってことですね。

それがわかっているから、
五郎丸さんの始球式も、
何の違和感もなく見てられる。

で、この『地の果ての獄(下)』。

舞台は明治時代。
やっぱ、山田風太郎さんの力が
最大限発揮できるのは、
侍たちが行き交っていた時代の
忍者モノなのかな。
専門は忍法。にんにん。


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2015年10月28日水曜日

『超訳 日本国憲法』(池上彰)読みました。

今はまっている
「鬼平犯科帳」シリーズの7巻で
中島梓さんが解説していたのは、
作者の池波正太郎さんの
文体についてでした。

ほんの数行読むだけで、
「池波正太郎の文章だ!」
ってすぐわかる。
そんなことを言っていました。

それが面白くて、
ぼくも、その7巻の感想文で
池波文体を真似しちゃってます。

えーっと。
文体を真似して書くのは、
『国語入試問題必勝法』の清水義範さんが、
よくやってますよね。

たしか「文体模写」っていいました。

ネットでも見かけたことあります。
おとぎ話の内容を
村上春樹さんの文体で書いちゃうとか、

ドラえもんのお話を
温泉にある効能書きの文体で書いちゃうとか。

んで。
それを発展させて、
わざと伝わりにくくしてるんじゃないか
とさえ思う法律の文面とか、
古代言語みたいな特許の文書なんかを、
小学1年生レベルの
ボキャブラリーしか使わない文体に模写して、
それを公文書として使ってもらいたい
って考えてるんです。 まじで。

なお、ぼくがさっき真似したと言った
池波文体の下絵に選んだのは、
日本国憲法でした。

で、この『超訳 日本国憲法』。

文体模写的な面白さを
期待して読んでみたんですが、
案の定、違ってました。
残念。



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2015年10月26日月曜日

『鬼平犯科帳〈12』(池波正太郎)読みました。

「猿も木から落ちる」と
「かっぱの川流れ」
って同じ意味だよな、
あっ「弘法も筆の誤り」もそうか

……なんてことをふと思って、
パソコンで類義ことわざを調べてみたら、
あるわあるわ。

以下コピペします。

過ちは好む所にあり/得手に鼻突く/
泳ぎ上手は川で死ぬ/川立ちは川で果てる/
麒麟の躓き/孔子の倒れ/巧者の手から水が漏る/
弘法にも筆の誤り/権者にも失念/才子才に倒れる/
策士策に溺れる/猿も木から落ちる/
釈迦にも経の読み違い/上手の猿が手を焼く/
上手の手から水が漏る/千里の馬も蹴躓く/
千慮の一失/知者の一失/知者も千慮に一失あり/
長所は短所/天狗の飛び損ない/念者の不念/
水の達者が水で死ぬ/百足のあだ転び/
文殊も知恵のこぼれ/山師山で果てる/
山立ちは山で果てる/
善く泳ぐ者は溺れ、善く騎る者は堕つ/
竜馬の躓き

……どんなに偉い人でも、
間違ったり、クオリティが少し落ちちゃったり
なんてことは、よくあること。
そんなの当たり前じゃん、
ほらほらほらーっ! と言われてる感じです。

で、この『鬼平犯科帳(12)』。

ちょっとキレが
鈍くなってるように感じました。
12巻目ですからね。

ぼくが少し慣れすぎちゃったってのも
あるかもしれません。
でもきっと13巻目は復活するでしょう。
さ、つぎ読も。



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2015年10月23日金曜日

『地の果ての獄(上)』(山田風太郎)読みました。

当たり前なんですが、
人を殺してはいけません。
同意なしに異性に対して
いかがわしいことをしてもいけません。

自分でやらなくても、
誰かに指示してやらせてもダメ。

それでもやっちゃったら、
罪に問われ、
罰を受けなくてはいけない決まりです。

なんだけども、
作家は、つくる作品の中で、
登場人物に殺人をさせたり、
女性を襲わせたり、
もうあんなことやそんなことを、
ルール無用で勝手気ままにやらせ、
暴れ回らせられます。

もちろん、フィクションなんだから、
どんなに極道をさせても、
作者が罪に問われることはありません。

だけど、どうなんでしょう。
そんなにハチャメチャにやっちゃうのって。
だからこそ、面白いって言えるんだけども、
やっぱ、どうなんでしょう。

……なんてことを
悩まずに考えずに筆を進められる人が、
世に認められる作品を
生み出せるんでしょうね。

で、この『地の果ての獄(上)』。

山田風太郎さんの作品は、
いま言ったようなハチャメチャばかり
だってことは、これまで何冊か読んで
覚悟していたつもりだったんです。

でもね。
「えぇーっ!
 もういいんじゃないの、それくらいで」
と読書中に何度思ったことか。



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2015年10月21日水曜日

『本にだって雄と雌があります』(小田雅久仁)読みました。

メールの文面などで
「よろしくお願いします」と書いて、
自分で読み直したとき、

「いや、ちょっと待てよ、
 それだけだと、なんとなく
 押しつけがましいから、
 もうちょっと何か付け足さないとなあ」

と思い、
「よろしくお願い致します」にしてみて、
もう一度読み直し、

「いやいや、語尾を変えただけじゃん、
 それだけじゃないだろう」

と自分に突っ込んで、
「勝手を言いますが、よろしくお願い致します」
にしてみる。

それでも相手の身分を考えると、
もうちょい欲しい気がして、

「勝手を言って恐縮ですが、
 よろしくお願い致します」にする。

そうなると、
「もう一声!」という声援が
自分の中に聞こえてくるので、

「勝手を申し上げまして
 恐縮ではございますが、
 何卒よろしくお願い申し上げます」

になって、
「申し上げます」が「かぶってるやろ!」
ってことで、

「勝手なご依頼、
 誠に恐縮とは存じますが、
 何卒よろしくお願い申し上げます」
になる。

ケースバイケースではあるんですが、
こうなるともう、
どこらへんが丁度良いあんばいなのか
わからんようになるんです。

で、この『本にだって雄と雌があります』。

ぼくの好きな作家・森見登美彦さんが
帯に推薦文を寄せているだけありました。
おもろかったです。

ただ、
どの辺がちょうどいいあんばいなのか、
わからなくなってくるのが難点でした。



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