「あれ? おかしいな。美味しくない。
味、変わった?
通い詰めていた頃は、
毎日でも食べられると思っていたのに……」
数年ぶりに行った店で、
昔、大好物だったメニューを、
よだれこらえながら頼んでみて、
食べてみたら「えっ、違う!」って感じたこと、
何度かあります。
変わってしまったのは、
その店の味なのか、自分の味覚なのか。
当時と現在のメニューを
同時に食べ比べることができれば、
どっちが変わったのか、はっきりするんでしょうが、
料理は消えモノ、そんなことはできません。
で、この『聖なる怠け者の冒険』。
おかしいんです。
森見さんの描くこの世界、大好物のはずだったんです。
それが、今回は美味しく感じない。
作品自体の味が変わっちゃったんでしょうか。
それともぼくの味覚が変化しちゃったんでしょうか。
幸い、消えモノの料理とは違い、
本はいつまでも同じモノが残っています。
だから大好物だった作品もそのまま読み返すことができる。
それが面白かったら作品自体の変化、
つまらなかったら味覚の変化ってことですよね。
本棚あさって、探そうっと。
森見 登美彦
朝日新聞出版 (2013-05-21)
売り上げランキング: 613
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