誰だか忘れたんですが、
小説の執筆作業について、
「こんなやり方をしています」と、
雑誌かなんかのインタビューに
答えていた作家さんがいました。
こんなやり方とはつまり、
一度書いて消しちゃう方式。
原稿を書き始めた最初の1時間ほどは、
筆が(というかキーボードが)振るわないので、
その1時間ぶんは、
とにかく思いつくままに書きまくって、
面白かろうがつまらなかろうが、
誤字があろうが、辻褄が合わなかろうが、
何でもかんでも原稿用紙のマス目を埋めていく
(というか、キートップを叩きまくる)。
そうして1時間ほどたったら、
それまで書いた原稿用紙は丸めて屑箱に捨てる
(というか[すべてを選択]して[削除])
そんなウォーミングアップをしてから、
実際の原稿執筆にとりかかるんだそうです。
はじめのうちは、
頭も手もぎくしゃくした状態だから、
そのときつくり出したものは、
どこかしら、しっくりこないんでしょうね。
そんで、準備体操みたいな作業を
進めるいうちに、こなれてきて、
いいものになっていく。
そのいいとこ取りをしたいがために、
書いて消しちゃう方式を採用しているのでしょう。
で、この『幻燈辻馬車(下)』。
この前の上巻は、
消されずに残ったままの
ウォーミングアップ状態みたいだと感じました。
でも、この下巻は、
それを超えた「いいとこ」の域に入ってます。
上巻の準備体操を我慢して読み進め、
下巻に突入できれば、きっと楽しめます。
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