2014年10月1日水曜日

『ビッグ・ドライバー』(スティーヴン・キング)読みました。


昔会社勤めしていたときに、
「すごいエリート」って噂の人が
途中入社で入ってきました。

細かいことにも自分の意見を出し、
入社早々それなりに成績も上げて
上司にも認められていました。

その人がある日
「ここだけの話、会社で不満に思っていることを
 聞かせてくれない?」
と二人だけになったのを見計らったように、
ぼくに話しかけてきたんです。

あれもこれもそれもと、いろんな不満はあったけど、
その人に言うことじゃないと思ったぼくは
「特にありません」と答えました。

でも、その人は、
「ほら、上司が厳しすぎるとか、
 社内の雰囲気が悪いとか、あるじゃない。
 ぼくはそれを変えていきたくて、
 みんなに聞いているんだ。
 B君なんか率直に社長の悪口言ってたよ」
と粘ります。

それでもぼくは
「いやー特にないっすけどね」とか言って
頭をぽりぽりし、少し足りない人を演じていました。

その後しばらくたって、
ぼくは上司から呼ばれ
「お前、そんなにこの会社が不満なら、
 他を探したほうがいい」
みたいな勧告をそれとなくされちゃったんです。

「はっ?」でした。

「えっ、なんのこっちゃ?」
と思って、よくよく聞いてみると、
例のあの途中入社のエリートが、
あることないこと上司に報告してたようなんです。

ほんで、みんなにも聞いてみると、
彼のターゲットはぼくだけじゃなく、
自分より年下の社員全員だってことがわかりました。
(そんなに大きな会社じゃないので、
 全員といっても、人数は二桁にもなりません)

社長の悪口を言ったB君はそのままを告げ口され、
ぼくのようなとぼけた答えをしたヤツは、
勝手な話をでっち上げて。

結局、
彼が何を企んでいたのかわかりませんが、
次第に誰も相手をしなくなって、話も聞かなくなり、
やがて、また転職していきました。

なんだかわからないけど、そんな人っているんですね。

で、この『ビッグ・ドライバー』。

もっと巧妙だったり、
もっと悪辣だったりする「そんな人」っていて、
その周りには、たくさんのまともな人がいる。

そうですよね、そうなんですよね、キングさん。


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