2023年9月12日火曜日

『異能機関(下)』(スティーヴン・キング)読みました。


推理小説の解説なんかでたまに見かけるのが
「フェア」って言葉です。

「犯人はお前だ!」の場面に到達する前に、
謎解きのヒントや仕掛けのもとは
全部読者に見せておく。
「てへへ実はこうだったのよ」みたいな
後出しジャンケン的なことはしない。
それを「フェア」な作者というようです。

作る側にしてみれば、
いろいろ隠しておいて、
最後の最後でどかーんと開陳するほうが、
びっくり効果が高いだろうと考えたり、

クライマックスの謎解きと
先に出しておいた仕掛けに矛盾が出にくくなる
なんて利点があったりするから、いいかもしれないけど、

読み終わって面白く感じるのは、
やっぱフェアな作品です。

それと同じように、
背中がこそばゆくなってくるのが
(前にも言ったかもしれないけど)
じらしです。
「太郎はある作戦を花子に告げた」
とか前振りして、「ある作戦」の内容には触れずにいる。

「知りたいでしょ、でも今はまだ言わない。
 あとのお楽しみ」みたいな。
ドラマ作法の定石の一つなんだろうけど、
できればやめてほしいですね。こそばゆいから。

で、この『異能機関(下)』。

推理小説じゃあないけど、
フェアなつくり方してるなと感じました。
じらしもなかったし。
キングさんすごいな、何歳なんだろ。




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