2014年10月22日水曜日

『光と風と夢・わが西遊記』(中島敦)読みました。

「開く」って言葉があります。
ここでいうのは漢字をひらがなに直すこと。

(おそらく業界用語だろうと思って辞書をみたら、
 「漢字→ひらがな」の意味も載っていました。
 へぇ〜一般的な言葉なんだ)

本の校正刷りなんかに、
赤ペンで修正指示を入れるときに使ったりする言葉です。

「菊池」って印字してあるところに
赤線を引っ張って「開く」指示を入れると
「きくち」になる。

ぼくは、
自分の知的レベルがそれほど高くないこともあって、
開くのが好きです。

その度が過ぎて、
言葉の意味的なことにまで、
この「開く」を使って赤ペンを入れることがあります。

要するに、難しく書くのはやめようよ、
もっと誰でもわかるように簡単に書こうよってこと。

ライターさんとかから
「日本国民は、恒久の平和を念願し〜」
なんて書いてある原稿があがってきたら即
「この文章もっと開いてください」
と注文しちゃうんです。

(この「日本国民〜」の文章は
 日本国憲法から引いたんですけどね。
 憲法の条文も開きたい!)

でも……それはそうなんですが、
開かないほうが、
ぎゅぎゅっと内容が詰め込めるんですよね。

詰まってるから、
読むほうは、解きほぐしながら
時間をかけて読まなきゃいけない。

理解しようと思ったら
真剣に文章と格闘しなきゃいけない。
そういうのも、
ある程度必要なのかなぁとも思ったりするんです。
優柔不断で、どっちつかずなぼくは……。

で、この『光と風と夢と・わが西遊記』。

ん〜っ、開いて欲しい。けど開いて欲しくない。


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中島 敦
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