2013年10月29日火曜日

『BORN TO RUN 走るために生まれた』(クリストファー・マクドゥーガル)読みました。

友だちと親戚と近所の人から、
ほぼ同時に赤ちゃんが生まれた
という知らせがあったり、

まったく知らない会社からの仕事なんて
ふだんはそんなにないのに、
同じ日に5件も新規案件の打診があったり、

「初めまして」と名刺を差し出した相手が
幼馴染みでびっくし、
その帰りの電車で、
何年も会っていなかった
学生時代の友だちとばったり、
その夜に別の学校の同窓会の知らせがくる

……そういうことってなぜか重なって起こります。
ぼくの知らないところで、
みんなが示し合わせているみたいです。

で、この『BORN TO RUN 走るために生まれた』。

思い切って言っちゃいます。どどどススメです。
ランニングを習慣にしてる人はもちろん、
まったく走らない人も、みんな読んでもらいたい。
走り方も走ってる人を見る目も変わっちゃいます。

で、最初に書いた「なぜか重なる」が、
どこに関係するかっていうと、
最近読んだ本の質です。
いい本ばっかり重なってます!
なぜ重なるのか不思議だけど、うれしい!


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2013年10月28日月曜日

『恋歌』(朝井まかて)読みました。

部下の成果は自分の成績、
自分の失敗は部下のせい──。
そんな上司の話はよく聞きます。
ぼくも似たような上役さんの下で
働いたことあるし。

といっても、
世の中はそんなに捨てたもんじゃなくて、
そんなダメ上司とまったく正反対の人が
いるのも確かです。
滅多にはお目にかかれないけど。

で、この『恋歌』。

登場するキャラクターの
性格を紹介するような文章の中で、
ダメ上司と正反対の人物像が描かれていました。
これ、10行にも満たない説明文です。

だからもちろん、
物語の大筋にはそんなに関係無い。
読み飛ばしてしまっても、
作品の面白さは十分に味わえる。

もしかしたら、
ぼくのこの感想文を見て、
その数行を見つけようとしながら読み進めた人でも、
気づかないかもしれないくらい。
でも、ぼくはその数行に震えました。
いや、その数行だけじゃないんです。
ほとんど全部にです。

ふぅ。いい本だった。

あんまりベタ褒めだと嘘臭いので、
あえていえば、もう少しストレートな
物語の流れでもよかったかな──ってことにしとこ。


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2013年10月25日金曜日

『闇の守り人』(上橋菜穂子)読みました。

先日久しぶりに、
回るお寿司屋さんに行きました。

はじめに手に取ったのは、好物のエンガワ。
うん、おいしい。
次は、定番のトロ。
うん、これもおいしい。
でも、ちょっと待って。
いいんだけど、やっぱ、エンガワのほうがおいしいな。

……いやいや、これがダメなんですよね。
だって、比べなくていいじゃん。
トロはトロでおいしいんだから、
そのまま味わって幸せな気分でいれば、
何も問題ないでしょ。

少し前のスマップも
「どうしてこうも比べたがる?
 一人ひとり違うのに」
って唄ってたじゃない。
オンリーワンでしょ。

で、この『闇の守り人』。

おいしかったです。
おいしかったんですけど、
ダメなくせが出てしまいました。
そう、比べちゃったんです。

思い出したのは、
同じジャンルの十二国記シリーズ(小野不由美)。
「十二国記」は、ぼくにとって好物のエンガワで、
「守り人」はそこまでは、いかなかった……。

でも、比べなければ、
おいしいんですよ、うん。


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2013年10月17日木曜日

『君たちに明日はない』(垣根涼介)読みました。

5段階評価の3だったか、
10段階評価の5だったのか、
どっちかあやふやになってしまったんですが、
ぼくの高校時代の成績は
3年間を通してずっと真ん中でした。
(最近、高校の同窓会があったので、
 それに引きずられて、高校ネタが続いてます)

