2024年6月13日木曜日

『寺田寅彦随筆集 第五巻』(寺田寅彦)読みました。

 
原発事故なんかがあった大地震のあと、
たしか1、2年は電気が足りないとかで
あちこち騒いでいて、

ぼくも仕事の原稿の中に、
そんな内容を書くことがありました。

不足しているので、いつもより多く
限界近くまで発電機を動かして供給するって
感じのそんな内容。

そのとき参考にした電力会社の資料だかに
「電気をたき増しする」と載っていて、
(この「たく」は「焚く」だったと思うけど、
 あまり馴染みがないのでひらがなにしました)

ほうほう、そっちの業界の人なんかは、
電気をつくることを「たく」っていうのか、
専門用語っていうのは、普通わかりにくくなるのに、
逆に親しみやすいじゃんと思って、
自分の書く記事の中にもそのまま使わせてもらいました。

すると、文章をチェックする校正の人は、
その部分に鉛筆でアンダーラインをつけてて、
そこからの引き出し線の先に「?」とあり、
それに続き「この表現でOKですか」と
コメントが入ってました。

そういわれれば
「確かに一般的にはこんな言葉は使わないよな。
 誤植と勘違いされるのも本意じゃないから
 修正しておくか」
と素直に、「電気をつくる」へ直した覚えがあります。

で、この『寺田寅彦随筆集 第五巻』。

引用します。
(実は、この五巻じゃなく一巻にあった文ですが…)

《「赤羽で今電気をたくところをこさえているが、
  それができるとはや……」こんな事を話している男があった。
  電気をたくという言葉がおもしろかった。》

書かれたのは大正11年。
「たく」は、今から100年以上前から使われている
言い方だったと知りました。
あの原稿、直さなくてもよかったかな。

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