2016年6月13日月曜日

『推理小説』(秦建日子)読みました。


ぼくが昔行っていた映画の学校で
シナリオを書く授業がありました。

その数回の講義の最終目標は、
200字詰め原稿用紙(通称:ペラ)で
30枚程度の脚本を書くこと。

最初は、原稿用紙の使い方や、
柱、セリフ、ト書きの書き方といった
基本的なことを習い、

続いて
「では各自、ストーリーを考えましょう」
となる。

とはいっても、
その場ですぐに思いつくものではないので、
これは宿題。

各自、物語のあらすじ(シノプシス)を
次回までに書いてくるよう言い渡されました。

んで、次の授業。

みんなが書いてきたモノを、
一人ずつ朗読して
発表することになったんです。

最終形が30枚程度の短い話。
そのあらすじなので、
みんなが書いたてきたのは、
せいぜい3枚くらい。
一人ぶんはすぐに読み終わる。
……そのことは、
ぼくの前に発表した人たちの
朗読を聞いてわかったんです。

それで「あれ?」とは思ったんです。
思ったんですが、
もうぼくの番が回ってきちゃった。

ぼくは自分のシノプシスを
ぼそぼと読み始めました。

でも!
みんなのようにすぐには終わらない。

最終形30枚のあらすじを、
ぼくはなんと20枚ちょっと
書いちゃったんです。

先生は腕組みしたまま
黙って聞いていました。
「これじゃ時間中に終わらんぞ」
なんて考えていたのかもしれません。

そして先生は
ようやく読み終えたぼくに
「それはシノプシスじゃない」
と一言だけいいました。

で、この『推理小説』。

シナリオのようでシナリオじゃない。
小説だよな……小説です。



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