2014年12月12日金曜日

『大神兄弟探偵社』(里見蘭)読みました。

このブログでも何度か言ったと思いますが、
数年前に他界したぼくの親父は、
ぶつかったクルマを直す修理屋さんでした。

専門は塗装。
でこぼこになったドアとかの鉄板を
平らにするのは板金屋さんで、
親父は、
平らにはなったけど、
鉄板がむき出しになっちゃったトコに、
周囲と同じ色の塗料を塗っていく人でした。

これがまあ、なんとも職人なんです。

いわゆる「技」を持ってる。
塗装のはげていないほかの部分と
色がぴったり合っちゃうんです。

ぼくも、親父の仕事を少し手伝ったことがあり、
言葉には出さずとも、
はたで見みながら、「ほぉ〜」と感心してました。

まず、
大まかに数種類の塗料を
適当な大きさの缶に入れて混ぜ合わせ、
近い色をつくります。

その大まか色を指先に1滴たらしたら、
クルマの塗料がはげていない部分に
ちょこっと塗って、色の違いを確認する。

見ているぼくは、
「これはたぶん緑が足りないぞ」なんて思う。

すると、親父は
緑とは真反対の赤の塗料を数滴、
大まか色の中に落とし、木べらぐるぐるかき回す。

これが見た目には、
ちっとも色が変わっているようには見えない。
でもそれをまた、指先にたらし、
塗ってみると、なんと、どんぴしゃ。
すげー親父!

で、この『大神兄弟探偵社』。

足す色がちと違ってるかな……って印象でした。



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