2012年5月7日月曜日

『街場のメディア論』(内田 樹)読みました。


友だちに車で送ってもらったときのこと。
仮名でレン君としときましょうか。
そのとき、
ある交差点でレン君は、左に曲がったんです。
そのまま直進すれば、
すぐ目的地に着くはずの道なのに。

まぁそれでも、
レン君の選んだ左の道は、
弧を描くようにもとの道に戻ってくるので、
少し遠回りするだけで、
時間的にはそれほど変わりません。

レン君は、なんのためらいものなく、
ちょっと遠回りの道を選び、
どこに寄り道するでもなく、
もとの道に戻ってそのまま目的地に向かいました。

不思議に思ったぼくは、
「なんで、あそこ曲がったの?」って聞きました。
するとレン君は
「えっ、曲がらないと着けないじゃん」
と言ってきょとんとしています。
なんだか、
もとの道がまっすぐにつながっていることを
知らなかった様子なのです。

んで、後日。
偶然にも、ぼくはレン君が左に曲がった弧を描く道を、
また車で通ったんです。
そんときは、ぼくが運転し、
助手席にはタロウ君(レン君と幼なじみ)が
乗っていてレン君はいません。

その道に入ってすぐのところで
タロウ君が言いました。
「あっオレ、ここ知ってる!
あの家、子どものとき
レンが好きだった女の子の家だ」

ふーん。そうなのか。
意識的なのか、
それとも無意識なのかわからないけど、
とにかくレン君の行動には、そんな背景があったのね。

その人自身の言うこととか、
やることとかが理解できなくても、
別のときに別の人が教えてくれるってこと、
ぼくには結構あります。

で、この『街場のメディア論』。

ちょっと前に読んだマルセル・モースだとか、
レヴィ・ストロースだとか、
読んだときには、
よくわからないなって思っていた本が、
この『街場のメディア論』を読んで
わかったような気になりました。
本の主題とは関係ないトコで
すごく役だった本でした。

街場のメディア論 (光文社新書)
内田 樹
光文社 (2010-08-17)
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