2014年3月17日月曜日

『存在しない小説』(いとうせいこう)読みました。

ぼくもときどき物語をつくって、
会社で短編小説集を出したりしてます。

小説を書くとき、びっくりするのは、
自分では考えてもいなかった方向に
話が進んでいくことです。

登場人物たちが、
勝手に動いていっちゃうんです。

自分がつくっているつもりなんだけど、
本当は誰かに書かされているんじゃないか
って思えてくる。

それとは逆に小説を読んでいるときに、
はっと気づいて少し怖くなるのが、
「読んでる自分」と「読んでない自分」が
同時に存在するように思えること。

「読んでる自分」は物語の筋を追って楽しんでいて、
その裏では「読んでない自分」が、
物語の登場シーンと似た別の実生活のことを
考えていたり、関係無い人のことを
思い浮かべてたりする。

そんな小説をつくる時の現象と読む時の現象を、
ぼくは特に意識しないまま受け入れていたようです。

で、この『存在しない小説』。
 
作中にこんな文章(というか、式?)がありました。

「作者」
 ↓
「小説内の語り手」
 ↓↑
「小説内に入り込む読み手」
 ↑
「読者」

これまさしくぼくが感じていたことを
表しているようで、びっくり。
意識しなかったことを、意識するようになっちゃいました。
存在しない小説だけど、意識はできるってことでしょうか。


存在しない小説
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いとう せいこう
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