2016年12月21日水曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない8』(伏見つかさ)読みました。


いま別の本で、
『日本の一文30選』(中村明)
という新書を読んでいます。

文学作品の中から
一つの文章をピックアップして、
それがなぜイイって思えるのかを
解説していく内容です。

これ読んだら、
ぼくも文豪の技法が
ちっとは身につくかな、
なんて邪心を抱きつつも、

やっぱ
「そんな大層な真似はできないわ」
と打ち砕かれながら
ページをめくっています。

この本の中に
夏目漱石の『坊っちゃん』に
出てくる一文が紹介されていました。
(30選の一つではなく、解説文の中です)

駅での別れの場面で、
動き出した汽車の窓から
ホームを振り返った坊っちゃんが、
見送りに来た女性の姿を
見たときの表現。

「何だか大変小さく見えた」

これについて、著者の中村さんは、
「(漱石はこの)短い一文を投げ捨て、
 さらりとその章を閉じてしまう」
「人と人とが心を通わせる
 人情の世界の一景である。
 だが、その2人の人間の気持ちには
 まったく立ち入らないまま、
 別のシーンへと切り替えるのだ」
と書いています。

心理描写とか、涙のやり取りとか、
そんなのは言わないのが花なのよ、
といっているような気がしました。
言うと花はみんな散っちゃうのよ、って。

で、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない8』。

もうちょい花が残ってればなぁ。
シリーズの残りはあと4巻!






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