2023年6月29日木曜日

『地下図書館の海』(エリン・モーゲンスターン)読みました。


書きかけで放り投げちゃた小説もどきの作品は
ごまんとあるのですが
(記憶の中にはごまんとあるはずなのに、
 実物がどこにあるのか、
 そのデータのかけらすら消息は不明。
 どこいちゃったんだろう)
その中に、
カフカさんの『城』みたいな話にしようと目論んで、
確か数十ページほどは
文字を埋めたやつがありました。
(オマージュしようと考えたほどなのに、
 今ではもう、その『城』のあらすじはおぼろげで、
 今さっきウキペディアで確かめ、
 ああそんな話だったなと見てきたところです)

城に行こうとするんだけど、
どういうわけかたどりつけないって話の
「やりたいけど、なぜかできない」
ってシチュエーションをそのままパクって、

巨大な木の根元にあるという
幻の洞穴を見に行く男の物語。

巨木に向かって山を乗り越え、
川を渡り、村人と話し、砂漠の道を進み
ってなことを何度も何度も繰り返すんだけど、
ちっとも巨木には近づけない。
そもそも「できない」って話を
つくろうと思ったんだから、
当たり前です。

でも、自分でもその繰り返しが、
書いてて嫌になってきちゃったんです。
途中までの数十ページを読み返すだけでも、
やんなっちゃったんだな、あんときは。

で、この『地下図書館の海』。

繰り返される感じでした。いろんなお話が。
でもまあ、最後まで読み終えられ、
途中でくじけないでよかった、よかった。




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2023年6月27日火曜日

『MR(上)』(久坂部羊)読みました。


「金太郎はとっても勇敢な男の子で、
 そのうえ優しい心を持っていました」
と書いてはダメで、

勇敢なら勇敢であることが、
優しいなら優しい気持ちが、表れた行動を、
具体的に示すエピソードで、
つづっていかなきゃいけません。

みたいなことが、あちこちの
「誰でもできる面白い物語のつくり方」的書籍に
記してありました。

下手なことはわかっていますが、
ぼくが金太郎の話でそれを実践するとすれば、
「金太郎と遊んでいた
 サル、ウサギ、リスたち森の仲間の前に、
 突然クマが現れ、襲いかかってきました。
 仲間たちが怯える中、
 金太郎は自分の何倍もの大きさのクマに、
 弱い者イジメはやめろ相撲で勝負だ、と言います。
 それを鼻で笑ったクマは、
 いきなり張り手を打ってきました。
 でも金太郎はとっさにその手を取り、
 一本背負でクマを投げ飛ばしたのです。
 背中を強打したクマは
 泣きながら森の奥へ去ろうとしました。
 すると金太郎は、
 背中は手当してあげるから一緒に遊ぼうよ、
 とクマに声を掛けました」
みたいに(下手なことはわかっていますが)なる。

頭の中に情景が浮かばない抽象的説明じゃなく、
イメージが描けるエピソードや具体的な動きが
物語には大切ってことでしょうか。

で、この『MR(上)』。

特殊な業種を描いているから
必要な要素だとは思うんですが、
説明のところ(そんなに多くはないけど)が
ちょっとアレでした。




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2023年6月22日木曜日

『良寛』(水上勉)読みました。


昔の映画に、
スパイが機密文書の紙束をペラペラめくりながら
マイクロカメラでカシャカシャと
撮影するシーンがありました。

それと同じくらいの速度で
本のページをめくりつつ眺めていくだけで、
書かれている内容がわかっちゃうっていう
速読の方法があります。

フォトリーディングっていうそうで、
その技術を習得すれば、
もっとたくさん面白い本を楽しめるぞウシシ
と思い「誰でもできる速読術」みたいな
ハウツー本を片手に挑戦したことがあります。

ハウツー教書自体がすらすら読めたので、
いけるかもと勘違いしたぼくは、
たまたま手近の本棚にささっていた
大金持ちのバフェットさんとかいう人の自伝を
フォトリーディングしてみたんです。

だけんども、
ぼくの目は高速連射の仕様ではないみたいで、
脳みそに入った情報量はゼロバイトでした。

で、この『良寛』。

じっくりじっくり、
ほんと時間をかけて読みました。




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2023年6月20日火曜日

『スキマワラシ』(恩田陸)読みました。


卒業以来、何年も会っていなかった
小学校時代の悪ガキ3人トリオの1人を
街で偶然見かけて、
互いに「おー!」なんて言いながら、
道端で話し込んでいると、

これまた偶然、そこを通りかかった
残りもう1人の悪ガキ仲間が「おー!」と
通行人をかき分けて走り寄ってきた。

こりゃあ、偶然の増し増しだあー!

