2024年8月29日木曜日

『剣客商売十五 二十番斬り』(池波正太郎)読みました。

 
スポーツ選手なんかは明らかに、
ある程度の年齢になると、
観客が満足するようなパフォーマンスは
できなくなりますね。

それはアスリートだけなじゃなく、
ほかのいろんな仕事にも当てはまる。

事故とかで若くして亡くなった人じゃなく、
長々と生きて、その最晩年に
一番いい作品を残したって話は、あまり聞きません。

「寡聞にして」という言葉があって
それを辞書で引くと「見聞が浅く狭いこと」
と載っていて、まさにそのまま、
ぼくが知らないだけかも知れないけど、
でも大筋は間違ってないと思う。

ついこの前は、アメリカ大統領が、
歳だから次はもうやらないと言ったし、
政治や商売の世界でも、「老いる」ってのは、
力を発揮できなくなることのようです。

芸術の分野でも、それはきっと同じで、
特に物語をこしらえる文学は
かなり影響があるんじゃないかな。
ぼく自身感じているし。

で、この『剣客商売十五 二十番斬り』。

解説で常盤新平さんが作者執筆時の歳をたどっています。
それ見ると、面白さと年齢の関係がぼんやり浮かびます。

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2024年8月27日火曜日

『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈)読みました。

 
まだストーリーが記憶に残っている
スティーヴン・キングさんの『死者は嘘をつかない』
(でも、あと1カ月もすれば、
 頭の中のカスミ地帯に遠ざかっていくだろうな)
の最後のページを閉じて、

本棚に残っている5、6冊の
積読本の中から手に取ったのは、
京極夏彦さんの新刊でした。

これがなんと1200ページほどもあり、
ぶ厚い国語辞典ほどの超重量物なんです。

キング本は文庫なので、厚さはそれなりだけど、
持ち運びはなんとかなってた。
読み終えたのも、かみさんの買い物に付き合っての
スーパーのカートを押している最中だったくらいです。

その買い物から帰ってきて、文庫を棚に戻し、
よっしゃー重たいけど、やっつけようか、
と書籍のカバーを外して、

(あ、ぼくはいつもそうやって
 中身をむき出しにして読むんです。
 読み終えたら、カバーを掛け直し、本棚にしまう。
 こうすると中身がへなへなになっても
 外観はきれいに見える。たぶん、ブックオフに
 持っていくときにも高く買ってくれるんじゃないかと
 ケチな考えもあり)

ずしりと持った瞬間、
もう1件、買い物に付き合う予定なのを思い出しました。

おっと、そうなると、
カート押し係の最中に読む本を持って行かなきゃなので、
でも、それにはこのヘビー級書籍は、
とてもじゃないけど、ふさわしくないし。
じゃー仕方ない、ほかの積読本にするか。

ってことで手に取ったのが、
この『成瀬は天下を取りにいく』。

カート押している最中、
スーパーの雑音がまったく聞こえなかったほど、
面白く、のめり込んで読めました。

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2024年8月20日火曜日

『死者は嘘をつかない』(スティーヴン・キング)読みました。

 
ワル者しか標的にしないスナイパーが、
最後の仕事として、
刑務所に搬送される罪人を狙うんですが、
裁判なんかの関係で移送の時期が
いつになるかわからない。

依頼主であるギャングのボスは、殺し屋に、
何カ月か先になるそれまでの間、
射撃地点にする貸しビルの一室を仕事場として使い、
善良な市民として周囲に溶け込むよう指示します。

疑われないよう偽装する職業は作家。

小説執筆のため「ホテルに缶詰的」な生活を
送るって設定です。もちろん殺し屋は、
物語なんか書いたことはないんだけど、
待ち時間のつれづれに
自分の過去を小説にしたてていっちゃう。

