2016年12月28日水曜日

『ゼロ・ウェイスト・ホーム ーごみを出さないシンプルな暮らし』(ベア・ジョンソン)読みました。


友だちのYくんとSくんが
飲み会のとき映画談義をしていました。
どちらもぼくと同じ学校の同窓生です。
(イニシャルだとごちゃつくので、
 以下「山田くん」と「鈴木くん」に。
 ……仮名だと思ってください)

その席で初めて、
お互いがものすごくたくさん映画を観ている
フリークだということを知ったらしく、

学生時代には
あまり話をしていなかった2人が、
いいおっさんになってから、
お互いの戦歴を披露しあい

「なんだ、そうだったのか。
 学生の時から
 もっと話しておけば良かった」

などと意気投合してました。

と、鈴木くんが絶賛する
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の
話題になったときです。

山田くんが
「あれは面白くない」と言ったんです。

それを聞いた鈴木くんは、
「あの良さがわからないんじゃ、
 やっぱ、まだまだだな」
と不機嫌に言い放ち、

急に雰囲気が、
意気投合から呉越同舟になっちゃった。

なんかアララだなと思っても酒の席、
まあ、他の友だちもいたので、
その場は楽しく流れ、お開きになりました。

で、数カ月後。
別の席で、ぼくが山田くんと話したとき、
何気なくカマをかけてみたんです。

「とはいえ、
 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』は
 面白いよ」

すると山田くんは「うん、面白いよ」と。

「え、だってお前、
 鈴木くんに
 面白くないって言ってたじゃん」

「あー、あれは、
 なんだか従いたくなかっただけ。
 ……うそだ、うそ。面白い!」

単に人の意見に同意したくなかっただけ、
ひねくれ者、あまのじゃく。

山田君は、
ぼくと同じような性格なだけだったのでした。

で、この『ゼロ・ウェイスト・ホーム』。

この本、とてもいいこと言っています。
見習いたいです。

だけどなぁ……あまのじゃくなんだよな。ぼく。







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2016年12月26日月曜日

『日本の一文 30選』(中村明)読みました。


仕事で使っている
レイアウト用のソフトは、
ウィンドウ内の表示部分を
移動させるとき、
スペースキーを押しながら、
ぐりぐりとドラッグさせていきます。

スペースキーを押したときだけ、
それまで矢印形だったポインタが、
手のひらの形に変化して
画面をひっつかむような
動きを見せながら
表示する部分が動いていきます。

スクロールバーの操作では
縦か横かの直線的な動きしか
できないけど、

この「手のひら」ツールなら
360度好きな箇所に
移動させられるので便利です。

ただし、
テキストを編集してるときには、
注意が必要です。

画像や図形などを扱う
ツールの使用中は、
スペースキーを押しても
すんなり「手のひら」に
変わってくれるのですが、

文字の入力ツールを
選んでいるときに
スペースキーを押すと、

当たり前ですが、
スペースつまり空白が
文字データとして
入力されちゃうんです。

ぼくはその対処法として、
文字入力ツールの選択中は、
一旦別のツールに切り替えて
スペースキーを押すように
していました。

それが最近、文字編集中に
「手のひら」を使うときには、

スペースキーと一緒に
オプションキーを押せばいい
という裏技を教わったんです。

これで長年のちょっとした
ムズムズ感が解消されました。

とはいえ、
これは裏技ってことでもないらしく
マニュアルとかをキチンと読めば、
どこにでも出ていることみたい…。

ソフトをつくった人は、
そうしたいろんなことを考えて
くつっているんですね。やっぱり。

で、この『日本の一文 30選』。

作家さんが文章をつくるときも、
やっぱいろんなことを
考えているんですわ。
この本読んでよくわかりました。
ぼくも、もっと考えないとな。
スペース入力にも対応できるように。




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2016年12月21日水曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない8』(伏見つかさ)読みました。


いま別の本で、
『日本の一文30選』(中村明)
という新書を読んでいます。

文学作品の中から
一つの文章をピックアップして、
それがなぜイイって思えるのかを
解説していく内容です。

これ読んだら、
ぼくも文豪の技法が
ちっとは身につくかな、
なんて邪心を抱きつつも、

やっぱ
「そんな大層な真似はできないわ」
と打ち砕かれながら
ページをめくっています。

この本の中に
夏目漱石の『坊っちゃん』に
出てくる一文が紹介されていました。
(30選の一つではなく、解説文の中です)

