2010年7月14日水曜日

半透明人間へのアドバイス

『「悪」と戦う』読みました。

昔、爆笑問題がやっていた深夜のテレビ番組で、小説家をデビューさせようという企画がありました。「こんな小説を書きたい」と応募してきた志願者の中から売れそうな内容を選び、執筆の過程や出版に至る経緯を面白おかしくレポートしていく番組。

たぶんご存じないと思うのですが、この番組を通して世に出たのが、
『半透明人間と闇の帝王』(薔薇憂鬱彦)という小説です。

さて、この小説の執筆過程を追っていく番組の中で、著名な現役作家が作者の薔薇さんにアドバイスするという回がありました。

 そこに登場したのが高橋源一郎さんだったんです。

当初、薔薇さんはこの作品のタイトルを『半透明人間』だけにしていて
「と闇の帝王」の部分はついていませんでした。
まだ本にはなっていないコピー用紙の束の一枚目に、大きく『半透明人間』と印字された原稿を、薔薇さんは高橋源一郎さんに渡します。
そのまま緊張の面持ちで助言を待っていると、


「これ、タイトルが悪いね」

「はっ? そうですか……。どんなふうにすれば、いいでしょうか?」

「頭に『海辺の』ってつけたらどう? 後ろに『と賢者の石』でもいいけど」


もちろん、高橋源一郎さんは、当時大ベストセラーだった村上春樹の『海辺のカフカ』そして『ハリー・ポッターと賢者の石』のことを言っていたのです。それを、パクれと。

テレビを観ていたぼくは、思わず吹き出しました。
そして、その笑いが落ち着いてから、高橋源一郎さんって、すごい!って思ったんです。

ところが、どういうわけだか、高橋源一郎さんの作品にはこれまでまったく接することがなく、のんべんだらりと数年が過ぎてしまいました。

そう、この『「悪」と戦う』が、高橋源一郎初体験だったんです。

 感想は、素晴らしい! すごい!

内容とは関係のないことをぐたぐたと書きましたが、この本、本当にオススメです。

「悪」と戦う「悪」と戦う
高橋 源一郎

河出書房新社 2010-05-17
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