2015年11月16日月曜日

『壬生義士伝(下)』(浅田次郎)読みました。

「読者を泣かせる物語は
 簡単につくれるけど、
 笑わせるストーリーにするのは難しい」

という暗黙の決まり事みたいなものが
あると聞いてから、

その手の小説を、
なんとなく見下すというか、
敬遠するようになっています。

実際に作品を読んで、
ぼろぼろに泣いちゃったとしても、
その気持ちを素直に受け入れずに、

「なんでぇ、
 こんな安易に泣かせやがって」
みたいな。

なんて心がねじくれたやなヤツなんだ、
って我ながら思います。

とはいえ、
自分で物語をつくってみて、
泣き所を描くのは
やっぱ比較的簡単にできるけど、
笑わせる場面は空回りすることが多いと
実感します。

だから「泣き」を狙うのは、
一種の逃げのように
感じているのかもしれません。

本当は、泣かせるのも笑わせるのも、
同じくらいに難しく、
ぼくの創作レベルが低いだけ
ってことなんだろうけど…。

で、この『壬生義士伝(下)』。

泣きましたわ。んで、泣いても、
「なんでぇ、こんな安易に」なんてことは、
ちっとも思いませんでした。
このお話が、ぼくの心のねじくれを
少しほどいてくれたんでしょう。
明日からは素直に生きていきます。



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