駅での別れの場面で、
動き出した汽車の窓から
ホームを振り返った坊っちゃんが、
見送りに来た女性の姿を
見たときの表現。

「何だか大変小さく見えた」

これについて、著者の中村さんは、
「(漱石はこの)短い一文を投げ捨て、
 さらりとその章を閉じてしまう」
「人と人とが心を通わせる
 人情の世界の一景である。
 だが、その2人の人間の気持ちには
 まったく立ち入らないまま、
 別のシーンへと切り替えるのだ」
と書いています。

心理描写とか、涙のやり取りとか、
そんなのは言わないのが花なのよ、
といっているような気がしました。
言うと花はみんな散っちゃうのよ、って。

で、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない8』。

もうちょい花が残ってればなぁ。
シリーズの残りはあと4巻!






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2016年12月19日月曜日

『虚実妖怪百物語 序』(京極夏彦)読みました。


仮面ライダーとか、ウルトラマンとか、
いなかっぺ大将とか、ドラえもんとか、
サザエさんとか、
その他もろもろ全部ひっくるめて、
子どもの頃に見た子ども向け番組は、
つまらなくても面白かった。

いや、
面白いとか、つまらないなどと、
考えることなく、
ただひたすら見入っていました。

今それらをもう一度観たら、
キャラの造形が秀逸だとか、
ストーリーが起伏に富んでいるだとか、
その設定には無理があるだろうとか、

要らぬアレコレを頭に巡らせて、
とうていあの頃のように、

「ただ見入る」状態には
なれないような気がします。

で、この『虚実妖怪百物語 序』。

ホント久々に
「ただ見入る」状態になりました。
いや、小説なので「読み入る」かな。

お話はあと2巻続きます。
ごっつ楽しみ。





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2016年12月16日金曜日

『増補版 誤植読本』(高橋輝次)読みました。


いくつかの資料を渡して
「これを参考に、○○について
 1000文字程度にまとめてください」
などと、
ライターさんに仕事を
お願いすることがあります。

たいぶ昔のことです。

渡した資料の一部を、
そのまんま打ち込んで、
納品してきた人がいました。

著作権も何もあったもんじゃない。
(もちろん、そのままでは使えず、
 時間もなかったことから、
 ぼくが最初から書き直しました。とほほ)

しかも、
一字一句、句読点の位置まで全部一緒。

そして驚くべきは、
明らかな誤植までそのまんまで、
納品してくださったんです。

それを見つけたときは、
このライターさんに対し、
ある種、尊敬の念がわいてきました。

で、この『誤植読本』。

読後、誤植の見方が
少し変わってきた気がします。





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2016年12月14日水曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(7)』(伏見つかさ)読みました。


前々から
一度はマラソンの距離を
走ってみたいと思っていました。

先日、ようやっとその目標が
達成できたのですが、
実はそのチャレンジの2週間ほど前、
一度挫折しているんです。

その挑戦は、
ひとかけらの弁解の言葉もでない
見事な返り討ち。

42.195キロを甘く見すぎていたんです。

想定したコースは、
板橋にある自宅から皇居まで行き(約12キロ)
一周約5キロの皇居をめぐり、
そのまま自宅まで
同じ道のりを帰ってきて(ここまでで約30キロ)

自宅の前を横目に見ながら走り通し、
埼玉県との境になる笹目橋まで行って、
またうちに戻るという合計42キロ。

このうちのどこで挫折したかというと、
「自宅の前を横目に見ながら」の箇所です。

この地点で約30キロ。

自宅が目に入ると、その先のことは
頭になくなっちゃってたんです。

そのときスマホのランニングアプリに
表示された距離は29.7キロ。

あと12.295キロ!
まずは、ふくらはぎがつって、
ももがつって、お尻がつって、
最初は左足を引きずっていたのが、
右足もうまく動かなくなり、

「あれ? 両足引きずる状態ってのは、
 普通に走っているのと同じ姿勢だな」

なんて、余裕もないのに、
余裕なこと考えてるうちに、

自宅が見えると、

「やったー!ゴールだ」と思ってました。

「マラソンは30キロからが本当の勝負」
と言っていた友だちの言葉が、
頭の中に染みこみました。

しょうがない。
また、近々挑戦しよっと。
今度は、自宅を途中通過するとしても
前半部分になるようにコース設定しよ。
ってこと考えて、
ちょっと前、リベンジできたんです。
そのリベンジのお話はまた今度。

あれ?
この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない7』の
感想じゃなくなっちゃいました。

完走できなかったというお話が中心だっただけに
感想でもなくなってしまいました。
(完走と感想をかけてます……言うな!)