その文章も劇中劇のように、
ちょこちょことストーリーの中に差し込まれる。

そんで搬送日が決まって、
つつがなく罪人暗殺は実行されるんだけど、
ギャング・ボスは、どうやら仕事をしてくれた殺し屋も
生かしておかない計画を立てていたようで。
殺し屋は逃げ回るはめになり、
その途中で不幸な少女を助けたりと……。

で、この『死者は嘘をつかない』。

上記あらすじは、
1つ前に読んだキングさんの『ビリー・サマーズ』のこと。
面白かったから記憶が廃れてないか試しに何も見ずに
書いてみました。ぼくにしてはよく覚えてる。

この『死者は〜』もオモロかったので、
同程度には頭に残ると思います、きっと。

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2024年8月16日金曜日

『spring』(恩田陸)読みました。

 
修理に出したカメラの部品を取りに行く
という友だちに、付き合ったときのことです。

きちんと修理されているのを確認した友だちに、
お店の人が、受け取り書みたいなのを渡し、
商品受領の日付と名前を書いてほしいと言いました。

友だちは素直に記入して用紙を返したんですが、
そんとき「えっ、ぼくと違う」って思ったんです。

彼は、何月何日のあとに名字しか書かなかった。
フルネームじゃないんです。

ほんで、それを受け取った店の人も、
記入されたファミリーネームだけの文字を
ちらっと眺めて満足げに
「はい。ありがとうございます」
とか言ってる。

ぼくはそれまで名前を書けといわれたら、
姓名の4文字を全部記すもんだと思ってました。

そうじゃなくても、いいのか。

つーか、ぼくのフルネーム絶対主義は、
いつからどこで身についたものなんだろう。

ま、どっちにしても、それ以来、
宅配便の受け取りサインには、姓だけを、
しかも、ひらがなで書くようになりました。

ほんで、それとはまた別件。
数十年ぶりに開かれた同窓会で、
みんな名前と顔が一致しないから、
最初に自己紹介することになったとき、
ぼくも含めほとんどが名字のみ(菊池です)を
言うのに対し、ほんの数人だけ
フルネームにしてたんです。

その違いもまた、なんでだろうなと、
不思議に思ったのでした。

で、この『spring』。

主人公の名前は萬春(よろず・はる)でした。
彼はきっと紙に書く場合も、
自己紹介のときもフルネームだろうなと思いました。

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2024年8月14日水曜日

『剣客商売十四 暗殺者』(池波正太郎)読みました。

 
今住んでいるマンションは確か20年ほど前に
「大丈夫なんかよ、35年ローンって」と
ひやひやしながら手に入れたもんですが、

(というか、かみさんが購入した
 といったほうが正確かもしれません。
 信用とかそっち方面は、全面的に彼女に
 おんぶ抱っこだったので)

その新築物件には、台所にある水道の蛇口の先に、
リング状の金具がついていたのでした。
(これを長々の年月をへて今日に至るまでの間、
 ぴくりとも気にかけたことはありませんでした)

金網みたいなのとプラスチックのもこもこ的なものとが
中に入った、一種のフィルターです。

「水道が壊れちゃったみたいだから、見て」
と言われるままにのぞいてみると、
蛇口の先から金網みたいなのが、ぶらぶらしている。

なんじゃこれと思い観察すると、どうやら先端は、
さっき言ったリング状金具がねじ式についていて、外せる模様。

ぐりぐり回したら取れました。
毎日水流にさらされ、経年劣化ってやつでしょう。
金網が半分ぐちゃぐちゃになってました。

後日、ホームセンターで同じ部品を見つけてきて、
取り替えて、今は問題なく使えてます。

で、この『剣客商売十四 暗殺者』。

読むのに少し、くたびれました。
ぼくも経年劣化の模様です。

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2024年8月8日木曜日

『剣客商売十三 波紋』(池波正太郎)読みました。

 
この前に読んだ『ビリー・サマーズ』は上下分冊で、
1巻目がのどが渇き過ぎたときのビールのように
ゴクゴクが止まらなくなる勢いでページをめくり、
こりゃたまらんと、
5つ星評価をつけて2巻目に飛びつきました。

