ぼくの通っていた映画学校には、
住み込みで新聞配達をして、自分で学費を稼ぐ、
新聞奨学生というのがたくさんいました。
新聞やっている人、とっても偉かったです。
でも、ぼくにはそんな根性はなく、
学費は親になんとかしてもらいました。
今思うと、学費を工面するのって、
とっても大変で、
親にはすっごい負担をかけたんだなって、
何十年もたった現在、つくづく思っています。
なにせ今うちは、
2人の娘がダブルで大学に行ってるんです。
──といっても、
子どもたちの学費をはじめ
家族を養うもろもろの費用は、
ほぼカミさんの稼ぎで賄っているんですけどね。
とにかく学費を何とかするは大変なんだけど、
それでも、自分が学生のときには、
そんなありがた味とか後ろめたさとか、
親への尊敬だとかは、
それほど感じていなかったように思うんです。
これって、
ぼくが親不孝だとか
人間として出来ていないとかの理由もあると思いますが、
結構、周りの友だちでも、
同じように思っているヤツが多い。
で、親になって子どもの学費をなんとかしている今、
自分が持っていなかった「親に悪いな」とか
「尊敬しちゃうな」とかって気持ちを、
娘たちに持ってもらいたいかといったら、
そうでもない。
誰かから、お礼を言われたいからとか、
ご褒美が欲しいからとか、何か見返りがあるからとかで、
やってるわけじゃないんだろうな、きっと。
自分が学生のときには遠慮なく親に負担をかけ、
自分が親になったら文句もいわず黙々と
負担をしょい込んで何の疑問も持たない。
その感じって、なんだか好きです。
で、この『日本の文脈』。
学費とか娘とか、だらだらと書いてきた内容とは、
そーとー関係ないけど、とっても良い本です。
オススメ!
内田 樹 中沢 新一
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