でも、それじゃ申し訳ないので、一言でも。
最後の1行は面白かったです。




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2016年12月12日月曜日

『死神の精度』(伊坂幸太郎)読みました。


子どもの頃、
親に連れられて
どこかで外食する機会があると、

決まって
「オムライス!」
と言っていた時期がありました。

日本そばの店には、
そんな料理はないと
言い聞かされても、
とりあえず言う。

行く店が特殊だったのか、
ぼくの記憶が
ねじ曲がってしまったのか、

「うちはオムライスは
 やってないんですよ」

と言われた覚えがないんです。

どこの店でも、
あの黄色と赤の、
子どもの視覚には
たまらない刺激を与えてくれる、
こんもりお山の
ほかほかメニューが
出てきたような気がしてます。

んで、その頃は、
どこの店で食べても美味しかった。

美味しくないオムライスが
存在することなんて、
考えもしなかったんです。

でもまあ、
中にはあるんですね、
お子様のお口に合わない
オムライスを出している店が。

どこの店だかは、
まるっきり覚えてないんですけれど、
普段は行き慣れない、
少し高級なトコだったと思います。

味も覚えてないんですが、
とにかく
「うげっ、違う! まずーっ!」
って吐き出しちゃったことだけ、
記憶に残っています。

そのとき知りました。
いつも美味しいオムライスでも、
不味いときはある。

どんなに上手な人でも、
失敗することはあるって
人生訓を。

で、この『死神の精度』。

思わずにやけました。
ほほー、
いつも「うまい!」とうなってしまう
伊坂作品にも、
それほどじゃないと
思えるものがあるんだなって。






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2016年12月9日金曜日

『ぐるぐる問答: 森見登美彦氏対談集』(森見登美彦)読みました。


前にも書いたネタだと思うけど、
ぴったりくるのが思い当たらないので、
使い回しちゃいます。

昔、ベテランの編集者さんと
長く売れる本について話したこと。

一瞬だけドバーっと売れて
すぐに忘れ去られる作品や
売れ筋などにはかすりもせずに
消えていくような本と、

細々かもしれないけれど
長く売れ続ける本の

違いはどこにあるか。

そのベテラン編集者さんは、
違いは「におい」だって言ってました。

漢字にするとたぶん「匂い」
(でももしかしたら「臭い」かも。
 自信がないので、
 ひらがなにしておきました)

つくった人が、
どれだけ真剣につくったか。

真剣に誠実に一所懸命につくると
「いい本」のにおいがつく。

そのにおいは、
なぜか知らねど、
読む人に買う人に、
伝わるものなんだと。

なーなーで、
やっつけ仕事的につくられた本には、
なぜか知らねど、
「いい本」のにおいはつかない。

で、この『ぐるぐる問答:森見登美彦氏対談集』。

作家の森見さんが
著名人十数人と対談した内容。
ほんわかしてます。

ぼくが印象に残ったのは
羽海野チカさんの回。

自分を本気でさらけ出し、
真剣に書いたセリフには
ファンレターが集中する。

なぜか知らねど、
読者はそれをわかっちゃう
って言ってました。
やっぱ、いいにおいがつくんです。




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2016年12月7日水曜日

『八月の蜂起 小説フランス革命11』(佐藤賢一)読みました。


ついこの前、
京極夏彦さんの新刊が発売されました。

いつもなら、
「これだと上中下の三分冊が普通だろ」
と思うほど、
ぶ厚い1冊の本を出す人なんですが、

今回はどういうわけか、
ぼくがいつも抱く感想が
そのまま生かされ、
3巻モノとして売り出されたんです。

京極さんの新刊は
何をおいても手に入れたいと思う
お気に入り作家なので
予算度外視で買っちゃいました。

(ただし小説だけ。
 絵本だとかエッセイみたいなものとか、
 いろんなジャンルを出しているので、
 全部は追いかけきれないんです)

少し前のぼくなら、
何冊かに分かれている書籍を
入手するときは、
1冊ごと順番に買って、
読み終えたら次の巻、
それを読んでからまた次と、
わりと節操のある
購入方法をとっていました。