いくら思い出しても、
高校生のとき真剣に勉強した覚えはないのに、
なぜか、赤点はなく、可もなく不可もない成績。

たぶん、
いつもは真面目に通信簿をつける先生方が、
たまたま気がゆるんで
「ああ面倒くさ。
 もういいや、3にしとけば問題ないだろ」
と、なっちゃうタイミングが
重なったんだと思います。
とはいえ、
どの教科もすべて真ん中以外なかったのは、
それなりの珍記録だと思うんですけどね。

そしてこんなぼくは、
きっと先生方の記憶から
真っ先に外れていく存在でしょう。
赤点ばかりの問題児は
忘れたくても忘れられないだろうし、
成績優秀の自慢の生徒なら、
いつまでも自慢していたいだろうから。

で、この『君たちに明日はない』。

「金返せ!」と言いたくなるほど悪くはなく、
「大好き!」とほおずりするような作品とも言えない。
はい、ぼくの高校時代の成績みたいだなと、
へんなことを思い出させてくれた本でした。


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2013年10月16日水曜日

『ストロベリーナイト 』(誉田哲也)読みました。

高校生の頃、
いつもつるんでいた悪ガキ4人組で、
おそろいのスタジャンを
買うことになりました。

店に行くと、値段もデザインも
手頃なやつがちょうど4着。
でも、4つとも色違いなんです。

袖の部分と胸についた大きなマークは
どれも白ですが、
メインになる身ごろの色が、
黒、紫、水色、茶色で、同じ色はなし。

ぼくは、黒だけが格好いいけど、
ほかの色は、なんともダサい
って感じちゃったんです。

だから、同じ黒が4着ないと、
みんな納得しないだろうと勝手に考え、
「今回はあきらめよう」って言いました。

すると、ほかの3人が
「なんで?」
と聞いてくるじゃありませんか。

「色違いでもいいじゃん」
「そりゃ、色違いでもいいけど、
 じゃあお前は黒じゃなくてもいいの?」
「うん、俺、紫!」
「おれ、水色!」
「オレは茶色がいい」
「あっ、そう」
ってことで決まっちゃいました。

自分のセンスとは、自分だけのセンスで、
普遍的なものじゃないんだと、
このとき初めて知りました。

それともうひとつ知ったこと。
同じモノでも、
一つの要素(このときは色)が違うだけで、
こんなにも好みが分かれるのだということも。

で、この『ストロベリーナイト』。

同じ著者さんの『武士道シリーズ』は、
上の例でいえば、ぼくが選んだ黒、間違いなく黒。
でも、
このストロベリーは、
紫、水色、茶色のいずれかでした。
同じ著者でも、こんなに違うんだ。


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2013年10月15日火曜日

『数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜』(ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー)読みました。

隠しているトランプの数を当てたり、
縛られて箱の中に
閉じ込められているのに脱出したり、
ステッキから突然花束が出てきたり
──手品にはいつもびっくりさせられます。

びっくりしちゃうのは、
何でそうなるのかワケがわからないから。
タネや仕掛けがわかったら、面白くない。
 
でも、たいていの本は、手品とは違います。

びっくりネタを紹介するのは同じでも、
なぜびっくりが起こるのかを説明してくれる。
びっくりが起きた背景や、
その後のあたふたなんかも物語ってくれる。

そんな「びっくり+タネ明かし」に納得して、
「ほーっ、そうなんだ」と感心するから面白い。

単に「殺人事件が起きました」とか、
「アメリカには貧困層がたくさんいます」とか、
「しずかちゃんがのび太を好きになりました」
とかのびっくりネタだけを並べられても、
手品とは違って、「何で?何で?」
とじりじりしてきて、欲求不満になっちゃう。

で、この『数の悪魔』。

びっくりネタをたくさん紹介してくれます。
おっと、ぎゃぎゃ、どひゃ、
などの奇声をアタマの中で発しながら読める。
けどね、タネ明かしは、ほんのかすめる程度なんです。
欲求不満になりたい人、
本で手品と同じ楽しみを味わいたい人には、
ちょうどいい読み物って感じかな。


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2013年10月10日木曜日

『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』(赤松啓介)読みました。

友だちがFacebookの日記で、
とってもいいことを言っていました。
せっかくなので引用しちゃいます。

「でかけるときに忘れちゃいけないのは
 クレジットカードでもケータイでもない
 ユーモアだ」
(高校から友人でコピーライターの猪瀬さん)

