2017年6月19日月曜日

『珍妃の井戸』(浅田次郎)読みました。


伊坂幸太郎さんの作品の中に、
(文庫で刊行されている本は
 もうすぐ全部読み終わります)
心憎い仕掛けで、
読んでいる人を騙してくれる物語が
いくつかあります。

どの作品だったか
しっかり覚えていないのと、
言っちゃったらネタバレになるので、
タイトルは伏せておきますが、

仕掛けの方法だけ紹介します。

時間の流れが飛んでいるのに、
つながっているように
勘違いさせるやりかたです。

例えば、小見出しで
〈1月〉〈2月〉〈3月〉……
と話が続いているように
見せかけておいて、

実は最初の〈1月〉の次は
10年後の〈2月〉で、
その次の〈3月〉は3年前の
初春の出来事になっているとか。

1、2、3……と
続けて書かれていれば、普通は
同じ年の連続する月と思っちゃう。

そんな勘違いをさせておいて、
ストーリーのどんでん返しと絡めて、
びっくりさせてくれる。

「おお! 遊んでる、遊んでる」
「いやいや、遊ばれた、遊ばれた」
となるわけです。

でも、
そんな作品を続けざまに読んでいると、
仕掛けなど何もないものでも、

「ひょっとして何か面白い騙しネタが
 隠れてるンんじゃない」
なんて勘ぐったりしちゃう。
素直な心で読むのが一番いいのにね。

で、この『珍妃の井戸』。

「何か騙しがあるんじゃないの?」
なんて考えながら読んでしまいました。
そんなふうに読まなければ、
もっと楽しめただろうにな。
伊坂作品の副作用は怖いです。




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