でも、それをやると、
次の巻を買うまでの間に
他の本を
何冊か読むことになってしまい、
以前の内容を忘れちゃう
ってことに気づき、

どうせ読むんだからと
大人買いするようになっていったんです。

ということで、京極さんは置いといて、

この『八月の蜂起 小説フランス革命11』。

全部で20巻近くあるこのシリーズ。
さすがに大人買いはできませんでした。
持って帰るの重いし。

なので月に2巻ずつ買っています。
それでも、
ストーリーは頭の中に残っています。

それって、やっぱ、
内容が面白いからなんだろうな。




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2016年12月5日月曜日

『梟の城』(司馬遼太郎)読みました。


待ち合わせ時間より
だいぶ早く到着しちゃったので、
ドトールに入って
コーヒーを飲むことにしました。

店はそれなりに混んでいて、
空いているのは、
スマホいじりのお姉さんが座る席と
読書中のおばさんの間にある
少し窮屈な1つの席だけでした。

ぼくはテーブルにお尻が
ぶつからないように
「すみません」などと声を掛けながら、
おばさん側からすり抜けて座りました。

おばさんは、ぴくりとも反応を示さず、
読書に夢中です。

じゃあ、ぼくも負けてはいられないと、
読みかけの文庫本を
カバンから取り出し、
活字に目を落とし始めたのですが……。

どうにも集中できない。

おばさんの向こう側にいる
打ち合わせふうの
ビジネスマン2人組の声が
大きすぎるんです。

文字を追うぼくの頭の中の回路が、
2人の会話に占領されちゃっている。

「うわーこりゃ、耳栓が必要だ」
なんて思って、

ふと、すぐ隣を見ると、
読書中のおばさんは、
1週間並べ続けたドミノの
最後の数十枚を
慎重に置いていく人みたいに、

無心にひたすらに
ページをめくり続けているんです。

どんだけオモロイんだ、その本!

ぼくは思わず、
おばさんの読んでる本を盗み見ました。

で、
ちらっと見えたタイトルがこの『梟の城』。

まあ、確かに面白いことは面白いです。
でも、ぼくの読書力では
大声ビジネスマンには
勝てないだろうと思います。

きっと、
おばさんの集中力が並みでなかったんでしょう。




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2016年12月2日金曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(6)』(伏見つかさ)読みました。



NHKと民放で
ニュース番組を比べたとき、
どっちが退屈しないで
見ていられるかというと、

ぼくはNHKです。

別にNHKをひいきにしているとか、
仕事をもらっているとか、
親戚が勤めているとかじゃないです。

NHKじゃなくても、
解説者とかコメンテーターとかを
つけないで、

ニュースの中身だけ
流してくれるような番組であれば、
民放でもいい。

その事件の背景や、
その事故が及ぼすだろう
今後の予測なんかを、
物知り顔でしゃべっている人の
お説を聞かされるのは、
そんなに好きじゃないんです。

それやるんだったら、
こんなことがあった、
あんなことがあったと
事実だけを並べてほしい。

そうしたら、
解説のあるニュース1個を
流している時間に、
3つくらい別の出来事が
伝えられるでしょ。

説明はいいです。
そのニュースの背景とか
今後の予測なんかは、
自分で楽しい方向に考えたいから。

解説されちゃったら、
妄想できなくなっちゃう
じゃないですか。

で、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない6』。

全12巻の半分まできました。
結構意地になって読んでます。
タイトルにもあるように
「俺」の一人称で表現されてく本です。

「俺」の解説があと半分くらい少なかったら、
いいのになあと、
ここまで読んで気づきました。






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2016年11月30日水曜日

『ジロンド派の興亡 小説フランス革命10』(佐藤賢一)読みました。



忘れていたことさえ
忘れていたような過去のあれこれが、
ひょんなきっかけから、
ふいによみがえってくるって経験は、
多かれ少なかれ誰もがあるものでしょう。

少し前、そのきっかけになったのは、
自動販売機で買った
ミネラルウォーターでした。

最近は純粋な水だけじゃなく、
ほのかなフルーツ味のついているのが
出回っていて、
ぼくはあまり見たことのないパッケージの
「ちょっぴりオレンジ味」を買いました。

自動販売機の
本体に書かれているメーカー名と、
並んでいる飲料品の製造元が
てんでばらばらで、

どっかの安売り店で買ってきたのを
無理矢理並べたんだろ!