なんてことは今まで一度もありませんでした。

でも、もしそれが本当にあったとしても、
それはそれで、
世の中には不思議な偶然ってあるよねと、
きっと済まされるでしょう。

でも、作家が頭の中でつくった物語の中に
そんなエピソードが盛り込まれていたら、
「そりゃないよ、リアリティ不足」
なんてツッコミが
ツイッターとか読書感想文掲示板みたいなところで
花を咲かすんだろうと思います。

創作物の中に出てくる
偶然とか不思議な現象とかは、
マックス1回みたいな不文律が
なんとなくあるんでしょうね。

で、この『スキマワラシ』。
 
スキマワラシと主人公の「アレ」。
2つの不思議現象が入っているんですが、
それでもちゃんと成立しているような、
でもちょっとぎくしゃく感が残っているような。




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2023年6月15日木曜日

『無限とはなんだろう』(玉野研一)読みました。


前回は分断読みの弊害と
気づいたことなんかを書いたので、
それにちょぴっと関連して、
読む進む速度のこといいますね。

今、水上勉さんの別の作品を
楽しんでいるところなんですが、
これがまあ進まないんですわ。

1枚のページをめくるのに
5分も10分もかかったりする。
詰まってるんです1ページの中に。

数ページにわたって改行なかったりする。
かといえば、1行空きで短歌が並んで
すかすかだったりする部分もある。

そんなアキアキのとこは、
今いった和歌だったり漢詩だったりするもんだから、
きちんと読もうとするとギチギチ文字の箇所より
時間がかかったりするんです。

それに、昔の文章をたくさん引用していて、
それが文語体だったりするもんだから、
現代文にどっぷりつかっているぼくが理解するには、
一文字一文字、一単語一単語、
慎重に目で追っていかないと、
頭の中は昨日食べた夕ご飯なんかが浮かんでいたりする。

当然のことなんですが、
書かれている中身によって
読み進む速度って変わってくるんですね。

で、この『無限とはなんだろう』。

きちんと理解しながら読めば、
一生分の時間がかかったと思います。
でも、読み飛ばしちゃったので、
短時間で終わりました。




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2023年6月13日火曜日

『ヨーロッパ・イン・オータム』(デイヴ・ハッチンソン)読みました。


1度読み始めたら、
その本の最後のページを閉じるまで
間をおかずに終えるのが
望ましいのはわかっています。

でも、生活や仕事やお遊びやらの
あれやこれやもやらなくちゃならず、
ずっと本読みに明け暮れているわけにもいきません。

とくに最近は、
眠り魔くんの力が強くなってきて、
抵抗するのも面倒で、すぐ目をつむっちゃいます。

星新一さんのようなショートショートだったら、
10ページもない話で完結するから、いいんですが、
長編になると前の話がどうだったか忘れちゃう。

それでもかまわずしおりの挟んであるところから
目を通していくと、だんだん頭の中に
ぼんやりこれまでのあらすじが浮かんできて、
そうそうそうだったなんて
つぶやきながら進んでいきます。

ほんで最近、
そんなふうに読んでいっても面白さの感じ方に、
それほど支障ない作品と、
どんどん興味が失せていっちゃうものの
2種類があるのに気づきました。

しおりのあるページを開いた途端に、
前の場面が浮かんできて速攻のめり込みできるヤツ。
しおり後、10ページ進んでもあれなんだったけ?
と言ってるうちに眠り魔くんに負けちゃうパターン。
ま、面白いか、面白くないかってことかな。

