2021年6月17日木曜日

『アウトサイダー(上)』(スティーヴン・キング)読みました。


何かの謎が提示されて、それを解いていく
ミステリーの物語をつくろうと思ったとしましょうか。

じゃあ、まずは、
そんなのありえないと感じさせる、
とびっきりの不可解事件を
考えないといけない。

例えば、えーっと。
……うーん、思いつかない。
仕方ないので、少し前マイブームだった
島田荘司作品からひっぱちゃいますと、

入り口が1つしかない高い塔のてっぺんの部屋で、
溺死体が見つかったとかですかね。

部屋には地上から
らせん階段を上っていかなくちゃダメで、
1階の階段入り口にも、てっぺんの1つ下の部屋にも、
見張りの人が寝ずの番をしていて、
誰も通さなかったのに、その人は殺されてた。

しかも、てっぺん部屋には水道さえないのに
死因はおぼれ死に。

おいおい、それ無理だろって思えます。

島田さんはその無理を、
あれやこれやの仕掛けを駆使して、
探偵に解かせるんですわ、これが。

いやはや、もしぼくが、
まずその無理設定だけ思いつき、
解決法はわからないけど、
とりあえず書いちゃえと進めていったら、

結局、つじつまのある謎解きは思いつかず、
「空飛ぶ怪獣が連れ去り、海につけて溺死させ、
 もとの部屋に戻した」
なんてことにしちゃうでしょう。

で、この『アウトサイダー(上)』。

空飛ぶ怪獣犯人説系の物語は、
ぼくがつくっても
ゴミとしての価値もない話だろうけど、
キングさんがやると
第一級の作品に仕上がるんだろうなと、
読んでて思いました。




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