子どもの頃、
どちらかといえば、ぼーっとしていたぼくは、
一緒に遊んでいた友だちから、
よくもてあそばれていました。
例えば、日常的な子ども同士の会話。
その友だちは、いつもじらしから入るんです。
「仮面ライダーって、ホントはさ……」
「えっ?」
「いや、やっぱいいや」
「なんだよ、教えてよ」
「みんな知っていることだし、つまらないから、いいよ」
「いいよ、教えてよ」ってな感じです。
んで、聞いてみると、
テレビで毎週言ってるお決まりの内容を話したりする。
「仮面ライダー本郷猛は、改造人間なんだよね」とか。
それでも、
「知っててもいいから話して」と言ったのはぼくで、
「そんなの知ってるよ」とは言い返せない。
ぼくの不満げな態度を見た友だちは、
ちびまる子ちゃんの永沢君みたいに
「ほら、つまらなそうじゃないか」とつっかかる。
なんとも幼稚なやりとりです。
で、この『銃・病原菌・鉄(下)』。
永沢君のような、じらしの前振りがとっても上手です。
一つひとつのトピックの前に、
疑問を投げ掛けたり、
これから言及する話題が
なぜ興味深いのかといった理由を示したり。
そうすると、
「なんだよ、教えてよ」って思っちゃいます。
でも、そうやって教えてくれる内容は、
永沢君のような
誰もが知っているくだらないことじゃない。
それがまた、
前振りのじらしを忘れちゃうくらい
「へぇーそうなんだ」なことなんです。
あー面白かった。
銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
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