2022年8月23日火曜日

『殺す風』(マーガレット・ミラー)読みました。


ちょっと前にマイブームだった
ローレンス・ブロックさんの作風について、
何冊目かに読んだ作品の解説に、
「グライダーのようだ」と書いてありました。
確か伊坂幸太郎さんの意見だったと思います。

普通の飛行機はエンジンがついていて、
ぐんぐんのスピードで空を駆けるけど、
グライダーにはそんな推進機はなく、
風に乗ってゆったりのんびり、
眼下の風景を楽しみながら
スイーっスイーっと進んでいく。

ブロック作品には、
エンジン付き飛行機のように
物語がぐんぐんの速度で
展開するものもあるけれど、

それとは異なり、
スピードはないけれど景色や風の心地よさを
じっくり感じさせてくれるような小説も多い。

それがとっても気持ちよくて
好きだと言ってました。

そう、確かにそうでした。
話の筋には直接関係のない会話が
十数ページも続いたりする。

普通は、事件の謎が深まり、
なんだなんだこの先どうなるってドキドキ感や、
えーっちょっと待ってその扉を開けちゃダメ
みたいなハラハラ感なんかが、
読む人に次のページをめくらせるんだろうけど、
そんなのなくても、
テンポや洒落っ気、
噛み合わないのに噛み合っちゃうおかしさ
みたなところで読み進められる。
気持ちいいな、読み終えたくないな
って思えるんです。

で、この『殺す風』。

ブロックさん的な気持ちよさは
感じられなかったけれど、
グライダー系の作品だなあと思いました。




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