2017年6月29日木曜日

『黄砂の籠城(上)』(松岡圭祐)読みました。


ぼくが
本づくりの仕事を始めた頃、
先輩から
「一文の長さは、
 短ければ短いほどいい」
と教わりました。

その教えからすると、
今書いた文章でも長すぎる感じです。

その教えを守り、当初は
プロの料理人がきざむ
キャベツの千切りくらいに
細かく細かく「。」を
打っていました。

それをやっているとき、ふと、
「やっぱこれじゃ、なんかイヤ」
と気づいたんです。

昔のことです。
お爺さんがいました。
お婆さんも一緒に住んでいます。
お爺さんは山に行きました。
芝を刈るためです。
川に行ったのはお婆さん。
洗濯のためです。

そんな短、短、短……は、
きちんと読めるし、
一つの文が簡潔だから
誤解せずに内容を伝えられる。

でも、
ある程度の間隔で〈長〉を入れて、
メリハリというかリズムというか、
波みたいなつくりにしたほうが、
読んでいる人の頭が
気持ちイイんじゃないか
と思ったんです。

そんなことを考えながら、
文章づくりの仕事を
やってきたんですが、
この文を読み直しても、
ちっともリズミカルじゃないですね。
修業が足りません。

で、この『黄砂の籠城(上)』。

短い一文の多用でも、
面白い作品はできていました。




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************