2015年6月26日金曜日

『若冲』(澤田瞳子)読みました。

昔、会社のとあることを決めるとき、
何度かみんなで話し合う場を持ちました。

ところが鳩首つつきあっても、
なかなかいい案が出ません。

そんなペンディング状態が
続いていたある日、
仲間の一人(良案ちゃんとしときます)と
ぼくが2人だけで
雑談する機会があったんです。

雑談というざっくばらんな雰囲気が
良かったのでしょう。

良案ちゃんは、例の保留案件に、
ひょいっと名前通りの(良案って仮名ですけどね)
グッドアイデアを出したんです。

「それじゃん!」

一応、会社の代表であるぼくは、
すぐさまみんなに「こうしよう!」と伝えました。

みんなもすぐに
「それはいい」と賛成してくれました。

そのときぼくは、
「この案は、良案ちゃんとぼくの2人で考えた」
と言ったんです。

いい案を考えつかなかったみんなを
非難しちゃいけない、
良案ちゃんだけをえこひいきするような
態度をとっちゃいけない。
そんな考えが頭をよぎったからです。

ところが、
ぼくがそう言ったとき、
良案ちゃんは「私が最初に思いついたんです」
とぼそっとつぶやきました。

良案ちゃんにしてみてば、
自分の手柄を社長に盗られちゃったと
思ったんでしょう。

ほかのみんなのほうばかり向いていたぼくは、
良案ちゃんの気持ちを
まったく考えていなかった。
難しいですね、コミュニケーションの仕方って。

で、この『若冲』。

どこまで考えるのか。
どこまで言うのか。
どうやって伝えるのか。
難しいんだなって思いました。



若冲
若冲
posted with amazlet at 15.06.26
澤田 瞳子
文藝春秋
売り上げランキング: 893


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************