2013年10月15日火曜日

『数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜』(ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー)読みました。

隠しているトランプの数を当てたり、
縛られて箱の中に
閉じ込められているのに脱出したり、
ステッキから突然花束が出てきたり
──手品にはいつもびっくりさせられます。

びっくりしちゃうのは、
何でそうなるのかワケがわからないから。
タネや仕掛けがわかったら、面白くない。
 
でも、たいていの本は、手品とは違います。

びっくりネタを紹介するのは同じでも、
なぜびっくりが起こるのかを説明してくれる。
びっくりが起きた背景や、
その後のあたふたなんかも物語ってくれる。

そんな「びっくり+タネ明かし」に納得して、
「ほーっ、そうなんだ」と感心するから面白い。

単に「殺人事件が起きました」とか、
「アメリカには貧困層がたくさんいます」とか、
「しずかちゃんがのび太を好きになりました」
とかのびっくりネタだけを並べられても、
手品とは違って、「何で?何で?」
とじりじりしてきて、欲求不満になっちゃう。

で、この『数の悪魔』。

びっくりネタをたくさん紹介してくれます。
おっと、ぎゃぎゃ、どひゃ、
などの奇声をアタマの中で発しながら読める。
けどね、タネ明かしは、ほんのかすめる程度なんです。
欲求不満になりたい人、
本で手品と同じ楽しみを味わいたい人には、
ちょうどいい読み物って感じかな。


数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜
ハンス・マグヌス エンツェンスベルガー
晶文社
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