2010年9月27日月曜日

無法って、無法?

『現代語訳 武士道』(新渡戸稲造著/山本博文訳)読みました。


「私は新しい法律ができる度に、とても悲しくなります」

これは、これまでの人生の中でも
結構な衝撃力を持って、ぼくにドカンと響いた言葉。

発言者は、自動車免許教習所の教官さん。
場所は、知り合いなどまったくいない教習所の教室。
授業に出ないと免許がとれないので、
誰もが仕方なしに出席するような学科教習の時間でした。

ぼくも、仕方ねーなーと心の中でつぶやきながら
半分眠りつつ話を聞いていました。
よって、この発言をした先生の名前さえ知らないんです。

交通法規ってのは毎年のように改正があるらしく、
その度に新たなルールが追加になる。
そしてその度にこの教官先生は悲しむ。

 
先生いわく
「本当は、人に迷惑をかけないように運転しましょう
ってルールだけでいいはずです。
それなのに、そんな簡単なルールを守らない人が大勢いるから、
どんどん法律が細分化されていく。
あなたたちが勉強しなくてはならいことがどんどん増えていくんです」

半分眠りつつ聞いていたこの言葉が、
なぜか免許を取ったあとに思い出され、
で、よく考えてみると、
これって交通法規だけじゃく、
法律全部にいえることじゃないの! と思い当たる。

 うーん、深い。

で、武士道。
この本によると、
「武士道とはこれこれこういうことである」と
きちんと明文化したものはないとのこと。

ぼくなりに解釈すれば、
サムライが持つまっすぐな心がルールだったんですね。
法律がまったくない社会って、
「無法」という言葉のイメージとはまったく正反対の、
すごく成熟した場所なんじゃないかな。


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