三十数年前の中学三年生の教室。
文化祭の出し物を決めるホームルームです。
最終的には、みんなで何をやるか決めるのだけれど、
「とりあえず俺は、お芝居を提案する」
と最初に担任の先生が発言しました。
そのあと先生は、
おもむろになんかのファイルを取り出し、
印をつけていた用紙のところを開くと
「例えばこんな話がいいと思う」と言って、
それを読み始めました。
「タイトルは〈ぼくはロボット〉だ」
……えっ!? それってもしかして
……先生の声を聞くうち、
ぼくは机の落書きを見つめたまま、
じっとうなだれて身動きできなくなりました。
顔が火照ってきます。
先生が読んだのは、
ぼくが卒業文集の原稿で書いた
ショートショートのお話だったんです。
その頃よく読んでいた星新一さんの
真似をしてつくったストーリー。
先生はたぶん、
物語の善し悪しより生徒がつくった
オリジナルの話で芝居がしたかった。
それを他の先生たちに自慢したかった
のだと思います。
そのネタにされたのがぼく。
事前に何も知らされず、いきなりみんなの前で、
自分の作品を読まれたときのどきまぎ感は、
宿題忘れたことを指摘されるよりも
レベルは数段上でした。
ちょっとは誇らしいとか嬉しいとか
そんな気持ちも入っていたんですけどね。
でも結局、文化祭の出し物は、
無難にやれる流行歌の合唱とかになっちゃったんですが…。
で、この『クラスメイツ<後期>』
中学生の頃を思い出したい人には、
ぴったりの本です。
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当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら。
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