なんてツッコミを入れながら、
ちょっぴりオレンジウォーターに
口をつけました。

すると、これがなんと、
昔よく飲んだオレンジ粉ジュース味
そのままでした。

その瞬間です。

小学校の遠足のとき、
友だちに叩かれ泣かされた情景が
浮かんできたんです。

遠足にオレンジ粉ジュースを持参し、
水筒の中に入れて飲んでいたとき、

「お前! その粉ジュースのぶんが
 お菓子300円以内を超えてるだろ!」

と友だちに指摘されました。

そいつは「えっ、えっ」と
オロオロしているぼくの頭をポンと叩き

「先生に言ってやるからな」

と走り去っていきました。

ぼくは、
悪い事をして申し訳なく思ったのか、
叩かれて痛かったのか、
とにかく泣き出しちゃったんです。

そのあと先生に怒られたかどうかは
覚えていません。

というか、そんなことがあったことさえ、
今までまるっきり忘れてました。
ちょっぴりオレンジウォーターを飲むまでは。

記憶ってのは、きっかけ一つで、
ぽろぽろと出てくるもんです。不思議です。

で、この『ジロンド派の興亡 小説フランス革命10』。

9巻を読んだのは3年程前。
でも、この10巻を読んだら、
ぽろぽろって前巻までの内容が
頭の中に浮かんできました。
不思議なモンです。







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2016年11月28日月曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない5』(伏見つかさ)読みました。



そのためだけに、
わざわざ飛行機に乗って
やってくるようなファンが
何人もいるほどの
人気のそば屋さんを
取材したことがあります。

店主へのインタビューです。

そば打ちの奥深さなど何も知らなかった
(今も知りませんが)ぼくは、
いつものごとくアホな質問を
してしまいました。

粉を練って、伸ばして、切っての
単純作業を繰り返す毎日って
「飽きませんか?」

そんな脳みその足りない質問にも、
誠実に答えてくれたのは、
やはり人格的にもできた
職人さんだからでしょう。

「毎日違うんですよ」

ご主人は、
大仏様のようなアルカイックスマイルを
浮かべながら言いました。

昨日は大雨でも今日はピーカンの青空
……みたいに天気は毎日違う。
昨日と同じと思う日でも、
気温、湿度、風の向きや強さなど、
まったく同じ日はない。

ソバもそんな感じだと
ご主人は教えてくれました。

その日の状態によって
実のひき方も変えるし、
打ち方も変え、
試行錯誤しながら、
おいしさを引き出す。

毎日が発見だと言ってました。
飽きてるヒマなんかないって。

で、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない5』。

何だかんだ言っても
何とか5巻まで読み終わりました。
おや? これはちょっと
今までと違う盛り上がり方かな
って部分がありました。
そこんところは
飽きてるヒマありませんでした。
よし! あと7巻。




