2015年11月6日金曜日

『偽りの楽園(下)』(トム・ロブ・スミス)読みました。

たぶん多くの作家さんは、
原稿を書いている最中、

「本に仕上がったときの
 1ページごとの見栄え」

なんてものは、気にしないと思います。

昔なら1行20字詰めの原稿用紙に
万年筆とかで書くので、
それが活字になって
ページに並べられたときのことなど、
想像しにくい気がするし、

今だってワープロで
文字を打ち込んだ画面の状態が、
そのまま本のページと
同じ体裁にはならないし。

文字を読みやすく
キレイに配置するのは、
デザイナーさんの仕事と割り切って、
文章表現の的確さとか、
物語の面白さなんかを
突き詰めていったほうが、
餅は餅屋的に正しいのでしょう。

でも、
そうじゃない作家さんもいます。
ぼくの好きな京極夏彦さんが代表例。

京極さんはもともとデザイナーだったらしく、
原稿を書くのに、
本をつくるデザイン用のソフトを使っていて、
文字を入力したら
そのまま書籍のもとになる印刷用データが
出来上がっちゃうんだとか。

聞くところによると、京極さんは
「。」までの一文が、
ページ間をまたぐのを嫌っているらしく、
ぺらっとめくったとき、
前のページからつながっている文章は
ひとつもないそうです。

そんなワザを使えるようになると、
読んでいる人をうならせるような効果も、
うまく仕掛けられるような気がします。

で、この『偽りの楽園(下)』。

ページの割り振り方よかったです。
最後に「了」がないのも良。



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トム・ロブ スミス
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