飛びついたのはいいんですが、
あれやこれやの諸事情があり、
長く本に向かっている時間がとれず、
10ページほどを細切れに進む読み方になってしまい、
そのせいもあってか、ビールゴクゴクではなく、
お腹タプタプ時の無理やり水道水みたいな気分で
文章を追っていくありさまになり、

そんなはずじゃなかったのにと思っていたら、
物語の締めくくりで、
前回触れた「小説執筆」の日常解脱性に気づき、
おっ、これはこれで、やっぱいい作品だなと、
しみじみしたのでした。

で、この『剣客商売十三 波紋』。

ベクトルで示すと↑↓↓↑って感じ。
ビリーに似た波形でした。

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2024年8月6日火曜日

『ビリー・サマーズ(下)』(スティーヴン・キング)読みました。

 
好きな映画を1つあげてと言われたとき、
これまで一番多く答えたものといえば
ウッデイ・アレン監督の
『カイロの紫のバラ』になると思います。

(そのときの状況によって思い出す
 ベスト作品は違うので、次回質問されたときには
 「ミスター・ビーン」になっている
 かもしれないので悪しからず)

『カイロ〜』のどこがいいのかと言われたら、
映画(だけじゃなく芝居や小説など含めてもOK)
ってのは、こういうモンだよって教えてくれたから、
と答えていました。

世の中で押されて踏まれて生活していくのは
楽じゃなくて、
100%なんの悩みも持たずに暮らしている人は
きっといなくて、
でも、苦しさを抱えていたって、

スクリーンの前に座り、
楽しい夢の世界にどっぷり入り込んじゃえば、
あら不思議。
1時間半の上映時間中は、
お姫様にも、ニヒルな探偵にも、
ビルを壊す怪獣にだってなれちゃって、
悩みや苦しさはどこへやら状態になれる。

それでも映画館出ると、
また日常に戻らなくちゃで、
ま、それが映画ってモンでしょ、
と教えてくれたようで。

で、この『ビリー・サマーズ(下)』。

上記カッコ内に「芝居や小説もOK」とありますが、
そこに「小説執筆」を含めてもいいと、
この本読んで教わった気がします。

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2024年8月1日木曜日

『口の立つやつが勝つってことでいいのか』(頭木弘樹)読みました。

 
心理学ってのは、いろんな実験をやるようで、
その中の1つに、何を目的にしたのかわからないけど、
恋愛関係にあるカップルに対して行ったものがあるそうです。

たくさんのペアを集めてそれを2つ分け、
片方のグループには
「付き合っている相手の、どんなところが好きなのか」
を2人に答えてもらう。

もう一方の人たちには、
その質問はせず、関係ないことを聞く。
(何も尋ねなくてもいいんだろうけど、
 それだと実験の狙いが感づかれるかもしれないので、
 「小さい頃になりたかった職業は?」とか、
 なんか知らんけど質問したんでしょう、きっと)

その質問回答実験をやった何カ月かあとに、
各グループの状況を調べたら、
相手の好きな点を質問されたほうの人たちの
「別れている割合」が、
目に見えて多かったんだとか。

好きな点を口に出して言っちゃうのは
「破綻につながるのかも」って結果になったようで。

ほんで、それとはまったく別の話。
何冊もベストセラーを出している作家なんだけど、
文章に繰り返しが多かったり、
回りくどかったりするのが難点とされていて、
見かねた編集者が次の本を
すっきり文体に書き直して出版したら、
その作品だけ売れなかったらしく。

そんな面白話を楽しめたのが、
この『口が立つやつが勝つってことでいいのか』でした。

いやいや、面白話だけじゃなく、
人生についていろいろ教えてくれるいい本でした。

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