2015年11月13日金曜日

『職業としての小説家』(村上春樹)読みました。

以前、誰でも知っているような
ドでかい会社の社長に
取材したときのことです。

普通は向こうに、広報担当者とか
秘書とかが同席して、
こっちも編集者とかカメラマンなんかがいて、
結構大勢になるんですが、

なぜかそのときは、
その社長とぼくの二人きりでした。

話がほどよく盛り上がってきたときでした。
電話が鳴ったんです。

社長は、「なんだよー」とか言いながら、
電話を取り、「うんうん、わかった」と言って、
すぐに受話器を置きました。

そしてぼくに、
少し恥ずかしそうな顔を向けながら、
「なんで俺が牛乳買って帰らないと
 いけないんだよ」
と言ったんです。

どうやら奥さんからの電話だったようです。
ぼくは、どんなにでかい会社の社長も、
みんなと同じ人間なんだな、と思いました。

ぼくの好きな作家・山田風太郎さんは、
エッセイにこんな失敗談を書いていました。

散歩の途中、
トイレが間に合わなくて(大きいほう)、
仕方ないので、立ったままの姿勢でいたし、
お尻をこんもりさせながら、
家に帰った、と。

これを読んだとき、
どんなにもの凄い作品を生み出す小説家でも、
みんなと同じ人間なんだな、
と思いました。

で、この『職業としての小説家』。

当たり前ですが、世界の村上春樹さんも、
みんなと同じ人間なんですね。



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