で、この『ヨーロッパ・イン・オータム』。

分断読みが続いた本でした。
一番長くても30分くらい。
よく読み終えたと関心してます。




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2023年6月8日木曜日

『数学する身体』(森田真生)読みました。


小川洋子さんの『博士の愛した数式』を
読んでからだと思うのですが、
数学関連の読み物に
ちょこちょこ触手が動くようになりました。

いつくつかの本に目を通すと、
「微分する」って言葉が
よく使われているのに気づきました。

どうすればいいか、わからなくなったら、
とにかく微分して考える、
みたいに書いてあったものあったかな。

でも、もともと数学の知識が皆無のぼくには、
その意味がよくわかりません。

字面からすると、微分って、
細かくするってことになる。

細かくして、どうするの。

細かくしたちっちゃな粒みたいなのを
観察するってことかしら。

でも、小さく小さくつぶつぶにしたら、
どれもこれも同じになって、
比べようがないんじゃない。

なので、やっぱり、
そういうことじゃなく、
なんか違う意味があるんだろうなって、
その意味をきちんと理解できたら、
これから読む数学関連の本も
もっと面白くなるかも。

と思って、
「よくわかる微分」みたいな本を
書店でパラパラとチラ見したんです。
なんですが、わけわからん記号がずらずら並び、
1行たりとも読めませんでした。

で、この『数学する身体』。

わけわからん数式はなかったです。
微分を知らなくても、めちゃ面白かったです。




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2023年6月6日火曜日

『トーキョー・キル』(バリー・ランセット)読みました。


会社昼休み、帰宅時バス車中、就寝時
という何度も書いている
ぼくの本を読むときシチュエーションですが、
どこでどんな種類を読むのがいいか、
わかってきたことがあります。

同じ1冊を3カ所に持っていって
継続読みすればいいのですが、
それやるとどこかに置き忘れたとき
「わー読むもんがない、どうしよう」
とパニックになるのでダメなのは経験済み。

スマホの電子書籍もあるから、
いいっていえばいいんですが、
何度か使ってあの画面の中の文字を追うのが
おっくうになり、いつの間にかやめてからだいぶたち、
もうアプリのアイコンがどこにあるのかも
わからなくなってるから、それもダメ。

ということで、紙の本を頑固じじいのごとく開いてます。

まず、会社の昼休みに適しているのは、
表紙に厚紙を使った大きめの本。
仕事机にお弁当を広げ、その向こうに本を置いて
食べながら読むので重たいやつでも大丈夫なんです。

そういう判型が無理なのは会社帰りのバス車中。
ぼくの使う路線はそれなりに混雑していて、
座れるのは十回に1度くらい。
ほとんど吊り革やポールにつかまっての読書です。
片手しか使えないので小さいサイズの文庫だけがOK。

そして就寝時。
両手は使えるとはいえ持たなければいけないので、
なるべく軽い方がいい。
ですが、疲れたら眠っちゃえばいいので多少はがまんします。

で、この『トーキョー・キル』。

かたい表紙の分厚い本でした。
当然、会社昼休みに読みました。
面白かったです。




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2023年6月1日木曜日

『ムラブリ』(伊藤雄馬)読みました。


20代から30代にかけて
よく遊んでいた友だちと、
何十年ぶりかに話をしました。

あれやこれやの思い出話があふれ出て、
自分のやったこと言ったことを
ほとんど覚えてないのに、あきれました。

「そういえば、ぐうたらマンションできた?」
なんて聞かれても
「なにそれ?」としか答えられません。

彼が言うには、
ぼくがもしお金持ちになったら、
なにもしない人向けのマンションをつくりたいと、
ほざいていたそうです。

衣食住のすべて、
生活に必要なものは全部無料で提供する住居。
入居条件は、仕事をいっさいしない人。
面接して、なんか仕事的なことをしそうな
意欲を持った人物だと見受けられたら即NGで、
ほんとのぐうたらさんにだけ住まわせてあげる。
…って、そんなこと言ってたかな。

で、この『ムラブリ』。

これを読んで、昔ぼくが言ってたことが、
なんとなくわかるようになりました。
面白いです。




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