何の本をつくっているときか忘れたんですが、
悪だくみとか陰謀とか、
はかりごとだとかという意味の言葉が、
やたらと出てくる原稿を書かなくちゃいけなくて、
同じ内容を繰り返さなきゃならないけれど、
同じフレーズを使っては、
「こいつ手抜きしている」と
思われるのは目に見えているので、
類語の辞書だとか、似たような単語を
だだーっと並べて表示しているサイトなんかを
ぐりぐり力技で巡り巡って、
なんとかしっくりくるのを当てはめながら
文章をつくっていきました。
でも、そうやってごりごり
はめ込んでこさえたものには、
やっぱり無理があったようで、
奸計、狡計、姦謀など普段は見慣れない熟語は、
(ちなみに読みは頭から
「かんけい」「こうけい」「かんぼう」)
担当の編集の人が、
ことごとく「悪だくみ」に修正するよう
校正刷りに赤ペンをビシバシ入れてました。
どんな理不尽な修正依頼でも、
疑問一つ口にせず、素直に従う小心者のぼくは、
もちろんその赤ペン文字に
ひとかけらの反情も示すことなく、
文字選択→悪だくみ入力→
行数増えればレイアウト調整と
ロボットのように作業をこなしていったのでした。
で、この『52ヘルツのクジラたち』。
いい本ですね。よかったです。
難しい言葉はほとんど見当たらず、
読みやすいやさしい文章が素敵でした。
すみっこつついて、ほんとにあえていえば
「贖罪」ってのがあるけど、
これはOKでしょ、ねっ編集さん。
**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら。
**********************