2014年6月30日月曜日

『初秋』(ロバート・B・パーカー)読みました。

なぜか、昔おふざけで書いていた小説の
一場面を思い出しました。
奥のほうからデータを引っ張り出したので
一部引用しちゃいます。

〜〜〜〜〜
志田は、祥一のあいまいな相槌も気にせず、
「情けなくない? カネもらうために一生
懸命やっているなんてさぁ」と言った。
 ウエイトレスが、祥一たちの隣のテーブ
ルの下に落ちていたパン屑に気がつき、そ
れを拾いに来ていた。
 テーブルの奥の方に落ちているパン屑は、
そうとう無理な姿勢をしなければとれない。
 若いウエイトレスはそれでも、身体を屈
めて必死に手を伸ばした。もうちょっとで
パン屑に手が届く。
 祥一は「がんばれ」と心の中でつぶやい
た。志田の話は続いている。
「たしかに、おカネためじゃなくって自分
のつくりたい作品を、っていうのもあるけ
ど……なんか違うよね」
 祥一は「そうですね」と言おうとしたが、
あまりにも安易に同意する自分に嫌気がさ
して、頷くだけにした。
 ようやくパン屑を拾い終えたウエイトレ
スが「失礼しました」とでも言うように祥
一に向かって会釈をし、足早にバックヤー
ドへ戻っていく。
 その姿を横目で見ながら祥一は、志田に
対して気のきいた意見の言えない自分がも
どかしいと思った。
〜〜〜〜〜

で、この『初秋』。

ぼくの書いた文章の千倍くらい粋な小説でした。


初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
ロバート・B. パーカー
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