2015年12月25日金曜日

『いつまでも若いと思うなよ』(橋本治)読みました。

今はもう期限が過ぎて
対象外になったから、
言っちゃいます。

1、2年前、
ぼくは当選したことがあるんです。

宝くじじゃないですよ。
裁判員です。

裁判所だかなんだかが差出人の、
物々しい封筒に入ったお知らせが来て、

「1年間は候補になっているから、
 心しておいてね」

みたいなことが書いてある。

(この期間は、自分が選ばれたことを
 ネットなんかで公表しちゃダメ
 とも書いてありました。
 
 ぼくはその指示に従い、
 「王様の耳はロバの耳」の主人公みたいに
 必死に口をつぐみ、
 我慢しきれずに井戸の中に向かって
 叫ぼうとしましたが、
 井戸がなかったので黙ってました)

でもそこには、

「候補になっただけで、
 選ばれないこともある」

みたいなことも書いてある。

「なんだそうか」と思い、
そのまま放って置いたら、

しばらくして今度は
「○月○日に裁判があるから来てね」の
〈物々し封筒〉が届いたんです。

「来なかったら犯罪だから、捕まるよ」

みたいなことも書いてある。

それでも書類の中には
「どうしても来れない人」用の
返信書類みたいなのがあって、

すがる思いで、
「ぼくは小さな会社をやっていて、
 何日もかかるような裁判に出ていると、
 会社が立ちゆかなくなっちゃうんです」
という内容をしたためました。

この文面を司法の人が認めてくれたんでしょう。

それから何日かして、
「では、今回は勘弁してあげる」
って書面が届きました。

で、この『いつまでも若いと思うなよ』。

著者の橋本さんはきっと、
どんなに忙しくても裁判員の仕事を
(だけじゃなくどんな仕事も)
引き受けるんだろうなと思いました。




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