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2016年11月24日木曜日

『窓から逃げた100歳老人』(ヨナス・ヨナソン)読みました。


少し前まで、
この感想文もどきに紹介する本が
山田風太郎さんの作品ばかり
だった時期がありました。

「よくもまあ、
 どんだけアホなことを考えられるんだ」
と感心して、
マイブームになっちゃったんです。

山田さんの頭から生まれ出る
アホなモノとは、忍法でした。

例えば、
ブーメランみたいな武器を使う忍者が、
モノだけじゃなく、
自分の身体も、くの字型に折り曲げて、
自らがブーメランになる忍法だとか、

キスをした相手に、
その口から超小型の自分を忍び込ませ、
そいつを意のままに操る術だとか

……え、大したことないですか。

じゃあ、
くのいち忍者の股間から、
ぶくぶくぶくと泡が飛び出して、
とんでもなく膨れあがり、

それを見た人は、
どうしても泡の中に入りたくなる
って忍法はどうでしょう。

泡に入った人は、
胎児のように手足を丸めて縮こまり、
赤ちゃん返りしてしまう。

泡がなくなってからも、
10日間はバブバブいいながら、
ハイハイするだけ。

ね、アホでしょ。
ホントはもっとすごいのがあるんだけど、
それは読んでのお楽しみにしときます。

で、この『窓から逃げた100歳老人』。

まったく忍法は出てこないし、
アイデアの方向性も違うけど、
その荒唐無稽さ加減、滅茶苦茶度合いは、
風太郎先生に勝るとも劣りません。
楽しかった。





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2016年11月21日月曜日

『プレイバック』(レイモンド・チャンドラー)読みました。


ふらふらしていた若い頃。
会社をいくつ転々としていたか
覚えていないんですが、

その中の一つに
「これぞ親分」みたいな
度胸の据わった社長がいました。

ぼくがどんな失敗しても
「ああ、かまーねぇ、かまーねぇ、
 いいんだ、ンなもん」
なんて言って、

どっかに電話一本かけて、
失敗なんかなかったことにしてくれる。

しかも、それをとがめることもない。

他の会社からは買わないって約束で、
ものすごく安い値段で
仕入れていた品物だってことを、
ぼくが知らずに

「えぇー3日かかるんですか、
 B社さんは昨日頼んで
 今日持ってきてくれたのに」

なんて
電話口で言っちゃったもんだから、

隣で聞いていた先輩が、
「お前何言ってんだ!」
と怒鳴ったときも、

「かまーねぇ、かまーねぇ」
って何事もなかったようにしてる。

そのときは、
スグには電話しなかったけど、
あとで何かの手当をしたんでしょう。

それまでと変わらず、
安い値段で仕入れていたから。

そんな親分の好物が、
なぜかお菓子のキャラメルコーンでした。

「買ってこい」
と言われるたびに、

「ちゃうでしょ社長。
 違うモン買いに行かせてよ」
と思ってました。

ちゃうことって結構あるもんです。

で、この『プレイバック』。

チャンドラーさん好きだけど
読んでいなかった本。

……でもな、こんなだったっけ。
マーロウ探偵って。

ちゃうこともあるのかな。




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2016年11月18日金曜日

『グラスホッパー』(伊坂幸太郎)読みました。


たくさんの人の
アクセスが殺到する人気のブログや
フォロワーがごまんといる
ツイッターなどは、

たいてい批判的な内容の
投稿ばかり載せている傾向にある。

ってことを、何かで聞きました。

誰かのことをバカにしたり、
冷やかしたり、
揚げ足をとったりするのが、
みんな好きなんでしょうね。

そのほうが、いい事を書くより、
多くの分量を書ける気がするし。

で、この『グラスホッパー』。

この本については、
いい事しか思い浮かばないので、
ちょぴっとの文章しか書けません。

面白かった!

「むくげ」が「あさがお」。





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2016年11月16日水曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない4』(伏見つかさ)読みました。



前は少し違ったように思うんですが、
最近のランニング通勤で
一番つらいポイントは、

通過する信号の数でいうと、
1番目から3番目くらいまでの間です。

距離でいえば1キロ前後。
最初の信号は、
スタートしてから約800メートルの距離。

そこにつくまでの
はじめの半分くらいは、
身体をならすために超スローペースなので、
それほど息は上がりません。

でも、ペースはそのままなのに、
信号が見えてくるくらいの
距離になると、へろへろ度が急上昇し、

「わー!もうやめたい!」
と心の中で叫んでいます。

このとき、信号が赤になれば、
足踏み状態で休憩できるので、
なんとか助かる。

でも運悪く青信号だと、
休憩なしで
そこから約200メートルの
2番目の信号まで
走りを継続しなきゃなりません。

そんときは、
意識ももうろうとしています。

でも、
この信号はたいていは赤なので
そこで小休止できます。

とはいえ!
何かのタイミングで
2つ続けて青のときがあるのです。

そうなると、
あと300メートルほど先の
3番目の信号までは、
死んだ状態で走るのです。

で、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない4』。
2つ続けて青のとき、
3番目がさらに青だったのは、
これまで1度しかありませんでした。
それでも、3つ目の信号を超えると、
つらさを感じる機能も鈍化してしまうのか、
死んだ状態のまま、
約6キロを走り切れちゃうんです。

この本のシリーズはあと8巻ありますが…。




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2016年11月14日月曜日

『書店主フィクリーのものがたり』(ガブリエル・ゼヴィン)読みました。


現在形と過去形の使われ方について、
たしかちょっと前の
『ミスター・メルセデス(上)』
感想文もどきに書いた気がします。

さすがスティーブン・キングさんだけあって
物語はものすごく面白いんだけど、
訳の日本語が、英語そのまますぎて、
現在形が多く、リズムが合わないって。
なんかカクンカクンしちゃうって。

そのときは、
現在形が多すぎるとは書かなかったかな。
でも、多すぎてたんです。

英語の原作を書いた作家が、
日本語の翻訳をチェックしたくて、
もう一度直訳しなおしてもらい、
それを校正する人がいると
聞いたことがあります。

そのときに
「自分は現在形で書いたのに、
 過去形になっているじゃないか」と
ダメ出しする人もいるとか、いないとか。

で、この『書店主フィクリーのものがたり』。

訳者のあとがきで、
現在形・過去形の問題に触れていました。
現在形ばかりだったので、
座りが悪くなってしまったと。
でも、読み直してみて、
それで良かったのだと思ったと。

うん。ぼくもそう感じました。
この本に関しては、これが良かったです。





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