2016年3月7日月曜日

『柳生忍法帖(下)』(山田風太郎)読みました。



黒澤明監督は、
『蜘蛛巣城』のシナリオをつくるとき、
そうそうたるメンバーの脚本家を集め、
宿題を出したという話を
聞いたことがあります。

みんなに出した課題は
「絶対に破られない城を考えてほしい」。

日本映画界の重鎮たる
シナリオライターさんたちが
頭を悩ませて、

高台にあり敵の攻撃が
すぐに発見できる立地だとか、

周りが迷路になっていて
道を知っている人しか
たどり着けない森の囲いだとか

のアイデアを、
これでもかって感じに詰め込んで、

「よし、これなら何があっても
 攻撃はされない。
 鉄壁の城ができた!」

と、みんがほっとしたとき、

かの大監督は
二つ目の課題を出すんですね。

「この城を破る方法を考えてほしい」

あらら……。

ぼくは、この話を聞いたとき
(読んだのかもしれませんが)、

面白い話にするためには、
「もうダメだ!」という状況の

「ダメ」のハードルを
どれだけ高く設定できるかどうか
にかかっているんだなと思いました。

で、この『柳生忍法帖(下)』。

ダメのハードル高すぎです。
そこまでやっちゃったら、
「どう考えても助からんだろう」
が、わんさかあります。

ワル者の悪さ加減も強烈だから、
懲らしめ甲斐があります。
オモロイです。



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