2017年1月30日月曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12)』(伏見つかさ)読みました。



雪山の中を道に迷いながら
歩いて行くシーンの撮影でした。

初めて助監督の仕事について
1月ほどたった頃だったと思います。
(そんなこともやっていたんです昔)

それまでは、
スタジオや近場の日帰りロケ
だったのですが、

そのときは
大勢のスタッフがホテルに
数日間泊まりこんでの撮影でした。

「あ、あの木いいですね。
 あれ、使いましょう。
 あの木の影から
 こちらにあがってくるカットで」

と監督が指示を出し、
役者さんがその位置につき、

カメラマンがフレーム決めで
キョロキョロ動き回り、
助手がカメラを据えつつ
メジャーで距離を測り、

照明さんが
レフ板と手持ちのライトをかついで
光を当てやすい自分のポジションを
探してスタンバイして、

そのときはアフレコだったから
録音さんはいなかったけど、

メイクさんが髪型の乱れを直して、
衣装さんがめくれそうな袖の所を
ピンで止めたりする。

んで助監督のぼくは、
なぜか走り回ってる。

そんなこんなでようやくテスト。

「はい、いいですね。いいですよ」
と監督がニンマリして
「じゃ本番。よーいスタート」

数秒のワンカットを撮影するのに
1〜2時間はかかるでしょうか。

それでもその監督は、
「あの岩いいですね」とか
「あの雪!あの積もり具合ですよ」
「このぐちゃっとした泥を
 ハネさせたいですね」
など思いつくまま気の向くまま、
雪山の中を歩くカットだけを撮り続け、

数日分のスケジュールを
つぶしてしまいました。

そのあと監督は
ぼくの先輩助監督に
「なんであなたは止めないんですか!」
と不要ともいえるカットを
撮り続けた自分のことを棚に上げ
叱っていたのでした。

で、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(12)』。

止めてくれる人も必要だなと感じた全12巻。
読了です。




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