確かに、その通り。
で、ぼくはそのユーモアの中に
なくてはならないのが下ネタだと思っています。
だから、
そっち方面のこともいろいろ勉強しなきゃね。

それともうひとつ。
ユーモアと一緒に持って行っちゃいけないものも
あると思ってます。
猪瀬さんを真似て言うと、

「でかけるときに持って行っちゃいけないのは
 大金でも仏壇でもない
 人を非難する気持ちだ」

猪瀬さんみたいに
きちんと格好いい言葉でまとめられないのが、
天才コピーライターと凡人ライターの違いなのでご勘弁。

で、この『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』。

猪瀬さんとはまた別の
高校時代の友だちが読んでいたので、
ぼくも飛びついたタイトル。
ユーモアを強固にするための
下ネタ収集に最適かなと思って。

でもね、この本、上で言った
「一緒に持って行っちゃいけないもの」も満載でした。
なので、
人のことを非難したくないなんて、
ぼくみたいな軟弱思想の人だと、
読み通すのは少し骨が折れるかな。



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2013年10月8日火曜日

『とっぴんぱらりの風太郎』(万城目学)読みました。

お話をつくるときにも、
これからどうしようと思うときにも、
分かれ道ってあるもんです。

ぼくが今、ぱっと思い浮かんだ分かれ道は、
助監督をしていた先輩からの電話のこと。

テレビとか映画とかの助監督の
仕事をしていた若かったころ、
親父に、
「そんな生活じゃ結婚もできないぞ。
 知り合いで、急成長してる会社の社長がいるから、
 そこに勤めたらどうか」
と勧められていたときでした。

自分でも、もう、
その会社に行くことに決めていたとき、
先輩から電話があったんです。

もう一回、助監督やらないかって。

すごくいい作品で、
監督も素晴らしいから、絶対やって損はない。
この作品についてから、
ほかの道に行ってもいいんじゃないかって。

そこでぼくは断っちゃったんです。

たぶん、先輩が言うように、
その仕事は、作品も監督もスタッフも、
みんな素晴らしいんだろうなと思いながら。

でも、もしそこに行ったら、
もうほかの道には戻らなくなるなと感じたんです。

ぼくの判断が正解だったのか、どうだったのか、
まだよくわかりません。
もしかしたら、そんな分かれ道では、
どっちを選んでも、正解なのかもしれません。

で、この『とっぴんぱらりの風太郎』。

お話をつくるときの分かれ道で、
これとは違う道を選んだバージョンがあれば、
それを読みたいな。
この選択も間違いではなく、
正解だとは思うんですけどね。


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2013年10月7日月曜日

『ベストセラーの世界史』(フレデリック・ルヴィロワ)読みました。

昔、ライターの仲間と一緒に
ある出版社に行って、
新規に立ち上げる雑誌の打ち合わせをしました。

編集者さんに、
その雑誌の中の特集記事を、二人で分担して
つくって欲しいといわれたんです。
それはいつもやっている仕事と変わらないので、
すんなり引き受けられました。

でもその帰り道、
友だちのライターが、
「この雑誌、内容からして売れるわけないないよ」
と言ったんです。

心の底では、そう思っていても、
彼もぼくも、自分たちに任せられた仕事に
手を抜かないのが大前提。

だから彼は一般論として話しているんだな
と考えながら、その先を聞きました。

「今はマーケティングやる市場調査会社とかが、
 すごい正確なデータを集めてくれるでしょ。
 なのに、こんな雑誌が売れるって
 判断しちゃうんだよね。
 きっとそんなデータなんか使ってないんだろうね。
 やっぱ出版業界って、まだまだ古いよなぁ」

そのときぼくはなんと返事したか
よく覚えてないんですが、
こう思ったことだけは確かです。

「いやいや、どんなデータ使っても、
 売れるか売れないかを
 事前に予測するのは無理だよ」

 で、この『ベストセラーの世界史』。

どうすれば、ベストセラーをつくれるか、
参考にしたいと思って読みました。
そして、
ベストセラーは意図してつくれるもんじゃない
ってことを知りました。事前に予測するのは無理だよ。


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