2015年6月24日水曜日

『多数決を疑う 社会的選択理論とは何か』(坂井豊貴)読みました。


〈良助、良吉、良子、良美、悪助、悪吉、悪子〉
の7人の班で、班長を決めることになりました。

立候補したのは2人。

一人は穏やかでしっかり者の
「良」グループのリーダー格・良助。

もう一人は、手のつけられない乱暴者で
「悪」グループのドン・悪助。

立候補した本人以外の5人で、
相応しいと思う候補に手を挙げ、
多数決で班長を決めます。

となれば、3対2で
良助が勝つことは目に見えてますが……。

「ちょっと待った!」

悪グループの参謀長官・悪子が言いました。

「良子ちゃんも立候補すればいいのに。
 クラスで一番美人なのに、もったいない」

それを聞いた悪助は、
「お前何言ってんだよ!
 敵増やしてどうすんだ! 裏切るな!」
と怒鳴ります。

すると良子は意を決したように
「私も立候補する」と言ったんです。

さてさて立候補者は3人になり、
手を挙げるのは4人となって、いざ投票。

……もちろん当選したのは、
4人のうちの2票を獲得した悪助でした。

良助と良子は、
良グループの票をそれぞれ1つずつ
分け合った結果となり、
各1票で悪助におよばなかったんです。

もし、ガチ対決をすれば、
良助 vs 悪助 …… 3対2で良助の勝ち
良子 vs 悪助 …… 3対2で良子の勝ち
となって、悪助はどちらの2人にも
負けちゃうとわかっているのに……

んで、この本、『多数決を疑う』では、
ここに書いたことの実例を紹介しています。

それは、過去のアメリカ大統領選挙。

上の話に当てはめるとすれば、
「良助」はゴアさん、「悪助」はブッシュさん、
中途立候補の「良子」はラルフ・ネーダーさん。

結果は、
ゴアさんの方針に近いネーダーさんが、
ゴアさんの票を喰ってしまい、
ブッシュさんは漁夫の利を得て、
当選できたって言ってます。

ふむふむ多数決にはそんな問題点があるのか。


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坂井 豊貴
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